第10話 (チェンジ!!)
11/20 地文と会話文の間に改行を入れました。
朝食の後、私とカオリの二人は私の自室に招き会話をしていた。
食後に始まる社会常識講習会が始まるまでの間に、もう少し互いに交流を深めたかったからだ。情報が足りない状態であの転生者達を相手にするのは、何が起きるのか分からなくて恐ろしい。
「あの方達は元の世界でもあの様な感じなのですか?」
「いやぁ~ そんなことはあらへんけど、こっち来てからはっちゃけとると思う」
今の時間、転生者達の食事の準備や後片付け、仕事にやってくる領民の割り振り等で家中の者全員が忙しいので、私自らお茶を入れ一口自分で飲んだあとカオリに差し出す。
「お茶おおきに。あっこれ香りのええやつや。後それとな、あいつらちょっと焦っとると思うねん」
「何を焦っておられるのですか?」
私は首をかしげる。
「先ずステータスが確認できひんかった事やな。最初来た時にステータスオープンとか叫んどったやろ」
「あぁ、あれですね私は何かの雄叫びかと思いました」
「それでステータスが開かへんかったから、自分自身に知力とか筋力とかの能力がどれだけあるんか、どんなスキルもってるんか、どんなジョブに付いているのか分からへんかったんよ」
「自分自身がどのような人間であるかを知るのにカオリさんの世界ではそれが一般的な方法なんですか?」
「あれ?いや、そうじゃないけどレベルとか筋力とかが数字ででるねん」
カオリは何か違和感を感じたようだが直ぐに答える。
「その数字とは何かの順位みたいなものなのですか?それとも試験ような100点満点中の何点とかそんなものなんですか? そう言ったものがカオリさんの世界では簡単に見る方法があるんですか?」
「いや…そういう数字じゃないと思うし、見れへん…あれ?」
「では、ジョブとかスキルとかなんですか?」
「まず、ジョブやな。ジョブは戦士とか魔法使いとかや。戦士なら剣術とかのスキルが使えるし魔法使いなら魔法のスキルが使えるねん。だからなんのジョブについてるかが重要やねん」
「私の世界では剣術が上手な人が剣士と呼ばれますし魔法使いも同様ですね。
カオリさんの世界ではそのジョブ?について何か許可とか認可を貰わないと使っちゃだめなんですか?」
カオリは首をかしげる。
「いや、そんなことあらへんよ。スキル使うのに誰かの許可とかいらんよ」
「そのスキルというのは特殊なものなんですか?」
「そうそう、そのスキル使えるのがすごいねん。ポーション作成なら材料持ってスキル使ったら一瞬でポーションできるし、料理スキルやったら料理ができる」
「すごいです!カオリさんの世界では色々な事がスキルを使っただけで出来るんですね。こちらの世界ではポーション作るのにも色々な処理が必要ですし、料理も材料を切って煮たり焼いたりしないとダメですからね」
私の言葉にカオリが固まる。
「えっこっちの世界はスキル使えへんの?」
「はい、無いので使えません」
カオリは私の返事に項垂れ頭を抱えだす。
「うちなんで元の世界で使えへんのにこちらの世界に来たらステータスオープンやら、ええジョブついて一杯スキル貰って色んな事出来るって思てたんやろ…
あー恥ずかし、異世界来れたんでうちも浮かれとったんやろか… あほちゃうか… こんなん考えとるってアレなあいつらと変わらんやないか…
うちもあいつらのアレがうつってもうたんやろか… どないしたらええんやろ…」
「まぁまぁ、別の世界に来たのですから、思い込みや勘違い、混乱して当然ですよ…」
私は落ち込むカオリを慰める。
「そやな…ちょっとうち混乱しとるんやな…」
そこに扉から慌てた感じのノックが鳴る。
「マールお嬢様。ファルーです。ちょっとよろしいですか?」
ファルーを部屋に招き入れると、ファルーはかなり困惑している様子だった。
「ファルー何かあったのですか?」
「はい、お嬢様。昨日来た赤ん坊たちの様子が…」
その言葉にすぐに私と気を取り直したカオリとファルーの三人で赤ん坊たちの所へ向かう。
部屋に入ると6人の赤ん坊たちが、何か力みながらうなり声をあげる奇妙な光景が見えた。
「一体なにがどうなっているんですか?」
「申し訳ございません。お嬢様。私も朝来た時からこの様子で…」
そう言って赤ん坊の一人を抱き上げる。
「お腹が空いているのか、口が寂しいのかと思って、せめて私の乳を吸わせようとすると…」
「ぶぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!!」
ファルーの言葉にものすごい勢いで泣き叫ぶ。
その様子にカオリは眉を顰めるとスタスタとファルーの抱きかかえる赤ん坊の所へ進み、勢いよくその頭を叩く。
「ちょっと!カオリさん!赤ん坊ですよ!叩いちゃだめですよ!」
「ええねんええねん。こいつら見た目赤ん坊でも、中身おっさんやねん」
「えっ⁉えっ⁉」
カオリを睨む赤ん坊にカオリはぺちぺちと頭を叩き続ける。
「昨日、うちが言うとったやろ?うち、見た目10台やけど、中身は30才やでって。同じようにこいつらの中身も30・40のおっさんが入ってるねん」
カオリの言葉に赤ん坊が舌打ちする。
「えぇぇぇ!」
私は信じられない光景を見た。
「で、あんたら朝から何やったとん? え?鍛錬の為に魔力を練ってった?あほなことしな!みんな心配しとるやないか!」
「えっ!カオリさん赤ん坊と会話ができるんですか?」
「できるよ。こいつら頭に直接話しかけてきよる」
「でも、私たちには聞こえませんよ?」
「あーこいつら赤ん坊の振りして女の子に甘えたいから他の人には聞こえんようにしとるねん」
「ブアウ!ブアウ!ブアウ!」
赤ん坊はばらすなと言わんばかりに抗議の声を上げる。
「えぇぇぇぇ!」
そんな時に扉がノックされ、数人の農家のふっくらとしたご婦人たちが案内されてくる。
「乳の出る乳母が必要だと言われてこちらに来たのですが…」
「ブアブバ!!」
赤ん坊が喋るど同時にカオリが思いっ切りその頭を叩く。
「あほ!!あんた何失礼な事言うてんねん!! いい加減にしぃーや!」
その様子に部屋の中の全員が驚く。
「あーもー ファルーはん。こいつらに母乳なんて上等なもんいらへんから。ヤギかなんかの乳があったら人肌に温めて飲ませたって」
「よ、よろしいのですか?」
ファルーは戸惑いながら訪ねる。
「ええねんええねん。それでもぐずりよったら蜂蜜でも混ぜて飲ませたって」
「バブア!!」
ファルーはカオリの言うように乳母たちを下がらせ、温めた乳を準備するため立ち去る。
「あの、カオリさん。赤ん坊達が言っていた失礼な事ってなんですか?」
「えー んー うちの口からはよう言われへんわ」
カオリは困った顔して微笑んだ。
寝落ちしていたらPCの再起動で一話分飛びました…ショック
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