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第24話 糸の切れた操り人形

「おい、大丈夫か?」

其の声を聞いて、百瑚は目を開けた。目の前には想が居た。

「想…どうして此処に…?」

「お前が授業を切ったと聞いて、もしかしたらと思ったんだ。で、高速道路でヴィランを見たという情報をツッタカターで見て、此処に来たら案の定お前が居たから、ヴィランに変身して助けた訳だ。大丈夫だ、応急処置はした。だが、骨もやられてる可能性が高いから、病院に行った方がいいぞ。」

「え、あ、ありがとう…」

意外な展開に百瑚は言葉が見つからなかった。腰には包帯が巻かれてあった。

「でも良く出来たわね。私より手当て、うまいんじゃない?」

「ガキの時、よく喧嘩して帰って来た弟の手当てをしてたからな。」

「…そう。」

「兎に角、ヴィランのことはリベルライザーに任せて、早く病院に行った方が良い。俺のバイクに乗れ。」

百瑚は立ち上がろうとしたが、腰が痛くて立てなかった。すると、想が自分の肩に百瑚の腕を回し、百瑚を立ち上がらせた。

「あ、ありがとう。」

「俺に出来るのは、此れくらいしか無いからな。」



「此奴、俺と互角じゃないか?まさかニビルにこんな奴が居たとは…」

公安調査事務所でダークライザーと対峙している基はそう呟いた。

「まるで俺と戦っているみたい…待てよ?此奴、もしかしたら俺の能力をコピーしているだけなんじゃ…?」

確かにダークライザーは、アキツライザーの使う技を其の儘使っている。

「もしそうだとしたら…倒す方法は一つ。今の俺を越えれば良い!!」

基は、さっき迄よりも速い技を、マントを駆使してダークライザーに放った。マントによって次に来る技を読み取れなくしているのだ。ダークライザーはアキツライザーと同じような防ぎ方をしている。基は片脚を上げ、マントで隠した。ダークライザーは蹴りが来ると思ったのか、上半身を大きく反り、避けようとしていた。しかし、基は其の儘上げた足を大きく地面に着き、もう片方の足でダークライザーの両脚を払った。ダークライザーが宙に浮いている刹那、素早いパンチがダークライザーの体を貫通した。

「ライザーディフェンドゥ」

基はそう呟いた後、腕をダークライザーの体から抜き、キックでダークライザーの頭を吹き飛ばして粉々にした。其の瞬間、ダークライザーは爆発した。

「腕を貫通させた時の感触…ダークライザーに変身していた人に、骨髄が無いような気がした…まさか…いや、今は其れよりジョーカーヴィランだ。」

アキツライザーは奥の部屋へと進んでいった。



 県下最大の藤沢病院には、内科や外科、整形外科だけでなく、小児科や産婦人科、耳鼻咽喉科から歯科迄、ありとあらゆる医療機関が集まっている。何処の科に行けば分からない時や重大な病気や怪我を負った時、舜多達が住む街の人々は、先ず此の病院へ行く。

 百瑚と想は、藤沢病院に来ていた。診療を終えた百瑚と想は、一階のエントランスに来た。

「折れてなくて良かったよ、ヒビが入ってるだけで。」

想は百瑚に言った。

「鍛えてますから。」

百瑚は敬礼の様なポーズをした。

「でも暫くは安静にしてろよ。今度痛めたら其れこそ折れる。」

「分かってるわよ…あれ?」

百瑚が入り口の方を見ると、明らかに傷付いた舜多を担いだ友祢が病院に入って来た。

「え、何でミスター秋津の友祢くんが舜多を…?」

そう思った百瑚は友祢の方に歩み寄った。想も百瑚に続いた。

「舜多くん、どうかしたんですか?まさか、ヴィランと戦って…?」

友祢は、百瑚が舜多の正体を知っている人だと悟った。

「あ、はい。爆発に遭って、かなり傷付いたので…あの、何処へ行けばいいんでしょうか?広過ぎて分からなくて…」

「ならエントランスの受付で聴けば分かるわよ。」

「ありがとうございます!」

友祢は百瑚に礼をして受付へ行った。

「外見だけじゃなく、中身もカッコイイじゃない、友祢くん!流石、ミスター秋津に選ばれるだけのことはあるわね!」

百瑚は友祢に見惚れていた。

「ほら、お前は家に帰って安静にしないと。俺がバイクで送ってやるから…」

「バイクに乗れるんですか?」

想が百瑚にそう言うと、舜多が割って入って来た。

「しゅ、舜多!」

友祢は舜多を追いかけて来た。

「お願いです。俺を公安調査事務所に送ってください。」

舜多は想に懇願した。

「そんな傷だらけで、か?」

想は舜多に確認した。

「燦之嬢くんを助けないと…其れに、きっとニビルにとってもマズイ状況だから、沢山の強いヴィランが来ると思うんです。一気に倒すチャンスだと思うんです…!」

「でも舜多くん、そんな体じゃ」

「いいだろう。」

百瑚は舜多を心配したが、想の予想外の返答に驚いた。

「どうせ誰が止めようと行く。お前はそんな奴だ。付いて来い、バイクはあっちにある。」

「あ、ありがとうございます!」

想は、舜多を自分に付いて行かせた。

「ちょ、ちょっと待ってよ!なら私も」

百瑚は想に付いて行こうとした。

「百瑚。バイクに三人は乗れない。」

想は断った。

「そんなの分かってるわよ!!」

「あと、此れは少し借りてくぜ。」

想はフューチャーベルトを百瑚に見せた。

「あ、いつの間に…!」

「舜多!」

友祢は舜多を呼び止めた。舜多は友祢の方を振り向き、微笑んだ後、想に付いて行った。

「想…舜多くん…」

百瑚は自分の家へ帰るしか無かった。

「あ、まっきー!」

友祢は声がした方を向くと、斗織の乗った車椅子を押しながら此方へ走って来る廉が居た。

「来てたんなら、顔を出してくれりゃあ良かったのに。」

斗織は友祢に言った。

「いやぁ、色々あって…」

友祢は頭を掻いた。

「其れより聴いてよ!おいら達、血ぃ取られたんだよ!ヴィランかどうか調べる為だとかなんかで。全く、おいらがあんな野蛮で卑猥なヴィランな訳無いのに。」

「卑猥…?」

斗織は廉の言葉に首を傾げた。

「あぁ。其れ、全校がやってるよ。」

友祢は廉に答えた。

「マジか!」

廉は目と口を丸くした。

「で、結果はどうだったの?」

友祢は廉と斗織に聴いた。

「おいら達がヴィランな訳ねぇだろ!なぁ、斗織。」

「あ、あぁ。」

「特撮じゃねぇんだから、早くあんな怪物、居なくなって欲しいぜ!碌に生きていけやしねぇ!」

廉は声を荒げた。

「廉、此処は病院だ。静かにしろ。」

斗織は廉に注意した。

「ご、ごめん。おいら、ついカッとなっちゃって…」

廉は萎縮した。

「黎さんの仇だから分からなくは無いが、お前が暴れた所で生き返る訳じゃ無ぇだろ。」

「ごめんよ、斗織。斗織だってヴィランに脚を潰されてるのに…」

「分かれば良いんだよ。さぁ、もう直ぐ俺はリハビリの時間だから、面会は此処迄だ。じゃあな。」

斗織は自分部屋へ帰っていった。廉は斗織が見えなくなる迄手をブンブンと大きく振り続けた。

「さ、帰ろ。もう授業終わってるんでしょ?」

友祢は廉に言った。

「…うん。」

廉は俯きながら頷いた。

「そういえば此の病院…」

友祢は呟いた。

「ん?どうしたの、まっきー。」

「いや、そういえば此の病院で産まれたんだよな、って思って。」

「へー!此処でまっきーが産まれたんだ!実はおいらと兄貴も此処で産まれたんだ!」

「そうなんだね!じゃあ昔、何処かで会ってたかもしれないね!」

友祢は廉に言った。廉は嬉しそうな恥ずかしそうな顔をした。



 舜多と想は、公安調査事務所に着くと驚いた。入り口のガラスが割れており、中に居る人全てが倒れて居た。想は、素早く倒れている人達を調べた。

「どうやら全員、眠らされてるみたいだ。ヴィランの能力か?それにしてもこうも誰も居ないとは…。」

「あの、アキツライザーが来てる筈なんですけど…」

舜多は想に言った。

「ならヴィランはもう居ねぇかもな。ジョーカーも…」

「そ、そんな!」

「冗談だよ。兎に角、奥へ行ってみよう。」

そう言うと、想はフューチャーベルトを腰に巻いた。

「装着。」

想は紫色の複眼を持つアキツフューチャーへと変身した。

「あの、どうしてアキツフューチャーに?想先輩はイプピアーラヴィランになれるのに…」

舜多は想に聴いた。

「アキツフューチャーの装甲は、ヴィランの特殊攻撃や精神攻撃を防ぐ。ヴィランになるよりよっぽど良い。」

想は答えた。

「そうなんですか。…でも、先輩迄戦わなくても…俺だけで良いのに…」

「俺は…いや、俺達兄弟はあの日、お前に救われた。お前と共に戦うことが、恩返しだと思ってる。もし足手まといになったら潔く退くよ。」

「先輩…」

其の時、奥で爆発音がした。舜多と想は音がした方へ向かう。すると、其処にはボマーヴィランの姿の凛が居た。

「爆発…早速相性が悪い奴が来たぜ。」

想は呟いた。

「先輩、此処は俺に任せてください。先輩は、ジョーカー…燦之嬢くんを探して来てください。後で必ず追いつきますから。」

「あ、あぁ。頼んだぞ、リベルライザー。」

「させるか!!」

そう叫ぶと、凛は想に向かって爆弾を投げた。しかし、爆弾が想に届く前に、舜多がマザーガンで爆弾を撃って爆発させた。想は其の儘、燦之嬢を探しに行った。凛は舜多の方を向いた。

「凛くん…君はいつ迄そんなことをするんだ…テラファイトはもう居ないんだ!」

「知ってるよ、そんなこと!君がテラファイトを殺したこともね!!」

「違う!あれは、テラファイトが仕組んだ罠なんだ!!」

「…知ってるよ、そんなこと。」

凛は声を弱めた。

「僕が友達としてじゃなく、単に利用されてるってことも…僕は、ジョーカーのように罪滅ぼしをすることも、舜多くんのように人を助けることも出来ない。僕にそんな資格は無い!!僕はもう誰にも操られてないし、誰にも依存してない。だからせめて、僕は僕を信じたい。此の超人類の力で、僕が憧れた人を倒す。そう決めた。」

「其れが…凛くんが本当にやりたいことなのか?」

「…うん。…さよなら、僕の大好きな、餅搗舜多くん。」

 凛はそう呟くと、舜多に目掛けて巨大な爆弾を投げつけた。爆発により、辺り一面が野晒しになった。砂埃が晴れると、其処にはリベルライザーが居た。彼の心臓は大きく脈打っていた。

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