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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
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87 グハッ!?……私の胃のライフは0だ。

 読者の皆様先週は本当に申し訳有りませんでした……何故か休暇の辺りに休みが取れず、休み明け少し休みが取れる不思議(T T)。


 さて、私の胃もマッハでライフが削られていますがルーナちゃんはもっとヤバい……どうなる事やら…


 それでは本編をどぞ!

「………以上です。」


「そうか……御苦労さん。」



 ナハトとヴォーゼのまとめておいてくれた記録を見て一喜一憂した後、早速必要事項を幾つか済ませる事にした。


 ……正直胃のライフが現在ガリガリ削れているけど、そうも言っていられないからね。



 さてと、分身体には既に連絡したので次期に終わるかな。それ以外の、(本体)にしか出来ない事を済ませましょうかね。



…………………………………………



「ここかな?」



 と言う訳で、私は現在舞踏会中領内で不審火の発生した箇所=襲撃があったと思われる場所へと来ています。


 これからここで、不審火の発生原因と何が目的だったのかを徹底的に調べようと思っています。



 え?襲撃があったのかって?


 ええ……シャドウ(だと思われる…)は、舞踏会の最中小規模な小火騒ぎを領内で起こしてくれやがったらしいです。


 とても小規模だったから拷…ゲフン、尋問と舞踏会襲撃の処理の方を優先したんだけどね……


 と言うか、この2つを比べちゃうとアレだ、何と言うか事件とも言えない感じだ…それこそ報告をもう一度良く目を通していなかったらきっと見逃していただろうし。


 最初は”小火”としか聞いていなかったからね…



 ウォルターが報告を更に細かくしてくれなかったらきっと見逃していたな…重要な事に。


 やっぱり私の分身体でもこと情報分析の分野においては敵わない…ぐぬぬ、精進せねば。



 事件は事件とは言えない程実際小規模だった。


 そこまで大騒ぎにはならなかったし、怪我人等も出ていない。


 つまり、一応被害は出ていないのでその辺りは良かったと思っている……逆に不気味では有るが。



 一体奴等は何を企んでいるんだが……



 何故襲撃だと判断したかだけど、1つ決定的だったのは炎の色が黒かった事。つまり、不自然な熱の無い不自然な炎が何処からとも無く現れたからだ。


 その上この炎、水をかけようが氷を撒こうが砂をかけようが、全く消える様子がないのだ……つまり、温度や燃料を不要とした炎だと言う事。


 ………最初マジで炎か疑ったけど、燃えている物が全て燃えカスになっていたから間違いなく炎である事は確かだ。


 

 さて、一応この炎周辺には現在結界が張られており周囲へ今の所広がる様子は見せていない。


 一般人の迅速な避難誘導の為、マニュアルを用意して更に訓練もさせて来た…今回それが功を奏した様で本当に良かった。


 それから村人達(イロモノ)家臣団(イロモノ)の災害時における対応も適切だったと言える。私の分身体をそれぞれ結界の必要な箇所へと誘導してくれたのがとても助かった。


 もしそれらが1つでも欠けていれば、燃えない炎はたちまち領内で猛威を振るっていただろうな……それこそ小火騒ぎではなく『大規模火災』として大事件となっていただろう。


 あの炎は特殊過ぎるから私とウォルター、精霊の一部を除けば結界を張る以外対応の仕様が無い。結界だって小規模だったから魔力が保ったのだろうと予想出来るし。


 まあでも、そんな分けで既に安全確保は出来ている。


 次いでに1ヶ所ウォルターが試しに水と光を組み合わせた魔術式を使用した所、消す事が出来ると言う事は分かっている。なお、消した後には文字通り何も残っていなかった。



 残りも調査をしたら危ないから消さないとな……疲れているけどさっさと済ませよう。



……………………………………………



 ……これで最後。



「魔術式『多目的結界』発動…


 範囲:『隔離結界』全体……まんべんなく。


 目的:『隔離結界』ごと、全て消滅させる事。



 ……『消滅』術式同時発動。」



 術式展開をしていき、全てを消し去った……これで一応物体Xは残らないはず。



 そう…この炎、中には物体Xを煙で散撒くものもあったのだ。



 既に微粒子として幾つかは紛れているのだろう……コレばかりは仕方が無いとしか言いようが無い。炎が発生する前に対処出来なければ防ぎようが無いからだ。


 そして炎をそもそも持ち込んだ者を防ぐ事も、私だろうが誰だろうが不可能……


 今回物体Xを運んで来たのは『歩く闇商人』では無い。そしてそれは、人や精霊等の生命体ではなかった。



 では何が運んで来たのか……それは『自然現象』。



 正確には恐らくこの季節に発生する特有の自然現象(空っ風の様なもの)を利用して運び込まれたのだろう……その証拠に小火のあった場所は実にランダムだった。



 但し、物体Xの発生していた箇所を空中から見ると魔術式の一部の様な円陣となっている……ただ、美しい円形ではないのでどう考えても魔術式は発動しないだろうが。


 恐らくこの箇所に元から物体Xが埋まっていたのだろう。そう私は考察した。



 なら、誰が物体Xをどうやって運び込んで来たか。



 正直見当が付かない……裏切り者が居るとは思えないし、私の分身体や『アルソッフ第35号』『セコームNo.79』をはじめとするゴーレム、更に元から居る地元住民の結成した自警団が徘徊しているので不法侵入は早速不可能だ。


 手引きするものがたとえ居たとしても、直ぐにばれる仕組み(=結界術式など)も構築してある。



 なら、何が原因なのか……



 そこで考えるのは、シャドウと言う存在………文献によれば『何処にでも射手何処にでも居ない存在』であるらしい。


 つまり、ヘル○ングのシュ○ディンガーの様な能力と言う事だろうか?


 もしそれが正しいなら、腑に落ちない事が多々有る。



 何故、私へ直接手出しをしないのか。



 私や私の関係者が憎いのか、何故か執拗に狙われているのは知っている……正直どこでどんな恨みを何故買ったのか皆目見当も付かないけど。


 そして、私へ執着している割には攻撃方法が温い事。



 実はここが前から1番疑問に思っている事だったりする。



 いつも狙っているのは私が大事に思っている存在か、私が大嫌いな存在……それ以外に狙っている所も大体私と間接的に関わっている。


 もし私を絶望させたいのならば、真っ先に家族と領を消滅させれば早い。


 或いは、私の従魔達や契約精霊達を消されたならばきっと私は立ち直れなくなるだろう。



 そして攻撃している相手や対象が、何故かいつも私が邪魔だと思っているものが多い。



 例えば今回舞踏会であった襲撃だってそうだろう……期待出来ない最悪なお子様貴族様とそのご家族が最も被害を被る形の襲撃だったと言える。


 恐らく未然にある程度防げなければ、国家反逆罪で全員根切りされていただろう。



 その前の襲撃もそうだった……



 霊山の魔獣領も腐った思想の持ち主達が主に一掃された……中にはそうではない者も居たと思うが、ごく少数だった。



 『ヴェネチモール』が潰された時もそうだったと言える。


 真っ先に逃げ出した腐敗役人達は後に惨殺された遺体が見付かった……全身が喰いちぎられながら死んだのか、顔以外の肉が見当たら無かった。顔も痛みと恐怖で歪んでいた。



 それ以外にもここ数年で腐敗貴族達の領が幾つか潰されたりしていた……中にはまともな貴族も居たが。



 そこで私は何かを見落としている様な気分となった。


 それは一体……



「ヴォーゼ、この国の地図を持って来て……今直ぐ!」


「只今。」



 影に潜り、一瞬消える漆黒の狼……またたきする間もなく現れた。



「……此方を。後、鉛筆も持参した。」


「ありがとう。」



 早速私は襲撃のあった地名を囲んで行った………次から次へと地名を繋げて行く。



 そして、最悪の予想が当たってしまった……














 何と、シャドウは国全体、いや、王国の外の帝国等も巻き込んだ巨大な術式を描いていたのだ。


 失われた古代文字と謎の紋様が要所に使われており、正直全ては読めない…訂正しよう、全然内容が分からない。



 だが、見覚えのある形をしている……


 そこで私ははっとする。



「まさか……」



 慌てて上空へと上がり、念のため印をしておいた小火のあった箇所全体を見渡す………そして地図と見比べてみた。



 この一致は偶然では無さそうだな。


 嫌な汗がダラリと背中を流れた…



 色分けしておいた物体Xのあった箇所を見ると、そこにはまた異なる術式が描かれかけていた。



「古代術式のエキスパート……誰か居たっけ?」



 早急に解読させて、物体Xの箇所だけでも特定しないと何か私にとって“最悪”に近い事が起こる。


 そんな予感がしたのだった。




 そしてこんな大変な時に限って今世の私は体調を崩す……地上に戻った瞬間ずっと我慢していた尋常でない胃の痛みに私は到頭倒れてしまったのであった。




 倒れる直前に分身体を一体出せた事が、後に起こる大事件を“未遂”のまま終わらせる事となることをこの時の私は知らない。


 そして、それが今は知らない『私』の過去と対峙する切っ掛けとなる事も…



……………(グレイル)……………



「先生!!大変だ、ルーナ御嬢が!!」


「落ち着きなよ……大方疲労と多大なるストレスで身体が参ってしまったのだろうね。安静にして、休ませれば大丈夫だよ。」



 御嬢はオーバーワーク過ぎる……前々から思っていたけど、彼女の仕事量は公爵家の領内で定めている労働基準法に違反していると思うんだよね。


 ……まあ、誰も変わってあげられないのも事実だけどね…彼女以外こなせない仕事がまだまだ多過ぎるよ。



 その上他にも色々手を出しているからね……仕様がないかな。


 今回の舞踏会だって本当ならルナライト社の社員に丸投げしても大丈夫だったのに、自力で全部やってしまったからな…


 まあ婚約者、しかも割と気に入っている相手の誕生会だったから気合が入っていたんだろうからね。



 けど、もう少しだけ肩の荷を他者へと渡さないと駄目だね……我々みたいにそれなりにちゃんと働くんだから。


 それに、この領や国を将来兄弟とルナライト社に任せてくれるんでしょ?



 まあお説教は後だな……



「今は、取り敢えず休みなさい。」



 さて、後はお嬢の分身体が連れて来た貴族の患者さん達を助けないとね。


 怪我は幸い浅い人が多いけど痕にならないようにしないとね……それに中には意識不明の重体になっている患者さんも居る訳だし。


 しかも『全員生き返らせろ』、ね。



「『昇天返し』の儂なら可能か不可能か問われた、まあ可能だと即答出来るね。」



 ICUに運び込まれた緊急を要する患者達を全員この部屋から元気に生還させるのが我々『イッシー21』の役目。


 息が有る限り…我が元で生き返らぬ存在は無し。


 さてと、参りますかね………儂の『戦場』へ。


 ルーナちゃんが元貴族映像を見て胃がヤバくなった理由ですが、全員が彼女の想像した所謂”悪徳”貴族ではなかった事、そして彼らの家族を即行で見つけ出して保護しないと不味い事が判明したからです。


 そして保護した後の仕事とかも(保護する場所や仮在住権の申請と発行など色々)考え出し、それ以外にも同時進行で行う仕事量を想像してゲンナリしたのでした。



 そしてそんな中、新たに判明する謎の術式。



 不規則な生活が暫く続いた上でプレッシャーなどによるストレス、その上でコレですからね……流石に身体の何処かに異常が起こっても無理ないかと。


 飽くまでルーナちゃんは多少人間を越えた魔力と体力と戦闘能力を持つ『人間』ですから。



 さて、シャドウとの対決……まだ先ですが、段々と近付いて来ています。


 多分次回はシャドウの視点が入ります……それでは宜しく御願い致します。

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