74 行きはよいよい、帰りは怖い…
読者の皆様更新が遅れて申し訳御座いません。リアルが忙しいため今後も大幅に遅れます、多分…。ですが、細々と続けていきます。後、行間は後日調整致します。見にくいと思います、すいません。
さて、今回で霊山編は終了です。と言うか、実質的には前回で終わっている感じです。それでは本編をどぞ!
『百獣連合』の修復が粗方終わり、『百鬼会』側の領土を少し広げた形で柵を設けて早3ヶ月。
どんなに工夫して急いでも、やはり結構時間はかかってしまうものだと実感した。
特に、熱消毒をする意味で全焼却処分した為ほぼ更地状態の場所も有れば、古い家屋が無計画に乱立した上で地面が凸凹している場所もある。だから家を予め組み立ててから運んでも『ヴェネチモール』の様には行かない。
結局全て土地をならしてから家を建てていった……規模は『ヴェネチモール』の方が断然大きいのにほぼあそこと同じ位時間が掛かった理由は正にそれだろう。
ちなみにこの間私は11歳となった。
放置している仕事を最後までやり遂げる為にも、一瞬だけ家に移転して報告だけ済ませてから霊山へと再移転した。
その時母親が珍しく実家に居たのだが……
「たまにはちゃんとお洒落して社交もしなさいね?」
と怖い笑顔で脅…言われてしまい、肝を冷やしたと言う事をここに記しておく。
元傭兵として様々な威圧に慣れて来た自負が有る私を(前世より大分幼くなっているとは言え)あれ程威圧するのだから、恐らくただ者ではないのだろう。
いや、それは当然か……彼女は社交の場に於いて素敵?と言うより物騒な厨二ネームを幾つも持っているからね……………
『女王様』、とか『紅茨婦人』とか、『|御姐様《何処までも御伴致しますわ》』とか、他色々……結構意味不明なのが多い。
結構著明、つか露骨なのが婚前時に呼ばれた『夜叉姫』かな?実際切れたときとか背中に背負っているからあながち間違いではないと思うけどね。
けど、聞いた時思わず突っ込み入れそうになった……何でこんな所で日本の文化が出て来るのか、と。
まあ今となってはどうでもいいんだけどさ…
駄菓子菓子、今世の母親がコレだけ色々言われているのにもちゃんと理由は存在する……と言うか、ある意味母は被害者であり…同時に加害者でもあると言える。
どうも、美人だった母は社交界に行く前から○リコン連中から狙われて毎回金的をしたり他にも色々やらかしたりしていた結果、彼らを新世界の扉を開かせてしまったらしい。
……事実ウォルター含む古参の使用人達の昔から聞いた話しに寄れば、鞭等の拷問道具の扱いが異様に昔から上手かった様だ…天性的な意味合いで。
本人は至ってそんな性癖は無いと主張しているし、それに私の知る限りでは父にもそんな変態性癖はなかった…はず。
……何か急に自信が無くなって来た………
いやいやいや、考えても見るのだルーナよ!
あの辛辣な貴族の社会で和やかに渡り歩いている腹黒狸がそんな性癖持っている分けないじゃないか!!
そうだ…思い出せ……思い出すのだ。
親父のあの“黒い笑み”を…
あの宮廷内で生じた横領事件に関して犯人を拷……尋…ゲフン、お話しする時のあの意気揚々とした表情を。
ガタガタと真っ青通り越して土気色になっていた小者そうな丸いオッサンを舌舐めずりしながらまるで得物を見る様な目で眺めていた事を思い出してみろ。
そして“別館(意味深)”から鶏が締められた瞬間の様な甲高い叫び声が何度もした事を……
そうだ……アレはどう考えてもSの星の人だ。
いや、あれこそが本当の“サディスト”と言うものであろう…少なくとも“こっち”では。
ちなみに私がこの、父親の知りたくもない性癖の1つを知ったのは、僅か2歳の頃……丁度記憶が戻って回復した後辺りだった様な気がする…
当然あれから暫く父からフェードアウトした事は言うまでも無い…本人は落ち込んでいたそうだが。
ま、当然だろう?
さて、大分話しが逸れてしまった様な気がする…何を話していたんだったか……
そうだ、実家に一瞬還ったら夜叉を暗雲と桜吹雪と共に背負った母親が金棒持参で脅されたと言う話しだったような……
あ〜…家帰るのが何か憂鬱になってきた………
還ったら多分マナーとか色々やらされるんだろうな〜全部完璧に出来るから問題ないけどさ。
でも私はフリフリした様なパニエとか嫌いでね〜…兎に角身体を拘束して動きを阻害する服装をさせられるといつも凄いストレスを感じるんだよね……
そして、予想出来る未来…と言うか既に確定している未来として、母親に着せ替え人形の如く大量のドレスを脱ぎ着させられるんだろうな〜…
還った一瞬の隙に私の身体を軽く計量しちゃっていたからね…私が逃げる間もなく。
本当に何者だよ……
前も明言していると思うけど、はっきり行って私はキラキラ系やゴテゴテ系の派手なモノが苦手だ。そして、シックで落ち着いた色合いが大好物だ。
言っていなかったが、実は可愛い系の淡い色合いなら一応いける…可愛いは正義なので。
そして、母は何故か私にいつも派手な色合いのドレス…深紅とかショッキングピンクとか、兎も角目に毒なド派手なモノを着せたがるのだ。
そして完成する頃には必ず心の中で突っ込む事が有る。
“何処のアントワネットだよ…”
米が無いならせんべいを食べればと?(←和食派)
そして今回はどんなド派手な色だろう〜…解放される頃には意識が保っていられるのかな〜……と言うか、生きていられるかな…
母もそれさえなければ尊敬出来る大人なんだけどね……
考えているだけで自然と遠い目をしていたみたいで、隣に居たヴィンセント殿下とジャンクリに心配された。
2人とも気にしなくていいよ…私の問題だから。
あ〜あ……
それに、私が更に憂鬱になっている(つか、現実逃避したい…)理由は別にあるからね……
それも結構深刻な事情だし…まじでどうしよ。
…………………………………………………
実家に還ってから予想通り母親から洗礼を受け、暫くぐったりしてしまった。
………ちなみに今回母の用意した色はカナリア色から始まり、最後にはフラミンゴピンク等のピンク系を幾つか試されていたと…思う。
いや、最後の方は余り意識が無かったと言うか……
勿論キンキラした金属とか水晶とかが全体にまんべんなく散りばめられた生地を使っていた…目が痛くなった事は言うまでも無い。
つか、私には派手な色彩は合わないと思うのだが……
それは兎も角、と言うか、その疲労が吹っ飛ぶ程に現在結構やばい状況に有るんだよね……
当然今回の『霊山』で消費した物資についてですよ…
一応今回は、魔術式の紙を『転移』以外は殆ど使っていないのでその分のコストが掛かっていない事が幸いか……いや、掛かっていたら今頃ガチで泣いていたと思うけど…
だが、全体的に見て今回の遠征は短期的には赤字だった。
『百獣連合』の復旧作業に使われた資材のコストだけでも頭が痛くなる程の額になり(大体日本円だと2億は軽く越えた…)、更に治療費やら食材費等も馬鹿にならない程掛かった。
必ず返すとルドヴィン君に言われたが、全く期待はしておかないつもりだ。それとカミュ爺に立て替えたろかと言われたが、後が怖いので断っておいた。
………私は私の好きな様に生きたいから『百鬼会』に属するつもりは無いから…未だ狙っている様だけど。
ちなみにヴラド君の依頼に関しては、ヴェネチモールの復興費用をちゃんと出してくれた上で報酬を貰っているためちゃんと黒字となっている。
まいどあり¥
あ〜…だけど、それにしても今回の出費は痛い。
非情に痛かった。
どれくらい痛いかと言えばそうだな〜……60代後半だが筋骨隆々なお爺さんが魔法少女の衣装を着用した上で「悪い人にはお仕置きよ♡」とか急に面と向かって言われる時位。
駄目だ………コレじゃ“痛々しい”だ…
つか、もう冗談じゃなく色々やばいのでいい例まで浮かばない……どうしよ。
ちなみにこれほど焦っている理由だが、非情に単純だ。
今現在持っている資産で生活等を賄う分には十分なのだが、開発費や施設維持費を始めとする細々とした必定経費が今回の急な出費でピンチとなっているのだ。
「ああ、やばいよ〜…超絶やばいよ〜……」
転がっても仕様がないのだが、私は自宅のベッドの上でゴロゴロ転がっていた……と言うか、私のこうさせる程やばい事態なのだ。
と言いつつ、実は既に解決案自体は幾つか出ている。
ただなぁ〜………
「お嬢様、お時間です。」
「は〜い…」
ウォルターに呼ばれ、軽く身繕いをした後私は廊下へ出た。そしてそのまま“父親”の書斎へと向かう。
向かう先はこの国の一部の信頼出来る『貴族』が集まっている場所……信用出来るし金は有るが、“土地と人”を持っていない者達だ。
彼らがここに来ているのは、私が以前から温めていた幾つかの計画を前倒しで行う旨を伝えるため。
そして、これ本来なら私達が国外逃亡した後長期間残す事を想定した『分身体』にやらせる予定だった……だってどう考えても私の事を今以上にこの国に留めさせよとするだろうから。
だけど仕方がない………開発費をケチって『シャドウ』の襲撃に対応出来ませんでしたじゃあ駄目だからね。
でも、当然何とか逃げる予定だよ…何せ、相手は精神年齢は私と“同等”か“それ以下”何だから負ける気はしないよ。
ええ、例え肉体に多少精神が引っ張られていようとね。
「御待たせ致しました。これより第1会株主総会を始めます。」
と言う訳で、次回は汚い?大人達の会議です。駆け引きとか私自身は上手くないので正直自信無いですが、頑張ります。
次回も宜しく御願い致します。




