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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
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85 とある貴族の恐慌状態

 読者の皆様、何とか投稿間に合いました!良かったです。


 さて、今回はお待ちかねの拷……ゲフン、尋問タイム!さて従魔の兄ちゃん達、どんな方法でやちゃってくれるのでしょう。


 それでは本編をどぞ。

……………(???)……………



 ホーッホーッホーッ…


    …ッゴゲッゴゲッゴゲッ


リリリリリリリリリ…



  ケッケッケッケッケ……



     オオオオォォォォオオ


ドドドドドドドドド…



  …ャギャギャギャギャ




 ・

 ・

 ・








 ……ここは一体…






 目も鼻も利かず、頼りとなるのは最早耳だけ。


 そして聞こえて来るのは不気味な鳴き声や唸り声…そして時々悲鳴を挿んでいる。


 近付いたり遠ざかったり、そして時に耳元で…



 ここは一体何処なんだ…私は一体どうなってしまったんだ!!



 私はあの恐ろしい悪辣公爵の拷問塔に居たのではなかったのか?あの牢獄から助かったのか?


 牢獄で見たあの恐ろしき異形共に永遠と追われる拷問から何とか逃れられたのか?



 あの目が大量に湧いて来る異形や寄生して内部から食い破る蟲。それから可憐な容姿を持ちながら頭に恐ろしき口を持つ化物。


 それらはまだマシだ……


 酷かったのは全身が腐って発酵して行く謎の病だった……歩く度にピチャン、ベチャンと音がして、異臭がして。そしてそれが自分自身だと気付くと同時に空腹感…人肉を欲する感覚がするのだ。


 気付くと自身の家族や家臣、親しい友人等が皆食い荒らされた後が有る……口元に手をやると、血のりがついている。



 思い出しただけでもう……ヒッ?!






      ギャハハハアハハハハ


 ッアアァァ…タスケ…



  フーッフーッフーッ、グルル



   …ピチャッペチャッビチャッ






 …………………………………。







 もしや……ここはかの有名な『島の牢獄』か?


 だとしたら、間違いなくここは脱走先の魔境……牢獄は魔境と違い、静かだと伝え聞いた事がある。


 魔境は鬱蒼とした南国の森…毒や病、そして巨大で獰猛な肉食生物の存在する一種の“還らずの森”と。


 それが本当なら、私は直ぐに死ぬ。


 幼少期、貴族平民問わず皆親から聞くものだ……国の2大牢獄に一度投獄されたならば、生きて出て来る事は無い。


 出て来るのは死体……死後葬儀の為だけに出してもらえると。


 そして、脱獄など考えるな。



 その先に待つは、地獄のみ。



 気付くと周囲の音がやけに静まり返っている…まるで、嵐の前の静けさの如く。


 そして聞こえるのは猛獣の咆哮。


 戦闘に関して完全に門外漢な私でさえ理解出来た……声の主は、私へ明確な殺意を持っている事を。私を捕食すると宣言した事を。


 ……私はこのまま死ぬのだと言う事を。


 ガサガサと、地を踏む足音が聞こえる……段々とそれは近付いて来た、荒い鼻息と共に。


 私は自身の全く役立たずに成り下がった身体へ必死に喝を入れる……一瞬でもいいから動けと。


 無駄だと分かっていても、いや、分かっているからこそ最後まで抗おうとする。まだ死にたくない、只その一心で。



 だが健闘虚しく感覚は一向に戻らず、身体はピクリとも動かなかった……音から判断するに、もう近くに猛獣は居ると言うのに。


 もう駄目だ……このまま無惨に喰われて私は終わる。



 ……何故私はこんな目に遭わねば成らぬのだ。



 鋭い牙に貫かれる痛みを覚悟するが、一向にその瞬間が来なかった……代わりに猛獣の音が遠ざかり、人の声が聞こえた。



「おい、大丈夫か?こんな所で何やっているんだあんさん。」



 ……安心して身体から力が抜けた。


 そして次に思った事は、兎に角ここから安全地帯へ連れて行って貰う事だった。


 そしてその後私は見知らぬ者へ後で褒美を取らせる事を考えた……どうせ貧困で無知な平民だ、私達貴族が何かしら適当に与えておけば喜ぶだろう。



 無様な姿を見せてしまった件は、後で闇討すれば証拠隠滅出来る。



 そして感覚の急に戻った口を使った。



「助かった………礼を言う。出来ればこの後安全な場所へ連れて行って貰えぬだろうか。」


「お、いいぞ。しかしこんな場所で寝ていたとは……あんさん相当な物好きだな。」



 気の抜けた様な声で男は言う……しかものんびりとした口調だ。


 私はいつの間にか苛立っていた。



「……私も望んでここに居た訳ではない。」


「ならなんだってこんな所に居たんだ?」


「……私だって何故こんな所でこのような目に遭わねば成らぬのか等知らぬは!!


 私はただ『神聖光教皇国』の教皇がこの国へ出兵する事を防ぐ為、光教会の番犬共、異端審問官が来るのを防ぐ為だけにあの『生誕会』を潰そうとしただけだ…


 国を思って行った行為だったのに…


 確かに行った事は鬼畜だとは認めるが、それも出兵を防ぐために協力して下さった『歩く闇商人』と自らを称する者達の指示を忠実にただ再現しただけだ!!


 それにあの様な愛国心も無い子供等必要無かろうが!!評判も悪く素行も悪い…その上親や周囲を巻き込み無駄に税金を使う。


 その様な貴族の風上にも置けぬ者の命1つで国が戦火に巻き込まれぬのだとしたら、易いものだろう?


 私の行いの一体何が悪いと言うのだ!!」



 ………言ってやったぞ!!


 言えば消すと歩く闇商人共に言われたが、どうせこの平民はこの後消すのだから別に良かろう。


 それで無くても我慢していたのだ……



 それに、やはり改めて理不尽だと思う。



 私は十分頑張ったのだ……なのに結果的に計画は失敗、この後きっと神聖光皇国はこの国の保有する軍の倍以上も有る軍勢を率いて攻め滅ぼしに来るのだろう。


 そして国が、家族が…皆死んでしまう。



「…………そうか、お前は頑張った。もう頑張らなくていいぞ。後は俺達に任せておけ、きっとなんとか成るから。」



 安心させる様な声が聞こえ、私の意識は闇へと落ちて行った。



……………(ナハト・ブラック)……………



 オレの使った方法気になる?知りたい?知りたいよね!


 なら今回は特別サービスだ!教えて上げよう!!


 猿でも分かる『尋問教室』始まるよ〜♪



 まず必要知識として、心理学に分類される“人の恐怖”に関して少しだけ復習っておきますか。ああ分かっている人は飛ばしちゃってね☆


 では。


 人が恐怖を憶える理由って皆さん何だと思う?記憶?経験?それとも只単に何となく怖いだけ?


 まあ全部正解だけど不正解でもあるよね…


 えっとね…(ちらっとカンペを見ながら)人が怖がる理由って実は、相手の事が分からないからなんだって〜……ルナライト出版の『本当は怖い状態異常〜恐怖編〜』の20ページ参照ね。


 少なくともその分からない得体が知れない感覚?不安?そんなものが有るから怖いって感じるらしいよ?


 以上が必要知識。では実践編だね☆


 まあ簡単に言うと、オレが行ったのは尋問対象へ一時的にB級ホラーを見せて緊張状態を保っておいてから感覚を遮断して幻聴を流しただけ。


 滅茶単純でしょ?


 B級ホラーや得体の知れない感覚不全。その上殺気の乗った不気味な音源を流して心拍数がMAXになった所で一気に安心させる。その上で少し苛つかせて情緒不安定にさせたんだ。


 最後に仕上げとして、全部ゲロさせました★


 ポイントとしては、吐かせたい相手をとことん錯乱させておくことだね……正気を失わない程度に。


 え?その加減が難しい?…その辺はもう訓練有るのみだよ。



 まあそんな分けで一丁上がりっと。



 他はマジで雑魚なクズ共だったけど、まだマシなのが居て良かった……これで収穫無しはやっぱり面白くないしね。


 けどこれは流石に予想外……『歩く闇商人』って確か『霊山』の魔獣領を滅茶苦茶にした連中だったはず。ルナライト社や傭兵・冒険者ギルドへは既にブラックリスト入りさせる様に注意勧告行っていたはず。


 そして連中は御嬢のストー…ゲフン、敵である『シャドウ』と絡んでいたとか。


 相変わらず厄介で不気味な連中だな。



 それにしても今回はそれだけで無く『光の教会』絡みか………神聖光皇国の方は今所問題ないはずだけどね。



 少なくとも御嬢曰く、攻込んで来るとして数十年先だって言っていた……物凄くいい笑顔で(意味深)。



 しかしあの時の御嬢は凄かったな……


 あんな酷…素敵な搦め手を使う何てね……と言うか、アレだけであんな事になる何て正直予想外もいい所だったし。


 本当に面白い主人だ。



 でも一応警告はしておこうかな……流通の方で。



 さて、後はウォーゼの報告とまとめておけばいいかな?つか、オレの方が早かった件w


 ……それにしてもこの囚人どうしよう?


 まあいいや、適当で。


 ちなみに???の仲間達は音源の途中で失禁して失神しました……おおゆうしゃよ、しんでしまうとはなさけない(死んでは居ないけど何となく?)


 この後例の島へとドナドナされて行く元貴族達……地獄は今ではない、これからだ。まま頑張って生きろよ!


 等と、一応エールを送っておきます。全く同情はしませんけど。


 まあでも島での生活は以外な事に元貴族達にとって元の生活より快適だと好評になるのですが、それはまた別の御話です。希望が有れば多分番外編へ載せようと思っています。


 それでは次回も尋問編……どうぞ宜しく御願い致します。


 

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