97 別れ、直後に再会。
読者の皆様どうもこんばんは。体調またもや崩しましたが何とか投稿しました……恐らく休めなかった事が影響したかと…
さて、今回或る重要人物が1人退場し、そして直ぐに別の形で登場します。それでは本編をどぞ。
……………(???)……………
ザザッ…《コロセ、コロセ、コロセ……》
耳鳴りがしたと思ったら聞こえて来る不気味な声……またなのかと俺は頭を抱えた。
ずっとこんな調子だな……
黒いシミの広がっている右手を見て、溜め息を一つ吐いた…そしてそれをまたいつもの様に切り落とす。
奇麗な切り口を残して右手が落ちるが、直後に再び右手が生えて来た……同時に広がり始める黒いシミ。
耳鳴りは一旦止んだが、右手が黒色に染まった時にまた同様の現象が起きるのだろう。
こんな調子ではいつか………
幾つか選択肢が有るが、まだ決断するには時期早々だろう…まだそもそも諦める気にもなれないからな。
やっと逢えて、やっと触れられた。
手放したくないし、出来ればこのままずっと一緒に…伴侶としてずっと一緒に居て欲しい。
それに奴の事は認めているが、気に喰わない。
俺の過去を見ている様な気分にさせられるので、正直苛々する…なのに何故か主人公補正的な力が働いているっぽく力を着けて来ているし。
けど、もうそろそろ認めないと駄目か……俺では幸せに出来ないと。
恐らく前の世界だったら俺も彼女を幸せに出来ていただろう…死なずに彼女と結ばれていたならばきっと。
けどそれはもう終わった話し。
彼女の前世の名前を極力名乗らない様にしている。そこからして俺は最初から諦めるべきだった。
けど、未だに未練がましく俺は諦められずに居る。
正直今だって全て破壊して彼女だけ連れ去りたいと思っている程だ……自分がサブカルチャーで言う所の『ヤンデレ』だと言う事は既に自覚している。
そして奴も本来なら同類…恐らく生粋の王族らしくどでかい猫を無意識の内に飼いならしているのだろう。
実際、時折黒くねっとりした視線を彼女へ送っている……もっともその事に彼女も本人も気付いていないが。
気付いているのは俺とゴン、いや、蓮以外居ないだろう。
確かに俺は『ヤンデレ』だが、シャドウ程では無いし彼女の幸せが第一だ。
手段は幾つか有るが、確実に俺の命、いや、俺自身でもってそれを成し遂げるのが1番効率的だろう。
それに俺は実際、もう長くはない……過去の所行で掛けられた呪いに殺されるのが目に見えている。
日に日に身体が弱って行くのが分かる。
そもそも全盛期の俺だったならば幾ら力を持っていようと人間相手に遅れをとるはずがない………それ程俺自信が弱体化しているからだ。
だからこそ彼女と模擬戦をすれば俺は負ける。
そして呪いは封印が解かれてから進行速度が速い……これ程だとは思わなかった。
今では過去の自分に感謝している…彼女に掛けた契約が不完全であるから。
再び彼女を悲しませる事になる事は心苦しいが、それでも彼女の為なら別に俺の命等どうでもいい。それこそ塵程の価値も無いと思っている。
それで彼女を守れる力が出来るならば。
そして俺を踏み台にしてでも奴には彼女の盾になってもらわないとな……生半可な覚悟だったら逆に俺の執念に捕われるぞ。
そっと傍らで眠る愛しい女の銀糸を撫でると、俺は立ち上がった……そして静にドアを閉めて、その場から離れた。
さて、奴の今居る場所へ向かいますかね。
ルーナ………元気でやれよ。
……………(ルーナ)……………
突如身体から、そして魂から何か大事なものが抜けて行く感じがした。
慌てて服を脱いで身体に描かれた従魔契約の術式を見る……そして探す。
無い……彼の術式が無い…
前々から気付いていた………彼が呪われていると言う事に。そして、それが原因で私よりも寿命が短くなっている事にも。
後、領内にある暗黒物質を取り込んで居た事も……
体内で恐らく浄化していたのだろう…或るいな浄化しているつもりだったか。
呪いの余波で暗黒物質が破壊される事は知っていた。けど、余りにもその試みは無謀だった。
彼の身体は段々と衰弱して来ていた。
そして気配で分かっていた…段々とシャドウに取り込まれつつ有った事に。抗う力ももう、とうの昔に残っていなかった事に。
シャドウの干渉をはね除けていたのは彼の執念だった。
だけどきっともう、限界に来ていたのだろう……だからこうして姿を消した。
最期、恐らく*****に自身を討たせたのだろうか。
彼の温もりを感じる事が出来なくなり、私は動揺した…そして、前世彼を失った時と同様、酷く自分の心がまた砕け散るのを感じた。
何で…何でなの一体……
何故私の大事にしている者はこうしていつも私の前から姿を消すの?
クリス……
理由や理屈は分かっていても、心では割り切れない……喪失感が私を苛む。
彼の痕跡を探す様に、私は身体の術式痕を探す。
すると、そこに別の術式が突如として現れた。
そして私は自分の立てた仮説を思い出す……こんな事で証明したくなんて無かったけど、やっぱりそうだったのかと。
その術式は青と緑と銀で主に描かれていた……黒と紅で龍を司る術式が描かれているのはきっと彼の中で生きている事の証。
“クリスがジルヴァの魂の破片”
その事が証明された……私はこんな形で証明なんてしたくはなかったのに。
2人にはちゃんとそれぞれ生きて欲しかったのに……
術式を撫でていると、扉が開いた。
「ルーナ……」
「ジルヴァ…?!」
見ると、色彩の…いや、それだけでは無い。姿形が変わった王子がそこにいた。
灰色に近い銀髪は完全な漆黒となり、濡羽色の艶やかな長髪となっていた。
目は暗い緑と青色だったのが、紫と金色となっていた。
だがそれは些細な事……本当に変わったのは顔の形と肉体。
体格が殆ど今世のクリスと同じ位となり、更に甘いマスクは少し残っているものの切れ長の目元に引き締まった表情と、ストイックな顔つきとなった。
「……『魂欠陥』の人々が相手を取り込んだ時、相手は自分の中で生きていると言っていたが、その意味がよく分かった。
確かに『私』はジルヴァだが、同時に『俺』はクリスでもある。
今は完全に混じっていないから色彩や姿形が変わっているが、魔力等が安定したら肉体は恐らく『俺』の、色彩は『私』のになるだろう。
だから、契約はそのままにして欲しい…お前の将来の、本当の意味合いでの“伴侶候補”で居させてくれ。」
私は彼の言った意味合いを反芻して理解するやいなや、彼へ抱付いた。
彼はしっかりと私を受け止め、目を細めながら私を撫でてくれた……大きな、クリスの手で。
先程まで感じていた孤独感や喪失感は無くなっていた。そして、私の願っていた事がある意味見当違いだった事も知った。
「それにしても奇妙な気分になる……私が俺へ嫉妬したり、俺が私へ同族嫌悪を感じたりとな。
自分自身を自分で憎んだり妬いたり、私や俺の感情は相変わらず複雑だ。
だが、今だから分かるがそれも自分なのだろう。
何故か1つになる事を拒んでいたのにいつの間にか最初から1つだったかの様な気分になる。」
複雑な表情をしながら彼は語った。
……………(???)……………
これは体感的には数日前、実際には数時間前の出来事。
「ヴィンセント……」
「ジャンクリ、か………」
何故かこうなる事が以前から分かっていた……こんな風に敵として互いに対峙する運命の様なものを感じていた。
「言葉にしなくても分かっているだろうが、敢えて言わせてもらう。
これは『決闘』だ。
何方が生き残っても恨みっこ無しだ……例えその相手がルーナと将来結ばれたとしてもな。
だが取り込まれるのが何方かは、この段階では分からんが。」
「ああそうだな……望む所だ。」
私は自分の得物を構える……相手も自身の得物を構えた。
そして、決闘が始まった。
話しが性急過ぎると思われそうですが、所々クリスに関するフラグは立てていたのです……体調悪そうにしていたり、何か悪いものを食べた描写があったりと。
ただ分かりにくかったら申し訳ないです、私の力不足と言う事ですので。
さて、そんな分けで龍は退場しましたが王子の一部となって再登場しました。元から1つだったものが元に戻ったので、恐らく最初は違和感あるかもですがその内記憶込みで完全に融合します。
その結果きっと喋り方や一人称の変化も考えられます。
ただ、彼らにはもう1人融合する相手がいるわけで……変化はこれだけでは終わらないです。
次回は戦闘シーンを描きたいなと思っています……苦手ですが、頑張ります。
どうぞ宜しくお願い致します。




