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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
83/142

82 プツンッ(怒)

 読者の皆様どうもこんばんわ。鈍足更新申し訳ないです…


 さて、ルーナちゃんの尋問は……?!おおぅ、キレとる…触らぬ神に祟りなし。


 それでは本編をどぞ!


「な、」



「「…な?」」



「何じゃこりゃ〜?!?!?!?!?!!?!!」




 目の前の光景に思わず叫んでしまったが、それも致し方ない事だと思う。



 イヤだってさ………下手人とっちめようと気合入れて入ったら全員見覚えの有る顔だったんだもん。


 驚くのも仕方ないだろう?



 さて、まず下手人共なのだが……まず全員私と同世代か前後位のガキ共だ。正確には元が付くが“糞ガキ”だった。


 我侭で傍若無人で権力に寄っている典型的な勘違い系屑族サマ。


 恐らく親や周囲が甘やかしたからだろうと予想が付くが、それでもこれは無くないか?と疑問に思う事が多々あったものだ。


 だが一応全員物理的に正確を矯正したはずなんだけど……



 ああちなみに何故彼らを知っているかって話しになるが、それは遡る所数ヶ月……丁度本体である私が霊山の魔獣領で暴れ回っていた頃同時進行で分身体達が行っていた誘拐事件と関わりがある。



………………………………………



 王子とウォルター連れて霊山へ赴く前、私は万が一の事も考えていつもより本体に近い力を持った精巧な『分身体』を作成した。


 術式に色々と改変を加えた上で、使う魔力量も半端無くて結構大変だった……成果がちゃんと現れたしいいデータが取れたのでその点は良かったが。


 うん、あの術式に幾つか魔素吸収と循環を行える媒体を加えれば半永久的に働く私の分身体が出来る事が分かったのは行業だった。



 これで私が国を留守にしても大丈夫そうだな。



 さてそれはいいとして…その分身体の私には有る指令を出して置いたのだ。


 それは、ヤバそうな感じになったら父の公爵としての仕事を補佐する様にという内容。



 そして実際、私が帰って来てからも対応しなければならない様な大事がこの国で発生した。


 これは一応既に解決した事件であり、その名も『ハルメルン失踪事件』と国や公爵家の事件簿には記載されている。



 人によってはもうお分かりかと思うが、これは子供達が大量に誘拐された事件だった。



 それはさる御方のお茶会の席が発端となり、始まった事件だった……それも介入し辛い“公爵家”の開催したお茶会だった。


 その公爵家の人達は貴族に珍しくとても正面で優しく厳しい人達だ。そして彼らは子供が大好きで、領内で子供が困らない様にと公共施設の管理や法の制定、治安の維持等を徹底している。


 そして彼らは自分達の子供の誕生会を開いた。


 参加したのは我が家を含めたこの国の公爵家の人達と、割と正面な侯爵家や伯爵家、また取引の有る商会や男爵・子爵家が集まった。


 当然子供達は来ており、彼らもパーティーに参加していたのだった。



 そして事件は起きた………会場に居た子供達が消えたと。



 私は未参加だったが兄達は参加しており精霊が付いてなかったら多分同様に攫われていたと後に言っていたが、あながち間違いではないだろう。


 何せ、下手人はとても巧妙な手を使ったのだから。


 多分会場に居たら私や私の従魔達ならば直ぐに気付けただろうがその日は父も参加していなかったので当然従魔達は居ない訳で、兄達の感知はまだ低レベルであるから致し方ない。


 これは、捜査を手伝った私の分身体が感じた事なので確実だと言える。



 さて皆さんはここで疑問に思っているかも知れない……何で子供達だけしか攫われなかったのかと。


 その答えだが、子供達しか彼らは攫えなかったのだ。



 ここで1つ皆さんに知ってもらいたい予備知識が有るのだが、知っている方はこれを抜かしてもらっても構わない。


 では説明しましょうかね。




 ハーメルンの笛吹きの話しはご存知だろうか?


 ハーメルンと言う町で46人の子供達が失踪したと言う事件なのだが、実は様々な説がある。


 最有力候補は自然災害だが、中には子供が自分達で開拓する為に町を出て行った話しも有る。


 そして、最も有名だと思われるのは“人買い”に攫われた説。


 ネズミ祓いの対価をちゃんと払わなかった大人達への見せしめとして子供達を笛で呼び寄せて海へ次々と落として行ったと言う話しが確か童話集等で出ているかと記憶している。


 子供を海へ落として猟奇的に殺されたと言う解釈もできるが、こうも考えられるだろう。



“子供達を海外へ売り払って大人の払わなかった料金分を稼いだ。”



 この時子供を集めた方法は“笛を吹く”と言う行為。そして笛は大人達には全く影響を及ぼさなかったどころか気付かれなかった。


 つまり、ここで考えられる事は1つ……笛はそもそも子供達にしか聞こえなかった。




 さて話しが変わるが、現代日本に生きていたら必ず聞いた事が有ると思うが『モスキート音』と言う言葉はご存知だろうか?


 子供……正確には成人した人達には段々と聞こえにくくなる超高音の音波の事である。


 とても不愉快な音であり、人によっては偏頭痛を起こしたりする効果がある(実話)。不良な若者の溜まり場へ帰宅を促すために使われた時代もあったそうだ。




 一応ここまでが必要な予備知識。ここからこの事件の落ちと命名由来。



 調査で結果判明した犯人のトリックは、特殊な魔道具を使って子供達にしか聞こえない“高音”で曲を演奏して魔術式の命令術式を描き子供達を攫ったのだった。


 まあ要するに、耳栓をしていたら簡単に防げる類の単純な魔術式だった……それだけに恐ろしくもあったが。



 命令文はこういう内容だった:此方へ来い。



 そして命令文に従って子供達は無意識に命令する側の居る方向へと向かって行き、見事全員捕まってしまったのだった。


 捕われた事も立ちは割と直ぐに救出されたので良かったのだが、この事件犯人が行方不明となっておりある意味迷宮入りしてしまっている。



 そう、実行犯である豪商の使用人数名が殺されていたのだった。



 その豪商自体は私の所の傘下で有り、とても優秀で誠実な所だ。当然この事件にも関与していない。


 だが、雇っていた使用人…正確には最近入ったばかりの新入り数名がどうも黒幕の手引きで会場に侵入して事を起こしたらしい。皆元々貴族によって何かしら失った事の有る連中だったので大方そそのかされたのだろう……復讐しないか、等と。


 後日その商人はげっそりしながら私へ詫びを入れて来たのだが、今回相手が悪すぎたので不問としておいた。



 何と相手は魔獣領を滅茶苦茶にした『歩く闇市』だったのだ。



 元々10代の子供の誘拐事件は我が国以外でも近年横行しており問題になっていたのだが、丁度『新月』に関する事件があった頃に保護した情報屋からその詳細を聞き出したのだ。


 そう、『シャドウ』と不幸にも仕事関連で関わってしまったがために知り過ぎて、殺されそうになった人だ。


 現在我が家の諜報部で情報整理する仕事を宿代と飯代の意味合いでやってもらっているが、とても優秀なので正直拾い物をしたとホクホクだったりする。


 まあそれは兎も角。


 彼曰く、シャドウが何らかの理由で10代の子供を集めているそうだ……それも、全員貴族階級か豪商の家。


 理由や目的な不明だが、一応共通点は有る。



 全員が糞ガキだったことだ。



 事件にあった子供達の身辺調査をすると、出るわ出るわ…悪事の数々が。まあ大人達の悪事に比べれば大分大人しいし可愛いものだが。


 それでも同じ特権階級としてちょっとね……


 アレが大人になったら最悪だなといつも思っていたし、周囲も私と同じ意見だった。


 本当はどうにかしたかった……けどそれは国や親がどうにかする事であって私が行うのも越権行為なので対価を払って相手が要求して来る或は私と敵対した場合しか介入出来ない。


 まあどうしようも無かった訳だ。



 そして今回の事件………子供達は皆、恐怖に引き攣った表情で帰って来た。



 自分達の普段の行いに関しては全く反省しておらず逆に悪化した上で保護していたラウツェンスタイン領(ウチ)で問題を色々起こしたくれたので、慰める間もなく指導したが、後に話しを聞いてみた時色々不可解な話しはあった。


 例えば漠然と恐怖を感じるのに何に対して恐怖したか記憶が無いとか。


 その時は犯人特定と事件の背景を色々探る事へ忙しく、その事を深く考える間もなかったのだが今思えば…


 ……いや、もしかしなくともそういう風になるよう“思考誘導”をどこかしらから受けていた可能背も有るのか…



 そしてまあ、親達の怠慢で糞ガキに育った子供達が音で攫われた事件だったので『ハーメルン』の名を頂いた訳だ。



………………………………………



 さて王宮地下の監獄へ話しを戻すが…多分皆が疑問に思っていた事を解消しようと思う。



 先程の話題に上っていた『ハーメルン失踪事件』の被害者達兼今回の『祝賀会襲撃事件(仮)』の実行犯達は、今全員裸に引ん剝かれて手錠足枷をつけたままガタガタと震えている。


 そして彼らの見た目には共通した事が1点だけ有る。それなのだが…



 時限爆弾術式の紋様が浮かんでいるのだ……下腹部に。



 もし仮にアレらが爆発していたら会場も二重の意味合い(精神、物理)で被害が出ていたし、彼らだって無事では済まなかっただろう。


 少なくとも貴族の義務の1つである“子孫を残す”事が守れなくなっていた。



 それにしても………中々にエグイ仕掛けをしたものだな。



 今は時限術式を解除してあるからいいが、このまま術式を弄ればボンと汚い花火を咲かせる事の出来る状況か……危ういな。


 私は改めて外的要因からの介入を禁止する結界を張った。



 さ〜てと……一応時間もないので“記憶”を読み取る術式を使うか。



 だけどあ〜あ…折角実行犯面白可笑しく尋問しようとしたかったのに…当たり散らしたかったのに。


 只でさえ苛々しているのにこの怒りを何処へぶつければいいのだろうか?


 とても理不尽に感じつつ、彼らの記憶を次々読み込んで行く…



 すると、全員とある人物と接触している事が判明。






 ……………そうかそうか、お前か。お前が下手人か。



 まあ予想通りではあったが、ここまでやるとはね……これ程怒り過ぎて呆れ返るのも本当に久しぶりだ。



 待っていろよ、今迎えに逝ってやるから。













 フフフフフフフフフフフフフフフ


 フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ



…………………………………



「おいイル坊尋問はどう……オイオイ、やばいぞあの表情。」


「………ああ、触らぬ神に祟り無しだな。」



 皆どうしたの?そんなに顔を引き攣らせて。



「いや、あの…」


「僕は正常運転だよ?別に正気を失っている訳でもないし至って冷静だよ?」



(((いやいやいや、どこか?)))



 おかしいな〜…みんなどうしたんだろう?何でそんなカタカタ怯えているのかな?


 確かに僕は冷静なのに…………ただ、猛烈に怒っているだけなのに可笑しいね。



「さ〜て、協力者とかイロイロと始末しないと☆」


「あ、ああ、いってらっしゃい。」「ほどほどにな。」


「じゃあ一丁殺ってきま〜す」



 ああ今日も徹夜仕事だな、ああ忙しい……僕を怒らせて分とここ数日で疲労した分、それ以外にも色々ちゃんと報いを受けてもらおっと♪


 楽しみにしててね☆フフ


 ヴィンセント殿下、次回予告ヨロ!


V:「仕方が無いな……


 襲撃事件の真犯人を特定!事件の真相へと迫る中明らかになる真犯人を操る黒幕の存在……『歩く闇市』の介入による更なる混乱。


 王宮の闇は予想以上に深く汚かった……


 次回、”引っ捕らえよ〜!!!”そして”あばよ〜とっつぁ〜ん”


 ルーナの飲む紅茶は、苦い。


 これでいいか?」


 う〜ん、まあ及第点で。それにしても状況分かっていないのによく適当な言葉並べてでっち上げられたね!流石腐っても王子!!


V:「?!」


 と言う訳で、次回はまたまたルーナちゃんターンです。どうぞ宜しく御願い致します!


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