第38話 始まりへの邂逅
「マーサナリー共、出て来いや!!」
モジャコヴィランがそう叫ぶと、ニビルの基地のあったところから、マーサナリーヴィランが沢山出て来た。しかし、なぜかマーサナリーたちは凍り、砕けた。
「こっちは俺様に任せろ!!」
ジョーカーヴィランになった燦之嬢が、マーサナリーを倒しながら舜多たちに叫んだ。
「燦ちゃん、ありがとう。」
舜多は再びモジャコの方を向いた。
「姿が変わったところで私に勝てるわけないわ!この膨よかな胸のミサイルはね、無限に出て来るし、出せば出すほど威力が強くなるのよ!」
「だからどうした。」
アキツライザーに変身した基は、瞬く間にモジャコの背後を取った。
「ライザーディフェンドゥ。」
基はモジャコの胸を拳で貫いた。
「これでもうミサイルは撃てないだろ?」
「くっ、アキツライザー…!」
モジャコは基の拳をすぐに抜き取った。
「さすがに幹部クラスとなると、一発では駄目か。」
基はモジャコを貫いた拳に付着した肉片を払った。
「す、すごい、アキツライザー!俺も、負けてられない…!」
舜多はモジャコに向かって走り出した。
「フン!胸だけじゃないわよ、私はぁ!」
モジャコは太ましい脚をアキツリベルライザーに向かって上げた。しかし、舜多は素早く避けた。
「まさか、私の蹴りを避ける者が、あの方の他にいるなど…!」
モジャコが驚愕している隙に、舜多はライザーダガーでモジャコの両アキレス腱を切った。
「ギャー!!」
モジャコは倒れた。しかし、アキレス腱はすぐに戻った。
「まだよ、まだ私には、もう片方の胸が…!」
モジャコは残っているもう片方の胸を触った。すると、胸にライザーダガーが刺さっており、すぐに爆発した。
「今だ、舜多!」
基は舜多の方を向いた。
「はい、基さん!」
舜多は返事をした。二人は倒れたモジャコに向かって走り出し、そのまま蹴りを入れた。
「「ダブルライザーキック!!」」
「ギャー!!」
モジャコは悲鳴を上げた。舜多はライザーダガーを回収した。
「この私が…モジャコが…負けるなど…!あの方に捧げた一生に悔い無し…!ニビル、バンザーイ!!」
モジャコは爆発した。舜多と基は変身を解除した。
「これで俺たちはもう後に戻れなくなった。古くからの幹部を倒したんだ。ニビルはこれから本腰を入れる。」
基は呟いた。
「そんなことは承知です。」
舜多は、基を見ずに呟いた。
「さすが、リベルライザー。」
すると、舜多のところに燦之嬢が来た。
「今の勇姿、ちゃんとツッタカターで拡散しといたぜ。これでお前を悪く言う輩は減るだろうよ。」
「燦ちゃん…どうせなら、加勢してほしかったな。」
「あ、何だと!?せっかくこの俺様がお前の汚名を挽回しようとしたのに!」
「汚名を挽回してどうするんだよ!!」
舜多は燦之嬢につっこんだ。
「あー!!そうだ!」
いきなり基が叫んだ。
「びっくりしたぁ。おいアキツライザー!いきなり何なんだよ!」
燦之嬢は基に言い寄った。
「いや、俺がこの国に帰って来たのは、天海さんを助けるためなんだよ。」
「天海さん?誰だそれ。」
燦之嬢は首を傾げた。
「天海陸教授。このアキツライザーベルトや、ライザーダガーを作った人で、俺の恩人さ。ヴィランの研究をしている。さっき、監視の目を盗んで俺にメールをしてきたんだ。『ニビル幹部のナイトメアに捕まり監禁されている。』って。」
「ナイトメアが…!」
舜多は驚いた。
「ナイトメアヴィランなら、深い悪夢を見ているわ。」
そう言って舜多たちの方に来たのは、桜子だった。
「桜子さん…一体、どういうことですか?」
舜多は桜子に聴いた。
「先程、ナイトメアヴィランこと十六夜永夢と東沢照貴が倒れているのを発見した。東沢照貴は全身打撲、骨折、擦り傷に切り傷等、全治数カ月の重症で、病院に運ばれた。十六夜永夢は自身の能力によって深い眠りについている、と我々は考えており、我々公安が預かっている。」
「まさか照貴先輩、仇を討って…」
舜多は呟いた。
「照貴も馬鹿ね。あんなになってまで、黎の仇なんて…」
桜子はそう言った。
「あぁ!!」
すると、いきなり基が叫んだ。
「今度は何だよ!!」
燦之嬢も基に叫んだ。
「天海さんからメールが来てた…しかもさっき!『窓から巨大なヴィランが見えた』って。」
基は自分のスマートフォンの画面を見て言った。
「まさか、この近くに?」
舜多は辺りを見回した。
「さっきから何よ。」
桜子は基のスマートフォンの画面を覗こうとしたが、基は画面を隠した。
「あ、いや、知り合いと待ち合わせしてて…」
基は愛想笑いをした。
「とにかく、これから我々公安調査委員会は、ニビルの基地の調査、及びタイタンモジャコの破片の回収、調査をするから、部外者はアルヴィンから出てって。」
「ちぇっ、可愛げがねぇな。」
燦之嬢は呟いた。舜多と燦之嬢と基はアルヴィンから出た。
「あの!俺たちにも、天海さんを探すの、手伝わせてもらえませんか?」
舜多は基に言った。
「おい待て。『俺たち』って、俺様も入ってんのか!?」
燦之嬢は舜多の方を向いた。
「とにかく、窓からアルヴィンが見えるところなんてそんなに無い。俺は北と東を探すから、舜多は西、燦之嬢くんは南を探してくれ。見つかったら連絡を。じゃあ。」
そう言い残すと、基はアキツライザーに変身し、光速で移動し姿を消した。
「ったく、なんで俺様まで…」
燦之嬢は面倒臭そうに言った。
「いいじゃん、人助けだよ。ほら。」
舜多は燦之嬢に片手を出した。
「ん?何だよ。」
「ジョーカーの杖だよ?あれでリベルライザージョーカーになって、瞬間移動魔法で探すんだよ。」
「…さっきの黒いリベルライザーの方が速そうだったけどな。」
そう言い残すと、燦之嬢はジョーカーヴィランになり、瞬間移動魔法でどこかへと消えた。
「…ちぇっ。」
舜多は溜め息をつくとアキツリベルライザーへと変身し、音速で走って陸を探しに行った。
「お袋、今月もこれだけ稼いだよ。どうやらこれから上が大きく動くらしい。まぁ、俺の上司が殉職したから、当然だけど。で、俺は前線に立つ特攻隊長だとよ。危険らしいが、まぁ、前よりは給料上がるから良いよな。だからさ、これが終わったら…ずっと側にいられるから。それまで待っててくれよ、お袋。」
「あの…円山さんの息子さんですか?」
「あ、はい、そうです。円山才智です。」
いきなり母の病室に入って来た看護師に、才智は返事をした。
「今月の治療費、あとこれだけ足りてなくて…」
看護師は才智にある紙を見せた。
「あ…!すみません!今から銀行から下ろしてきても良いですか?」
「はい、大丈夫です。」
「ありがとうございます。」
才智は看護師に深く礼をした後、病室を出た。その時、誰かにぶつかった。
「あ、すみません。」
ぶつかった相手は女子高生っぽく、具合が悪そうだった。その女子高生は黙って歩いて行った。
「…感じ悪。病気そうだし。…あ、そっか。ここ、病院だ。でもあの子、どっかで見たような…って、こんなことしてる場合じゃねぇ!」
才智は銀行に向かった。
真佑は、永夢と照貴の戦いの一部始終を見ていた。そして、絶望した。真佑は、照貴が救急車で運ばれたのが、親が院長を勤めている藤沢病院だと分かると、藤沢病院に行った。そして、親の部屋から危険な薬を盗んだ。真佑は照貴が入院している部屋を突き止め、そこに向かった。途中、誰かにぶつかった気がしたが、そんなことを感じている暇は無かった。照貴が入院している部屋に入った真佑は、盗んだ薬を照貴に飲ませようとした。
「やめるんだ、真佑!」
すると、扉から入って来たのは勇佑だった。
「今日は自宅待機のはずだろ?今までどこに行ってたんだ。それに劇薬なんか盗み出して…」
真佑は一瞬、勇佑に気を取られたが、すぐに照貴の口に薬を入れようとした。しかし、勇佑が真佑の腕を掴んで止めさせた。
「ちゃんと俺に説明してくれ。」
勇佑は真佑に訴えた。真佑は泣き崩れた。
「私…永夢くんのいない世界なんて耐えられない…だからこいつも殺して私も死のうと…!」
真佑は嗚咽混じりに言った。
「ごめんなさい…私、もう…どうしたらいいか…分からない…!」
すると勇佑はそっと真佑を抱きしめた。
「ごめんな。俺はずっと、もういない友達のことばかりに囚われてた。これからは、生きている真佑とちゃんと向き合う。だからもう、どこにも行かないでくれ…俺が守るから。」
真佑の嗚咽は、勇佑の決意を固めた。
「天海陸を発見。舜多の家へ来い。」
燦之嬢からの連絡を受けた舜多は、帰宅した。すると、家の前に基と陸がいた。
「お、舜多!」
「あ、基さん!見つかったんですね!」
「ああ。燦之嬢くんが見つけてくれたよ。十六夜永夢がホテルに監禁していた。」
「その、お隣の人が…?」
舜多は基の隣にいる人を見た。白髪のあるおじさんだった。
「君が…餅搗舜多か。」
陸はまじまじと舜多を見た。
「あ、はい。」
舜多は恥ずかしくなった。
「そ、そういえば、燦ちゃんは?」
舜多は基に聴いた。
「あいつなら今、友祢くんを迎えに行ってるよ。」
「え?どうして。」
「私が呼んだんだ。」
陸が言った。すると、ジョーカーヴィランの姿の燦之嬢が友祢を連れて、瞬間移動魔法でやって来た。
「自宅待機なのに、よく来てくれたね。さあ、中へ入ろうか。」
陸はそう言った。舜多は鍵を開けて、皆は舜多の家へ入った。舜多は皆をリビングに招き、お茶を入れた。
「で、なんなんすか、話って。」
燦之嬢は陸に言った。
「私はね、ニビルを作ったんだ。」
舜多、友祢、燦之嬢は驚いた。
「まさか…言うんですか、あのこと。」
基は陸に聴いた。
「ああ。それと、基も知らないこともな。」
「どういうことですか?」
「私は、君の本当の父親なんだよ、舜多。」
陸は舜多の方を見て言った。




