任務完了!
毎度おなじみ、私が映画を観る時に来るのはこのショッピングモール。
色々と店が入ってるし、もし映画を観るまでに時間があれば暇も潰せる。
「ぁ、私……色々、店とか行ってみたい……」
「いいぞ、いこうず。とりあえず……ちゃこを預けれる所を探そう」
言いながらも、私は頭の中で宇宙人を映画館に連れ込む作戦を考えていた。
どうする、どうすれば……動物を映画館に連れ込める?
渚が納得できるような理由と状況を作り出さねば……
と、ショッピングモールの入り口に来た時、私はそこに書いてある文字を思わず凝視する。
《ねこたんキャンペーン! 猫連れ込みオッケーよ!》
って、うおおおおい! んなわけないだろ! なんだコレ!
「おお、すごーい、さすが都会……」
いや、関係ないから!
っていうか少し安易すぎないか! 作者!
【注意:すんません】
まあいい。これで堂々と猫を連れ込めるわけだな。
任務も何もあったものでは無いが、任務完了というわけだ。
心なしか、渚のお腹ポッケに潜っている宇宙人も喜んでいそうだ。
「さて、じゃあ映画館行って……とりあえずチケット買うか」
「うんうん、楽しみー」
そのまま私達は映画館へと。
時間を確認し、チケットを……ってー! もう始まってない?! 映画!
「十分前に始まってる! で、でもまだ予告とかやってるはずだし……! 間に合うよ!」
「急ぐぞ!」
速攻でチケットを購入し、ついでにコーラとポップコーンも買って駆け込む私達!
ふぉぉぉ! 映画の前に始まる予告よ! もう少しだけ時間を稼いでくれ!
そんな事を祈りつつ映画館の中へ。
むむ、映画は……おお! 始まったばかりっぽいぞ! むちゃくちゃ暗いから足元に注意せよ!
ふふぅ、間に合った……良かった良かった。
ちょうどお昼時だからか、比較的空いてるな。
さてさて……魅せてもらおうか。
彼が今回はどんなムチャをしているのかを!
※
今回の見所はニュースとかでも色々やっていたな、そういえば。
この映画の主人公の俳優は毎回、とんでもない無茶をスタントマン無しで遂行する。
確か前回は……飛び立つ飛行機にしがみついてたんだっけ……。
別に主人公のムチャっぷりばかりが、この映画の見所ではない。
特に今回の第六弾は、前回と話がかなり繋がっている……らしい。
なので前回のを見ていないとサッパリ……というわけでは無いだろうが、観ておいた方が良いはずだ。
(ふむぅ、今回はバイクシーンあるかな……)
私は前回のバイクシーンが大好きだ。
なんならそこだけ再生して繰り返して見てしまう程にカッコイイ。
ちなみに私が単車の免許を取ったのも……映画の影響だったりする。
(ふむふむ……)
【注意:ネタバレ防止の為、直観的な感想が続きます。気になる人は映画観て!】
おお、マジか!
あいつ、アレだよな! 前回の……ホニャララ……
お? 格闘シーン来た! って、なんか妙に強いのが来た!
このシリーズで最強じゃね?! アイツ!
おおぅ、敵カッコイイな。
でもなんだか……今回のはシリアスが強めだな。
あー、前回のホニャララ……そこに繋げてくるのか。
確かに主人公の職業……辛いよなー……
※
物語の中盤……? らへんだろうか。
展開が早い。まあ洋画は結構展開早いが、今回のは「このシリーズ知ってる人用!」みたいな作りだ。
まあ六作目から見る人なんて居ないと思うが、出来れば前回、欲を言えば四作目から見始めた方が良いかもしれない。特に前作からの繋がりが強い。前回からの続編と言っても過言ではない程だ。
(お、噂のあのシーンか?)
噂のあのシーン……。
ニュースでも取り上げられていた為、ここで喋ってしまっても問題ないとは思うが、もし知らない人が居たらちょっとアレなので伏せておこう! 念のため。
もう何が何やら……という感じなので一言でこの映画の感想を纏めると……
前回、または四作目から見るべし!!
でもめっちゃ面白かった!
コメディっぽい部分も多めで、非常にみやすい。
思わずクスリと笑ってしまう展開から、いきなりハラハラドキドキにぶち込まれる。
まあ、その辺りはシリーズ通してお馴染かもしれないが、噂のあのシーンは必見だ。
もう思わず目を背けてしまう程にハラハラする。
登場人物の一人の「見るな!」というセリフに思わず頬が緩んでしまったのは私だけではない筈だ。
※
さてさて、そんなこんなで映画を観終わった私達。
私には分かる。ちゃこが非常に語りたそうにしているのを。
「どうだった? 面白かった?」
渚はまだ余韻を楽しむかのように黙りこくっていた。
そして私の言葉に、ゆっくりと頷きながら……
「話はよくわからなかったけど面白かった……っていうかあのヒト……もう結構な歳だよね……よくあれだけ走ったりできるよね……」
うむぅ、それな。
私も頑張ってみようかしら……
「頑張るって……何を?」
「いや、最近……脂肪が増えてきたから……走ろうかなーっと……」
「いや、全然そんな風に見えないんだけど……」
まあ背があるしな……。
しかし目に見えない所に確実に付いてるのよ! 脂肪が!
「そんなことより……ちゃこちゃん、なんかさっきから震えてるけど……大丈夫?」
「あぁ、大丈夫大丈夫。ぁ、渚……ちょっとジュース買ってきてー。ちゃこは預かるわ」
「ぁ、はいはい」
そのまま、ちゃこを抱きながらベンチへと座る私。
よく見ると猫を連れている人などそんなに居ない。まあ、猫おっけーよ! とか言われても連れてくる人なんて居ないか。私が今抱いているのは猫ですらないが。
「にゃーん、面白かったにゃ! 流石シリーズ最高傑作と言われているだけあるにゃね」
「うむぅ。結構ビックリしたな。アクション的にもストーリー的にも。今回はアクションよりストーリーに重きを置いたって感じだ。それでもアクション凄かったけど」
「そうにゃね。ちなみにあのシーンは本当に〇〇してるにゃよ」
マジか! すげえ! え? それいいの?!
「良いか悪いかはさておき……スケールがシリーズ通して最大なのはわかったかにゃ?」
「うむぅ。シリーズ通して見てる人は絶対見るべきだな」
ちゃこと語る事数分、渚がジュースを買ってきてくれた。
映画館でコーラを飲んだばかりだが……こうも暑いと喉が渇くぜ!!
「では渚よ。次の任務を遂行するとしようか」
「え? 何それ」
「店巡るんでしょ? 家帰っても暑いだけだし……今日は閉店まで付き合うぜ!」
そんなこんなで渚と一緒に店巡りへと繰り出す私達。
映画の影響で……ちょっと黒っぽい服を買ってしまったのは……秘密だ。
任務完了!