任務開始!
「やっほいー、おひさー」
友人を部屋の中へと向かい入れる私。
ちなみにこの子の名前は藤堂 渚。
テレビゲームをこよなく愛するゲーマーだ。最近ではFPSにハマっているらしい。
「ねね、ねこたんドコ? 見せて見せてー」
「あぁ、うん……えっと……おーい、ちゃこー、おいでー」
「にゃーん」
颯爽と現れる四足歩行する猫。
おお、ちゃんと猫として振舞っている! なんか「にゃーん」が妙に人間っぽかったけど。
「この子? なんかおっきいねーっ、もしかしてメインクーン?」
「えっ、なにそれ」
【注意:メインクーン→大きなネコです。下手すると成犬よりデカイです】
なんて適当な補足説明なんだ。
まあいい、そういう事にしておこう。
「うん、そうそう……可愛いでしょーっ」
「へー、で? 結局猫嫌いって治ってるの?」
「え? いや、まあ……若干は……でも猫カフェは無理だぞ。あんな大勢の猫達に囲まれたら震えが止まらんわ」
「ふーん。っていうか暑くない? エアコン付けてないの?」
いや、古くて利きが悪いんだ……。
ごめんよ! 今度大家さんに新しいの買ってもらうから!
「いや、別にいいんだけど……泊めてもらうんだから贅沢は言えないし! ぁ、そうだ。アイスクリーム買ってきたんだよね。どれがいい?」
テーブルの上に大量のアイスクリームを広げる友人。
ふむ、色々買ってきたな。というかカキ氷食べたばっかりなんだけども。
「じゃあ……バニラ貰おうかな……ちゃこはどれに……」
ってー! しまった!
猫にアイスどれにするか聞いてしまった!
「え? 猫にアイス食べさせちゃダメでしょー。糖分凄いんだから、アイス」
「あ、ぁぁ、冗談冗談……」
その時、ちゃこはテーブルの上に飛び乗り……私のバニラアイスへとアゴ乗せしてくる。
おい、何してんだ。
「あはは、可愛いーっ、凄い懐いてるね。尻尾ももふもふーっ」
「あぁ、うん、なんか好かれちゃって……」
「ん? このチラシ何?」
ぁ、それは先ほど宇宙人と話してた映画のチラシだ。
むむ、なんか興味深々だな。見たいのか?
「あー、っていうかほら、私らの地元、映画館自体無いじゃん。だから……」
「えっ?! まだ無いの?!」
マジか、あのド田舎、まだド田舎なのか。
土地は腐る程あるんだし、大型ショッピングモールでも建造されてるんだとばかり……
そういえば全然帰ってないな……オカンとオトンは元気かしら。
「私のさ、両親とかと会う?」
「ん? 結構会うけど……って、何。もしかしてアンタ……帰って無いの?」
うっ……ハイ。
帰ってナイッス……
「年末くらい帰りなさいよ。まあ便りが無いのは元気な証拠っていうけど……」
「こ、今度伝えといて……元気にやってますって……」
バニラのアイスクリームを開封し、スプーンですくって食べようとする私。
って、ちゃこが凄い興味深々に見つめてくる!
いや、ダメだぞ! 猫がアイス食べちゃ!
「あはは、凄い見つめてるーっ、ちゃこちゃんだっけ? おいでおいで!」
渚は手を広げて、ちゃこをハグしたがっている!
さて、ちゃこはどうする……ってー! ガン無視してる!
いや、猫っぽいけど! 渚すごい悲しそうな顔してる!
「うぅ、私動物に好かれないのかな……ハンターに向いてない……」
超有名某漫画のネタはやめよ。
というか君は何しに?
「あぁ、うん。ゲームのオフ会にね。明日お昼ごろから……」
ふむぅ、オフ会か。
というか暑いな。アイスも既にかなり溶けだしてるし。
「……映画、行く?」
「え? ホント?! 行きたい!」
やべぇ……なんか普通に誘ってしまった。
しかしどうしよう。ちゃこが私の事を凄い見つめてくる。
『僕も行きたいにゃ……』
とか思っているに違いない。
うぅ、そんな目で見るな!
いくら何でも友人と一緒に……あのカンガルーを着て君を連れていくなんて不可能よ!
そう……|不可能な任務《ミッショ〇インポッシブル》よ!
「じゃあ早速いこ! ここ暑いし!」
「悪かったな。えーっと……じゃあとりあえず着替えて……」
と、私は普通に夏仕様カンガルートレーナーへと手を伸ばしてしまう。
「え? それ着てくの?」
げっ!
い、いや……違うのよ! これは……その……
「なにそれ可愛いー! いいないいな、これ何処で売ってたの?!」
「え?! いや、これは……えっと……ネットで……」
「いいないいな、私も欲しいー! どこのサイト? 教えて教えて!」
げげ!
何処のって言われても!
ど、どうしよう、実際は宇宙人が用意した物だし……
と、その時……私のスマホを勝手に弄る宇宙人!
おい、貴様何してる! 猫がスマホを弄るんじゃない!
「にゃーん」
「イタズラはよさぬか! まったくもう、これだから猫様は……」
って、なんか服の通販サイトに繋がってる!
しかもそこには、カンガルートレーナーとソックリの服が。
フードに猫耳も付いてる……。
「え、えっと……ここ……」
「きゃー! ホントだ! 買う! 絶対買う! アドレス送って!」
うむぅ、よかろう。
猫に教えてもらったサイトのアドレスを我が物顔で送る私。
「やっぱりセンスあるねーっ、こんな都会に住んでたら嫌でもそうなるのかな……」
そんな事初めて言われたわ!
ま、まあ……最近大きい服着るの流行ってる? し……まあいか。これ着ていこう。夏仕様だし。
「にゃーん」
すると普通にお腹ポッケに入ってくる宇宙人!
おい、待て! よさんか!
「きゃー! 可愛いーっ! 何それ何それ! いいないいな、いいなー!」
シャメを撮りながら大絶賛する我が友人。
そ、そんなに言うなら……君が着る?
もれなく宇宙人も付いてくるけども……。
「いいの?! 着たい! トレーナーなら多少大きくても平気だよね!」
そうかなぁ……。
ちなみに私の身長は170cm。渚は160あるか無いか。
相当にダボダボになると思うんだが……。
※
そんなこんなで、カンガルーダボダボトレーナーを着る渚。
当然のように、お腹ポッケには宇宙人が収まっている。
「ぐふぅ……我が人生に……一片の悔いなし……」
そこまでか。
君、そこまで猫好きだったのか? 私はむしろ嫌いだと思ってたんだが……
「あ、あんたの手前……好きなんて言えないじゃん……でもごめんよ……私は猫が大好きなのよ。もう猫になって友に遊びたいくらい!」
そんな事言ってたら虎にされるぞ。
まあそれはさておき……映画館に行くか。
「え? ちゃこちゃん……私のポッケに入ったままなんだけども……この子どうするの?」
げ……そういえば……どうしよう。
このまま渚のお腹ポッケに入れたまま映画館に入るわけにも……
いや、しかし……ワンチャン……
「渚、今から見にいく映画はなんだ」
「え? ミッション〇ンポッシブル……」
その通り。
つまり、猫をお腹ポッケに入れて映画を観に行くというミッションを……
「いやいやいや、ダメでしょ。動物連れ込んじゃ」
むぅぅぅ! まともな事言いおって!
至極その通りだ! 映画館に動物連れ込んではいけません!
しかし……宇宙人は既に行く気満々だ。
今更置いていくのも何だか……
「えーっと……この部屋暑いし……熱中症になっちゃうし……預けれる所あるから! たぶん!」
「おおぅ、さすが都会だぜ……そうなんだ……」
【注意:真実は分かりません】
作者頼りない!
まあいい、映画館の中に入ってしまえば……こっちのもんだ!
そのまま私達は前回と同じショッピングモールへと車で向かう。
不可能なミッションを遂行する為に……