早坂凛
「はじめまして。早坂凛と申します。今回はお二人の警護という事で参りました。よろしくお願いします」
初めて見る女だ。
まぁ水道真琴がよこした人材だから有能であることは間違いない。
「あっ、あなたが根坂間薬師さんですよね?真琴さんから言われています。ここからは私が引き継ぎますので安心してください」
「よろしくお願いします。えっと……はじめましてですよね?」
「そうですね。私って隠密なので。普段は事務所にいないんですよ。よろしくお願いします」
隠密ってなんだよ。
しかも、この人物も美人だ。
普通の男なら『ウハウハ』言うに違いない。
まぁ自分も普通だけどそんな事言わないが。
「……ウハウハねぇ」
「えっ?根坂間さん?何ですか?何か言いました?」
「い、いえ。普通の男である事をアピールしてしまっただけです」
「?」
意味不明な台詞に早坂凛は首を傾げる。
「それでは早坂さん。彼女の事よろしくお願いします。まぁまぁ精神削られているみたいなので。話相手になってあげてください」
話相手なら自分よりも同性の人間の方が気楽だろう。
水道真琴がよこした人間だ。信用はできる。
この日を境に、自分はこの案件から完全に外された。
水道真琴の思惑なのかスケジュールも完全に埋められ、出縄早紀とゆうきへの面会も認められなかった。
二人の事が気にならないといえば嘘になる。
二人とも自分に助けを求めてきたのだ。
最後まで自分が傍らで守らないといけないと考えていたし、その覚悟も持っていた。
しかし、自分は力が強いわけでもなく、頭がきれるわけでもない。
正直、凶器を持った相手に襲われたら何もできない。
自らをを盾にして、わずかな時間を稼ぐことしかできないだろう。
それならば水道真琴が差し向けた早坂凛という女に任せた方がいい。
そうだ。そうに決まっている。
それは間違いない。
だか、心のどこががザワザワしているのを感じた。




