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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
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71 悩み事(糞BBAめ、覚えてろ…)

 読者の皆様どうもこんばんは。ご指摘・ご感想、有難うございます。後日返信致します。後今話に関して行間を開ける作業は明日行います。現段階では見にくいと思われます、申し訳ないです。


 さて、前回は報告を受けた所で終わりました…今回はその続きっぽい話しです。それでは本編をどぞ!



 さてと、一応指示あの後指示を出したのだが………ライル君に『分身体』が指摘を受けた。


 以下がその内容。



「ジョゼフ所長、王子の件話した時近くに居たはずなのに自分達に伝えられていなかったって、何の力にもなれなかったって若干落ち込んでいましたよ?


 幾ら彼らが“元”亜空間倉庫内の特別保護区出の、世間的には『危険種族』と迫害を受けて北連中だからって、気を使い過ぎですよ……そうされると逆に相手は信頼されていないのではないかと落ち込むものです。」



 それは十分に分かっている……それに彼らの事は十分に信頼している。だからこそあの“資料館”の鍵を託す事が出来たのだから。


 それに、他に王子の病変の原因を伝えたくなかった理由は有るんだよ………それも割とシリアスな理由が。



 “彼ら”の出身……いや、“彼ら”を保護した場所が、元王妃(糞BBA)の出身国だったんだよ。


 つまり、王子に使われた毒薬の出所だ。



 この件に関しては既に尋問の結果割れている事で、それは国王陛下も知っている………知った後、早速同盟は破棄されているので外交的には現在余りいい状況とは言えない。


 ま、相手の国も現在色々と問題が有って暫く攻込めないだろうけどね……戦争に必要な物資が圧倒的に足り無いだろうから。


 それは兎も角。


 問題は、彼らの種族が“元”とは言え“薬師”を生業とした種族だった事………それも、『王宮お抱え』と言うなの強制労働を強いられている。


 そしてそれは現在も続いている……私が保護出来たのは、ほんの一握りの運のいい連中だった。



 彼ら、『ハンター一門』は、代々優秀な薬師を産出している種族であったらしい。特に“毒を持って毒を制す”と言う理念の元、彼らは日々研究していた。


 同時に暗殺稼業も営んでおり、歴史の裏側で暗躍する事もざらに有ったと言う。


 そんな彼らを王宮が抱える様になった切っ掛けは些細な事だった。


 手段は至ってありきたりかつ悪質と言えよう………わざと無茶な依頼を吹っかけて、失敗した連中を人質として利用する方法を当時の王族は使った。


 初めから目を付けられれば終わりだったのだ。


 無茶だと分かって居ても、国の重鎮、それも王族の指名を断る事はほぼ不可能と言える。


 そして無様に失敗した場合は違約金が生じる……夜逃げ等の手段を使えば信頼を失い、裏稼業の場合だと特に二度と仕事を旋回して貰えなくなる。


 と言うか、そんな奴に仕事を頼めないと言う評判が付いてしまい………国外に出ようがその評判は付いて回るものなのだった。


 ハンター一門に迷惑をかけたく無いが為に、依頼を受けた者は文字通り王家の“所有物”となった………自分を売る事で何とか違約金を捻出したのだった。


 そして、ハンター家は家族愛の強い一門であったが為に、その後王家の張った罠に引っ掛かってしまったのだった。


 それから1世紀近く、彼らは“奴隷”の如く働かされた………一族の数が段々と減っていった。


 それもそのはずだ、彼方のはそれを狙ったのだから。



“脅迫・恐怖による強制的な支配は、いつか必ず綻びが生じる。”



 その事を先人達は分かっていたのだろう……だから、利用出来るだけ利用してさっさと存在ごと秘密裏に末梢してしまおうと考えた訳だ。


 ま、その目論みも“次世代達”が阿呆だった事で潰えてしまったが。


 そして、虎視眈々と機会を伺っていたハンター一門の連中は有る決断をしたそうだ。



“一族の一部だけでもこの環境から逃がそう。”



 これは、家族愛を重んじる彼らにとっては非常に苦渋な決断だったと言えよう………何しろ“捨て身”となる家族達を見殺しにする訳なのだから。


 そして、その思惑は成功した……それが大体30年前程らしい。



 何とかその王国から逃れ、彼らは私の現祖国である『フォーレンタール王国』へと亡命した。


 とは言え、“よそ者”への対応はどの国も厳しく……まともな職業にありつけず、細々と何とかスラムでその日暮らしをしていた。


 それから暫くして、王妃の婚礼にあやかる形で彼らへ“追っ手”が差し向けられる……それもそのはず、何故なら彼らは王国の機密事項を多く知っているのだから。


 特に、誰をどんな理由から暗殺したか等、知られたら不味い事だらけだ。


 スラムに溶け込み何とか暮らしていた彼らは何とか逃げ出した……そして、表立っては行われていないが裏側の世界で指名手配を受けてしまった。


 結果、居場所を追われて今度こそ潰える事になる…少なくともそう思っていたらしい。


 私は元々王妃の事が大嫌いだったし、あの王国(←結局名前を憶えていません、だってそんな価値ないし…)も碌な事が無いって知っているからね。


 ま、そんな分けで私が引取ったのだった。


 その後、その王国へルナライト社の件で出向き、王宮から逃げたいと希望した者達を何度か引取っていった。


 中には人質を取られる等身動き出来ない状況の者達が居り、私も動き過ぎると目を付けられるので助け出す事は出来なかった……


 故に、現在進行形で『ハンター一門』はあの国の王宮でこき使われている。



 当然そこから連想出来るだろう………『新月』の出所を。


 何しろ”彼ら”以外際立って優秀な薬師は居ないのだから。



 この事を知れば、今は大分立ち直って新しい仕事に励むジョゼフ君や彼の一族の者達がどんな思いをするか………私はどうしても、この事を伝えられなかった。


 薬師の一族で有るからこそ分かるはずだ……『新月』がどれ程やばい薬か。


 それを残して来た一族がどんな思いで作ったのか……想像するだけで私でさえ気分が悪くなるのだ…


 彼らにとっては身内……一族郎党切腹しかねない。


 まして、今回私の周囲の大事な者に被害が出た……彼らは死んでも償い得ないからと、どんな事をするか想像も付かない…


 もしかすると、王宮に乗り込んでヴィンセント殿下を殺そうとした連中をしっかり甚振った上で“皆殺し”にするかも知れない…


 或いは見せしめとして、その首を街中に晒すかも知れない…


 いや、実際そう言う事をやり兼ね無い連中なのだ………彼らは薬師として人を治療する立場に居ながら人を殺す事も平然と行って来たのだ……それも何世紀も。



 暗殺者として彼らにはこんな渾名が有る……『黒蛇』と。



 毒薬を自分の肉体に使って人間らしからぬ動きをも可能とする狂人かつしなやかな“筋骨”を獲得。


 更に、体液は意識すれば大概の生物にとって“有害”な物質へと変える事が可能となるよう幼少期から鍛えている。


 そして………病魔を治療する時同様、暗殺は“徹底的”に殲滅する………死ぬまで追尾を続け、真綿で締め付ける様に追い詰めてから殺す様だ。



 成る程……黒蛇とは良く言ったものだ。そんな風に私は思った。



 そんな敏腕な暗殺者でも既に死んだ者を狩る事は不可能であり、それが王宮の出した無理難題だったそうだ。



 曰く、王宮に沸いた死霊を殺せと。



 “有る程度”の毒薬や物理が通用するのは生者であり、当時の彼らは魔術自体も知らなかったために通用しなかったとジョゼフから直接聞いた。


 当たり前の話しだ……魔術式の開発は『フォーレンタール王国』が最先端であり、その他の国はまだまだ未開発、中には未だに導入出来ていない国も有る程なのだ。当然王妃の出身国の”彼ら”も余り詳しくないはず。


 つか、恐らくあの国で魔術式を使えるのは貴族と王族の一部のみなのだろう。なるべく出回らないよう、権力掌握の為にそう言った”武力”を独占している傾向が歴史上からも読み取れたからな…馬鹿だよな。


 そんなんだから未だに国の内部がガタガタになりつつある『フォーレンタール王国』をいつまでたっても攻込めないんだよ…圧倒的な”技術差”によってね。


 少し話しが逸れたので、元に戻すが……


 今は『ラウツェンスタイン領』に有る職業訓練学校で魔術技術に関して猛勉強した結果、元々魔力素要の大きく現代科学に通じる様な概念を既に持っていた彼らはとても優秀な魔術エンジニアとなれた。


 故に、同じ様な無理難題を押し付けられる自体に陥ってももう大丈夫だろう。ま、その前にそんな事を私や公爵家(実家)がさせないが。


 今では私の作った『魔窟書庫』の文字通り飛び回って暴れる書類と格闘出来る位だからね………それは凄い事だと私は少なくとも思うよ。


 何しろ、自称“闇の帝王w”な慢性的厨二病患者にストーカーされている眼鏡と額の稲妻が特徴の某魔法使いの物語の”第一巻”に出て来た賢●の石へ続く道筋にあった“鍵の部屋”を参考にしたのだから。


 いや〜、マッハで分厚い書類がゴーッと音を立てながら顔の横を通り過ぎた時は、私でさえ一瞬死を覚悟したよ……つか、まともに当たっていたら魔王とか処刑以前に間違いなくアボンしていたと思う。


 あの時は流石にちょっとやり過ぎたかなと後悔した…反省はしなかったけど。


 そんな分けで、アレを毎日整理整頓したり必要書類を出したりするのは中々大変だと思うけど皆さん文句を言わずにその業務を引き受けてくれたのだ。


 後、彼らとは一定の信頼関係を築けているので安心して任せられる。


 その事を告げると、物凄く喜んでくれた……やっと自分達の居場所を見付けられたって。


 暗殺や薬師は確かに一族秘伝だが、それを“利用”しようとする連中に対しては100年以上迫害されて来た結果相当敏感なアレルギー反応起こしていたからね……


 私も最初の頃は威嚇されて大変だったもん……


 今でこそ和気あいあいとのんびり仕事しているが最初の頃は周囲にいる者全てが敵見たいな感じでずっと緊張しまくっていたし、それに何時見ても憔悴していたのだった。


 最近では他部族とも普通に会話する様になったし、我々に対してもそこまで緊張して接する事もなくなった。


 実にいい傾向である……それなのにね。


 やっと彼らも安定したと思ったのに、あんな騒ぎになったのだ。



 ……本当にあの糞BBAは碌な事をしない。


 本当に還って欲しい。つか、頼むから還れ。いや、頼んであげるから還ってくれ…土に。いや、割と切実に。



 そんな分けで、未だに私は彼らへ『新月』の出所について話すべきか悩んでいる……いつかばれる事は分かっているんだけどね。


 でもさ、それが別に『今』じゃなくてもいいとおもうんだよ。


 折角領内で馴染んで社会復帰もして、楽しそうに『俺達の居場所が出来た!』って報告してくれるまでになったのに、あの件に付いて伝えたらまた逆戻りしてしまいそうな気がする。



 そうだな……………被害者交えて共に話し合えばまだマシかな…


 少なくとも別にヴィンセント殿下は彼らを疎んじる事もないだろうし……と言うより今までの彼らの境遇を聞いて同情しそうな気がする。


 彼もまた被害者だったからね。



 っと………



「ルーナ様!急患入ります!!」


「了解!揺らさない様にだけど速やかにそこへ寝かせて!!」



 今は仕事に集中しないとね。


 今日は全く調子が出なかったので、戦闘組をウォルターとジャンクリに任せて来たのだ。


 いや、本当は行けたんだけど…あの2人がね……



「そんな体調で怪我でもしたらどうするつもりだ!!」


「そうですよ、お嬢様。私共に任せてささ。」



 そんな風に朝のミーティングでしつこく言われたので仕様がなく、誠に遺憾ながら現在“総大将”である私は野戦病院(仮)の診療所で運び込まれて来た患者の治療を行っております。


 あ、ヴィンセント殿下は私が無茶しない様に後ろに張り付いて見張っております……


 何か知らんけどジャンクリと意気投合したらしく、互いに



「任せた」「任された。」



等と短く交わして現在こうなっております。


 ………ま、いいんだけどさ。


 いや、本当に喧々諤々して空気を黒いオーラ?で汚染している状況よりは大分マシだよ?


 だけどね……………



「辛くなったら何時でも言え。」


「………大丈夫だから。」



 目が合う度に、そう言われても……昨夜寝て回復したのに。


 私って案外信用無いのかもな………ちょっとショック。


 結局その日は名誉挽回するべく、目の前の患者の手当へ集中するのだった。


 いつの間にか仲良くなっているヴィンセント王子とジャンクリ。次回は彼らの話しに多分なると思います。


 それでは宜しく御願い致します。


11/14: 行間入れました!

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