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異世界転生100~私の領地は100人来ても大丈夫?~ 野生の転生者が100人もやってきた!?  作者: にわとりぶらま


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第34話 誤解に満ちた審問会

 私は爵位継承の手続きに来たはずであるが、目の前にいるのは受付を行ってくれるような、優しい人物ではなく、激しい敵意で私を睨みつける私より少し年上の女性がいる。部屋の様相も貴族を持て成す様な、洒落た大きな部屋ではなく、地味で小さな部屋に押し込まれている。


「あの~これから爵位継承の手続きをするんですよね?」


私が確認の為に尋ねる。


「この状況がそんな風に見えるのかしら?」


 女性が冷たく言い放つ。私はですよねーと返したくなったがぐっと堪える。やはり、どう見てもこれから査問か尋問が始まるのは見て取れる。しかし、私自身に思い当たる節がない。一体何がどうなっているのであろうか?


「では、一体、何でしょうか?」


私は恐る恐る尋ねる。


「マール・ラ・アープ嬢。私は帝国審問官のトーカです。貴方の審問を行うものです」


私の問いに、女性が事務的に答える。


 彼女は私と背格好は変わりないが、きっちり整えられた身形に、着飾る要素の無い黒いストレートの長髪、そして、きりりと引き締まった表情。真面目で誠実と言う言葉を人と言う形で現したかのような姿は、今回の審問が私をからかう為の遊びではなく、真剣に審問を行っているのが感じられた。


「審問って…一体、私になんの容疑がかけられているんですか?」


身に覚えのない事を率直に尋ねる。


「この場に及んで、まだそんな事を!」


私の言葉に審問官のトーカは、剥き出しの敵意の目を向ける。


「貴方には国家反逆の容疑が掛けられているんです!」


トーカが怒気をはらんで言い放つ。


「えぇぇぇ!!!」


全く予想だにしなかった容疑で、私は驚きの声をあげる。


「国家反逆!?そんな事全く身に覚えがないですよ!!何かの間違いでは?」


私は即座に否定の言葉を投げ返す。


「何を…白々しい! 貴方は100人もの凶悪な私兵を抱え込んでいると言う情報があります!この平和な帝国にそんなもの反逆以外に必要がないでしょ!」


『え?なに?あの転生者達の事? 私は巻き込まれているだけなんだけど!?』


私は混乱する頭に呆然とする。


「しかも、その100人を愛人として侍らしているとか…汚らわしい!!」


「えっ…ちょっと待って下さい! 愛人? 愛人って…私そんな風に思われているんですか!!」


 衝撃。衝撃すぎる。ただでさえあんな奇妙な人達と恋人関係にあるとか思われたくも無いのに、それどころか愛人?しかも100人全員と!?私、そんな淫乱な女だと思われていたんですか!?


 私は膝の上の拳を握りしめ、顔を伏せる。恥ずかしくて顔を上げていられない。


「その私兵たちの訓練も行っているとの情報もあります。まず初めに猪を使った人狩りの訓練」


 顔を伏せる私を見て、容疑を容認した物と思い、トーカが事実確認を行う。しかし、それを認めてしまえば、本当に私は国家反逆罪の首謀者となってしまい、家の者もその責を問われてしまう。また、転生者達についても、この世界に慣れていないだけで、反逆を行うような事はひとかけらも思っていないはず。


 ここで私が頑張って弁明をしないと、全員が無実の罪で命を奪われてしまう。私はそう思い、先程の羞恥を心の隅に押し込め、勇気を奮い立たせる。


「そ、それは肉食を求めた彼らが、ちょっと無茶を行っただけです!」


審問官トーカは私の反論を冷たい瞳で受け止め、切り返す。


「その次に蹂躙作戦の訓練として、森林を一瞬で消し去ったとも聞いています」


「そ、それは宿泊施設が足りなかったので、仕方なく行った事です!」


家の財産である森林を、勝手にしかも大量に使った彼らに思うところはあるが、ここは弁明しなければならない。


「現地の資材を使って、自分たちの施設を作る。それを蹂躙作戦というのです」


「あっ」


「しかもその後、その跡地をまるで地獄のように焼き払って焦土にしたそうですね」


「いえ、あの…それは…」


「最後に、戦闘能力を計る為に、ドラゴンの集団に挑んで駆逐したそうですね」


淡々とした口調で攻め立てるトーカに、私は追い詰められたじたじになっていく。


 弁明しずらい…というか出来ない。森林の跡地を焼き払ったのは、転生者達自身が力を誇示する為に行ったものだし、ドラゴンの件についても幼女として欲しかったとか、とても信じて貰える話ではない。仮に信じて貰えたとしても自信の欲望の為、幼女達を拉致する集団だと思われる。そちらの方が色々な意味で疑われては困る。


 私は再び拳を握り締め、顔を伏せる。何も言い返せない自分自身の不甲斐なさもあるが、そんな集団を館に置いているという恥ずかしさもある。


「それ以外にも…その…なんというか…」


先程まで、氷のような態度で臨んでいたトーカがたどたどしい口調で語りだす。


「その…大量に買い込んでいるらしいわね…」


大量に買い込む?何を?


 私は思い当たる物を考える。猪の時に補充した塩の事だろうか?でも、そんな事はどこでもある事だ。ではなんだろう? 彼ら転生者の為に買ったものと言えば…


『味噌と醤油?』


 確かにこちらの世界の人間にとっては馴染みの無い調味料なので、買う者がいたとしても、嗜む程度なので購入量は少量であろう。しかし、転生者たちにとってはなくてはならない物となっている。しかも100人だ。他者から見れば奇妙な調味料を大量購入しているのは奇怪に見えても仕方がない。元を正せば私の領地の郷土料理で満足してもらえないのが原因だろう。


「えぇ、それは…私の領地のものでは満足できないそうで…」


「えっ?貴方の領地の物で満足できないと?」


 彼女は私の言葉に、驚愕のあまり目を見開く。なんでそんなに食生活の違いに驚く必要があるのだろうか。


「はい。やはり慣れ親しんだ物の方がよいと、仰ってます」


私は誰でも故郷の料理が良いでしょうと言った意味で答える。


「慣れ親しむなんて…恐ろしい…」


 先程と同じ人物とは思えないぐらい、トーカの顔は恐怖に青ざめ、何かを堪えるように拳を握り締める。確かに私も最初にナットウなるものを口にした時は驚いたが、彼らの好む味噌や醤油はそこまで怯えるようなものでもない。


「やはり、良からぬ事を計画しているようね…」


「えぇ!!」


なんで、食文化の事でそんな風に考えるの?


「長い審問になるわ…覚悟しなさい」


トーカはそう言うと合図をし、衛兵が現れ私はを引きつれていった。



☆☆☆☆☆



「やっぱり、マールたんは俺たちが救い出さないといけないよな」

「きっと、今頃、一人寂しい思いをしているに違いない」

「だな、涙目になって俺たちが来るのを待っているはず」

「なにそれ、萌えるわ」


「えっと、余計な事しない方がいいと思うわよ」


「大丈夫!セクレタママ」


「…ママ?」


「そそ、俺たち目立たないようにやるから」


「いや、皆同じ髪型だから、既に目立っているわよ」


「じゃあ、全員でさっき買った綿菓子の袋でもかぶるか」

「いいねそれ、よいしょ」

「うわ!べとべとする」

「ちょっと、外が見えんな」

「もったいないけど目の所に穴を開けるか」


「貴方達…ちょっとその姿、怖いんだけど…」


「じゃあ、ママいってくるね」


……


「ここは私が何とかしないとダメかしら…」



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