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嘘つき王子

「どういうことだよ…?どういうことなんだよ…?」


サランは自室の隅で震えるベルク王子を見つけた。

どんどん大きくなる叫び声、むせ返るような血の臭いに恐怖する。

次は自分が殺されるかもしれないと。

齢はアロットと同じくらい赤黒い髪の間から覗く灰色の眼からは恐怖があらわれていた。


「…!?誰だ…!?」


「王子、私です。サランでございます。」


「なんだ…サラン。お前だったのか…反乱軍の奴らかと思ったぞ。」


ベルク王子は静かに立ち上がり、ベッドに腰かけた。


「…反乱軍の奴ら…王族である俺たちを馬鹿にしやがって…サラン、いいか!絶対に奴らを逃がすなよ!!」


「…えぇ。…ここでは駄目ってことか。」


「ぐだぐだ言ってないで、さっさと俺を守れよ!!」


きりっと目を細め、ベルクの顔へ手の平を突きだす。


「お断りだね…俺の主はあんたじゃない。目的が、三種の神器が手に入らないのなら、あんたにようはない。」


ぽつりぽつりと、サランはベルクにむかい呟いた。その一言一言から、術があふれ、ベルク王子は催眠状態におちた…




次にベルクが目を覚ましたとき、彼は反乱軍の兵に囲まれていた。


「ベルク・ヴォルガンだな…?」


中央にいたロットが静かにベルクになげかけた。


「…お、俺は…。違う…俺はベルクじゃない。」


保身のためか、ベルクは思わず嘘を口にした。


「ロットさん。どうします?」


「うーん。弱ったな…俺は王子の顔を知らないから、なんともいえない。…分かった。君の言葉を信じる。それに、例え君がベルク・ヴォルガンだとしても、裁かれることはないだろう。国民が恨んでいるのは国王だけなのだから…。」


そういって、ロットはくるりと後ろをむき部屋からでていった。

反乱軍の兵もあわててその後をついていった。




どこにいるんだ…。


俺は城内で幼き日の少女の姿を追っていた。

今現在、彼女がどうなっているのかは、俺には全く分からない。だが、この城のどこかに彼女はいるんだ。


「ロシェさん!ロットさんから報告が入った!王を見つけたって!!」


義勇兵の一人の言葉を聞き、俺は現実へと引き戻された。

彼女のことも心配だが、今は…ロット。

ロットに王を…父を殺させるわけにはいかない。

俺は急いで、王の間へとむかった。





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