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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
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91 お嬢様に代わり、私が……

 読者の皆様何とか投稿が間に合いました……今回は結構ギリギリだったので、誤字脱字があるかも知れないです。すいません…


 さて、今回からルーナちゃん以外の人々?の視点です。それでは本編をどぞ!



……………(ヴィンセント殿下)……………



 ルーナが倒れて運ばれた事を聞くと、直ぐにでも彼女の元へ駆けつけたい自分を押さえた。


 私は予め彼女に言い含められていた事をせねば…



 舞踏会の前日、2人きりになった時に貰ったドワーフ製純魔銀の変態的に繊細な指輪を取り出す。


 そこで浮かんだのは彼女の真剣な表情…



“ジルヴァ、コレの取り扱いにはくれぐれも注意して下さいね…下手すると命を取る程まで行かなくとも後遺症が残る可能性があるのですから。”



 私はやっと彼女からある程度の信頼を得られる様になり、その事を証明するためとして託された術式だった。


 また、私が旧暦に沿った13歳の誕生日だったため祝いとして指輪が送られた…そしてその指輪に敢えて私は術式を刻んでもらった。



 ロードライトガーネットが艶やかに煌めく。



 ルーナの瞳の色を連想させるその紫は彼女の真の生誕日の守護石………本来比較的安価なガーネットだが、我が国でこれ程青の濃い紫をもったものの産出量は少なく非常に希少。


 恐らく大金を積むだけではなく、この石を得る為に様々なコネを使ったのだろう……技術提供しているドワーフ達に融通してもらった所だろうか。



「これならば、紫水晶よりは割れにくいと思いまして……それに奇麗でしょ?」



 祝賀会準備で忙しい中隙を見付けてこっそり渡してくれた時の悪戯の成功した様な笑顔をふと思い出す……


 あれ程大変な時期だったと言うのに律儀と言うか…


 それと、彼女はこの国における自分の瞳の色を異性へと送る意味合いを分かっているのだろうか?


 そしてそれを常時身につける意味合いも…



 ……いや、恐らく分かっていないのだろう。



 彼女へ以前、私の色を既に渡した……


 既に指へはレッドダイアモンドが忌々しくもあの龍から送られていたので、私は腕輪を2つ程送った。


 片方がスターサファイア、もう片方がアレキサンドライト・キャッツアイを嵌めてある。


 本当は彼女の誕生石である緑のガーネットで探したのだが、残念ながら見付からなかったのだ……この国で産出されているガーネット種の中でも更に希少で、中々見付からないのだ。


 それに見付けたとしても使わなかっただろう。


 残念な事に、この宝玉には魔術式を書き込む事が出来ない……どうも術式相性が余り良くないらしく、石が刻め見込める術式を既に定めているそうだ。


 或いは誕生月が1月の場合でなおかつ石に認められた人物ならば、石へ自由に術式を刻み込めるとか…


 彼女が刻み込んだ方法は後者なのだろう。



 術式の書き込まれた宝玉は一般的に『魔力石』と称され刻み込まれていない宝玉とは価値に相当な差が出る。


 そして石の価値は彼女へ送ったものの方が圧倒的に高いものの、私の持つ指輪に付いている宝石は術式が掛けられている上術式もまた希少なものだ。


 故に、贈り物としては彼女から受け取った指輪と私の渡した腕輪では大人と子供程の差が出てしまっている…


 その事を気にすると、私へ彼女は言っていた。



「この石はジルヴァと皆が助けを求めている時然るべき方法で封印を解いておけば助けてくれます……私が動けない状態の時は封印を解除して何時でも使える様にしておいて下さい。


 それを使って自分を、そして出来れば大事だと思う人々を危険から守って下さい。」



 同時に落とした特大のファイアーボム。



「そして、封印はちゃんと手順通りに自身の手で解かなければ解いた者と解かせた者を処分する術式が予め組み込んであります……仮に敵方や盗人が使おうとしても怖いしっぺ返しを喰らいます。


 勿論非殺傷にしてありますが、精神的に再起不能になりたくない方にはお勧め致しかねます。」



 ………あの時の笑顔は今思い出しても凍り付きそうだ。



 さて、そんなとんでもない効果を持つ防御の術式を起動させる為にも封印を解く必要がある。


 そして彼女は倒れた後、分身体で私へ伝言を届けていた。



「危険が迫っていますので、その指輪の封印をとりあえず解いておいて下さい。」



 これから向かうのは、封印術式を解くための場所。



 ルーナによれば、その場所には私専用の課題を提示しておいたそうだ……良い力試しになるだろうとの事らしい。


 その場所には特殊な術式を掛けて外部と時間がずれる仕組みを取っている為、課題へ仮に戸惑って1ヶ月掛かったとしても2・3時間程度しか現実では掛かっていない仕様にしたとも言われた。



 時間遅滞


 それは彼女が極秘扱いにしている精霊式魔術の術式であり、人が扱える程度へと消費魔力を押さえた術式を製作するのに相当研究を重ねていた憶えがある。


 ちなみにこの開発には同系列の精霊と契約している私も協力し、研究論文の研究者一覧に名前が乗っている……数少ない私の自慢出来る事の1つだ。


 故に、あの術式がよに出回る危険性については重々承知している……だからこそ、彼女は今回それを使用する事へ臆さなかったのだろう。



 さて、どの様な試練が待ち構えているか…恐ろしくもひっそりと楽しみに思っていたりする。


 彼女の追い着くためにも頑張って行こう。



……………(リヒター・スノウ)……………



 私はお嬢様から有事の際の指示を直接頂いている。



“自分が倒れた時、現場の指揮を取ってくれ。”



 元々私自身にはそこまでの力は無い……力も素早さも感知も、全て中途半端で極めて居る奴の足下にも及ばない。



 そして何より、私は臆病者だ。



 種族故に仕方が無いとお嬢様はいつも仰有っていたが、そのせいでお嬢様を庇う事が出来なければ意味が無い。


 あの様な事をお嬢様相手には絶対出来ない……



 私は一度、この臆病さのせいで大事なものを失った……群と仲間、そして自分のプライド。


 強敵へと果敢に責める事も出来ず、只ひたすら気付いた時には逃げていた……


 それも、現場の指揮官たる私は迎撃が不可能と知れば仲間を置いたり押し退けたりしながら逃げた。



 その後結局自分一人では生きて行けず、あのままお嬢様に拾って頂けなければ私は孤独死していただろう。


 だが無様であっても生き延びた私をお嬢様は逆に推定し、従魔、つまり伴侶候補として契約を交わした。


 こうして一度何もかも失った私は新たにお嬢様を得た。


 お嬢様は私の拠り所となり、とても親身に私なりの戦い方や私の得意とする部分を伸ばす術を授けて下さった。


 また宿敵共や彼女の大事にしている領民達、そしてルナライト社の仲間達と群社会や従魔、被食者捕食者とも違う新たな関係を結び、そこから様々な事を今まで学んで来た。



 そして、今はそれを返す時だろう。



「お嬢様の最後に使用された地図は此方です……恐らく敵方が攻込んで来るとすればこの辺りとこの辺りでしょう。


 自警団の皆様とルナハウンズの隊員は全員お嬢様の指示通りあ例の術式はお持ちですか?


 持っていない方は早急にルナライト社の店舗で受け取って下さい。


 それから……」



 特別に許可を貰い、お嬢様の亜空間で暫く私は戦略・戦術について様々な書籍を通じて学んだ。


 その理論を応用し、今までも領内の安全を他の連中と共に守って来た。



 私の役割は『参謀』。



 指揮を取るのはカムイや丹波に任せればいい……ただ、彼らは作戦を立てると言う一点において私には敵わない。


 チェス等の盤上の勝負をすると特にそれは顕著であり、今まで私が負けた相手はお嬢様と駄龍、それからお嬢様の御父上以外には居ない。



 今回も相手の行動をある程度先読みし、作戦を立てている……お嬢様が先を見据えて助言をしておいて下さったお陰で大体の事は対処出来る。


 ただ相手があの『影』だ。


 正直どのような手段を用いて我々を排除しに来るのか想定出来ない……それに、お嬢様を直接狙う可能性も否定出来ないのだ。



 私が1番恐れているのはその一点だ。



 現在胃潰瘍と過労、それ以外にも体調を著しく崩してお嬢様は入院中……並の腕前を持った敵であればお嬢様も体調に関係なく遅れをとらずに対応出来るだろう。


 だがシャドウ本人かアレ並みの相手が来た場合は別。


 私は以前それらしき相手にあった事があるので分かるが、アレは別次元だ……ルーナ様の体調が万全であれば互角だろうが、今の状態では確実に負ける。


 お嬢様の事だ……奴やその手勢に攫われそうになれば全力で抵抗するだろう。


 その時敗北すれば、お嬢様は我々の前から永遠に連れ去れてしまうだろう。



 元々『影』はお嬢様を狙っている。



 それだけは確信が持てる……恐らく何処かでお嬢様を知り彼女を好ましく思って手元に置きたくなったのだろう。


 理由までは知らないし、知りたくもないが。


 そしてお嬢様を攫った場合、お嬢様が我々の前に姿を現す事は恐らく無いだろう………永久にお嬢様を失う事になる訳だ。



 それが許されると思っているのだろうか?



 我々が刻み、そして刻まれた従魔の紋章は相手が我々と繋がっている事の証……相手の居場所や生存を知る事が出来る。


 お嬢様が例え連れ去られても、我々は息のある限り彼女を求めて何処までも追いかける…紋様があってお嬢様が生存しているならばそれが出来るのだから。



 もう彼女を失いたくはない。



 私は一度恐らくお嬢様を何処かで失っている…それが何処かは知らない、それにいつかも知らない。


 もしかすると、稀に有る生まれる前の記憶と言うものかもしれない。


 だけどそんな事は別にいい……今度こそお嬢様を私が失わなければ。



 お嬢様がただ、隣で笑っていてくれたら…



 私はどんなに汚い泥でも血反吐でも被ろう。この白い身体がどす黒く汚れようと、お嬢様が幸せそうに私の横に居てくれたら別に他の事等どうでも良い。


 だからお嬢様……我々に任せてゆっくり休んでいて下さい。



「……では各自、早速行動を開始して下さい。」





 ちなみにロードライトガーネット自体はそこまで高くないですがモノによりけりですかね……ちなみに私は青に近い紫をしたガーネットは一応見た事あります、展覧会で。実際奇麗でした。


 後、リヒターこの話しではそこまで腹黒さを出しませんでしたが普段は彼自身のモフモフを利用してルーナちゃんに全身触れられています……従魔達の中でも1、2を争う程の毛並みの良さですから。フワフワモフモフ系です。そして真っ白で柔らかい毛並み。


 けどお腹の中は真っ黒w参謀なので。


 だからこそまあ、シャドウの目的にルーナちゃんの話しとそれまでのシャドウの行動から推測しちゃっているのですがね……思考回路が近い感じでしょうか?


 さて、次回も従魔達やルーナちゃんの周辺人物の視点が続きます。それでは次回も宜しく御願い致します。

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