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第37話 覚醒

「どうやらあの薬、モジャコが飲んだみたいだな。」

永夢はアルヴィンに現れたタイタンモジャコを見て呟いた。

「ねぇ、『あの薬』って?」

真佑は永夢の腕に自分の腕を絡ませながら聴いた。

「前にアプカルルが巨大化した時に得たデータから、超人類を巨大化させる薬を作ったんだ。その試作品を使えねぇ部下のマルリカにあげたつもりだったが…」

「やっと見つけた…ナイトメアヴィラン。」

永夢はその声がした方を向いた。照貴が立っていた。

「誰だっけ?お前。てか、あれが見えないのか?」

永夢はタイタンモジャコの方を指差した。

「俺は、貴様を殺すためにアキツフューチャーになった。御代田黎…覚えてるだろ?」

「あぁ…あいつか。あの出来損ないの超人類。」

「何だと…!?」

「あいつはな、テラファイトの弟子、つまり兄弟子だったんだが、ニビルを抜けたいとかほざきやがったんだよ。部活をやりたいとか、大切な友達ができたとか、人間に肩入れしやがってさ。その時俺もストレス溜まってて、とりあえず殺したんだっけ。まぁ、よく覚えてないな。人間も超人類も、殺したい時に殺してきたし。あの時だってそう。スキー教室の時に凛から秋津生の居場所を聴いて、皆を白霧で眠りにつかせて、とりあえず選んだ十六人に、スイッチを押せばオプファーの髄液が脊髄に流れるような仕掛けを施した。まあ即席だから、呆気無く十六人全員殺されたけどな。」

「き、貴様…」

照貴はフューチャーベルトを巻いた。

「装着。」

照貴は赤目のアキツフューチャーへと変身した。

「下がってな。」

永夢が真佑にそう言うと、真佑はどこかへ隠れた。永夢はナイトメアヴィランになると、照貴に白霧を吐いた。

「忘れたか?アキツフューチャーに睡眠や洗脳みたいな精神攻撃は効かないことを。」

照貴は永夢に向かって真っ直ぐ走り、膝蹴りをした。永夢は一瞬よろめいたが、すぐに態勢を直した。

「お前こそ忘れたか、アキツフューチャー。俺は肉弾戦でも負け無しということを。」

永夢は照貴の首にパンチをした。照貴は吹き飛び、地面にめり込んだ。

「そんなに御代田黎が好きなら、お前も御代田黎と同じところへ行かせてやるよ。地獄というところへな!!」

永夢は照貴の方へ歩いて行った。照貴は、今までの人生が頭によぎった。

「これは…走馬灯?俺、死ぬのかな…」

すると、黎が頭によぎった。

「黎…ごめんな、俺…」

アキツフューチャーの仮面は割れており、涙が流れる照貴の左目が見えていた。

「俺、黎を救えなかったこと、俺のせいにしてた…黎がヴィランだったことに気づけたら、俺は受け入れただろうか…?桜子は桜子なりにみんなのために歩き出した。俺は…ただヴィランを殺してばかりいた。考えることを止めなきゃ、黎のことで後悔してしまうから…俺は今更どうしたらいいんだよ、黎…俺、お前がいない世界でちゃんと生きられるのかな…」

『お前なら大丈夫だ、照貴。』

「黎!?」

照貴には、どこからか黎の声が聞こえた気がした。

『俺がいつも見てる。だから、間違えながらでも生きろよ。お前は、人間だから。』

「黎…」

すると、照貴の腹に何かが乗った。ナイトメアの足だった。

「永遠の夢を見させてやるよ。」

永夢が足に力を入れようとしたその時、照貴は永夢の脚を持って起き上がり、永夢の脚に噛み付いた。

「…!!この、人間ごときが!!」

永夢は照貴の頭を何度も蹴った。しかし、照貴は離さなかった。アキツフューチャーの仮面は粉々になり、照貴の血だらけの顔が露わになっていた。

「吐いてみろよ、あの黒い霧を。」

照貴は最後の力を振り絞って声を出した。

「何だと?」

「心の強い奴には効かないんだってなぁ?なら、どっちが本当に強いか、勝負しようぜ?」

「ハッ、愚かな。たった一人が死んだだけで思考停止するような人間と、誰も信じずに一人だけで生きてきた俺、どちらが勝つのかなんて明白だ。する必要もねぇ。」

「負けるのが怖いんだろ?お前、自分の霧にかかったこと無いだろ?永遠の悪夢にうなされるのが怖くて仕方ないんだろ?」

「ふざけるな。まぁいい。お前をいたぶってから吐いてやる。」

永夢は照貴を何度も殴った。照貴の変身は解け、服も破れて体中傷だらけになった。

「無様だな人間。これで決着だ。」

永夢は照貴に向かって黒霧を吐き、自分もその霧を浴びた。永夢は力尽きて人間の姿に戻った。すると、永夢は急に眠くなった。

「な…!なぜだ!くっ…眠く…なって…」

「教えてやるよ。大切な人がいるということは、泣いたり笑ったり怒ったりできること…人の気持ちが分かるということ…それを強さと言わずに何という!!」

「ハッ…人間風情が…」

そう呟くと、永夢は倒れた。永遠の悪夢にうなされることとなった。

「黎…俺は間違ってたのかもしれない。でも、それを知った今、俺はもう大丈夫だ。だから…ずっと見ててくれよ。」

照貴も多くの傷を受けて気絶した。



 アルヴィンにタイタンモジャコが現れたことにより、秋津高校での会議は延期され、桜子率いる公安調査官たちは現場に向かった。アルヴィンでは警察や公安が避難指示をしている。また、アキツライザーも瞬間移動の能力を使って観客を避難させていた。

「掃滅弾用意!!」

桜子の掛け声と共に十発の掃滅弾が用意された。

「発射!!」

桜子がそう叫ぶと、掃滅弾がタイタンモジャコに向かって発射された。しかしタイタンモジャコはビクともしなかった。それどころか桜子たちの方を向き、桜子たちの方へミサイルを放った。

「退避!!」

桜子がそう叫んで調査官たちが車に乗るが、とても間に合わない。その時、アキツライザーが現れた。アキツライザーは蹴りでミサイルの軌道を変え、タイタンモジャコに向かわせた。

「あまり刺激させない方が良い、今はな。」

アキツライザーは調査官たちにそう言うと観客の避難に戻った。

「あれは、アキツライザー…」

桜子はアキツライザーの姿と強さに驚愕した。しかし、被害は大きくなるばかりだった。

「あのヴィラン…時々中心の蕾のようなところが開く。きっとあの中を攻撃すれば良いんだろうが…他の所をどんなに攻撃しても、ビクともしない。」

基は観客を救助しながら、どうタイタンモジャコを倒すか考えていた。



 舜多は満身創痍であった。しかし、夢の中なので実際に身体的な痛みは感じなかった。

「俺…人を助けた気になってたのかもしれない。自己満足でヒーローをやってたのかもしれない。」

舜多は呟いた。

「そうだよ!!お前に生きる価値は無いんだよ!!」

もはや原型すら分からないものが叫んだ。舜多は自分のスマートフォンを見た。もちろん夢の中なので、どこかにつながるわけ無い。すると舜多は、スマートフォンに付いているパンダのキーホルダーが目に入った。

「そういえばこれ、クリスマスに友祢からもらったんだっけ…」

舜多は、友祢があのクリスマスの日、泣きながら舜多に言ったことを思い出した。

『舜多くんは充分凄いよ。誰かを守る為に戦ってさ。だから…死なないでよ…李杏みたいに…』

「そうだ…俺は死ねない。友祢のためにも…!」

舜多は立ち上がった。

「何イッテンダオメー。そんな言葉に囚われて、呪われてんじゃねぇか!!」

舜多の悪夢はそう舜多に叫んだ。

「あぁ。そうかもな。俺はこの体になってから、リベルライザーになった日から、友祢に会った日から、友祢の言葉で、呪われたのかもしれねぇ。でも!そんな程度のことで誰かを救えるなら…俺は誰に嫌われても、どんな言葉に呪われても構わない!例えそれが友祢でも…!!」

舜多はライザーダガーを取り出した。

「これが俺の正義だ…!!」

舜多はライザーダガーの刃を抜くことができた。そして、ライザーダガーに力を込めた。

「超…変身。」

すると、友祢の形をした悪夢が、舜多に向かって来た。舜多はそれをライザーダガーで切った。切られた悪夢は舜多に取り巻いた。すると舜多は、黒い体に黄色い線と黄色い触角の、アキツリベルライザーとなった。その体は、今までのリベルライザーやリベルライザージョーカー、リベルライザーマザーとは大きく違く、色合いはアキツライザーに似ているが、無機質で冷たさを感じる体だった。

「そろそろ夢から覚めなきゃな…」



「クソ…!一体どうすれば…」

基はタイタンモジャコによる周囲への被害を最小限に抑えることに精一杯になっていた。さすがの基も力が尽きてきたころ、アルヴィンの屋根に誰かが乗っていた。

「あ、あれは…!」

基が上を見て呟くと、その誰かはタイタンモジャコの中心の蕾が開いた時、持っていた銃をそこに向けた。

「マザーパニッシャー!!」

銃から光線が出て、タイタンモジャコの蕾の中に直撃した。するとタイタンモジャコの動きが鈍った後、痙攣し始め、爆発した。基も調査官たちも吹き飛ばされた。変身が解除された基は、すぐに起き上がった。さっきまでアルヴィンにいたタイタンモジャコの姿が無かった。

「モジャコヴィランは…?」

基はすぐにアルヴィンに向かうと、そこに元の姿に戻ったモジャコが倒れていた。そして、舜多もいた。

「やっぱりさっきのはリベルライザーのものだったか。」

基は舜多の所へ行った。

「久しぶりだな、舜多。」

「は、基さん!」

「おっと、再会を喜んでる場合じゃないみたいだな。」

基はモジャコの方を見ながら言った。モジャコは立ち上がっていた。

「どいつもこいつも…マルリカめ、あんな変な薬を飲ませやがって…あのハゲー!!」

すると、モジャコは胸のミサイルを撃ち出した。

「「変身!」」

舜多と基はそれぞれリベルライザーとアキツライザーに変身した。

「超変身。」

さらに舜多はライザーダガーを持ち、アキツリベルライザーへ変身した。そしてミサイルをライザーダガーで真っ二つに切った。

「どうやら、使いこなしたみたいだな。」

基は舜多に言った。

「はい!」

舜多は返事をした。

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