オタク達は弟子?を取るようです
あ…ありのまま
今起こった事を話すですぞ!
おれは少女を助けたと思ったら"無職"を教えて欲しいと言われましたぞ
な…何を言っているのかわからねーと思うが
おれも何を言われてるのかわからなかったですぞ!
鈴木の目の前には涙を浮かべながらどうか弟子にしてくださいと美少女が土下座し懇願していた。
「…私は幼い頃から今まで研鑽を続けてきました。今でこそ"八蝕"と言う絶技を身につけ、仲間達には英雄級と呼ばれていますが、貴方様を見て自分は慢心していたと痛感させられました。貴方様が先程放った"無蝕"は私に深き感動を与えてくれました。どうか私に"無蝕"の手引きをお願い致します!」
((どゆことですぞ山田氏!?))
((わ、分からんでござる。要約すると今まで掛け持ちで八つも職を掛け持ちしてみんなに誉められてたけど、やっぱり疲れてしまった。さっき鈴木氏が堂々と自分は無職だと言い放ってたでござるから、無職に自信を持っている鈴木氏に憧れてしまった。私にニートの心得を教えて下さい!って意味ではないですかな?))
((えぇ!そう言う事ですか山田氏?))
((この少女、余程事情があるのでござろう。さしづめ、先程のは闇の仕事。八つの仕事の中にはアウトローな仕事もあって疲れてしまったのでござるなぁ))
((えぇ!可哀想ですな!おそらく家が借金取りに追われて…とかでしょうか山田氏?))
((で、ござるなぁ…!おそらくスライムに火薬を詰める仕事みたいでしたが、あれは現実世界で言う爆弾とか銃弾とかの製造でござろうなぁ))
((あの悪魔退治して大丈夫かと思ったらやっぱり悪者だったんですな!))
((悪は成敗!がゲームの基本でござる!それより彼女が見てるでござるよ))
((ですな!!))
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「お名前を教えて頂けませんか!師匠」
シズナ・ソラは頭を見上げる。胸に晒しをしているものの豊かさが感じられ、下半身に赤色のスカートをして暖簾には横綱と書かれている
美女の顔は、下からではその胸で見る事が出来ないようだ。
「名前ですか?ええー」
美女の艶々とした表情に困惑が見られた。
「私は鈴木…じゃなかった!私はとある事情で本名は語れないのです。略してスズと言います。女力士と呼ばれていましたな」
「お、女力士ってあ、あの伝説の!?」
シズナ・ソラは驚愕する。1000年に一度誕生すると言われる超戦士の名前を。王国の伝承には世に悪を懲らしめる戦闘の超天才が人の世を救った歴史が伝わっているのだ。師匠はなんてお方なんだ!是非弟子にして頂かなければならない!
「"無蝕"を得るためにはどんな鍛練をしたのですか!」
「是非ご教授をッ!」
涙ながらのシズナソラの熱意はスズと呼ばれる女力士に伝わったようだ。
「はぁ、女の子に涙を流させるようじゃあ、ニート失格ですな」
ぽつり一人言をする女力士。ニート?新たなる人?
「新人?とはなんでしょうか師匠、無知な私にお教え下さい!」
「む、無職を極めた人が呼ばれるんですぞ」
「し、師匠は"無蝕"を極められた新人であると言うことですか!」
「そ、そうですな」
「どうすればそんな頂きに到達出来るのでしょうか!心得を、教えて下さい!」
「「え?」」
師匠と横で見ていた美少女が困惑する。簡単には教えられないと言う意味なのだろうか?
「「働いたら負けだと思って生きてきたん(ですぞ)(でござる)」」
私は雷に打たれた気持ちになった。つまり、自分は山のように不動の心を持ち槍を振るわなければならないと言われたのだ。思えば、"無蝕"を放った師匠は私の"8蝕"のように8つの斬撃ではなく、[何をしたのか見えなかった]その時、師匠はまるでわずかな動揺もなく、落ち着き払っている心境であったように見えた。
(少し師匠は何故か悔しそうな顔を浮かべていたような?)
…その時の師匠の動きはどうだったか?堂々と槍を振るいながら"無蝕"と言い放っていた姿。
……それに比べて私は確かに無駄な剣筋が多い。[働きすぎ]である。
「スズ師匠!弟子にして下さいっ!」
師匠と美少女はひそひそと話合う。
「その前にこちらは山猫氏。私の同志ですぞ、いやです。この山猫氏は世界を救う旅をする仲間です。」
「世界を救う…山猫様も凄い方なんですね!」
「いやー死にたくないからするって言うか?まぁ早くしないと現実世界でテクノブレイク死扱いされるか餓死扱いされるかでござるし」
ぶつぶつと山猫様が一人言を仰られるが良く分からない。
「山猫氏と私は世界の情勢に疎いのです。その情報と交換と言う形で無職のありかたを教えましょう」
「はいっ!」
こうしてシズナ・ソラはオタクの弟子となり無職を学ぶ事になるのである。




