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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
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80 ヒロイン()襲撃

 皆様どうもこんばんわ。何とか週末時間が出来たので更新致しました。


 さて、今回はタイトル通りヒロイン()が出ます。それでは本編をどぞ!


……………(???)……………



 ああ、王子様格好よかったな。


 けど、スチル版の王子様と比べると何だか地味だったな……どうしたんだろう?


 でもでも、あの黒い軍服ならあの色合いでも十分格好いいと思う。まあ当然金のメッシュ入りの銀髪に鮮やかなオッドアイ姿の方が好きだけどね。



 隣に立っていた女の子が多分悪役令嬢だよね……2人ともシナリオ通りではなさそうだったな。


 と言うか、何であんなに仲がいいの?確か王子はルーナを嫌っていたはずだよね?


 王子は将来の王として責任に対して重圧を感じていて、それを全く支え無いし理解しないルーナを嫌悪していたはずなのに…それで関係が悪かったはず。


 あんな風に頬を染めて(ヒロイン)以外を見詰めているの何て、私知らない!!



 けどいいもん、どうせ私の王子様になるんだし。せいぜい今の内に楽しんでいていよね。



 ああもう、やっていられない……どうせ舞踏会終盤辺りに接触する予定だし、今の内に食べられるだけ食べちゃおう。


 大手企業、ルナライト社食品部門の提供するご飯は本当に美味しいのだからね♪



 今回は……ご飯系が沢山だ!!



 こっちの食事は西洋料理がどうして多いからどうしてもパンが主食になるのよね……私的には食べ馴れた米の方がいい。


 それに、前世で病気治ったらカレーとかチャーハンとか他にも色々食べたかったしね。基本的にネットで写真は見た事あったけど、どんな味かマンガとか小説とかを元に想像する事しか出来なかったからな……


 もうあんな…薄っぺらいパンとかドロドロなお粥とかは二度と食べたくない。


 あんな味気ない病院食はもうこりごりだ。


 次生まれ変わったら絶対好きなだけ沢山食べたいって思っていたからね…そう言う意味では本当にシャドウに感謝だな!


 この健康な身体なら沢山食べても大丈夫だから最高!!ちょ、ちょっと身体が人より丸いのはご愛嬌だし…それにヒロインだからどんな状態でも可愛いからね。


 フェルマーもいつも可愛いって行ってくれるし!


 でも最近ルイスは五月蝿いんだよね……もう少し食事を控えろとか運動した方がいいとか…


 それに、フェルマーと一緒にお出かけしようとしても凄く邪魔する……意地悪だよね〜本当に。



 だからなるべく避けていたのに今日は何か着いて来ちゃったのよね……



 攻略対象者じゃない只のモブの癖に何でそんなに私に構うんだろう?それに何で私もこんなに気にするんだろう?


 あまり人と接して来なかったからよく分かんない……恋愛初心者だし。


 いつも眉間にしわ寄せて私の事を叱ったり、時々転びそうになったら支えてくれたり、困った時に直ぐ側に居てくれたり……


 ただのモブの癖に何か格好いいし、ぶっちゃけモテるし…


 ま、まあ、皆私には敵わないけどねどうせ!!



 今日も何故かフェルマーではなくルイスがエスコートしてくれているんだよね……フェルマーは護衛だって。



 あ〜あ……きっとまだどうせ意地悪く「意地汚い」とか「減量しろ丸太」とか言って来るんだろうな…モギュモギュ



 美味しい♪蟹チャーハンに海老チャーアンに福建餡掛けチャーハン。


 ……と言うか、何故か料理人が出張っている件。


 これってアレよね…前世でテレビに出ていた熱々のまま食べられる系の割りかし高級なバイキングの形式。


 流石ルナライト社食品部門……分かっていますね!



 “出来立て”を直ぐその場で食べられる事が1番の贅沢なんだよね!!



 分かるよ、超分かるよ!!だって前世の食事悲惨だったもん!いつも冷めた状態だったから余計に不味かったし…


 ああ嬉しすぎて何か涙でて来た…



「美味しい…」



 だけど、そんな至福の時間は突然私を狙った様に飛んで来た熱々のトムヤンクンによって終わった……



「キャアアアアァァァァァァァァァア!!!!!!!」


「危ない!!!避けろ!!!!!」



 うつろな目をしたフェルマー。彼は、手が焼け爛れるのも構わずに熱々のスープ壷ごと私の居る方向へと投げてきた。


 そして、一瞬遅くなる風景……ああ死ぬのかな?



 やだな………折角生き返ったのに。



 まだまだ食べたいものもあるし、やりたい事も有る。


 だって折角健康で可愛いこの身体を手に入れたのだから。


 それにもうあんな薄暗くて苦しい場所に居なくていい訳だし……やっと私はあの苦しみから解放されたばかりなんだから。


 こんな所で死ぬ何て……理不尽だよ!!



 そして次の瞬間目の前に見知ったの背中を見た。


 …広くて、私の背を越えている背中を。



 彼は給仕から奪ったらしい銀のお盆を使ってスープ壷を退けるも、熱々のスープは彼へと降り注いだ。



ジュウゥゥ「グアアアァァァァァアア!!!?!?!」



 オーブンで焼いたばかりだったらしく、相当の熱が此方まで伝わって来る……それを彼は…


 私を庇う必要なんて無かったのに……



「ル……イス?」


「………グッ……無事…か……よか……」


「ルイス?!ルイス!!…誰か、氷水!!早く誰か!!!ルイスを助けて!!!」



 ルイスは私を見ると安心した様な柔らかな優しい笑みを浮かべ、そのまま気絶した。


 意識を失った彼を見て、私は恐怖した。




 このままだとルイスが………絶対にイヤだ!!彼だけ(``)は失いたくない!!!




 頭から被った訳ではなかったが右肩から足にかけて酷い火傷を負っているのは幾ら無知な私でも分かる……未だに服に染み込んだスープから湯気が出ている。


 私は彼の上着を脱がせた。


 金属の留金で指に火傷したけど、こんなものはルイスの火傷と比べれば何て事は無い……早く彼を冷やさないと…



 誰かがツカツカと、こっちに近付い来る音がした。



 氷水持って来てくれた人かと思って顔をあげると……そこには無表情なフェルマーが居た。


 軍服は彼にとても似合っていて、普段の私だったら喜んでいたと思う……だけど、今は恐怖しか感じなかった。


 私の護衛用にと父が渡した黒い地味な短剣を抜いて、手に持っていた。良く見ると剣からは血が滴っており、歩く度ポタッポタッとその液体は雫となって垂れていた。



 私を殺す…の?



「逃げろ!!!」


「おい、誰かアイツを押さえろ!!どうなっている!!!」



 ザワザワした音が何故か遠くに感じる。そして私の身体は動かない……怖くて全身が震えている。


 目の前まで来ると一旦止まり、横たわったままのルイスへと顔を向けた。


 そしてフェルマーは表情を変えずただ作業を行う様に剣を振り上げた。


 咄嗟に私は動けないルイスの上へ被さる……怖いけどこのままルイスを殺されたくない!!



 そして、私は目を瞑った……衝撃と痛みに備えて。



 だがその瞬間は一向に訪れず、何かにまた庇われたのだと分かった。



「………間に合った。」


「ああ、だが危なかったなぁ全く……我が社の従業員怪我させた挙げ句お客様襲撃しやがったツケはきっちり払わせないとな。」



 目の前に居たのは王子様と……銀色の長髪に暗銀色の軍服姿の“麗人”であった。


 そしてよくよく見ると………壇上に居た悪役令嬢と同じ髪型。


 だけど今目の前に居るのはかつてルナライト支部店で買い物中絡まれた時に庇ってくれた少年…と思しき人物と同一人物だと分かる。



 見間違えるはず無い……だって後ろ姿そのままだもん。あの長くて奇麗な銀髪は見間違えるはず無いもん!!



 え?じゃあ何?どう言う事?!と言うか私が一目惚れしたのって………











 ま さ か の 悪 役 令 嬢 ?!



 いや、今それどころじゃない!!!



「あの、すいません…ルイス、ルイスを助けて!!!私のせい…ウグ、ヒック…ひど…やけ…ど……私のせ……死んじゃ……」



 私のせいで……私の事を庇ったばっかりにルイスが死んじゃう!!!


 泣き出した私の頭を優しくポンポンと叩くと、銀色の麗人は前世の携帯電話と思しきものをポケットから取り出した。



「イッシー21、急患。移転先の座標定めたから、今から開くゲートで来てくれ。」



 そう言って、複雑な術式を一瞬で作り出して空間を文字通り“裂いた”。


 そこから前世で言う救急隊員の様な人達がストレッチャーと延命措置を持って現れる……直ぐにルイスを乗せて開いたままの空間を通ろうとした。



「待って下さい……私も一緒にいて「彼女も連れて行ってあげて、だけど2人共例のアレで絶対隔離しておく事。」「了解しました御嬢!!」え?」



 私は驚いて彼女の方を見る。


 すると、爽やかな笑みを浮かべて。



「大丈夫、彼は助かるから……それより閉まる前に行きな。」



 私は礼を1つしてから慌てて空間に入り、彼らの後を追った。



……………(end)……………



 危なかった……後一歩遅かったらあの2人は死んでいたな。



「ヴィンセント殿下終わりましたか?」


「ああ、こっちはもう済んだ。それよりそちらは?」


「恙無く。」


「そうか…」



 私が駆けつけた頃には修復不可能な程物体Xから浸食を受けていた監視対象は行動に移っており、怪我人が出ていた。


 特に重症だったのが頸動脈切られていた若い給仕。


 当然ルナライト社の社員で有り、彼は王都で人気のあるカフェの店員をしていた……私が直々にスカウトして北得たので良く憶えている初期メンバーだ。


 放置したら確実に死ぬのでそちらをまず優先していたら、あっという間にヒロインと彼女を慕う少年が襲撃されていた。


 咄嗟に結界を張ろうにも距離があり過ぎたので無理だったが、何とか止めを刺す前に止められた。



 これはもう………明らかなる失態だな。



 元々シャドウの動向を知るために泳がせていた奴が何処からとも無く武器を取り出して使ったからな……アレは精霊や探知魔道具でさえも感知出来なかった。


 だけど何故このタイミングなのだろうか?


 今の所ラウツェンスタイン領からは何の連絡も無い。オールグリーンだ。つまり狙いはこっちではない。



 ならば……まさか囮では無く只ヒロインを狙っただけ?!


 だけど彼女は協力者では?



 う〜ん……こればかりは仕様がないとしか言いようが無いか…多分もっと単純な理由の気もしないではない。



 それより今は、この騒ぎを止める事だな。



「皆様静粛に。


 此の度、ルナライト社代表取締役代行として皆様を危険に晒した事、また、護衛が間に合わなかった事、深く御詫び申し上げます。誠に申し訳御座いませんでした。


 また今回の事件の首謀者とその目的については現在既に調査に入っております。後日報告出来うる範囲、報告させて頂きます。


 なお、既に危険は去りましたので祝賀会はそのままプログラム通りに実行させて頂きます。但し優待については後日郵送致します。


 皆様御迷惑御かけ致します。」



 礼を1つ。



「更に今回お詫びと致しまして……本日御出しするつもりの無かった高級食材を幾つか提供させて頂く事に致しました。


 先程、担当の者から郵送が届きました。


 十分量御座います。ですが、本日召し上がれなかった方々は祝賀会の帰宅時受付にご連絡下さい。その場でお渡し致しますし、郵送も手配致します。


 それではこの後もどうぞごゆっくり御楽しみ下さい。」



 白けた空気は私が亜空間から食材のベースとなる生物を取り出した瞬間大いに盛り上がった。



 今回出すつもりではなかったのは巨大な貝。


 外側から見ると全体的に薄汚れた汚い色をしているが、それはそれだけ過酷な海流を生き延びた歴戦の貝である証だと言われている。


 そして、形は人魚が胸当てや髪飾りに使うに相応な奇麗な扇の如き形状。



 そして、バターを入れて焼き上げ少し香り付けにジュッと醤油を垂らせば……



「まさか……あれは伝説上の代物ではなかったのか?!いや、そもそも我々の人数集めるのは不可能…つまり見付けるだけでなく養殖に成功したと言う事か?!!
















 それは伝説の巨大帆立じゃないのか?!」



「ええ、その通りです。

 本日の余興として巨大帆立の姿焼きを提供致します。」



 先程の騒動を他所に、会場の熱気は一気に上がった。


 後は料理長に任せてさっさと私と殿下は控え室へ下がる事にした…首謀者をさっさと割る為にも捉えた協力者を拷……少々過激なお話をしなければなりませんからねフフフ。


 久方ぶりに気合が入ると言うものです…手加減、出来ればいいですがね。











 それにしてもヒロインよ………意地汚く食べ過ぎだ。


 まさかチャーハンだけでも全種類大皿を抱えて1人で食べるとは流石に想定外だった……しかもその後もフルコースを食べようとしていたとは…


 そして、以前見た時の3倍になっていた……主に体幹の大きさが。


 一瞬別人かと思ったけど同一人物だった事に滅茶驚いたよ…いやマジで。それこそ自分の姿に驚いた以上にね。



 ………うん。どうやらルナライト社支部店は彼女に飯テロを起こしたっぽい。

 別に意図してやった訳ではなかったのだが…



 そう言う訳で、ヒロイン”が”襲撃されました。


 ちなみにヒロイン()の体型はビア樽型です。


 分からない方はそうですね……某海賊王目指す漫画の女性だけしか居ない島編に出て来る美女姉妹の内蛇(キングコブラの方)の能力を持っている方を想像して頂ければ…


 さて、ルーナちゃん冷静に見えて結構キレれています。更に襲撃の重要参考人は既に数目取り押さえております。彼らの運命は一体……


 次回も宜しく御願い致します。

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