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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
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93 変熊と苦労狐も頑張る………多分。

 読者の皆様更新が遅れて申し訳御座いませんでした(_ _;)


 先週私は風邪を引いて寝込んでしまい、とても続きを打てる状況ではなかったので少し休みました。何とか回復しましたが、まだまだ病み上がりでキツいです。皆さんも是非気をつけて下さい……私みたいにならない様にw


 さて、今回は変態ならぬ変熊と後頭部が最近怪しくなりつつあるとある不憫狐の話しです。それでは本編をどぞ。




……………(シグ・ルナティウス)……………



 別に御嬢の事を心配等していない……そう、あくまで一従魔として心配しているだけだ。


 そうだ、そのはずだ……



「なら何でここにずっと居るんだよ……」



 病棟で自分の体格を理解していながら御嬢の病室の前を俺は陣取っている……何故か糞狐が一緒に居るが。


 こいつは最近性格の変わった変な奴だ。



 悪戯大好きで構って野郎のうざったい奴だったが、最近それもなりをひそめ腹黒兎に代わって自重しない俺達の押さえ役を買って出る様になった。


 そのせいで最近体重が減ったと嘆いていたが、どうでもいい。


 自覚があっても反省も後悔も無い(キリッ



 それにしてもだ……



「……貴様こそ何故そこに居る?御嬢の指示だと西門にウィルと張っているはずだろう?」



 そう、コイツこそ本来ここに居るべきではないのだ……俺もまあ他人の事は言えないが。


 けど、糞狐はここではなく西門でウィルと共に作業をしているはずなのだ……そう御嬢から指示があったはず。


 だからここに居るのは可笑しいと指摘してやった。



 すると、奴は以前よく見せていた胡散臭い目を細めた様な笑みを浮かべた……大概酷い悪戯か仕返しをする場合に浮かべるヤバい笑みだ。


 これは不味い…マジ切れしたな。



 そして案の定、ブーメランが返って来た。



「それは此方の台詞だ馬鹿野郎……


 お前こそ、南門でクロードと罠張っていたのでは? 


 シグ、手前がさぼっているから此方に色々仕事が廻って来ているんだよ…それといい加減ルーナは休んでいるんだからここから離れろ。


 そんなんだと休めないだろ?


 大体お前は……?!」



 ………御嬢を呼び捨てにしている事へ更に腹が立ち、思わず獣化する寸前となった。


 新調したばかりの白スーツからミシミシと音がした。



 け、決してゴンの長い説教をさっさと終わらせたかった訳ではない……ああ、断じてそれは違う。


 べ、別に御嬢と親し気だった事に苛立っている訳でも無いんだからな!


 …勘違いしない様に。



 そうだ。


 飽くまで御嬢に馴れ馴れしかった事が腹立たしいだけだ………そのはずだ。



「チッ………世話やけるな、ッたく。」



 舌打ちをし、糞狐は呆れた表情を浮かべた。


 同時に俺より濃い濃度の魔力を放出して術式をみるみる内に宙へ描いて行く………その余裕そうな顔も気に喰わない。



 コイツは何故突然御嬢と並んだ?



 ぽっと出の癖に、俺達と同じでただの平の従魔の癖に………何故特別扱いされている?


 あの駄龍は仕様がない…次元の違う生き物だから。



 だが、狐は俺達と同じだった…



 俺は御嬢が別に好きだとか気になるとかそういうのはどうでもいい……だが御嬢が他人へ意識を向けるのが我慢ならない。


 何故か心の奥底でどす黒い渦が生まれる。



 そして彼女を見る度に、あの細くしなやかな幼い身体へ俺自身を打ち付けたくなる。



 いつも思うのは、あれ以上成長しないで欲しいが同時に健康的に子が成せる程へ成長して欲しいという複雑な感情。


 これはきっと愛情とかではない……



 更に何故か時々御嬢を見ていて唐突に黒髪の別の少女を思い出す……懐かしいく愛おしい様な、悔しい様な、不思議な映像だ。


 そして少女が笑顔になる度に、俺の中の雄が暴走しそうになった事など。


 少女を押し倒して全てを奪ってしまう事を妄想しては、自分を慰めていた下卑たニンゲンの雄の記憶?映像?が頭の中で再生させる。



 そして、一瞬で暗くなった記憶も。



 黒い死ニ神の鎌を持った何者かが現れると唐突に意識が真っ黒に塗られるのだ……まるで、そこで途切れているかの様に。


 そしてピエロの不気味な笑みが映像の最期となっている。



 三日月の如く弧を描く細い目と薄い唇……ピエロの化粧は、その赤の部分だけがやけに鮮やかで、まるで鉄の錆びた様な臭がした気がする。



 現実に戻される度に頭痛が激しくなり、同時に何故か御嬢を大分前から知っている様な気持ちになる。


 まるで、俺の方がずっと年上の様な気分となるのだ。



「こら〜!!!何時までそこに居るんですか!さっさと持ち場に戻って、ほら!!」



 ぼんやり考えていたら、唐突に怒鳴り声が聞こえた……ああ、ジョセフィーヌか。


 御嬢の信望者であり、ルナライト社の社員をしつつラウツェンスタイン公爵家で使用人まで勤めている……ある意味努力と根性で生きているニンゲンだ。



 ………寄越したのはリヒター辺りか。



 舌打ちをして、ゴンが捕まって言い訳をしている内に俺はさっさと逃げた……三十六計逃げるに如かずだ。



……………(苦労狐w)……………



 ……何か俺だけ理不尽じゃね?!



「……大体病院内で喧嘩など、患者さんに何か有ったらどうするんですか!お嬢様が責任者なんですからちゃんとそこの所考えて下さいまし!!


 それに……」



 説教は続くよ何処までも……トホホ。



 般若の様な山姥の様な形相で、ルーナの使用人(親衛隊員)がエンドレスに怒鳴っていた。


 特にこのジョセフィーヌ嬢はルーナを崇拝しているのでかなり質が悪い……きっとこの説教、誰かが止めないと3時間は続くんだろうな…只でさえ時間無いのにね。


 つか、誰も俺と目を合わせない件……誰かマジで止めてよ、この人。


 確かにここは病院だから仕方が無いよ、注意受けるのはさ。


 それでも解せない……俺が騒いでいた訳ではなかったのに…俺むしろ注意していたよね?持ち場に戻って仕事してってただ言いに来ていただけだったはずだよね?!



 見かねたイッシー25の顔見知りが止めてくれるまで暫く長々とした説教は続くのだった……



………………………………



 久々長時間正座を続けたせいでまだジンジンする足を摩りつつ、俺は先程熊野郎と喋った時に感じた変な違和感を吟味していた。


 それは、以前は無かったもの……


 そして俺に関しても、ルーナとの遠征前と比べて性格や言動が大きく変貌したとの事を知り合いから散々言われていた……相手からしてみれば勿論いい意味合いだったらしいが…


 以前の俺って…まあいい。


 いまそれは片隅に置いておくとしてだ…ルーナの周辺に居る同僚達全員がどこか以前と違う雰囲気を纏う様になった。


 それは何処か狡猾だったり、変に几帳面で神経質だったり……そして何より、以前より黒くなった。


 何がって?……思想的なものが。


 前も大分容赦の無い質をしていたが、それは相手をせいぜいどうやって殲滅させるかと言う方向に特化していた…それこそ人間ではなく獣らしく、相手をあっさり殺る方法だ。


 だが、今は如何にして相手を苦しめてから殲滅するかというある種“人間”らしい事を考える。


 理性無き獣からしたらその全てが無駄。如何に低燃費で相手を仕留められるか、無駄な熱量を使わずに相手を狩る事が出来るか……それが自然界で生きて行く上では求められている。


 相手を痛めつけて苦しめる手段を使うのは基本的に二度と自分の縄張りに来ない様に同族等を牽制する時だけだ。


 だが、今のあいつらは違う。


 ルーナへ敵対する相手が出て来た場合、逆らった事自体を後悔させようと過激かつ過剰に相手を痛めつける傾向が現在では見られる様になっている…


 如実にそれが現れたのは意外にも最近の事……舞踏会前の事前準備で妨害された時だ。


 ルーナは別に自分達の仕事量が大変な事になる類の妨害(例えば会場への準備時間の極端な短縮等)に関してはある程度許容していたが、それとは別の従業員や招待客へ何かしら被害が被る様な悪質な嫌がらせへは容赦なく断罪していた。


 それは例えばシャンデリアの釣り糸だったり、当日使用する王宮の食器へ仕込まれた毒だったり……


 発覚した際ルーナは相手を尋問した後処置に関して父親へと判断を委ねようとした。


 だが、結局俺の監視をくぐり抜けた腹黒兎が囚人を掌握した。


 そのままラウツェンスタイン領へと連行して同僚達は彼らを厳しい拷問に掛けた後、何処かで処分していた……大方非人道的な試薬の実験に使い潰されたのかも知れない。


 或いは強制労働か……まあ罪人の扱いは基本雑だ。


 特に他国の闇ギルドに属する暗殺者だった者は人権なんて初めからない様なもので、活かしておいて有益ではないと判断されればどんな扱いをされても誰も文句は言わない。


 その事を知っているからこそそう言う輩に対してルーナは正式に契約するか安楽な死を渡してやるのだが(依頼者に人質が取られていてどう仕様も無い相手等)、今回は多忙だったため一々対応出来なかったのだろう。


 まあだからこそ俺は気付けたのだったが。


 そして思い返してみて、少しだけはっとした………



“……あいつら、まさか…”



 もしかしたら俺と……いや、それは流石にあり得ないか。


 ルーナの世に広めた技術を前にしても他の連中と同じく特に驚く以外の反応を示していなかったし。



 大体思い出していたならルーナへの接し方が変わって居る筈。



 そうだ。


 俺の考え過ぎだろうな……



 それにしても、ルーナさっさと起きてくれないかな……休んでいて欲しいと思う反面複雑な気分だ。


 そんで、恐らく領民やルナライト社の連中、そして王子とか駄龍までもきっと俺と大体同意見だろうな。



 あんな状態で倒れた後意識不明とか、心配じゃないはず無いだろ?



 せめて一度起きて俺達に安否を確認させて欲しいものだ。



 メイドの説教を聞き流しながら(世紀末系メイドの説教ってマジで誰得?Mの星に居る奴等も号泣からの逃走間違い無しだな…)、この後予測される事を考える。


 どうやって影が俺達を責めて来るか……



 そして、いい加減俺にくっ付いているヤツをどうにかしないときっと被害が出る。


 此方もさっさと処分するか。



 さて、俺は俺で色々やるかな……別に最悪自由に動いて良しと言われたし、ご本人から。



 しかし俺もお前も前世から本質だけは殆ど変わらないな。


 主に周囲に苦労させられる所はな……




 そんな分けで、ルーナちゃん回復後に何らかの動きが再びある予感……さてどんな風になるかは神の味噌汁。


 それと、ブックマーク登録が2,000を突破しました。読者の皆様本当に有難うございます。これからも完結目指して頑張りますのでどうか温かな目で見守って下さい。


 そして今回皆様への感謝として、本編とは別に何か記念に書こうかなぁと考えております……主に番外編的なものを。


 色々構想があるのですが、皆様への感謝の気持ちですし…出来れば皆様の御意見を聞いて登用してみたいと思っております……例えばルーナちゃんの冒険譚が聞きたいとか、訓練の様子をもっと詳細にとか…後は悪徳貴族の断罪イベントとか?


 一応期限は設けません。というのもこれからもこの話しは続くので番外編はどの道作ろうかと思っているからです。今回採用されなくても番外編で描くか『何話記念』とかに描こうかと思っております。


 そんな分けで皆様、御待ちしております!


 ちなみに何も無ければ私の独断で1つ閑話を入れようかと思っており、その内容に関しては既に構想が御座います。ただ18禁に入れるか15禁に留めるか、悩んでいますが……


 さて次回もまた別の人視点です。どうぞ宜しく御願い致します。


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