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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
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95 変動

 読者の皆様どうもこんばんは。


 さて、今回からやっと少し本格的な動きが出てきます。それでは本編をどぞ。



……………(narrator)……………



 ここ数日で、とても大きな動きがあった………それこそ地形を一気に変える様な、人々を恐慌状態に陥らせる様な。



 そして、時代のうねりを感じさせる様な……




 ある種の災害とでも言えばいいのだろうか…それ程までに被害が甚大でいながらとても静かに事は起こった。


 戦争などはしていないし、経済制裁も無い。



 それはただ、圧倒的な力。


 その前では一個人など簡単に流されてしまう程の出来事。



 ……過酷かつ急激な変動。



 それは周囲へ様々な影響をよくも悪くも与えた。


 変化へ対応出来た者、出来ないものとでは大きな格差が生じた…それが原因で更なる争いが各地で生じる。


 復興作業が遅れ民達の不満が募り、人々の煽りやデマによって人々の溜めていたストレスと極限までの緊張状態が限界に達する。


 そして一斉に爆発した。


 どれ程よき統治者であったとしても民は自分の生活が最優先であり、特に冷静さを欠いている時であるからこそ甘言や幻想に騙された。



“誇りや愛より明日の飯”



 被害地域への支援が遅れた場所、また物資を受け取り配る役人が色々と荒れていた場所では特に民衆は生きる為に反抗した。


 それが果たして最善だったかどうかは誰も知らない……ただ、その時だけは一瞬だけ腹を満たす事が出来たが、その後続いたかどうかは誰も知らないとだけここに記しておこう。


 何せ、誰も元の生活には戻らなかったのだから。



 後にこれが切っ掛けとなり原因で紛争地域等が生まれるのだが、それはまた別の御話。



………………………………………



 ある日、某王国が一夜にして消え去った。



 それは余りに唐突な出来事……


 その国が勢いの有る強大な国だっただけに、周囲の国々に住む民達は困惑と恐怖に陥った。



 一体何があったのか謎に包まれているが、1つだけ確かな事がある。


 それは………



「ルナライト社と勢力争いをしていた国、か……」



「消し去ったのはルナライト社ではないだろうけどな…あの会社ってそんな方法使わないし、寧ろ正々堂々流通の方向から相手の心を折って来るしね。」



 そして何一つ残らず荒野となったその土地には、強大な魔術式の痕が残されていた………その事は後に、とある王国に属する某公爵家専属の魔導師団の調査団が見付ける。


 つまりこの時点では誰も知らなかった……


 各国家にそれと似た様な陣が張られており、何時起動しても可笑しくない不味い状態になっている事等。


 そして一部の国では魔術式発動のトリガーを誰かが意図的に外していた事等……



 もう既に決着は着いていたのだった。



「そうだよ、脅してみても仕方が無い……


 何せ、もう既に銀の陣営と透明の陣営が各箇所で本格的に動いている、闇がどうしようともう既に彼らの陣営に大規模な被害を出す事は不可能だ。


 だが……」



 だが、闇の陣営はそれだけでは終わらない……これは確かな事だ。



 次の一手へ銀と透明の陣営はどの様に対応するのか、確と見届けさせてもらう。



………………………………………



 結局ヤツの定めた魔術式発動の日に消え去ったのはたった一国だけだであった。



 だが、ヤツは別の術式を描いていた。


 弱みを握った相手、仕事で借りを作った相手に所々魔力結晶を配置させて行き、上書きする形で“保険”としての術式を描いた。


 内容は、ヤツに掛かった制限の限定解除。



 誤算はあったのだろうが、その術式は見事成功する……その事によってシャドウは行動範囲を広げた。


 ……唯一『フォーレンタール王国』を除いて。



 事前に国王がとある地域を再開発すると言う理由で大規模な解体工事を行い、その事によって魔術式の円陣が1つ壊れていたのだった。


 加えて、フォーレンタール王国ラウツェンスタイン領では更なる妙な結界が張られていたため逆に行動範囲が制限されてしまったのだった。


 ヤツの悔し気な表情を思い浮かべ、私は笑みを浮かべた。



“ざまぁ”



 銀色の陣営に生じた透明な陣営が、更に内部に浸食していた闇の陣営を追い詰めて行く。


 闇の陣営の一部は捕まる……だが直後に透明の中に巣食う闇がそれを逃がした。



 そこから小石の如く広がる波紋。



 それがどんな影響を与えるのかはまだ知らないが、もう直ぐ決着がつく事だけは予想された。


 だから、私はそれを見届けよう。



 どんな結果になろうが結果が全てだ……不満に思っても私は介入等しない。


 ただ、そう悪くならないことは何となくだが予想出来る。



……………(ルーナパパ)……………



 我が領内で次々と問題が起こっている。


 その対応に追われていると、嫌な情報が鴉を通じて入って来た…我が国と勢力争いをしていた国の1つが倒れたと。



 聖国とにらみ合っていたあの国が……



 一夜にして文字通り消滅したそうだ…まるで最初から無い事こそが当たり前だったかの如く、跡形も無く消え去った様だ。


 そして、これで教会の抑えが無くなった。


 権力と富を独占しようと欲張り差別と略奪を肯定する醜き信仰を広めるあの宗教国が力を持てば、かなり不味い事になる。



 特に多神教とも言える『精霊』を祀る我が国では……



 だがそれは皇国も同じ事。現在元王妃の事で蟠りはあるが、手を組まざるを得ないだろう。


 きっと国王は胃に穴があきそうだろうな……今度良い胃薬を送るか。



 さて、我が領でも既に影響は少なからず出ている。



 まず避難民の受け入れ体勢を整える事だが……警備を最優先だな。


 これはもう仕様がない。何せ、ここを『影』の連中が狙っている事は明らかなのだから。


 それにルーナの残した調査結果が気になる……



 『新月』もそうだったが、生物の“負の魂”を集め1つにしてから利用する…所謂“蠱毒”の様なものだと報告書には書かれていた。



 もしかすると、大規模な術式をこの大陸全土に渡って描かれているのかも知れない。



 だとするとあの国に居た生物は贄……いや、原料となったのだろうか?それ程大きな術式を発動すると言う事か!


 だがそれでは娘も巻き込む…それに関してどうする気なのか。



 娘には屈強な護衛を1人着けている…彼が遅れをとる事などまずないはず。



 だからルーナを攫ってから術式発動は出来ない。故にその方法はあり得ない。


 そこで考えられるのは、我が領に描かれていた古代文字を利用した術式か………古代文字は失われた技術だ、これは間違いなく太古から存在する“シャドウ”か“黒龍”以外は出来ない事だ。



 娘の下僕がするはずが無いので、シャドウの配下が行ったと考えるのが妥当。


 と言うか、調査結果でもう既にシャドウが下手人だと分かっているのだ……上手い具合に前の“実行犯”が吐いてくれたのでね。



 まあ何にせよ、警戒態勢は保持。難民の受け入れも今回は控えめにしておく事。



 それらを私は自分の配下へと通達した。



 さて、私は私に出来る事をするだけだ………他の者達もそれは同様だ。


 私に出来る事は民の混乱を無くす事。


 即ち情報開示と事情説明だろう………既に行っている事だが民達が暴動を起こさない様にしたければ正しい情報を逐一相手が分かる様に説明する事だ。



“相手を納得させる事”



 それが出来ないから反乱など起こる……とかつて娘がぼやいていた。


 ルーナが倒れている今、愚息2人を扱き使っている……まだまだ青いがこの2人も成長したものだ。


 少なくとも私が同年代だった頃より優秀になった……



 恐らく片方がこの国の国王、片方がこの領地をそれぞれ継ぐ。



 今、まだここに早熟で博識な娘がいる内に2人は揉まれると良いと思う………恐らく今回の件も良い機会となるだろう。


 是非頑張ってもらいたいものだ。



 さてと、準備が整ったと言われたので私も行こう……放送室へ。



 領民に説明、頑張らないとな……




 避難民の受け入れは、現在恐らく各国が悩んでいる事でしょう……勿論リアルであっても物語であっても。


 文化も習慣も言語も違う、その上で荒んだ精神状態の人々を受け入れる。中々に大変な作業だと思います。確かに人道的には受け入れる事自体大事ですけどね…


 元から住んでいる住民に何かしら被害が来る様な自体だけは避けたいものです。


 その辺りは賛否両論あると思われます……実際私自身受け入れるか入れないか問われればはっきりと答える事が出来ないので、まあ避難民の方々を気の毒にはいつも思いますけど。


 さて、大陸の勢力図がいよいよ狂ってしまったので劇中に出て来るフォーレンタール王国も色々荒れます……多分、まあ他の国よりは遥かにマシですけど。何せ物資と経済が発展しているので(=ルナライト社マジ万能!)


 それでは次回も宜しく御願い致します。


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