2/5
夢
親子が前にいる
長らく探した復讐相手が目の前にいる
瞳孔が大きく開き
呼吸が浅くなる
無意識に体が前傾姿勢になる
いま飛び掛かれば全てを終わらせられる
相手は無防備だ
今がチャンスだ
…
…
喧騒が響いている
踵を返した
ここでやっても直ぐに捕まってしまうから
何より
「子供がいるじゃないか」
◇
夢を見ている。
目の前の光景を見て、そう確信した
血まみれで倒れている男女。
それを、抱き泣き叫ぶ古い自分。
一度しか見てないのに幾度となく見てきた光景だった。
凄惨だった。
悲劇だった。
だけど、俺はいつも数瞬しかそれを見ない。
代わりに遠くに逃げる男の顔を
脳に刻む。
魂に刻み込む。
忘れてしまわないように。
◇
ベッドから起きて窓際に座る
窓を開ければ春の爽やかな風が部屋を満たす
夜で意外と寒く直ぐに閉めた。
夢を見て確信した
「あの男は俺の敵だ」
…
「……」
頭に少女の笑顔がよぎる
「……決行は明後日の夜、祭りの日に」
自分でも分かるほどに声は揺れていて弱弱しかった
つい、笑ってしまう程に。




