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仇を求めて
あれから五年が経った
馬車に揺られ、一つの街に着いた
フードを被り直し
人を探しながら活気に満ちた声が響く街の中心へ向かう
人を探しているが別に、待ち合わせをしている訳では無く、知り合いがいる訳でも無い
探し人の名前も経歴も、いる場所も知らないだけど顔だけは知っている
だから、街を行き交う人々を観察し例の男を探す
復讐の為に。
出店に寄り
人を探していることと特徴を伝え、情報を聞き出す
何店か回るが有益な情報は今のところ無し。
いや、一つあったな
ここの串焼きは美味しい
大通りから外れ裏路地を歩く
砂粒一粒見落とすまいと街の隅から隅まで歩く
途中でゴロツキにも話を聞くが、情報は無し
そのくせ情報料はしっかり取られた
今回は直ぐに逃げられたが次会ったら殴ろう
そう心に決めた
大通りに戻ると一組の親子が目に入った
「お父さん! お祭り楽しいねご飯も美味しいし」
「ああ、でも明後日はもっと楽しいぞ、明後日が本番だからな」
「ええ~、ほんとに? 楽しみ!」
会話に特段のおかしなところは無い格好だって違和感は無い
親子のことを人に聞けばほとんどが仲のいい親子、だと答えるだろう
だけど、父親の顔は見覚えがある、あの顔を憶えている
あの日
あの場所
あの夜に
復讐を誓った顔だ。




