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死闘開始

 アルビネットはいきなりブラックバズーカを放って来た。アージェスが解放された以上、早めに決着をつけるつもりなのだろう。美衣子達はアージェスを美理子に任せ、攻撃にうって出た。


「スターライトイリュージョン!」

「フレィムガン!」

「ラブリー・ダンシング」


 美衣子達の一斉攻撃。

 アルビネットはバリアーを作り、それを防いだ。

 ジース、アヤ、動物トリオが走り出す。

 バリアーが変化し、無数の気の玉になる。

 ジース達を狙い打ちした。


「ジース、アヤさん!」

「ワンメー、カン、リース!」


 目がそっちにいった隙に、ブラックバズーカの餌食になる。


 ドゴオン。


 床に穴が開き、戦士達がうずくまる。

 もう一発来た。

 バラバラに転がる。


「うう……」


 最初(しょっぱな)から、容赦のない攻撃。

 闇を自在に操り、多彩な技を繰り出してくる。

 それを何とかしないと、勝ち目はない。

 綾乃は倒れたまま鞭を掴み、床下を這わせる。

 アルビネットの足元から、鞭が出て来た。

 彼の動きを封じるつもりだ。

 鞭はアルビネットの体にまとわりつく。

 そのまま高く吊り上げ、スネーククラッシュをお見舞いしようとしたのだが、


「甘いわ!」


 アルビネットが力を込め、筋肉が盛り上がる。

 鞭はボロボロとちぎれた。


「綾乃さんの鞭が……」


 ダッ。


 アルビネットが素早い動きで綾乃の元に来て、彼女の首根っこを掴み、持ち上げる。

 電撃が貫いた。


「ああああああっ!」

「綾乃さんっ!」


 仲間達が止めようとしたのを察知したアルビネットが、綾乃をひょいっと投げる。

 彼女は国王の椅子にぶつかった。

 美衣子が駆け寄る。


「綾乃さんっ、しっかりして!」


 気絶をしているようだ。

 額から血が流れているのを見て、美衣子は彼女が椅子にぶつかった時、頭を打ったと理解した。

 動かすのは危険だ。

 美衣子は回復魔法をかけた。

 額の傷は治る。

 あとは目が覚めるのを待つだけ。


「どうして、こんな事ができるの……?」


 美衣子は怒りで声を震わせながらアルビネットを睨む。

 美理子からアージェスを離そうとしていたアルビネットは、その言葉に振り向く。


「どうして、だと?」

「ええ。あなたは無理やり、人を力で動かそうとしている。まるで、何かに怯えているように」

「何!?」


 アルビネットの目が一瞬変わったが、すぐに元に戻る。右腕に気が込められ、美衣子に向かう。


救世主(メシア)、お前には関係無い!」


 美衣子は聖麗剣を取り出す。そしてその気を受け止め、弾く。どことなく、威力が弱い気がした。


(この人、動揺している?)


 パンパンが走って来る。

 美衣子の無事を確かめた。


「みーこ、大丈夫? 怪我はない?」

「うん、大丈夫だよ。パンパン」


 綾乃も意識を取り戻す。

 頭を押さえ、痛みがないので、立ち上がる。


「美衣子、ちゃん……」

「綾乃さん。気がついたのね。良かった!」

「もしかして、あなたがわたしを?」

「うん。頭を打ったみたいだったから、回復魔法をかけたの。でも、あなたの武器が……」


 綾乃は手の中を見た。

 ボロボロの鞭の先が残っている。

 美衣子は泣きそうな顔をしていた。

 綾乃は優しい笑顔を見せる。


「美衣子ちゃん、見ていて。鞭は壊れたわけじゃないの。わたしの血さえあれば、大丈夫なのよ」

「え?」


 綾乃は、床に穴が開いた際の破片を手に取り、自分の指先を軽く傷つける。

 その血を、鞭につけた。

 すると、みるみるうちに鞭が復活していく。

 美衣子も仲間達も、その光景をびっくりした顔で見ていた。


「す、凄い……」

「この鞭は特殊な製法で造られた鞭でね、血の契約をしてあるの」


 血の契約って何の事か分からないが、とにかく持ち主の血があれば復活するらしい。

 再生した鞭を構え、綾乃がアルビネットに言い放つ。


「さあ、アルビネット。戦いを再開致しましょう」


 美理子以外の戦士達も立つ。

 美理子はまだ、アージェスを守っていた。

 アルビネットは余裕を崩さない。


「フッ。ぞろぞろと。いいだろう。まとめて相手をしてやろう」


 銃の形が変わった。今度はマシンガンだ。

 しかも、両手に二つ。


「なっ……!」

「ダブル・デスレイン!」


 撃たれる弾丸の数が物凄く多い。

 国王の間は広いとはいえ、これでは避けるのが精一杯だ。

 近づく事もできず、部屋は煙におおわれる。

 美理子はバリアーでアージェスを包む。

 とはいえ、仲間達も心配だ。


(みーこ、みんな……)


 美衣子は天井高く飛び上がっていた。

 その体勢で魔法を放つ。


「ファイヤー!」


 初期の魔法だが怯ませるにはもってこい。

 狙い通り、アルビネットの弾丸が止まった。

 ジースが斬り込む。


 ザッ。


 浅かったが、傷を負わせた。

 そこに美衣子が空中から降りて来る。

 体を回転させ、アルビネットの顔面に向かって回し蹴りを食らわす。


「ぐわっ」


 さすがの国王アルビネットも吹き飛んだ。

 煙が晴れて来る。

 弾丸に当たって血を流している者もいたが、戦士達に致命傷はない。

 美理子もバリアーを消した。


「やるな。美衣子とやら」


 首をコキコキ鳴らしながらアルビネットが立ち上がる。

 美衣子の蹴りは、大したことなかったようだ。


「あの弾丸の中、よく攻撃したものだ。銃を二つに増やしたのにな」

「それでも、あなたの攻撃は、どこか威力がなかった」


 美衣子は、あの時感じた違和感を拭い切れない。

 アルビネットが、迷っているという事を。


「それは多分、父上の中に生じた、動揺だと思う」

「えっ!?」


 声のした方を見る。

 アージェスが目を覚ましていた。


「アージェス、良かった……。もう、大丈夫なのね!」

「ああ、美理子、心配かけたな。それと、救世主(メシア)、mirikoworldの者達。俺をクリスタルから出してくれて、礼を言う」


 美理子の肩を借りて、アージェスは立った。


「父上……」


 アルビネットの瞳を見つめる。

 国王も、目を合わせてくれたものの、口が悔しそう。

 やはり、動揺している。


「俺は……。俺なりに、調べてみたんだ。何故父上がそんなに力押しで他人(ひと)と接しようとするのかと。闇の国の国王だけじゃない、他に理由があるはずだと」

「アージェス、何が言いたい?」


 アージェスの言葉を遮ろうと、アルビネットが銃を構える。

 その銃に綾乃の鞭が巻き付いた。


「あなたという人は、自分の息子にまで攻撃しようとなさるのですね!」

「こいつにいろいろ喋られると困るのでな。口を封じねばならん」

「それは、何か都合が悪い事でも? 構いませんアージェス、お喋りなさい!」

「綾乃……」

「わたくしの事は構わずに!」


 綾乃は鞭に力を込めた。

 せっかく助けたアージェスを、撃たせるわけにはいかない。


「むむう」


 アルビネットが鞭を振りほどこうとする。

 レナが、聖なる気で綾乃を手助けした。

 光が、アルビネット・サタンを囲む。


「父上、あなたは悲しい人だった。それに、ダーク帝国は……」

「止めろ! アージェス!」


 綾乃とレナは踏ん張った。

 





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