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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
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81 王宮地下●階、監獄所で御座います

 読者の皆様相変わらず更新蝸牛ペースで申し訳ないです。


 さて、皆様……今回は厳重に警備されている王宮地下監獄所へとご案内させて頂きます。それでは本編をどぞ!


 会場に居る傭兵の人員の確認を改めて行い、更に護衛として凶悪な固有属性の精霊を数人つけておいた。


 これから少しだけここのホールから離れるので念のため、ね。



 フフフ……これでこのホールからは誰も逃げられまい。下手人視点から見れば完全に脱出不可能な牢獄だな。


 ま、せいぜい足掻いてみる事だ。


 無理に“登録者以外”が逃げようとすればきっと自分から死にたくなるようなエグい事になるだろうから。



 自重?何それ美味しいの?



 最近多忙でストレスマッハだった上徹夜で色々やって只でさえ導火線が短いのに更に短くなった状態の相手にこれだけ喧嘩を売ったのだから。


 勿論殺られる覚悟はしていたんだろうし?


 ま、そんな分けで私は安心してお仕置き部屋もとい、王宮の地下牢へと私達は向かったのだった。



 ちなみにヴィンセント殿下にはまだ“アレ”を見せるのも年齢的に時期尚早と思ったので、手刀気絶させて現在世界で1番安全だと言える亜空間へと放り込んでおいた。


 酷いヤツ?いいや、これから行う事を考えれば当然だと思う。


 今から行うのは本格的な尋問であって、正直まだ12・13の若者が見て良いものではない……場合によっては精神に異常を来してしまうかも知れない。


 まして、ヴィンセント殿下はトラウマを持っている。


 そして、今回尋問を行う相手の容姿は恐らく彼のトラウマを直撃するだろう事が容易に想像出来る。それは当然いい結果を生まない訳で……



 早い話しヴィンセント殿下には快適リゾート地仕様へと自分用にカスタマイズした亜空間で少しリラックスしておいてもらう事にしたのだった。


 私の分身体も一緒だし一応大丈夫だろう。



……………………………………



 さて、移動がてら王宮の地下牢について少しだけ解説しようと思う。




 まず、王宮に設置されている地下牢はこの国では3番目に厳重な牢獄であり、実際その判断は妥当だと思われる…何せ1番と2番は一度も罪人の脱出を許した事が無いからだ。



 1番は北側にある極寒の地に設けられた年中吹雪と氷河に囲まれた『コキュートス』と呼ばれる牢獄。周囲は氷点下を下回る為、ここに入れられた罪人は脱出出来る状況でも絶対に脱出しないらしい。



 2番目何と、ラウツェンスタイン領支配地域に存在する。その名も海流の不安定な海にポツンと浮かぶ無人牢獄島『バミュルダ』。


 特殊な病を持つ虫やら猛毒を持つ生物が生息する熱帯雨林の中に結界で守った状態で刑務所が有るのでここでも外に出ようとする者は居ない。


 ちなみに刑務所の警備員は全員登録制のゲートで自宅から行き来出来る状態になっているので単身赴任とかは無い。その上給金も結構いいので領内で割と人気な職となっている。



 まあこの2つの監獄と王宮の地下牢を比べるのもある意味酷なのかもしれない。


 ……何せコキュートスは無期懲役の極悪非道な罪人の為の牢獄、バミュルダは代々『番犬』の役割を持つラウツェンスタイン公爵家が逮捕した碌でなしの貴族・王族を逃がさない様秘密裏に処理してきた場所なのだから。



 どちらも王宮の警備だけでは内外部の協力者によって脱出されるリスクが高いからね……こればかりは仕方が無い。


 王宮の地下牢は前者2つの様に自然の脅威で罪人を囲っている訳ではない。人が行っている訳だから。



 実際問題中々に厳重な警備はなされている。



 まず王宮の地下牢へ入るには三ヶ所の関所を通過しなければならない仕様となっており、帰りも同じである。


 1つ目の関所は古代遺跡から発掘されたオーパーツな魔道具で行う検査。まあ空港で行う荷物検査と同じ様な感じであり、魔道具を持っていれば直ぐに分かる仕様となっている。


 2つ目の関所で行うのは牢獄に向かう人物の魔力波長を測る所……ここで牢獄に入った人物の登録を行うので誰が何時出入りしたか記録に残る仕様となっている。


 最後は桟橋。


 実は監獄の周囲はこれまた迷宮産の特殊な魔道具で湿地帯=沼地となっているのだ。


 この沼地は只の沼地ではなく、迷宮に有るだけあって鬼畜仕様となっている………迷宮の生物を維持した上で侵入者を確認すると凶暴化するそうだ。実際見た事が無いので程度は分かり兼ねるが経験者曰く、悪夢になるらしい。


 そこへ更に、ヤバい生物をご先祖様方は投入された様だ。


 具体的には、国の定める危険基準の第一指定に登録されている超危険生物……その数種類を生息させたとか。


 その上で、指定された船に着いている特定の魔物除けが無ければ襲って来るのだから、コネ以外の方法で脱獄させる方もする方も相応の覚悟と実力が無ければ難しいだろう。


 なお、この魔物除けは桟橋で配布しており2つ目の関所で登録した魔力の波長と一致していなければ魔物除け自体が効かなくなる仕様となっている。


 船から乗り出さない様に沼地の表面を見ると、確かにブクブクと途中泡が出ており何かしかの生命体が居る事は分かる…分かるのだが濁った黄緑と茶を5:2の割合で混ぜ合わせた様な不透明な色をしており詳しい形状までは不明。


 分かる事としては、私をして相当な威圧を感じると言う事くらい…つまり、相当ヤバい生物がここを縄張りとしている事位である。



 さて、解説している内に監獄へ到着したので早速尋施設内部に有る問所へと向かおうか。



 ああちなみに監獄施設の前にも桟橋が存在し、魔物除けはここで一旦回収される事になっている。帰る時に再び魔力の波長を測って再度登録した魔除けを受け取る仕組みとなっている。


 監獄内での盗難防止の為だろうな…万一囚人に盗まれて脱獄に利用されたら目も当てられないからね。



…………………………………



 魔金属の合金で出来た黒く重たい巨大な扉が音を立てて開いた。


 この扉は地下監獄の堅固な体勢の象徴とされていると同時に、湿地帯の魔物が侵入防止の要でもある。


 よくよく見ると、表面には細かな魔術式特有の紋様が見える。恐らくこれも迷宮産の国宝級のアーティファクトだろう……再現が魔道具部門最高の技術者達でも無理だった事が何よりの証拠だろう。


 予想としては、既に消失した巨大迷宮のボス部屋の扉をそのまま持って来たのだろうと思う。



 だけどやっと到達したな……ここまで約1時間。


 距離的には30分で着きそうだったが、魔力波長測定に以外と時間が取られてしまったのが原因かな……私の魔力波長は中々複雑らしいから仕方の無い事か。



 早速私は尋問部屋から出て来た傭兵『ブルーデイズ』の構成員ブルーノ・ファウスティオへ話し掛けた。



 ちなみに今回彼を含めた数名の信頼出来る傭兵達へ声を掛けてベテランのみ対応可能な場所を幾つかカバーしてもらっていた。


 ルナハウンズも優秀ではあるが、組織が出来てからそこまで時間が経っていない事と構成員の中でも熟練された連中は少ない事から彼らを登用する判断を下したのだった。



「ブルーノ、手伝ってくれて本当にありがとうね。」


「いいよ別に、結構イルマには借りがある訳だし今回それが返せたからね。それよりまさか公爵令嬢だったとは恐れ入ったよ……これからはルーナ御嬢様と御呼びするべきかな?」


「傭兵ギルドとか依頼中にこの事を言ったらフフフ腐…」


「い、いや、冗談だから…そんな真剣に報復方法とか考えなくていいから!!」



 互いに軽いジャブを打ち合った後、本題へと入った。



「今回は何だか大事になってしまって申し訳ないね…けど助かったよ。」



 実はピオトレ男爵令嬢が襲撃されていた頃会場の別の場所でルナライト社関連及び雇った傭兵以外で武装していた連中を秘密裏に見付けて行動する直前に対応してくれたのだった。


 まあその事もあって前者への対応が間に合わなくなった訳だが……それ以外の被害は未然に防ぐ事が出来たのが大きい。


 だから、正直物凄く彼らが居てくれた事で助かったのと同時に事前に武装集団を感知出来なかった事へとても申し訳無く感じている。



「はぁ〜…分かっていたし別にいいよ。大体最初から何かしら起こる事くらい分かり切っていただろう?」


「まあね。」



 そう、先程述べた様に武装集団がひっそりと会場へ潜り込んでいたのだ……それも、襲撃に失敗しても隔離しなければ会場の客へ大きな被害が出せる様な形で。



「何かしら仕掛けて来るとは思っていたけどね……流石に今回の出来事は想定外だったよ。」



 聞いた時は本当、頭を抱えたよ……あんな方法を取る糞野郎が居るとはね。



「それは俺も思ったよ。けど、まさかあんな手段を持っているとは…」



 ブルーノも青筋を立てていた…彼の居る『ブルーデイズ』はクランもメンバーをとても大事にするので、相当今回相手の選んだ手段を遺憾に感じているのだろう。



「全くね…


 まさか首謀者に時限爆弾術式を“アソコ”に仕掛けていたとはね……ブルーデイズ全員を呼んでおいて正解だったよ。特に長を…













 『爆弾魔人』或は『自爆の玄人』……セオドア・フランドールをさ。」



「グッ……その呼び方はもうよしてくれよイル坊。」



 噂をすれば影とは良く言ったものだ……丁度尋問部屋の扉が開くと、『ブルーデイズ』のトップ、が立っていた。



 ブルーノが若く軽い感じの変わったエルフ青年。それに対し、此方はハーフドワーフの筋骨隆々で何故か高身長の重厚感有る渋い中年。



 又は、老け顔とも言う……ドワーフが全員老けているのは一種の呪いなのだろうか?


 どうでもいいけど……



「おい……今俺の顔を見て失礼な事を考えなかったか?」



「いや、別に。それより解除出来たようだね。」



「何か躱された様な気もするがまあいい……ああ、一応全員仕掛けられた魔術式の解除は終わった。案外単純な命令式しか無かったから特に問題は無かった。


 ただ、術式に精神操作系の術式があったのが気になったので術式解析を行った奴以外は全員時限術式のみ解除する形にした。


 一応今も尋問出来る状態だ。やるんだろ?」



「上出来!報酬は弾んでおくよ。」



 不機嫌そうだった顔はニヤリと歪む。



「期待しておく。出来ればルナライト社の武具を含めた雑貨から報酬を出して欲しい。」



 まあ妥当な所だな……あの新型ハンマーがいいかな?



「了解、フィル君に連絡しておくよ。さて、私はこれから尋問するんで部屋の監視を宜しくね。」



「「了解。」」



 私は尋問部屋の扉を開き、中へと入って行った。



 古城の地下牢って何だか浪漫を感じませんか?何かしらの秘密とか歴史的な事件の裏側とか色々隠されていそうな感じの。それ以外にも仕掛けとか秘密通路とか。


 ファンタジー小説とかだと何か廃城のダンジョンとしてアンデッドとか強力な元獄卒モンスターとかが出そうですよね?


 そんな事をイメージしつつ、気付いたら不気味な沼地?湿地帯?が地下に出現していました……生息する魔獣はそうですね、滑り気の有る皮膚をした不気味な舌の長い奴とか鋭敏さを売りとする鋭利な歯を持つ魚類とか様々です。


 ただ、1つ言える事としては入ったら最後、骨も残らない場所と言う事ですかね?


 さて、いよいよ次話……ルーナちゃん、実行犯とかどうするんだろう(ニタァ


 それでは次回も宜しく御願い致します。

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