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miriko worldの危機

どうも。皆さんお待たせしました。

miriko worldが帰って来ました。

新シリーズです。

美衣子達の活躍が、また始まるよ!

 その戦いが、一体いつから始まったのか、誰も知らない。長い年月を経て、少女は大人に、戦士は普通の人へと戻っていたはずなのにーー。

 新たなる戦いの予感は、聞こえつつあった。

 まだ、あの仲間達が集う前、誰も知らない所で。


 それは、ちょうど四年前の、あの日から始まった。

 人間界からやって来た一人の少女が、聖地mirikoworldにて黒魔族を倒した。

 それから年月が経ち、17才になった彼女は、再び蘇った黒き闇の力を抑える為、仲間達と共に旅立った。

 無事、悪の神ダークキングを倒し、ファイヤーストーンの力によって一つの大地が蘇った。

 そして、別れの時ーー。


「みーこ……」


 光の中で美理子が美衣子に手を差し出す。


「またね」


 結ばれる小指と小指。

 また会うことを願った約束の証。


「うん」


 二人の絆が強くなる。

 女王サイーダ他、仲間達がその二人の手の上に、自分達の手を重ねた。


「それじゃ、元気でな」


 ジースの声。


「うん。それとパンパン」

「何? みーこ」


 呼ばれたパンパンが側に来る。

 美衣子は、彼の耳元にそっと囁いた。


「あのね。あの手紙の返事。もう少し待って欲しいんだ。その、あなたは嫌かもしれないけど、わたしは待っていて欲しい。自分の気持ちが、分かるまで」


 それに対し、パンパンは優しい目で微笑んだ。


「大丈夫。僕は君を忘れないよ。三年も待ったんだから」

「パンパン……」

「また会おう。みーこ。元気で」

「ありがとう。パンパン」


 今度は、涙を見せなかった。

 笑顔で別れよう。

 きっといつか、また会えるまで。

 そして、少女は人間界に帰り、伝説は終わりを告げたはずだったのだが……。



 月明かりが、城の中まで差し込んでいた。

 薄暗い廊下を、ランプを持った兵士が歩いて、見回りをしている。


 カシャッ。カシャッ。


 一つ一つ、各部屋を丁寧に調べる。


「異常ありません」

「分かった」


 行き交う兵士の影が、遠くの部屋の壁に映る。

 廊下の隅の、一番奥の部屋。

 女王サイーダのいる〈女王の間〉だ。

 彼女は窓を開け、夜風に吹かれながら、一人考え事をしていた。

 身に着けている白いドレスが、星の輝きと重なりとても美しい。

 相変わらず、綺麗な横顔だ。

 もう何百年も生きているのに、若さを保つその微笑み。城の兵士達も、こんな美しい女性の側にいられて、嬉しい事だろう。

 その長い髪も変わっていない。

 邪魔にならないように、後ろで束ねてはいるが、美しい金髪だ。


「この国も、すっかり豊かに、平和になったわね」


 遠くに見える街の灯りを見ながら、サイーダが呟く。

 確かに、国は豊かになった。

 あの争いが終わってから、光で聖地は埋め尽くされ、新たな生命が生まれた。

 自然も蘇った。

 平和を築いた戦士達も、今はそれぞれ、別々の生活を始めていた。

 頭にウサギの耳がついた、うさぎ人間の女性、うさちゃん。彼女はリメンバールで、同じ種族の仲間と共に静かに暮らしている。あの特技だった幻想を使って、仲間達に夢を見せるのが、今の彼女の仕事になった。

 三匹の動物トリオ、ワンメー、カン、リース。今は三匹供、光の森でひっそりと暮らしている。

 太鼓のリズムで、妖精達と音楽を奏でるのが得意だったパンパン。彼は、妖精や小人達と共にマホー村に住み、時々音楽会を開いては、村人達を楽しませていた。

 あの素早い動きと優れた剣技で、敵をなぎ倒していったジースとアヤ。二人はあの争いの後結婚して、一人の息子と共にフォエバールの家で、家族水入らずで楽しく暮らしている。

 そして、美衣子の一番の親友の北原美理子。彼女は今や聖地ミリルークに住み、サイーダの側で女官として働いていた。


 フワッ。


 夜風が身にしみる。

 少し寒くなってきた。

 サイーダが窓に手をかけ、閉めようと思った時だった。


 ビシッ。ガチャン。


 何かが落ちたような物音が聞こえた。

 目を凝らし、良く外を見てみる。

 が、何も異常はないようだ。


「気のせいだったのかしら? 一応部屋の中も……」


 窓を開けたまま部屋を調べる。

 それがいけなかった。


 ビシュッ。


 何かが投げつけられる。

 それはサイーダの胸を突き刺し、ドレスが赤く染まる。彼女は朦朧とする意識の中でそれを掴んだ。手紙が巻き付けられた矢だ。

 何とか窓を閉めて、部屋のドアの方へ。

 だが、彼女はそこで力尽きて、意識を失った。



「キャアアアアッ! 女王様あっ!」


 さっきの物音を聞いて駆けつけた女官の悲鳴が、城の中に響き渡る。すぐにドドドドっと、部屋という部屋から、戦士や女官達が集まってきた。

 サイーダはドアの側に倒れている。矢は刺さったままだった。手は胸に添えられている。

 戦士の一人がサイーダをベッドに運び確認する。まだ血が固まっていない。服の上から布を巻き付ける。


「ううっ……」

「女王様!」


 サイーダは薄目を開けて、美理子を呼んでくるようにお願いする。

 すぐに二人の女官が飛び出した。

 他の者達は必死に回復魔法を唱えていた。

 矢はそっと抜かれる。痛みを耐えるサイーダ。

 美理子の到着を、みんなは待ちわびていた。



「どこへ行ってしまわれたのでしょうね。美理子殿は?」

「そうね。でも考えている暇はないわ。今は一刻を争う時なんですもの」


 美理子を探して城内を走る女官二人の会話。

 しかし、肝心の美理子は城の中にはいないみたいだ。


「もしかしたら、外にいらっしゃるのかも……」

「でしたらすぐ外へ参りましょう。早くしないと、女王様のお命が……!」

「そうね」


 二人は外へ向かう。そして、木の下で一休みしている美理子を発見した。美理子は、女王サイーダの側近として、そして魔法使いとしてもっと魔法力を上げる為、一人修行していたのだ。


「美理子殿〜、美理子殿〜!」


 女官がこちらに走ってくる。


「どうしたの? そんなに慌てて?」

「そんな所にいらっしゃる場合ではありませんよ。一大事です。実は、女王様が……!」

「えええっ!? サイーダ様が……!?」


 慌てて立ち上がる美理子。

 自分を迎えに来た女官達と共に、大急ぎで城に急行した。

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