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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
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69 分身体の願いとその顛末

 読者の皆様どうもこんばんは、更新が不定期っぽくなっており申し訳ないです。


 さて、今回は………おや?ルーナちゃんが忙しそうにしている…と思ったら倒れた?!そしてその事に焦る周囲。さて、彼女の生存は如何に?


 それでは本編をどぞ。



「〜〜♪」


「………随分機嫌が良いですね?」


「そりゃね!『ワルハラ』でケヴィン君ゲットしたのと同様将来性の有る若者をゲット出来たからね♪それに3人もだよ?凄くない?」


「相変わらずそう言う所は抜け目無いですね…まあらしいと言えば、らしいですが…」


「おい今な任務中だろうが全く……すいませんね。」


「いいのよ、それより報告。」


「あ、はい。一応領内では今の所感染症とか起こっていないので、安心し下さって構いません。」


「そっかそっかよかった……


 じゃあ『カムイ』と『丹波』、領民の皆さん宜しくお願いね。」


「「了解致しました、お嬢。」」


「それと追加の指示だけど…ヘルメスに裏商会で変な連中が出入りしていないか危険にならない程度に然りげ無くさぐって欲しい事と、それから、クロードへ例の“侵入者”の尋問で分かった事をなるべく早急にまとめて提出をして欲しい旨を伝えてくれる?」


「それなら既に数日前に2人とも自発的にやっているから直に『分身体』の報告が有ると思われます。」


「流石!それは助かるな!さて、これからこっちは忙しくなるのでいつも通り“伝令”通して皆さんには連絡居れる事になると思うけど、連絡無いからって暴走しないでよ?」


「「…………………………善処は致します。」」


「全く…ま、有り難いけど。そう言う事なので、一旦切るね?」



 ツー、ツー、ツー………ピッ



………………………………………………



 定期連絡が終わり、私は術式を書いた紙を亜空間へと仕舞った。


 実家に居た時色々と新たに魔術式を改良していた所、“糸電話”の様な使い方なら可能な術式が発見されたのだ。


 具体的には、対となる術式の描かれた紙を持っている者同士が遠距離であっても会話出来ると言う仕組みになっている……空間属性をふんだんに使用しているため、実用化には今の所向かない。


 ま、使えるのは私くらいか……ソレはソレで問題有るけど。


 そんな分けで、トランシーバーより便利なものが出来たのだった…まあアレはアレで当然まだ使うけどさ。


 それにしても……一応安心していいらしい。


 『百獣連合』へダメージを与えたブツをもたらした下手人は、今の所ルナライト社への衝突や接触は無し。領内も異常なし、オールグリーンだと。


 まあ取り敢えず、今の所実家へは仕掛けていなそうで良かった…ただ、それが何時行われるかは分からない。


 相手は予告したのだから、必ずどんな形であれ何かやって来るだろう。



 ……それこそ、“死人”が大量に出る様なやり方で。



 溜め息を一つ吐と、私は宛てがわれた部屋を後にした……これから会議3件と反省会と、それから……色々と忙しいな。


 今日は………徹夜だな。ま、やりがいが有る分別に良いけどね。


 1つ懸念が有るとすれば、明日の戦闘中に手加減を誤る事か……『ヴェネチモール』の陥没を繰り返す訳にも行かないからな…


 同時に現場を指揮出来るのは私を除けばジャンクリ…いや、心許ない。


 未知数だけどウォルターの方が良いか……うん、明日は彼に頼むか。


 ……私は生存者の救出を行うか。



…………………………………………………



 『分身体』で有る私は現在、消える寸前となっている……何故なら先程力を使い切ったからである。


 他の分身達は既に消えて『本体』へとフィードバックされているだろう……記憶の整理整頓をせずに消えたけど、あの人数ならまだ大丈夫だよね?


 頭から煙が上がっていなければ良いのだが……まあソレを考えても仕方有るまい。


 だけど……大変だった。



 途中で判明した『毒風(サイレントヴェール)』とこの地域では呼ばれている“病原体”のコロニー……今回その型が大変醜悪な性質を持っており、明らかに私の手が介入していなければ全滅していただろう。


 それにしても一応特効薬と感染予防薬は作り易かった。それに感染力というか攻撃力(=爆発の威力)も……まあ、血液感染の方は弱いみたいだった。


 だけど…襲って来る相手を手加減するのは非常に厄介だった事をここで記しておく。


 この場所でも私は幾ら早期に介入出来たからと言って死者が出なかった訳ではない……手遅れで、病床となって彷徨っていた連中は既に焼き尽くした。


 生き残った者達はその事を知って酷く悲しんだが仕方が無い…だが、私に怒りをぶつけて来なかった所を見る限り、やはりここに住む魔獣族の連中は他と比べて穏やかだと言う事が分かる。


 そしてそのお陰で私は早々に介入出来、その結果家族が何組か救えた。


 こういう善良な連中が生き残ってくれて、嬉しい限りだ。


 だからもう少しここに居て安心させたかったのだが……どうやらもう時間の要だな。


 指先から段々と分解されている……サラサラ粒子が溢れていくみたいな感じで。



「あの………消えてしまうのですか?」



 不安そうな顔で、共に先程まで患者の看病をしていた者達が私を見詰めて来た……それは、起きていた患者も然り。


 皆心細いだろうね……私が来るまでは怪我人と感染者が増える一方で誰も処置が出来ていなかったから。やっと今何とか安定して来たからね。


 ま、もうこの辺の病原体は駆除し終えたから後は皆さんの回復を待つだけだからな……


 ぶっちゃけもう私は必要無いんだけどね。


 でも一応ここに『本体』が来る様に皆進言しておくから、だから安心しておけ。


 そう思い、私は笑顔でこう言った。



「ああ、『本体』へ只戻るだけですから…多分もうちょっとしたら鬼達と一緒にここへ来ると思いますよ?それまでは一応ここに書いておいた指示に従って治療、それ以外も臨機応変に御願いしますね。」



 ……一応万が一の事を考え、避難経路や人数分の食量(10日は最低持つ)を渡してある。


 それ以外にも救急用具等も十分量置いた。


 100%大丈夫と言う事はあり得ないにしても、これで暫く私が居なくても何とかやって行けるはずだ。


 安心させる様に消え掛かっている手で涙ぐんでいる子供の頭を撫でた。


 ……最初に復活し、1番頑張って手伝ってくれた10も満たない子供。


 寝ていろといったのに、本当に無茶するよ……助かったのは事実だけど。



「……………ここまでして頂いて本当に有難う御座いました。我々だけでは間違いなく全滅していたでしょう。」



 ここの代表の方が魔獣族にとっては最上級の礼をした。私はそれを眺めて………疲労感は送らないにせよ、記憶だけは全て寸分違わず『本体』へ届けようと決意した。


 ここの人達と『私』が関わった事を”無かった事”にはしたくないからね……だって、何だか前世の難民キャンプに居た皆さんを思い出すから。


 ……………懐かしいな。



「じゃあな、達者で。」



 その言葉を残し、私は『本体』へと統合された。



………………………………………………



 ああ……また記憶容量が………


バタン「お嬢様?!」


ガタン「ルーナ?!どうした?!!」


ゴトッ「おい、大丈夫かルーナ?!」



 他の声も聞こえたけど、1番近くに黒い影が見える……ああ、この気配は暗黒執事か。


 良かった………1番信頼出来るからな。



「…ウォルター良い所に……しばし寝る…後を頼んだ……」



 頭が限界なので、一度ゆっくり休む必要が有ることは先程痛感した……今回は以前よりも軽いから恐らく50体前後の分身体が一気に消滅したのだろう。


 恐らくコレくらいなら明日には回復するだろうな……戦闘に関しては本格的に休むべきだろうけど。ま、その為にもゆっくり休みます。



“その間無防備になるので身体を守っていて欲しい。”



 割れそうな痛みで揺らぐ視界を何とかウォルターに定め、そんな意志を込めて我が執事を見詰める……すると、礼をしながら渋い大人の安心させる様な声がした。



「私に御任せ下さい、主の身体はきちんと御守り致します。」



 その言葉を聞き、私はとても安心した…流石ウォルターである。


 同時に安心した為か、頭から煙を上げながら私は意識を失ったのであった。



………………(ウォルター)………………



「そう言う訳ですので私はここに残りますが、お2人は出て行って下さい。」


「あ?俺は別に…」「私も心配で……」


「出て行って下さい?可及的速やかに御願い致します。」


「「……………」」



 笑顔でそう言うと、ルーナお嬢様の御友人(```)はやっと部屋を出て行きました。


 高熱を出しながら時々「ウウッ」と苦し気に呻かれるルーナ様の頭をゆっくりと撫で、それから指示通りに『冷えピタタオル』と言う彼女の商会が販売している熱対策を額にそっと添えた。


 すると、少しだけ苦痛な表情は和らぐ……よかった。



 娘の様に可愛がって来たこの子は、段々と大人へ向かって成長している……それはもう、艶やかで美しく。そして理知的で力強く。


 時折お嬢様が元から大人びていた為かまるで少しだけ年下な女性の様に感じる事も有り、対応に困る事も最近はしばしばだった。



—中身は成熟しているのに外身は幼気な少女。



 そんな背徳感の有る姿がどれ程変態を引き寄せているかは知れない…私自身も、お嬢様に対してそんな歪な感情を持ってはいけないはずなのに時折妄想してしまう。



“あの身体へ私自ら快楽を与えたい”



 私が思いとどまれる理由は単に私には愛する妻と娘が居たと言う事実が有るからだ……彼らを現実に裏切る様な行為をするつもりは一切無い。後はそうだな……ルーナ様の事を生まれた時から知っており、娘に対する愛情と同じ様な感情を抱いているからだろう。


 いや、実際に娘の様に思っている事は事実……血の繋がりが無く、身分も違うが、それでも思う事は自由だとお嬢様も仰っていた。


 だが、私自身がそうなのだ……ルーナ様の周囲に居り、彼女の事を良く知っている者達は当然私以上に様々な感情を抱いている事だろう。


 現に、あの若者と年増な餓鬼は色々と思い悩んでいる事だろう。


 だが、それも大事な事……特に将来お嬢様を任せる者は、深く思い悩む必要が有る。いや、そうでなければ困る。


 私だって何時までこの様に元気で彼女の側で使えられているか分からないのだ。


 人などあっさり死ぬ……それは、私の裏稼業を知っているのならなお納得するだろう?


 実の娘の様に可愛がってきた、素晴らしく優秀な弟子でもある我が主……ルーナお嬢様には穏やかで温かな幸せの中を生きていって欲しい。


 そして、彼女の側に居られる人物はそれを彼女と()に望める者のみだ。



 別に激しく情熱的でなくていい…まあ私がそう望むのも変な話しだが。


 こうして体調の悪い時に安心して身体を任せられる者。戦闘では背中を安心して任せられる者。一緒に居て居心地の良い者。



 そして、共に未来へと歩める者。



 そんな相手が誰でもいい…彼女を支えて欲しい。


 まあ、だがまだまだ私は元気な訳で、この役を譲るつもりも無いがな……現に彼女が信頼しているのは今の時点で“私だけ”なのだから。



「ん…ウォルター……スピー…」


「(クスリッ)お嬢様、布団をのけますと冷えますよ。」



 掛け布団をゆっくりと彼女の上へ戻し、私はその横で『簡易調合キット』で解熱薬を調合する……この辺に生えていた『霊山』原産の新鮮な薬草を使っているので既存の薬剤よりも効き目はいいはずだ。


 明日の朝には良くなっているだろうと予想は出来るが、念のため用意しておく。


 常に主の何事に対しても対処出来る様にしておく事……これも執事の嗜みだ。


 取り敢えずゆっくり休養を取り、明日には元気にまた活動致しましょう。


 そんな分けで、最後の『分身体』同様皆さん記憶をそのまま整理せずにルーナちゃんへ送りました………その結果再び処理の限界を越えて頭がプシューってなりました、御愁傷様ですww


 そして、ウォルターの役得wまだまだ若いもんにルーナちゃんを渡す気はないです。前途多難だけど、頑張れ若者!!


 それでは次回も宜しく御願い致します。

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