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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
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65 首をスパーンして燃やすだけの、簡単なお仕事です

 読者の皆様どうもこんばんは。何とか投稿間に合いました……恐らく誤字脱字多いと思いますが、後日読み返して直していこうと思っております。


 さて、今回はやっと戦闘回です!…本当にここまで長かっですね……大変御待たせ致しました。それでは本編をどぞ!

「GUAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!」


「GRURRRRRRRRRRRRR!!!!!!!!」



 木造の家の影から這い出て来る血だらけで正体不明の物体……身体をのろのろと引き摺って歩いて来たと思ったら次の瞬間俊足で自ら壁に激突してそのまま頭突きを繰り返す。



 一体何がしたいのだろうか…いや、もう思考能力も残っていないのだろう。


 何せ、中の存在は微小生物……血液を散撒く事(配偶子放出)と言う本能以外、特に何も無い生物だ。



 だけどな……


 白目を向いており、不自然な動きや身体の傾け方等を見ると、どうしても某祓魔師が悪魔憑きの少女を命懸けで救う映画を思い出す……


 相当古い映画だったが、アレは印象に残った……正常だった少女がいきなり白目をむくと首を360°回転させて緑色のヘドロを吐き出す。その後も階段をいきなり転げ回ったり顔が変形したりと、ガチなホラーだった事は良く覚えている……


 何せ、あの映画を親父(ファーザー)に見せられた為に暫く師匠にトイレ付き合わされたのだから……彼は、ホラー苦手だったからね。


 映画見ている最中もピエロメイクが禿げて滅茶苦茶怖い顔をしながら号泣していたからね……鼻水付きで。



 そしてそれをこんな状況で思い出すと思う事は1つ……目の前で悪魔の様な存在に乗っ取られた犠牲者達をあんな風に救えたら良いのに。


 だけど、事前に機会があったのにそれをしなかったのは私の選択した事であり、彼らの選択した事でもある。



“差し伸べた手は払い除けられた。”



 確かに相手にとって私の様な年端も行かない最弱だと罵られる“ニンゲン”に、傲慢にも上から助けますよ?等と言われたらプライド上うんと首を縦に振る事等不可能なのだろうが…


 だけど、私も実際彼らの事を強引にでも救う事は出来たはずだ……ま、そんな事はしなかったけど。


 幾ら転生して年齢相応に甘くなったからと言って、切り捨てる部分はばっさりと切る部分は変わらない。


 今回実際に彼らは私の逆鱗に触れる様な言動を取った訳だしね…自業自得だよ。



 そして、目の前に居るコイツらは………手遅れの様だな。



「?!………っ」


「魔術式展開………セロトニン、アドレナリンを一時遮断。今だ、やれ。」


「…ああ、分かりました……」



 スパンッ…コロコロ……………ジョバッブシュッ


 魔獣未満の“病原菌の温床”へと成り果てた異形の者達…小鬼の鋭い剣捌きで彼らの首が音を立てて落ち、数秒置いてから舞い散る血潮。


 紅い水柱を立てながら、まるで周囲へ散布するかの如く空中を彷徨する血飛沫。


 醜く、汚れた光景……これが血液でなければ幻想的に見えるのだろう。


 だが、これは間違いなく血…いや、最早病原菌の湧いた血以上に汚いもの……



 『感染媒体』とでも言うべきだろうか?



「術式………白炎。」



 なら、きちんと“消毒”してやらないと駄目だな。



 ボワッと音を立てて次々と感染源を片端から焼いていく。焼かれた血肉は幾ら生命力の強い菌でも死ぬはずだ。


 何せこの炎、1000℃は越えているのだから…イメージし辛いだろうか?


 そうだな………


 大体アルミニウムを工業的に析出させる時氷晶石を利用した場合必要な温度と同じだと言えば、最低限高校課程を履修している人達なら分かるだろうか?


 ま、人体なら一瞬で燃えカスとなる様な勢いの炎だと言う事はここに記しておこう。


 本当……遮断していて初めて扱える代物だ。


 そして周囲へ広がる灰色の煙と肉の焼ける嫌な臭。自分の張った遮断術式では臭がまだ十分に防げていない様で、悪臭が鼻を掠めた……それに思わず私は眉を寄せた。



 そして、彼らの通って来た路地裏へと足を踏み入れた。


 薄暗く、日光の当たらないその場所にはどす黒く濁った血液で濡れていた…病原菌の温床となっているので先程より温度を低めに設定して火事にならない様に調節しながら焼いていった。



 更にそこを進む………すると、生物の気配がした。



「全員、止まれ。」



 私の後に続く小鬼達を止め、ゆっくりと先へと進んだ……もしかしたら先程の様な“温床”が居るかも知れない…


 こんな狭い路地裏で襲撃されたら何か嫌だからな……


 あんなグロテスクな死体を近くで見せられるとか…真面目に御免被る。つか、暫く悪夢になりそう…バイオ●ザードのゾンビ的な意味で。


 そして、気配のする方向には……子供が3人寄り添っていた。


 孤児だろうか?そんな風に思わせるボロ布を纏った魔獣族の子供達……


 どうやら内2人が病気、1人は元から免疫を持っていたのか?



「アアァ…ガアアアアアアァァァァァァァ…」


「ヒュー…ヒュー…ヒュー」


「おいしっかりしろ!」



 まだ先程の様な連中の様な事にはなっていない…風邪の状態か?


 だが、それにしても状態が悪い………1人は高熱に寄って痙攣し、もう1人は肺炎なのか苦し気に呼吸していた。


 恐らく元から身体が不健康で何とかだましだまし生きていたのに、それに対して強い風邪の症状が祟ったのか…



「…救護班を至急呼べ。」


「了解致しました。」



 救護班の小鬼達は現在、感染して然程時間の経っていない者達から“苗床”の攻撃行動で瀕死の重傷を負った魔獣達を回収し、感染予防と特効薬を打ち込んだ上で治療している。


 そんな彼らをここに呼び出し、連れて行って貰った。


 次いでに元気な奴は何だか騒いでいたが、手刀でだまらせた後同様に連れて行って貰った……後で説明頑張れ。



……………………………………



 あの後暫く裏側の掃除をしていたが……他に生存者は余り居なかった。


 路地裏から表通り戻ると、死臭と血飛沫…それから内蔵を撒き散らした腐った遺体が地面を散乱していた。


 元この街の住民…現在では只の肉にも満たない、只の“培地”…それも、傍迷惑で悪趣味な病原菌を大事に大事に育てていると来た。


 勿論、病原菌の本能が主体となってね…


 そして、そんな様子を見ていて先程から顔色が悪かった隣の居る弟子…初めての戦場がコレって言うには流石にハードル高かったか?


 物凄く今更だし恐らくコイツの性格上、私が止めていたとしてもこっそり付いて来ていただろうしな…


 そうなったらもっと困るし良い経験であると思うから連れて来たんだけどね?


 ま、でも流石にゴーストタウン改めゾンビタウンになるとは私も予想外だった…つか、ここまでリアルにグロテスクな自体になるなんて、流石に想像付かないし、想像したくもないから…


 そも、あの病原菌の生態を解明したのはつい殺気立った訳だから仕方ないよな?



「う…ゴホッ、ガハッ!?」


「おいおいおい、コイツ大丈夫かよ…」



 ああやっぱり……



 ヴィンセント殿下は、この戦場の空気に煽られてリバースした後もこの様に具合が悪そうに膝をついた。そしてそれを心配そうな表情で背中をさすっているのはかつて同じ経験をした事の有るジャンクリ…いや、クリスだった。



 どうやら私の居ない間に襲って来た“温床”に手をかけたらしい。


 事実だろう…スパンと一思いに斬られて首が飛ばされた個体が目の前に転がっている…恐らくこの”3体”か?


 頑張ったな……


 だけど、それなら尚更そうなるのも仕方あるまい。



 誰でも初めて相手に手にかけた時に、いや、ぬるま湯から戦場地帯に来た時に受ける“洗礼”だ。


 だから、落ち込む事は無い……



“ま、私はある意味師匠のお陰で戦場では醜態を晒さずに済んだけどね”



 そう言う意味合いでの処女は、師匠に拾われた翌日に既に失ったからね……


 まさか私を売ろうとしていた組織の下端が重度のペドフィリだったとは…更に珍しい東洋系の幼女だった私に目をつけており、玩具にしようと企んでいたとは……


 師匠が暗殺稼業に行っている間に襲われたので、前日師匠に習っていた護身術を使ったら呆気なく死んだ。


 ん?具体的に何をしたのか?


 そうだね……只単に、逃げ込んだ部屋の扉に丁度成人男性の首が通りそうな所へピアノ線を引っ掛けるだけの簡単な仕事だったよ。


 それだけで、呆気なく襲撃者は死んだ…コトリと音を立てて首が落ちて行った。


 コロコロコロ……と私の直ぐ脇まで転がって来た首と目が合うと、私は絶叫した…相手が信じられないと言った様な表情で瞬き1つせず、私を見詰めたのだから。


 そして司令塔(アタマ)を失った本体から遅れて血柱が立ち…近くに居た私は血塗れとなった。


 数時間後師匠が返って来るまで私は呆然としていたそうだ。


 仕事から帰って来るなり死んだ様な目をしたまま意識を飛ばしている血溜まりに居た私を発見した時は、相当肝を冷やしたと後日聞いた。


 私が記憶に残っているのは師匠の温かくて優しい体温が、泣きじゃくる私を泣きつかれて意識を失うまでずっと側に居てくれた事だけだ…


 だけど、それ以降は何故かそう言った事に対して平気となった。恐らく師匠のお陰だと思う。


 ま、そんな風に私は克服したから同じ様に抱き締めて慰める事も…あ、でも思ったよりも大丈夫そうだな……


 それに今更私が出張っても…クリスが必死に何かやっているし。


 結局クリスに任せても大丈夫そうだったので、私は再び小鬼のフォローへ回る事にしたのだった。



 王子……クリスによってルーナちゃん抱擁のチャンスを失うwドンマイ!


 今回敢えて王子の戦闘は入れませんでした…恐らく次回辺りに王子サイドで進めようと思われます。


 それでは次回も宜しく御願い致します。

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