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第41話 小さな幸せ

「と、とにかく!ユニバースをどう倒すか、先輩たちとも話してみます。特研はまだユニバースの息はかかってませんから。」

舜多は座り直し、陸に提言した。

「分かった。私も、私にできることをやろう。」

そう陸は言うと、秀飛が帰って来る前に帰宅した。基は念のため陸を保護するために陸を自宅まで送った。燦之嬢も家に帰った。

「…で、お前はいつまでここにいるんだよ。」

舜多は、いつまでも帰らない友祢を見た。

「ふふっ、二人だけだね。」

友祢は舜多を抱きしめた。

「何だよ、気色わりぃ。」

「で、これから舜多は…リベルライザーはどうするの?ユニバースヴィランを倒すの?」

「あ?あぁ。首領を倒して、また学校に通えるならな。ってか、首領は友祢の父親なんだろ?本当に倒していいのか?」

「…僕の人生で一番長く僕に接した人だからね…僕だったら躊躇っちゃうかな。だから、舜多がやってよ。」

「友祢…本当にそれでいいのか?俺は、友祢が悲しむところを見たくないんだ。」

「ありがとう。やっぱり…舜多は優しいね。」

そう言って友祢は舜多から離れた。

「今日も泊まってっていい?」

「え、ま、まぁいいよ。」

「ありがとう。」

友祢は台所へ行った。

「今日も僕が三人分の夕食作るから、舜多は休んでていいよ。」

友祢は冷蔵庫の中を見ながら舜多に言った。

「あ、ありがとう。」

舜多がお礼を言うと、玄関の扉が開く音が聞こえた。

「ただいまー!」

すると秀飛の元気な声が聞こえた。

「おかえりー。」

舜多は玄関に向かった。こんな小さな幸せがずっと続けばいいのに。舜多はそう思った。



 翌日、舜多は再び秋津高校に呼ばれた。特研の二人、生徒会長の晴都、そして秋津高校全職員と公安調査委員会も集まっていた。

「今回話すのは、リベルライザーを排除すべきか否か、そして秋津高校の今後よ。」

桜子は腕を組み言った。

「その前に、言っておきたいことがあります。」

舜多は挙手をして桜子の進行を遮った。

「ハッ!あなた、自分の立場をお分かり?」

桜子は失笑した。

「とにかく聴いてください!ニビルの首領のことで…」

「真木信幸教授が、どうかした?」

桜子は舜多の言葉を遮った。舜多は驚いた。

「まさか、我々がユニバースヴィランについて何も知らないとでも?私がわざわざ真木教授の息子に近づいたのは、何のためだと思ってるのかしら?」

桜子は舜多を見下げた。

「真木信幸って誰だよ。」

想は百瑚に耳打ちした。

「知らないの?よくテレビに出てる…って、あの真木教授が首領!?」

「うるせぇ!!」

百瑚は想に耳打ちをしていたが、あまりの衝撃に声を大きくしてしまい、想は思わず耳を塞いだ。

「だったらどうして今まで野放しにしてたんですか!?ユニバースヴィランは、公安と協力関係だそうじゃないですか。…ま、まさか、公安はニビルと…!」

舜多は桜子に訴えた。

「馬鹿ね。そんな訳無いでしょ。ユニバースヴィランは、肉体が一ミリグラムでもある限り死なないし、ヴィランになれば我々は恐怖で体が動かなくなるわ。そんな化け物を倒すより、ニビル自体を機能できなくするか、目の前の命を守る方が現実的では無くて?」

桜子は舜多に説明した。

「…だったら、俺たちがユニバースヴィランを倒します。それで良いですか?」

舜多は桜子に聴いた。

「馬鹿馬鹿しい。子どもの夢物語には付き合ってられないわ。」

「ユニバースヴィランを倒せば…!!」

舜多は桜子に向かって叫んだ。

「ユニバースヴィランを倒せば、ニビルの機能は失われる。そうすれば、秋津高校での生活も元に戻ります。きっと本日、今年の秋津祭の開催の是非について話し合うつもりだったんでしょうけど、ユニバースヴィランを倒せば、開催できます。例年より遅くなるかも知れませんが。」

舜多が説明をすると、会議室は沈黙に包まれた。

「わ、私も賛成です。」

すると晴都が挙手をした。

「秋津祭は、一年に一度、いや、一生に一度になるかもしれない、秋津生にとって大事な行事です。生徒たちの努力や功績の発表の場を設けることは、我々生徒会も希望しています。」

晴都は冷や汗を垂らしながら提言した。

「…私の考えを言います。」

松竹校長が口を開いた。

「受験生の勉強も加味し、一カ月の猶予を設けます。もしそれまでにニビルを壊滅できなかったら、今年の秋津祭は中止します。そして、秋津高校の授業は、今後安全が完全に確保されるまで、無期限休講します。」

「こ、校長…!」

小中教頭は松竹校長の方を思わず見た。他の教員も困惑した。

「餅搗舜多くん…だったね?」

「は、はい。」

舜多は松竹校長に名前を呼ばれて緊張しながらも返事をした。

「それと特撮ヒーロー研究会の皆さん。今言った通りです。私の言葉が、秋津高校職員会の意思と思ってもらって構いません。我々大人は直接何か出来る訳では無いが、君たちに出来ないことを積極的にしていくつもりです。」

そう言って松竹校長は立ち上がった。

「秋津高校の、この地球の未来を、よろしくお願いします。」

松竹校長は深々と礼をした。

「あ、あの、えっと…が、頑張ります…」

舜多は何と言って良いのか分からなかった。



 燦之嬢は、現影にバスケットボール部の部室に呼び出された。燦之嬢が部室の前に来ると、現影がいた。

「自宅待機の時には、秋津高校には調査官の警備はほぼいない…」

現影が呟いた。

「だから敢えて秋津高校に呼んだって訳か。で、用件は何だ?」

燦之嬢は腕を組んだ。

「…実は、先輩にバスケの練習のことで聴きたいことがあって…」

そう言って現影は、背の高い燦之嬢の胸を触ろうとしたが、燦之嬢は現影の腕を掴んだ。

「嘘が下手だな、サイキックヴィラン。」

「…!!」

現影は驚いた。

「リベルライザーから全部聴いた。」

そして燦之嬢はジョーカーヴィランになり、現影を凍らせた。

「呆気ねぇな。」

燦之嬢が凍った現影を叩き割ろうとしたその時、背筋に寒気が走り、人間の姿に戻ってしまった。

「この寒気…まさか!」

燦之嬢は恐怖で動けなくなった体をようやく動かし、その正体を見た。ユニバースヴィランだった。ユニバースは現影の体を温めた。現影は元に戻ったが、ユニバースの恐怖で未だに動けなかった。ユニバースは燦之嬢の目の前に来た。

「くっ…」

燦之嬢は必死に体を動かそうとするが、恐怖で全く動かない。そしてユニバースは燦之嬢の両脚の関節を逆方向に折った。

「んぐわあぁぁぁー!!」

燦之嬢はあまりの痛さに悶絶した。そしてユニバースの姿は消えた。動けるようになった現影はサイキックヴィランになり、燦之嬢の体に触った。

「またお前を洗脳することになるとはな。秋津高校を破壊しろ。」

そう呟いた現影は姿を消した。燦之嬢は悲鳴を上げるのを止め、浮遊魔法で宙に浮いた。



 会議が終わり、舜多は百瑚と想に陸から聴いたこと、自分がリベルライザーだということを話した。すると想はしばらく何かを考え込んでいた。

「そう…なのね。」

百瑚はため息をついた。

「今、リベルライザーの世間的な評価は五分五分よ。ヒーローだ、っていう評価と、殺人怪人だ、っていう評価にね。」

「だからこそ、俺は俺にしか出来ないことをやります。」

「…分かった。決して、無理しないで。」

「ありがとうございます。」

その時、体育館の方から爆音が聞こえた。

「まさか…ヴィラン!?」

「行きましょう!」

舜多と百瑚、そして想は体育館に向かった。そこでは、燦之嬢が暴れていた。

「燦ちゃん…まさか、洗脳されて…!」

舜多は唖然とした。

「とにかく、被害を抑えるわよ!」

百瑚は舜多に言った。

「は、はい!超変身!」

「照貴先輩…見ていてください!装着!」

舜多はアキツリベルライザーに、百瑚はアキツフューチャーに変身した。想もイプピアーラヴィランになった。

「一気に決める!燦ちゃん、ちょっと我慢してくれ!アキツリバティ!!」

舜多はそう叫ぶと、ライザーダガーを持ち、一気にジョーカーに向かって突き刺そうとした。それはジョーカーの防御魔法をも打ち砕いた。ジョーカーは思わず杖を落とした。

「今だ!!」

ジョーカーの脚を掴んで飛ばさないようにした想は、舜多と百瑚に向かって叫んだ。

「「アキツダブルキック!!」」

舜多と百瑚はジョーカーに蹴りを入れた。ジョーカーの浮遊魔法が解けた。脚を折られたため、燦之嬢は立てなかった。百瑚と想は燦之嬢を取り押さえた。

「洗脳が解けるまで、魔法で拘束する。」

そう言って舜多はジョーカーの杖を拾い、リベルライザージョーカーへと変身した。舜多は凍結魔法で燦之嬢を拘束した。しばらくすると燦之嬢は正気を取り戻した。舜多は凍結魔法を解いた。その頃には、桜子含む調査官たちも来ていた。

「大丈夫?燦ちゃん。」

変身を解除した舜多は、燦之嬢に聴いた。

「あ?あぁ。まぁ、脚を折られちまったけどな。」

燦之嬢は立てないまま、舜多に言った。

「それにしても、一体誰が燦ちゃんの脚を…」

「あぁ、それは…」

舜多の質問に燦之嬢が答えようとしたその時、その場にいる全員に恐怖が襲い、誰も動けなくなった。ユニバースが燦之嬢の背後にいた。ユニバースは燦之嬢の首を持ち、握りつぶそうとした。

「止めて!!お父さん!!」

その声がした時、ユニバースの手が止まった。その声は友祢のものだった。友祢はユニバースの所まで来た。舜多は、何故友祢は動けるのか、分からなかった。

「お父さんの目的は何?燦ちゃんを殺すこと?」

ユニバースは燦之嬢の首を掴んでいた手を開いた。そして友祢の方を向き、人間の姿になった。そこには、真木信幸がいた。

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