③ 私の生育過程に理由があるのか?(中)
それは私が、まだ未就学児だった頃。
さすがに4歳だったか5歳だったかまでは記憶が定かではありませんが、まあそんな時代の話です。
私はその頃、毎週楽しみに見ている子供向けのアニメ番組を見ようと、テレビの前で座っていました。
その番組(仮に『A』としましょう)は夜の7時から始まります。
そしてもうすぐ『A』が始まることを、私はちゃんとわかっています。
ただその頃、なぜか私は父に
「今日7時から『A』やんな?」
と確認する習慣といいますか、癖がありました。
毎週毎週、そうやって番組の前に父に確認していたものです。
だからその日も私は、何心もなく、近くで新聞を読んでいたであろう父へ、
「今日7時から『A』やんな?」
と、問いかけました。
次の瞬間。
「アホかお前は!」
と、いきなり怒鳴られました。
訳もわからず、私は息を吞みました。
「いちいちそんなこと親に訊くな! そんなこともよう覚えられへんのか!」
幼児だった私はびっくりし、べそべそ泣き始めます。
泣き出したガキに、まだ30代の半分青年だった父は余計ヒートアップします。
「泣くなバカたれが! そんなこともよう覚えられんようなアホは、今すぐ出て行け!」
えええええ?
出・て・行・け?
夜7時から始まるのは『A』だよね?と親に確認しただけで、『出て行け!』とまで言われるの?
なんで? なんで?
ビービー泣きながら私は、心の中で反芻しました。
その後、台所で片づけものか何かをしていた母が来て、
「もうエエやん。もう怒らんときィ」
と父をなだめ、なんとかその場は収まりました。
その日、わたしは『A』を見た記憶はありません。
多分それどころではなかったでしょう。
ちなみに、父から『出て行け』と言われたのはこれが最初で最後です。
何が彼の逆鱗に触れたのかわかりませんが(彼としては、ガキに毎週決まりきったことを訊かれるのが鬱陶しかったのかもしれません。が、だったら『いちいち訊かんでもエエやんか』と、笑いながらたしなめればいいだけではないかと思います。少なくとも『出て行け』は言い過ぎでしょう)、以来私は、今日見る予定の番組を父に確認することをやめました(笑)。
それから数年後。
私は小学生。
その当時、休日の午後などに家族でお茶やお菓子で団欒する習慣がありました。
オヤツですね。
私は母と一緒に、茶菓の用意をしていました。
当時弟がまだ幼く、熱い飲み物を与える場合は水を入れて冷まして飲ませていました。
お茶はテーブルにありましたが、弟用の水はまだ持ってきていませんでした。
水を持って来るのは通常、私の役目でした。
しかしその日たまたま、弟は、水でうめて冷ます前のお茶へ手を伸ばしたのです。
そばに父がいたので制止し、弟は別に火傷ひとつすることはありませんでした。
しかし
「アホかお前は!」
と、突然私は怒鳴られました。
「お前がさっさと水、持って来ーへんから、りょうたまご(なろうでのユーザー名で失礼します)が火傷しそうになったやないか!」
その後もアホだのバカだの怒鳴られ、泣きながらお茶した記憶があります。
(理不尽だー!)
と、心で叫びつつ、しょっぱい涙を呑みながらオヤツを食べました。
本当にそんなことで怒られたの?
問いたくなるでしょうが本当なのです。
普段ならスルーされる(というか、どれも些細なといいますかそれって怒るようなことか? と大人になった今、私は思います)ことで、思いがけないくらい激しく怒られるのです。
ワタシ何かやっちゃいました?
やってませんよね?
大人になってから父に、この2件について『あの時ナンデ怒ったの?』と訊きました。
ある程度予想していましたが
「ワシ、そんなこと言うたか? 覚えてへんなァ」
だ、そうです(苦笑)。
……つづく! この項、次で終了します。