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第16話 殺した罪殺される罰

「これ…先輩の居場所…さっきから動かないし…電話も出ないの…」

保健室に百瑚を連れて来た想は、百瑚からそう言われ、スマートフォンの画面を見せられた。画面には、照貴のスマートフォンの場所が写っていた。

「つまり、俺に此処に行けと?」

想は百瑚のスマートフォンの画面の、照貴の現在地を指差しながら言った。百瑚は頷いた。

「大丈夫…助っ人もさっき…読んだから…」

すると、保健室に『助っ人』が入って来た。想は驚いた。

「あ…貴方は…!!」



「あとはお前だけだ、マルリカ。」

マーサナリーヴィランを全て倒した燦之嬢は、残ったマルリカヴィランの方を向いた。

「流石ジョーカー…でもなぁ、共に放火した仲じゃねぇか。此処は見逃してやってくれねぇか?」

そう言ってマルリカヴィランはねだった。

「俺様はもうあの時とは違うんだよ。」

燦之嬢はマルリカヴィランの地面を凍結させた。マルリカヴィランは動けなくなった。

「相変わらず弱いなぁ、マルリ」

其の瞬間、燦之嬢は意識を失い、その場に倒れた。物陰に隠れていたサイキックヴィランが燦之嬢の背後に忍び寄り、燦之嬢の体を触って洗脳させたからだ。

「相変わらず鈍いなぁ、ジョーカー。」

マルリカヴィランは意地悪そうに、燦之嬢に言い返した。

「おい、いいのかよサイキック。どうせならリベルライザーを倒すように洗脳すれば…」

マルリカヴィランはサイキックヴィランに言い寄った。

「だって、テラファイト様が邪魔するな、って指示したから…」

サイキックヴィランは言った。

「はっ!そうかい。」

マルリカヴィランはアジトの中へ入った。続いてサイキックヴィランも入った。



 舜多にとって両親は、心の拠り所だった。学校で虐められても、舜多には帰る家があった。ただいまと言える場所があった。今こそ無いが、舜多の両親が失踪した時は其の事実が受け入れられずに、両親の幻覚や幻聴を感じていた。幻聴の中の両親はいつも舜多の話を親身に聴いていた。

 そんな父親の餅搗友則が今、画面の向こうで改造手術を受けていた。

「おい、父さんをどうする気だ!父さんは何処にいる?!」

舜多はテラファイトの白衣の襟を掴んだ。

「だから白衣が汚れちゃうだるぉ?!」

テラファイトはリベルライザーの手を振りほどいた。

「安心しろ。此れは録画だ。一年前の、な。」

テラファイトは画面の方を向いた。画面の中には、テラファイトも居た。

「手術シーンはつまらないから、早送りするか。」

そう言ってテラファイトは懐からリモコンを取り出し、映像を早送りした。

『よし、強制装置で超人類になるか確かめろ。』

テラファイトが映像を再び再生すると、画面の中のテラファイトがそう言った。すると、友則に電気が走ったと思うと、ヴィランになった。

「あ、此のヴィランは…!」

舜多は驚嘆した。其処に映っていたヴィランは、一年前、リベルライザーとして初めて倒したヴィラン、メフィストヴィランだった。画面が切り替わり、夜の住宅街に友則が居る。

『おい、此処は家じゃないぞ、ちゃんと餅搗家に帰す約束じゃないのか!?』

画面の中の友則は、此の映像を撮っている人に向かって抗議した。すると、映像を撮っている人は友則の肩を掴んだ。其の手は、ヴィランの手だった。

「此の家の子どもを殺せ。」

映像を撮っているヴィランがそう言うと、友則はメフィストヴィランになり、前にある家へ入っていった。映像を撮っているヴィランは物陰に移動して、物陰からメフィストヴィランを撮っている。

「あ…此処は…」

舜多は再び驚嘆した。其処は正に、メフィストヴィランを倒した場所だからだ。

「此の映像を撮っているのは俺ちゃんの部下のサイキックだ。一度に一人の人間及び超人類を十分間だけ指示通りに洗脳して動かせるのだ。」

テラファイトは自慢げに話した。画面の中のメフィストヴィランは、嘗て舜多を虐めていた子を家から引きづり出した。

『離せ、バケモン!母ちゃんが帰って来る迄、家を守らなくちゃいけないんだ!!』

其の虐めっ子は大声を出した。メフィストヴィランが怖いのか、虐めっ子が狼少年なのかは舜多には分からないが、周りの住宅からは、誰も出て来ない。

「さて此処で復習です。此の後このメフィスト…いや、餅搗友則はどうなるでしょうか?」

テラファイトは舜多に聞いた。

『そこにいるのは誰だ!』

画面の中のメフィストヴィランが叫んだ。向かいの塀の影から出できたのは、リベルライザーだった。

『お前の出る幕では無いわ!!』

洗脳されているメフィストヴィランは、恐怖で失神した虐めっ子を放り投げ、リベルライザーにパンチを喰らわせた。リベルライザーは直ぐに立ち上がり、メフィストヴィランの脚を目掛けて跳び蹴りを放った。メフィストヴィランは転び、そのまま顔から地面に叩きつけられた。

「やめろ…ヤメロ!!」

舜多は叫んだ。

「餅搗舜多…貴様には、此の映像を観る義務がある…此れから親殺しのヒーローとして生きるのだからなぁ…!!」

テラファイトは言った。画面の中で、リベルライザーとメフィストヴィランが戦っている。

『もう直ぐ十分、洗脳切れちゃうかな…』

此の映像を撮っているサイキックヴィランは呟いた。画面の中のリベルライザーはメフィストヴィランの方へ走って行き、メフィストヴィランを足蹴にしてジャンプして、そのままメフィストヴィランに蹴りを入れた。メフィストヴィランは手前に転がってきた。

『お前はまさか…私の…息子…』

メフィストヴィランは爆発直前に洗脳が解けて、確かにそう言った。

「さっきの復習の答え…もう分かるよなぁ?餅搗友則はなぁ、息子に殺されたんだよ!!ダァァーッハッハッハッハッハハハァ!!」

テラファイトはいきなり笑い出した。

「こんなに滑稽なことがあるか!?いや、無い。俺ちゃんはなぁ、ニビルを裏切った友則が嫌いだったんだよ!!だから息子に殺されるという屈辱的な死に方を用意した!!まさか本当に息子に殺されるとは思わなかった!!君は最高だよ、リベルライザー!!いや、餅搗舜多ァ!!君を改造したのは正解だった!!自分で殺しときながら、ずっと父親の帰りを待ってるんだもん、殺したんだから帰って来る訳ねぇだろっつって!!ドゥハハハハァ!!」

テラファイトは狂ったように笑った。

「ハハハハハッ」

舜多も笑っていた。

「笑っちゃうよ、本当に。こんな運命…」

リベルライザーの仮面の中で、舜多は泣いていた。

「父さんを殺したのは俺…父さんを殺したのは俺…」

舜多はテラファイトの方へ歩いた。

「父さんを殺したのは俺父さんを殺したのは俺父さんを殺したのは俺父さんを殺したのは俺父さんを殺したのは俺父さんを殺したのは俺父さんを殺したのは俺」

舜多はそう呟きながら、テラファイトを殴ろうとした。しかし、テラファイトは腰のフューチャーベルトを使ってアキツフューチャーを装着した。アキツフューチャーを装着したテラファイトは素早く避けた。

「父さんを殺した父さんを俺父さんは殺したを俺のは父さんは殺した俺父さんは俺」

「此奴…イカれてやがるぜ。そういうのが見たかったんだよ、俺ちゃんはぁ!」

テラファイトは舜多が繰り出すパンチやキックを全て躱した。

「俺ちゃんは常に餅搗舜多を監視していた。リベルライザーの攻撃パターンは此処に入っている。」

そう言ってテラファイトは自分の頭を指差した。

「だが避けてるだけじゃつまらない…」

そう呟いたテラファイトは懐から大きな銃を取り出した。

「…よなぁ!?」

テラファイトはリベルライザーに向かって撃ち、命中した。舜多は転んだ。

「そろそろ目を醒ましたか?」

テラファイトは舜多に歩み寄った。

「母さんも…」

舜多は呟いた。

「母さんも…改造したのか…?」

「あぁ、餅搗祢愛な。彼奴は、此処にいる。」

舜多は顔を上げた。テラファイトは、持っている銃を指差していた。

「…は?何だそのゴツい拳銃…」

「餅搗祢愛は改造手術に失敗した。だからこうして武器へと有効活用したのさ。まぁ、大事な所は俺ちゃんの毎晩のお供にしてるけどな。此れがさ、締め付け具合が気持ち良くて。友則のお下がりなのは少し残念だが。」

「…お前は最低なヴィランだよ。アキツフューチャーの姿で…そんな下劣なことを話すな。」

「そうか!!貴様も使いたいのか!餅搗祢愛のマン」

其の瞬間、舜多はテラファイトの腹へ一発拳をねじ込ませた。テラファイトは遠くへ吹き飛んだ。

「ん?あまり痛くない…?そうか、アキツフューチャーの鎧のおかげか!素晴らしいっ!!」

テラファイトは直ぐに起き上がり、リベルライザーに向かって走り出した。

「ぅうわあぁー!!」

舜多は向かって来るテラファイトにパンチしようとするが、避けられてしまう。其のまま後ろに回り込んだテラファイトは回し蹴りをして舜多を踏みつけた。

「おいおい、対策をしたらこんなに弱いのか!?リベルライザー、いや餅搗舜多ァ!!」

テラファイトは持っている銃で足蹴にしているリベルライザーを何発も撃った。リベルライザーの仮面が割れて、其処からドラゴンフライヴィランの赤い複眼が覗いていた。

「お前はどうしてこんなことを…父さんは死んだんだから…もういいじゃないか…!」

舜多は力を振り絞って言った。

「親の罪は子が罰を受けなければならない。貴様がヒーローごっこをし始めたのは意外だったよ。しかし、俺ちゃんに倒されるならまだまだだな。あの世で友則と祢愛と仲良く家族ごっこでもしてろ!!」

テラファイトは舜多に銃口を押し付け、今にも撃とうとした。

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