パンパン達の戦いpart2
綾乃が、レナを含む戦士達に狙いを定めた。
「ウェイビーストーム!」
その威力は、前よりは上がっていた。
ドガガガガガッ!
砂煙と小石を巻き込み接近して来る。
「光の演奏!」
パンパン達の奏でる音楽も、最高の力で鳴り響いた。
「カン〜、リース〜〜、ボク達も〜、行くよ〜」
「オーッ!」
動物トリオも動き出す。
「たあっ」
カン&リースが、綾乃の腕に噛みついた。
その隙にワンメーの体当たり。
綾乃が吹き飛ぶ。
が、彼女も負けてはいない。
再びウェイビーストームの炸裂。
大きな穴が地面に開いた。
バチッ、バチッ。
火花が舞う。
睨み合う両者の体から、物凄いオーラが出て、大地を包み込むみたいに膨らんで行く。
神官レナは、その両者の動きを、じっと見つめていた。
物凄い殺気。
普通の人間なら、その場にいただけで、動く事もできないだろう。
ビュン、ビュン。
バチッ、バチッ。
大地を、空を、激しく駆け回る。
互いに相手の隙を見て攻撃するが、動きが素早い為、当たらない。
綾乃もパンパン達も、焦りを感じていた。
(何とか彼らの隙を見て、攻撃を当てなくてはいけませんわ。でも……)
(ここで僕らが負けたら、試験を受けているみーこに申し訳が立たない。だから……)
互いの思いが交錯する。
両者とも、息があがっていた。
だが負ける気は起きない。
熱い血潮は体の中を駆け巡り、燃えるような闘志を呼び覚ます。胸の鼓動は高鳴り、放出した気が周りを包んでいた。
サラサラと風は流れ、光の中に溶け込む。
立ち尽くす正義と悪の影を写し出し、時は流れていった。
静かだ。
両者は疲れたのか、荒い息で互いを見つめたまま動かない。
汗がポタッ、と地に落ちる音が聞こえた。
綾乃の持つ鞭がスルッと伸ばされる。
その瞬間、パンパン達は一分の狂いもなく身構えた。
綾乃はフッと笑った。
「フッ。あなた方もなかなかやりますわね。では、そろそろわたくしの本当の実力をお見せ致しましょう」
「えっ!?」
鞭を握っている手に、気を集中しているのが分かる。そのまま、綾乃は地面を思い切り叩いた。
パァン。
すると、何と言う事、グラグラッという揺れと共に、地面にヒビが入り、割れて行く。
「な、何ッ!」
ドギュッ、バキッ。
地響きの音が凄い。まるでマグニチュード4ぐらいの地震のようだ。
あまりの振動に、思わずパンパン達は手をつく。
さらに驚くべき事にーー、
ビュン。
割れた地面の隙間から、綾乃の鞭が勢いよく飛び出した。
「キャッ!」
その鞭に空に浮かんでいた妖精達が捕まってしまう。
鞭はまるで蛇のようにガッチリと巻きつき、フェアとリィの体を締め付ける。
「アアアアアア……!」
痛さと苦しさで二人は泣き叫んだ。
綾乃の高らかな笑い声が響く。
「フフフフフフ。どうですか、わたくしの実力は。このいくらでも伸び縮みする伸縮自在の鞭を使って、大地を割り、振動を起こし、そして、このようにガッチリ蛇のように絡みついて離さない。これぞ、わたくしの第二の技、スネーククラッシュでございます」
ギリギリギリ。
綾乃が鞭を引っ張った。
その反動で鞭に縛られていた妖精達は地上に激突。
バウン!
彼女達はそのまま動かない。
「あ、ああ……」
パンパンやワンメー達は、ショックを隠せない。
綾乃がこちらに向き直る。
鞭は妖精達の体を離れ、地下を通り抜け、綾乃の所に戻る。
「フフフ。今度はあなた方の番ですわよ」
綾乃の目がギラッと光る。
(みーこ、早く……)
パンパン達の悲痛な心の叫びが、空へ舞っていった。




