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流れ星パムの喫茶店 〜癒しで叶える不思議メニュー〜  作者: かなちょろ


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2/2

南の島とコナコーヒー

「ありがとうございました〜」


 最寄りのスーパーでパートとして勤務している私は二児の母をしている【東 響子(あずま きょうこ)】35歳。

 毎日掃除洗濯、子供の世話、そして旦那の世話をして10年が過ぎた。

 そんな旦那がつい先日事故で入院してしまった。

 幸い命に別状は無く足の怪我だけで済んだのだが、私のいつもの仕事に旦那のお見舞いが追加された。

 朝誰よりも早く起きて子供のご飯とお弁当を作り、スーパーの仕事まで部屋掃除とお洗濯。

 スーパーのレジではお客様を相手に愛想笑い。

 家に帰り旦那の服なんかを持って病院へ。

 そして家に帰り夕飯の支度……。

 旦那の入院は2週間程だが結構大変だ。

 そんなある日、子供達を寝かしつけた後に何気なくTVを観ていた時、私と同い年くらいの奥様が海外に旦那と旅行にきてバカンスを楽しんでいる様子が映し出された。


「……いいなぁ……」


 私は気が付かなかったけど、どうやら口からそんな声が漏れていた。


「ううん……うちはうちで幸せなんだもの……、……明日の準備してこよ」


 立ち上がり服を着替えていると、スーパーの帰りに受け取ったチラシがテーブルから舞い落ちる。

 いつもはこんなチラシ気にもしないのだけど、今回は気になってしまった……。


【喫茶店パムは美味しい飲み物であなたの夢を応援します。 ご来店お待ちしております】


 意味が良くわからない宣伝文句なんだけど、何かが気になる……でもスーパーの方まで行かないと行けないしな……子供達もいるしやめておこう。


 次の日、スーパーの帰りにチラシをくれたメイドの格好をしたお姉さんが立っていた。


「あ! チラシどうぞ。 直ぐ後ろで喫茶店やってまぁす! どうですか?」


 う〜ん……どうしようかな……少し時間もあるからちょっとだけ寄ってみようかな。

 お姉さんに案内してもらい着いた先はちょっと面白い形をしたお店……これ喫茶店なの?


「ささ、どうぞ……いらっしゃいませー!」

「いらっしゃいませ」


 店内は結構シックな感じで懐かしい喫茶店って感じで、初老の店員さんが出迎えてくれた。

 この人がマスターかな?

 店内はカウンターのテーブルしか無いし、他にお客さんもいないからコーヒーを淹れるのが見られる場所に座る。


「ご注文はお決まりですか?」

「あ、え〜と……」

「コーヒーは飲めますか?」

「はい好きですけど、詳しくは知らないんです」

「それでは任せていただいてもよろしいですか?」

「はい、お願いします」


 マスターは私を見ると、棚からコーヒー豆が入ったキャニスター缶を取り出しコーヒーを淹れ始めた。

 甘く芳醇な香りが鼻腔をくすぐる。


「お待たせしました」


 出されたコーヒーは凄くいい香りがする。


「これはなんて言うコーヒーですか?」

「コナコーヒーと言います。 南の島で栽培されているコーヒーです。 香りとフルーティーな味をお楽しみください」


 マスターに勧められて一口ストレートで飲んでみる。

 口の中にはフルーティーなのに微かにチョコレートのような風味を感じる。


「美味しい……」

「ありがとうございます」


 マスターは私の一言に笑顔で答えてくれた。

 私はこの一杯のコーヒーだけで満足して、お会計を済ませようとすると、チラシを持っているので一杯無料ですと言われ店を後にした。

 良いお店だったな……また寄ってみよ。


 家に戻りいつもの作業を済ませ、明日は旦那の服などを持って病院まで行く日だ。


「今日は早く寝なきゃ」


 布団に潜り目を瞑ると、あのコーヒーの香りを思い出しながら眠りについた……。


「……おい、いつまで寝てるんだ」

「う……ん……?」

「窓の外を見てみな、もう直ぐ着くぞ」


 目を覚ました私は思わず周りを見回した。


「え? え? ここって……?」

「なんだ、寝ぼけてるのか? 疲れてるのかもな、今は飛行機で南の島に向かってる所だろ」

「え? ……ゆめ?」


 私は窓の外を見ると遥か下には青い海と大小の島が見える。


「……あ! 子供達は?」

「子供? まだ早いだろう。 もう少し2人の時間を楽しまなきゃ」

「そ、そう……」


 隣に座っている旦那は出会ったばかりのように若い……でも、若い時も海外旅行なんてした事ないし……?


 飛行機が着陸し、空港から外に出ると……。


「南の島だ……」

「ちょっと待ってろ」


 旦那はタクシーに声をかけに行ったけど、外国語なんて話せないはずだよね?


「お待たせ、あのタクシーでホテルまで向かおう。 ホテルに着いたら海に行くぞ」

「は、はい……」


 タクシーまで来ると旦那はペラペラと運転手と話し、あっさりホテルまで到着。

 ホテルでもフロントで軽く受付をこなし、ベルボーイに荷物を運んでもらうとチップを渡し、今まで泊まった事の無い豪華な部屋で窓からはオーシャンビュー……。


「ね、ねえ……」

「どうした?」

「お金は大丈夫なの?」

「何言ってるんだよ。 このくらいは全然問題ないだろ」

「そ、そう……」

「それより早く水着に着替えて海に行くぞ」

「う、うん……」


 パラソルなどの荷物は旦那が全て持ってくれて、ホテルが管理しているビーチに向かった。


「日焼け止めを塗ってやるよ」

「え!? そ、そんなのここで?」

「そうだよ? 何恥ずかしがってるだよ、周りに気にする人なんかいないさ」

「そ、そう? それじゃお願い……」


 私の背中に日焼け止めを塗ってから、手を洗いに行くが、戻って来た時には南の島でよく見るドリンクを持って来てくれた。


「あ、ありがとう」

「いいって、それより今日は随分おとなしいな」

「そ、そう?」

「ああ、せっかく旅行に来たんだから楽しまなきゃ」

「そ、そうだよね……」


 私は旦那の一言で楽しむ事に決めた。

 海で楽しんだあとは、ホテルで食事だ。

 食事も豪華にコース料理が運ばれ、旦那がワインソムリエさんに何か話して芳醇なワインがグラスに注がれた。


「それじゃ、乾杯」

「乾杯!」


 私はすっかり舞い上がっていた……。

 旦那がこんなにスマートに外国旅行をこなせるなんて……かっこいいな……。

 豪華な部屋で大きなベッド、大画面で映画を見ながらお酒を呑みながら眠りにつく……。


 翌日、私はいつもの家のベッドで目を覚ました。


「え? あれ? ……やっぱり夢?」


 あんなにリアルに感じたのに……。

 しばらくボーッと夢を思い出していた。

 すると目覚ましがピピピと鳴り思い出す。


「いけない! 早く支度して病院に行かないと」


 こうして私はいつもの生活に戻り、旦那も無事に退院出来たが退院しても病院に行く事がなくなるだけで生活は変わらない。

 またあの夢見れないかな? あの喫茶店もまた行きたいけど、あれから見なくなっちゃったんだよね……。

 掃除洗濯、ご飯を作りスーパーで仕事をする……こんないつもの生活……。

 そんな日々が過ぎて行くと、ある日旦那がチケットを見せて来た。


「これなに? 何かのチケット?」

「あ、ああ……お前には入院してる時もこれらもずっと世話になるから、たまには旅行なんてどうかと思って」

「ほんと! 嬉しい!」


 あの夢を思い出す……でも飛行機は国内線のチケットだ……それでも久しぶりの旅行で楽しみにしていた。

 子供達も休みの期間になり、早速旅行に出発だ。


「ほら早く早く! 飛行機に乗り遅れちまうよ!」


 バタバタと支度をして空港に向かい飛行機に乗る。

 子供達ははしゃいでるけど、空港に来るだけで疲れた……。

 目的地の空港に到着し、ホテルまでタクシーで向かいたかったが、なかなかタクシーがつかまらない……。

 やっとタクシーをつかまえホテルに向かう。

 フロントで受付をして部屋まで荷物を運び、部屋に入る。

 家族4人で丁度の部屋……、窓からは海は見えない。


「よし、海にでも行こうか?」

「そうね」


 子供達も着替えさせてビーチに向かうが、連休というのもあり、人がごった返している。

 空いてる場所を探し、パラソルを立ててゴザを引いて横になる。


「ねえ、日焼け止め塗ってくれない?」

「ここで塗るのか? う〜ん……子供に塗らせるか」

「あなたは塗ってくれないの?」

「だって恥ずかしいじゃないか……飲み物買ってくるからさ」


 旦那は飲み物を買いに行ってしまった。

 プラスチックカップに入ったジュースを四つ抱えて持って来てくれたのは私の好きなジュースだ。


「そろそろホテルに戻ろうか? 着替えたら食事の時間だ」

「ええ」


 ホテルの食堂はブュッフェ形式となっていて、子供達は楽しそうに色々取っている。

 私も好きな物が食べられて嬉しい。

 お皿に盛ってテーブルに戻ると、旦那が外国の人に話しかけられている。

 焦りながらも携帯の翻訳機能を使って外国の人に説明しているみたい。

 お礼を言われていた。


「今の人外国の方?」

「ああ、日本のブュッフェ形式がよくわからなくて食べ物について聞かれた」

「そう、ちゃんと答えられた?」

「どうだか? 翻訳機能を使ったから大丈夫だとは思うけどな」


 さっきの外国の方がテーブルの前を通ると旦那にアリガトウとカタコトでも言ってくれていた。


 食事も終わり部屋に戻ると、昼間の海で疲れたのか子供達はすやすやと眠ってしまい、旦那とはコンビニで買ってきたお酒を呑みながらそこそこのサイズのTVで映画を観て眠りについた。


 布団で今日の事と夢の事を考える。

 うん、私にはこれが丁度いいな。

 不器用だけど優しい旦那もいるし、元気な子供達もいる。

 こうして私の事も気にしてくれてるし……隣で寝ている旦那の顔を見ると、ちょっと惚れ直した。

 休みも終わると私はいつもの生活に戻る。

 大好きな家族と共に……。


「どう? たまにはチラシ配りもいいでしょ?」

「う〜ん、僕は普通に店に来てくれるお客さんだけでいいんだけど……」

「そんな事じゃ願いの星は集められないわよ! もっとお客さんを呼ばないと!」

「あんまり乗り気しないな……まぁ、次の人を探しに行こうか」

「そうね、レッツゴー!」

読んで頂きありがとうございます。

頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。

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