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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
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62 戦場に行く前=嵐の前の静けさ

 読者の皆様大変遅くなりました、申し訳有りません。リアルが多忙だった事が大きな原因ですが、原稿作成中に何度かPCがフリーズしてセーブしていなかったが為にその度書き直す羽目になったのも大きかったです。


 今回は少し長めです……正直前半後半で分けようか悩みましたが、切りが悪かったのでこのまま行く事にしました。それも今回投稿が遅れた理由でミ有るのですが……


それでは本編をどぞ!


「………と言う訳で、これからちょっとその…パンデミックが多分既に起こっている場所に向かう。なので、これ打っておいて。」



 注射器を3本取り出し、私はウォルターに渡した。中に入っている琥珀色の液体は、今回“闇商人w”の持って来た病原菌から作ったワクチンだ。


 そう、連れて行く連中に現在ワクチンを打たせに回っているのだ。



「ルーナ様はもう打たれたのですか?」


「勿論。」



 最初に制作した分使って臨床実験した事に関しては敢えてスルーしておいた……ばれたらウォルターなら何をされるか分からんからな……


 笑顔で心身共に抉って来るからな〜…あの腹黒執事は……


 ま、そのお陰で尋問とか滅茶楽出来るんだけどね☆皆何でも言ってくれるいい子になるんで…何故か全員顔色は土気色だけど。


 何故だろうね…gkbl



「それよりちゃんと打った後はパッチテストして効果が出ているかチェックしてね?まだ出ていなかったらちょっと考えないと行けないから。」


「了解です。」



 うん…これでバ●オハザード化だけは防げたはず………あのゲームやった時の恐怖は……


 ………思い出さなきゃ良かった……………



 正直あのゲーム…と言うよりゾンビは苦手だ。



 銃撃戦を現実で行っていると、どうしても出来てしまう癖の中には弾丸の節約と言うのがあるんだが、ゲーム時に必ずそれが原因で何度も死にまくった……


 まあ簡単に言うなら敵を一撃必殺で葬る様にしているんだ。


 戦場でも弾丸の数が命を左右するからね……物資の節約は基礎中の基礎だよ、諸君。え?何の基礎か?決まっているだろう?



 戦争だよ。



 ゲームのアレは、あくまでCGだからバカスカ撃っても有る程度許されるけど、現実は全然違うと断言しておく。



 まずさ、あんな風に撃っていたら戦闘終わった後破産するから。


 弾丸の値段は単体だといいものであってもそこまで高くない。だけどアレは消耗品なので一度で大量に購入する必要が有る。そして『塵も積もれば山と成す』と言う諺通り値段は高い。


 安物の大量消費?そんなのは自殺願望者か程度の勇者(バカ)のする事だ。


 後はそうだな………少年兵(使い捨ての鉄砲玉)と金も信念も何も無いゲリラ連中(阿呆なチンピラ)が使っている位か。


 それ以外、玄人連中は全員ちゃんとしたものを使っているよ………その少しの差で自分の命が散る訳だからね。


 誰だって自分の命第一だよ。



 次に、あんな風に『下手な鉄砲百撃ちゃ当たる』式で銃を乱発すれば、味方に当たる確立が高くなり周囲から反発を受ける。そうすると当然仕事に呼ばれなくなり、結局危険な最前線か無職になるか、どちらかとなる。


 まあ、碌な人生が待っていないな……人の信頼を無礙にする様な事を兵器でする奴は必ず制裁を受けるからね。



 そんで、最初に言っていた通り戦場で弾丸を切らせる様な無謀な戦い方をする奴は直ぐに死ぬって話し。


 だって敵が向かって来た時に弾丸が無い=無抵抗って事だから当然だよね?敵の弾丸を打ち返す事も出来なければ相手を無力化する手段を失う事になるんだから。


 あ〜でも……一応ダガーとか接近戦闘術様の暗器とかは当然有るので師匠クラスの人間?なら生き残れるだろうけど……


 と言うか、あの人なら語尾に☆付けてテヘペロしながら帰って来そうな気がする……


 そんな『例外』はひとまず置いておこう。


 ま、つまり、弾丸の残数によって戦闘、と言うより命が左右するので、無闇矢鱈に使えないってことだよ。



結論:無駄撃ちせず1発で仕留めるのが現実的である。



 故に、何発も弾丸を無駄にする様なゲームは苦手…と言うよりいつも開始直後チュートリアル周辺で既にゲームオーバーになる人なんですよね……



 で、でも、戦場では一度も人生終了した事はないよ?危険は有ったけど。



 そんで、話しを戻すと………やっぱり死体とかが幾ら正確に致命的を射抜いても何度も起き上がって自分に突進して来る様な悪夢は現実世界では御免なんだよね……


 今回は幸い感染した人は破裂寸前=身体が完全に変形した状態になるまで死なない事が判明しているから対処の仕様が有るから何とかなるけどね?



 だけど……正直な所、ああいった死んでも起き上がって来る系統には苦手意識が抜けない………



 マジで何故にこうなった………


 つか、本当、行く先々で大規模戦闘に巻き込まれるとか…絶対なんか呪われているよ、私………


 帰ったら丑の刻参りしよう……………


 王宮の裏に何か良さそうな杉が有ったからこっそり侵入して使うか…昔みたいに。



(*2歳初期、自分の運命とか色々怨んだ結果丑の刻参りを実行して家臣団をビビらせた挙げ句一部に失禁させた事がある……本人は無自覚です)



 横目でパッチテストを終えた3人を見る……内、2人は遣る気が漲っている様だ…



「久々の狩りじゃ。」


「狩りじゃ〜」



 おおう……何か今まで色々溜まっていたのだろうな……


 ま、2人には頑張ってもらうか………途中で投げ出したくなっても知らんからな〜…私は。


 ちなみにクリスは私同様ゾンビ系苦手だったはずだけど……まあいいや。


 そして、先程からずっと静かになっていた王子の方を向いた。すると………何故か蒼白い顔をしていた。



「どうしたんですか、ヴィンセント?」


「ああいや……」



 ん?もしかして……



「付かぬ事を御聞きしますが……
















 もしかしてヴィンセントも『起き上がって来る系』は苦手ですか?」



 スッと顔をあげると、弱々しく頷いた。



「何故か見た事も接した事も無いのだが、その……


 以前図書館でルナライト出版の『魔物図鑑』に載っていたグールとゾンビだけは、名前を見ただけで背筋が凍り付いたのだ……と言うより、その直後に気絶した様な………」



 ガタガタと震えるヴィンセント殿下………取り敢えず、私は少し背伸びをして彼の頭を撫でた。


 灰色が掛かった地味な銀色の髪は、その触り心地だけは相変わらずサラサラだ……ま、今はちょっと無理して手を届かせているから堪能出来ないけどさ。


 それは良いとして。



「ヴィンセント………今回の相手はグールやゾンビに近いですが、全然違いますのでその辺は安心して下さって大丈夫だと思われます。


 ま、大規模戦闘が行われる事は確定ですが、それでもその……腐乱系の魔物はまだ多分発生していないと思われますからね…


 それ以前に多分あそこにいる2人が今回は暴れるでしょうから。」


 未だに不気味オーラを発している我が駄竜と暗殺執事……戦闘狂センサーが久々に仕事しているらしい。


 周囲がどん引きしているが、本人達はお構い無しにニタニタグヒヒと笑っている………コイツは外道の香りがするな…



 ま、粗方は2人に任せますかね。



 そも、殿下には今回戦場の雰囲気みたいなものを知って欲しかっただけだし……後は経験を詰んで欲しかったんだよね、実践の奴。


 恐らくそれをやっていないと旅に出てから苦労するだろうから今の内にね。



 さてと………皆さん準備整った様なので行きますかね。



「では皆さん、移動開始で。」



…………………(ヴィンセント殿下)…………………



 移動しながら私は自分の得物をもう一度眺めた………見事、いや、そんな言葉では表しきれない。



 何と研ぎ澄まされ、繊細で美しいのだろうか……



 ルーナの雰囲気と存在には流石に負けるだろうが(万物がそうなのだから、仕方有るまい)、それでも私が今まで見て来た武具の中で1番危険な美を孕んでいる事は言うまでも無い。


 今までは訓練で自分の腕を磨いて来たが、それでも実践は大分違うはずだ……私が致命傷を負いそうになった場合は攻撃を寸止めしたり、私が転んだ時に待ってくれたりするなどと言う事は無い。


 この新たな武具は不慣れな点が多いが、前回の武器よりの何故かしっくりといく……そして、直ぐにでも使いこなせるようなるだろうと彼女の専属執事兼師匠からお墨付きを貰った。


 ………幾ら手加減してもらっていたとしても、彼から一本取るのは非常に難しい事だった………それでもそれを成したからココに私は連れて来てもらえたのだが…


 ふと、私は数日前の事に思いを馳せた…



………………………………………………



 あれは私の治療が終わり、リハビリも終わってから数週間後………丁度初期訓練を終え、粗方体術をルーナ殿の足下レベルまで修得した直後の事であった。



 私が丁度ルナライト出版の『週刊 世界の武具』と言う雑誌を読んでいると、ティーカップの落ちる音が聞こえた。


 音の方向は………丁度ルーナ殿のいる場所?!


 慌てて彼女の方を向くと……………何故かショックを受けた様な顔で私の手元を見ていた。そして崩れ落ちた直後に復活し、真剣な顔をして私の側へ来た。


 どうしたのだろうか……



「ルーナ殿?」


「ヴィンセント殿下………今から一緒に専用武器を選び直しましょう。」



 ……………一体どうしたというのだろうか?


 もしや、私がこの雑誌を読んでいたので以前頂いた武器を不満に思っていると思ったとか、そう言う事か?!



「……前貰った武器は気に入っているのだが?」



 確かに少々拷問官の様な印象を与えるあの武器だが、日常生活でもベルトとしてカモフラージュして持ち歩ける形状にして貰えた上、何度も命を救われている……


 例えばベランダから突き落とされた時、咄嗟に柱へアレを打ち付け落下を防げた。後、誘拐されかけた時も何度も活躍した……油断した相手に鞭で打ち付け相手を無力化出来た。


 まあもっとも、あの時は毒のせいで実力が発揮出来なかったが……


 それは今良いとして、別に主力となる武器を変える必要を感じない。そしてそれをちゃんとルーナ殿に伝えた。


 だが、次の一言で私は折れる事にした。



「以前は殿下の性格を殆ど無視して色々押し付けてしまった感じになったので、今回は私の固有武器庫から自分的に持ってみたい武器を選んでもらおうと思います。」



 更に続けて……



「そして、殿下の選んだ武具には今回魔術式を付加刺せようと思っております………具体的には私のメイン武器と共鳴出来る様にします。一緒に戦うつもりなので、その、将来は……」



 この時のルーナ殿の顔はもう、可愛らしくて、可愛らしくて……年齢や彼女がまだ女性として未発達である事を忘れて手を出しそうになった事は言うまでも無い…



 仕方が無かろう!


 彼女の潤んだ上目遣いの目、バラ色に染まった頬、漂う甘酸っぱい彼女の香り………それらを間近で私は感じているのだ。


 鼻血を出さなかっただけまだ良い方だと思ってもらいたいものだ……私だって男として発達したばかりなのだから、慣れぬ事も多いのだ。


 その上、毒の影響なのか私は常人よりもあらゆる『欲』が強いらしい。


 ……………ままならないものだな、全く。


 そして私はそんな彼女の様子とこの後熱心に語られた『共鳴武器』の魅力に納得し、新たに武具を選ぶ事に致した。



「では、これから私の亜空間を開きますので、一緒に入って頂きます。空間内では絶対私の手を離さないで下さいね?」



 そう言うなり、彼女は私の手を掴んだ………


 同世代の女子と比べて柔らかくはなく武人の如き無骨撫手だが、それでも年相応に私よりも小さく可愛らしい。


 体温は私より少し低めで、思わずずっと握って私の体温で温めたくなる様な感じだ。


 その手をしっかりと握り返し、私は彼女の開いた『武器庫』と彼女の呼ぶ謎空間へと足を踏み入れた。



………………………………………………



「………これはまた、壮大な……」


「ま、そうなるよね………私の思いつく武器を全て再現したものをこの空間にはストックしてありますので。」



 見た事の無い様な乗り物や鳥を模した様な巨大なナニカから、彼女が“試験管”と呼ぶ純度の高いガラス性の容器に収められた『マイクロ兵器』と呼ばれるらしい怪しげなものまで、様々なものがそこには有った。


 中にはこの時代にそぐわないものとして封印すると決めた兵器も有ると言っていた。それはココには無い様だ。


 どんな物なのか気になったので聞いてみた所、ニコリとそれはもう純粋な笑顔を浮かべて……



「ああちなみに殿下であっても多分絶対見せないと思います……アレは1発で国、いや、土地以上……星1つが滅ぶ程の大量破壊兵器ですから。」


「…………………」



 思わず絶句した事は言うまでも無い……当然そんな物騒な物を彼女に出させたいとは露程も思わない。


 きっとそれを持ち出す時は………gkbl


 しかし、それにしてもだ……………………一体彼女は何を目指しているのだろうか?


 一瞬そんな風に思ってしまったのは仕方が無い事だろうと私は思う。


 気を取り直し、私は武器庫を見て回った。そして暫くして………有る武器に心奪われた。



 それは何と言い表すべきか分からない………鋭利な先を持ち、独特で芸術を感じさせる様な反りがあった。


 そして、その刃は細く頼りなく見えるのだが……正確な角度で勢い良く振り下ろせば容易くありとあらゆるモノを切り裂く事が出来る。


 そんな気がした。もう一度私はその武器を見返した。


 刃に使われた金属の色は黒色だが不思議な白っぽい色合いの波紋状の部分が広がっており、それがこの武器の神秘さを増していた。



”美しい……”



 その部分に私はふと、指を乗せる……すると、この武器の扱い方や手入れの仕方等、私の持っていないはずの情報が脳を駆け巡った……


 今日、初めてこの武器を見たと言うのに不思議な気分だ………まるで何年もの間共に歩んで来た“相棒”の如き感触がする。


 何となく名残惜しかったが、私は一度武器を下ろした……他の武器も見なくては行けないからな。


 何が私に合うか等、まだわからないのだから。


 故に、また暫く様々な武器を見て回った。


 そして結局、武器庫を一周した後1番認証に残っていたのが妖しく危うい美しさを孕む武器だった………



 これが、私と『黒点』と呼ばれる一振りの刀との出会いとなった。



「その武器は、私の手掛けた『恒星』シリーズの一振りです……具体的には、その、最終的に“星1つを建った一薙ぎで破壊出来る程の切れ味”と言う事をコンセプトに作りました。


 ヴィンセント殿下が手にしていらっしゃる刀は『十六夜』と対になっている刀です………私が成長したら使う事に決めていた一振りです。」


「ッ……?!」



 ……………これはもしや…『運命』では?



「どうやら私達は案外相性がいいようですね。」



 彼女はクスリと笑い、『黒点』の前に置かれていたこれまた研ぎ澄まされた美しい“白銀色”に輝く刀を取り出した。


 ……………大太刀と呼ばれるそれは、確かに彼女の現身長では扱い辛いだろう……ただ、1つ言わせてくれ……



 そんなハンデが有るにもかかわらず、私の刀の扱いが彼女の足下にも及ばないなんて……………



 軽く落ち込んだ私を彼女は苦笑しながら見ていた……ああ情けないな…


 そして、こう言われた。



「その刀が貴方を選んだようですから、多分今は多少違和感が有るでしょうが筋もいいようですから多分訓練すればあっという間に使える様になるでしょうね……それこそ鞭以上にしっくり来ると思いますよ?」



 月を模した柄の有る鞘へ自分の持っていた刀を収め、彼女は元有った場所へ戻した。


 そして、紅い丸模様の1つ描かれた暁の空を思わせる色彩の鞘を拾い上げると私の前に差し出した。



「此方が刀を収める鞘です。双方共、大事にして下さいね。」


「ああ。」



 ………勿論だ。



 その後木刀を数本彼女は回収し、我々は“武器庫”を出た。



………………………………………



 それからは毎日血反吐を吐く程の訓練をし、私はついに私の“理想”とした刀術の動きを有る程度再現出来る様になった。


 だが、まだまだだと言わざるを得ない……


 ルーナ殿に今回与えてもらった彼女曰く“イージーモード”な戦闘で、多くを学びたいと私は考えている。


 今後共に旅をする時足手纏いに責めてならない様、頑張って邁進していきたい。


 そんな風に私は少し力んでいたのだが……



「僭越ながら……戦闘中に余計な事を考えていると生死に関わりますよ?今は自信の出せ得る技や力を少しでも余裕を持って振るって行く事が大事かと思われます。」



 そんな風にルーナの執事、いや、ウォルター師匠に諭された。


 確かにそれもそうか………


 多くを学ぶ必要は確かに有るだろうが、己の出来る事を存分に発揮する事を考えて方が良さそうだな。


 事戦場については素人だ……先人の、特にウォルター師匠の様な様々な修羅場をくぐり抜けて来た人の知恵の従う事は、生き残る上では必要な事だと言える。


 そして、そう思うと何故か肩の力が少しだけ抜けた……己の力以上の事をしようと思うのは、やはり疲れる。


 自分の出来る範囲の事を今回はしよう。


 それから反省して成長していけば良い……幸いそれをして、私を見放さない様な優しい人々が私の周囲には居る。


 一時期自分の境遇に自身で嘆いていた事が有ったが、きっと気付かなかっただけだ………


 ルーナ殿も公爵も、私の今までの幼かったり奇妙だったりする態度を笑って水に流してくれた……そして、図々しくも彼らに私の求めていた“家族”と言う関係になる事を有る程度許容してくれた。


 ……………特にルーナ殿には相当迷惑を掛けていたと思う。


 妄想だけに留まらず行動に移していた私は今なら断言出来る……アレは“変態”を越えた、只の迷惑な犯罪一歩手前の行動をする只の我侭な“坊ちゃん”だったと言える。


 その件に関しては何度も謝罪し、彼女も笑って許してくれたが…それでも私は自分の行動が償われたとは思っていない。


 そんな私を受け入れてくれた。“家族”だと認めてくれた……そんな人々が居たのだ。


 多分、私は自分が思っていた程不幸ではなかったのだろう……実際、今思い返すと公爵が王宮で幼かった私を見かける度に気に掛けてくれていた。


 嫌な顔をしながらも自分の愛娘を私の婚約者と公では認め、私の後ろ盾になってくれていた。


 どれ程その事で彼に負担を敷いたか多く学んだ今なら少しは分かる様になった。


 そして公爵家で過ごした日々は、確かに中々受け入れてもらえなかったものの、王宮に居るよりも遥かに温かかった。


 そこで訓練を受け、身につけた事に何度も命を救われ今の私は行きている。


 そして今も………



「ヴィンセント?大丈夫ですか?」


「ああ、大丈夫……ありがとう。」


「??…どう致しまして?」



 私の緊張で強張った手を彼女はしっかりと握りしめ、まるで私の知らない未知なる世界に連れ出してくれるかの如く…



「さあ行こう!」



 そんな風に、爽やかに笑って再び一歩を踏み出した。



 ………戦場まで、後少し。



 王子の努力は報われつつ有ります……ですが、障害はあって叱り。


 次回はようやく戦闘回です…ここまで長かった……


 戦闘シーン多目でグロシーンや残酷な表現等々が出て来ると思います…戦場だけに。それも、『バ●オハザード』や『20世紀●年』も真っ青なパンデミック祭りが開催していますからね……生き物が自分から”汚い花火”になるわけですからそれは相当でなものです。


 苦手な方は、スルーされた方が良いかも知れないですね……一応予定として、要約した内容を後書きか活動報告にアップする予定です。


 それでは次回も宜しく御願い致します。

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