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異世界転生100~私の領地は100人来ても大丈夫?~ 野生の転生者が100人もやってきた!?  作者: にわとりぶらま


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第63話 マールとトーカの恋話?

「ほんと!あの人達は理解できませんよ!」


私は執務室で憤慨しながら、仕事をしていた。


「私もあの姿は流石に引いたわ…」


今日も、私の隣で仕事を手伝ってくれるトーカがそう答える。


「あんな恰好をして、私の結婚が止められるとでも思っているんですかね」


思い返しただけで、腹が立ってくる。


「マール、貴方はそんなに結婚したいの?」


 トーカが、書類をまとめながら、そんな質問を振ってくる。私はその言葉に、改めて今回の一件を考える。


「ん~ 跡継ぎの事は考えなくてはならないと思いますが、それが今すぐ結婚とはなりませんね… そもそも、ツール伯からのお見合いの件は、ツール伯のお孫さんらしいのですが、私自身、その方にお会いしたことがないんですよ」


私は両手を組んで、顎を載せて、答える。


「そうなの?あった事がないの?」


トーカは仕事の手をとめて、こちらを見る。


「そうなんです。だから、お見合いとか結婚とか言われても、全く実感が湧かないんですよね」


私はふぅと溜息をつく。


「それは仕方がないわよね…貴族、領主としての責務みたいなものだから、知らない人との結婚とかよく聞くわ」


 審問官であるトーカにとっては、職務上、身元調査や婚姻関係などで、その様な案件を扱う事があるのだろう。


「帝都の方でもそうだったんですか…まぁ、そうですよね。それが嫌なら学院時代に恋でもして、なんとかしろって事になりますよね」


私は再び、溜息をつく。


「私も女の子ですから、小説などの恋愛物語に憧れていましたし、学院での生活に期待していたんですが… まぁ、勉強で精一杯でしたし、そもそも、一年間しか行けませんでしたから…」


 今になってやっと分かる。母が学院に進む事を強く勧めた事を… 見ず知らずの誰かと結婚するよりは、自分で好きな相手を見つけて欲しかったのだろう。


 私はそんな母の思いに、今まで気が付くことができず、また、学院をやめてしまった今では、その期待に応える事も出来ない事に、少し胸が締め付けられた。


「トーカさんの学院時代はどうだったのですか?」


私は胸のもやもやを紛らわせるため、トーカに話を振る。


「私? 私の話なんて面白くないわよ。近くにトーヤお兄様の様なすぐれた人間がいたから、並大抵の男じゃその気になれないし、近寄ってくる方は、お兄様が自主的な審査を行っていたから…」


「私と同様に何もなかったんですね…」


「まぁ、そうね… でも、あの人達も同じような事を言っていたわ」


あの人達と言うのは転生者達の事であろうか?


「どんな事を言っていたんですか?」


「そうね、学生時代はずっと異性問題を抱えてたって…」


意外である。今とは異なって、何人も彼女でもいたのであろうか?それはないかな?


「ずっと、ニコぽとか撫でポでもやっていたのでしょうか?」


「いや、その時は今より、奥手で人見知りだったから、何も出来ず、異性とも何も起きなかったって、それが問題だって」


 私はその話を聞いて、ぷっと吹き出して、はははと笑いそうになったが、自分自身も同じ状況であった事を思い出し、はぁと溜息をつく。


「吹き出してしまいましたが、よく考えれば、私達、人の事を笑っていられませんよね」


私はそういって、机の上に寝そべる。


「えっ、私達って…私も入っているの?」


そういって、トーカが眉をしかめる。そして、トーカは少し考えた後、口を開く。


「貴方自身は、あの人達の事をどう思っているの?」


「どう思っているかですか…」


 そう言われると確かに難しい。最初、転生者が来た時は得体のしれない人々であったが、もう2か月程、一緒に暮らしているので、理解できない所もあるが、得体のしれない人物でもない。では、この家の使用人のようなものかと言えば、それも違うような気がする。


 なんだかんだ言って、今まで雇用契約の様なものはしていないしから、使用人とはいえないし、客人かと言えば、この家の為に働いてもらってもいる。


 最初に彼らを保護すると決めたのも、母が転生者だったと分かり、私自身にも転生者の血が半分入っていると分かって、同族の様な親近感を覚えた事もある。でも、かと言って、彼らと血のつながりがあるという訳ではない。


「表現方法は兎に角、あれだけ好意を向けられているじゃないの…」


私が色々と考えていた所、トーカが伏せ目勝ちに言ってくる。


 私は理性的にそれぞれの立場や関係について考えていたが、トーカは感情的にどうかと尋ねてきているのだ。


「好意といっても、男女関係の好意とは別物だと思うんですよね」


「そうなの?」


トーカは目を丸くなる。


「えぇ、私が小さい頃、鶏舎からヒヨコを貰ってきて、ペットにしていたんですよ」


「ヒヨコ? それがどうしたの?」


「そのヒヨコが可愛くて可愛くて、構いまくっていたんですが、その時の私とヒヨコの関係と、今の私とあの人との関係が、なんとなく似ているんじゃないかなって… まぁ、ヒヨコの方は、あまりにも私が構い過ぎたので、弱ってしまって、このままでは死んでしまうので、母に取り上げられてしまいましたが…」


 そう言いながら、今現在、転生者達に悩まされているのは、あの時のヒヨコに対する天罰なのではないかと考える。


 私の言葉に少し考え事をしていたトーカが、躊躇い勝ちに口を開く。


「その時、ヒヨコを取り上げられた貴方は寂しかったのでしょ? 今、貴方が結婚する事は、それと同じ事なのではないかしら?」


 私は、机の上に寝そべったまま、顔だけトーカに向ける。トーカは私の返事を待つようにじっと見つめている。


「やけに、あの人達の肩を持つんですね… 色々と親しい会話もしているみたいですし…」


「いや、そういう訳ではないんだけど…」


 トーカは何故か顔を赤くする。私は興味を惹かれて、頭をもたげるが、すぐにまた、下ろし、呆然と前を眺める。あまり、人のそういう所をつつくのは良くない。


 それよりも私自身と転生者との事だ。使用人でも客人でもない、あやふやな立場と関係性、感情面に関しては、最初から男女間の感情は無いが、人としては、好きでもないが、特に嫌っている訳でもない。だから、無関係と言うには、2か月も間、一緒に暮らしているし、今更追い出そうとも思わない。逆に放逐してしまったら、彼らも世間も心配である。


「ほんとうに、私にとってあの人たちは何なんだろう…」


私は独り言のように呟く。


その時、私の隣から『きゅぅぅ~』という音が鳴り響く。


私は、その音の方へ顔を向ける。


「いや、その…」


トーカが顔を更に赤くして、あたふたし始める。


「そういえば、もうお昼でしたよね。結婚の話や、あの人達の話は置いておいて、ご飯食べにいきましょうか?」


私は、身体を起こし、トーカに提案する。


「そ、そうね。空腹ではいい考えはまとまらないわ」


トーカは少し顔を反らせて、恥ずかしさを誤魔化しながら答えた。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「やはり、この人達の話は置いてきたら駄目でしたね…」


私は、食堂の光景を目にして、そう言葉を漏らす。


「ちょっと! 朝より酷い状態になっているのだけど!」


トーカもあまりの光景に、怖気づく。


 転生者全員、朝の赤ちゃん姿のままであり、朝、私に近寄って来たのは、セクレタさんのお願い券を持った者だけだったが、今回はお金の入った袋を持って、転生者全員がにじり寄ってくる。しかも、その中には、鼻息を荒くして、ハイハイで歩いてくる元々赤ん坊の転生者の姿もあった。


「これで俺をあやしてください!」

「この哺乳瓶で俺にまんまを!!」

「赤ちゃんプレイ! この金で赤ちゃんプレイを!!」

「子守歌!俺がお眠になるまで、子守歌を!!」

「バブバブ!バブ―!!」


「ちょ、ちょっと、貴方達、何いってるんですか! って、なに!? 頭の中に直接!? えっ? ちょっと、おっぱいって! 何、かんがえているんですかぁぁ!!!」


 私は、大勢でにじり寄ってくる、赤ん坊姿の転生者の光景と、その理解しがたい言動に恐怖して叫び声を上げる。


 私は、その転生者達の魔の手から逃れ、逃げ去り、そのまま執務室に立てこもったのであった。


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