表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
62/142

61 会議×契約

 読者の皆様大変遅くなりまして申し訳有りませんでした。最近リアルの忙しさが半端無かった事と、今回書いている内容が戦争寄りっぽいので難産だった事が重なり投稿が今日になりました。すみませんでした。


 今回は……会議は踊らず、そして進む…そんな感じです。それでは本編をどぞ!


 多少の混乱(御免なさい…)はあったが、あの後無事会議は終了した。



 そして、今後の方針と『百獣連合』の仕出かした不祥事に関する処遇も決まった。



「さてと……これから私は『百獣連合』の本拠地へ言って参ります。多分今現在この馬鹿共のせいで大混乱…いや、大規模なパンデミックが起きているでしょうからね………」



 私がそう発言すると、カミュ爺が



「今回の件、儂は立場上付いていけないからな………儂の部下を数名付ける。」


「必要無いですよ?ウォルターとヴィンセントも付いて来るし、それに…」



 今回行く場所はちょっとやばいからね…



「いや、ルーナちゃんを信じていない訳じゃないのだが、若い連中に活を入れて欲しいのと……恐らく今後こんな経験はできんだろうからの…ルーナちゃんはもう直ぐここを離れるのだろう?」



 ………要するに、私に面倒を見ろってことか……別に良いけどね。


 まあ、それなりの対価は要求するか。



「なら成功報酬はカミュ爺特製の罠5セットと秘伝のお酒ちょうだい。」


「勿論だ!!と言う訳で、悪いが今直ぐこのリストに載っている者達を集めろ。」



 部下に話し掛けるカミュ爺。



「かしこまりました。」



 そうして伝令役が走って伝えに行った。



 もう一度私達は、会議室の中央で縛られ冷たい視線を投げかけられている『百獣連合』老害共を見た。


 顔色は蒼白を通り越して土気色で、前身をカタカタと揺らしている……更に中には失禁したのかアンモニア臭が漂っていた。



 私は『百鬼会』長のカミュ爺彼らの前に立った。



「君達、本来なら最も残酷な方法で殺されていても可笑しくなかったけど、この程度で済んでよかったですね?」


「…………ヒッ」



 中の1人が私の顔を見上げて小さな悲鳴をあげた。


 無理も無い………恐らく現在私は完全に無表情なのだろう…そんな顔をしている時は大体皆に怖がれる事が多い。


 ……まあ、一部の例外(ヘンタイ)と王子はこの際除外させてもらうが………



 それは兎も角。



「一応もう一度言いますが、貴方達があの商人を騙る奴から買収した商品は、感染性の有る“毒”です。


 勿論知らないとは言わせません………ここでは『サイレントヴェール』と呼ばれていましたっけ?別の地域では『死霧』や『毒風』等とも言われていたような気がします。」


『?!!』



 ……………何を一体今更驚いているんだろうか……



「……名前はご存知の様で安心致しました。今回貴方達が部下に戦闘で使用させたのは、アレの変異種です。


 今回一応解析した結果、毒性が強い分感染性、つまり他人から他人へと移る危険性は多少低い事が分かっております。


 その上で、既に感染予防薬と特効薬の作成も済ませました。


 恐らく貴方達の予想に反して今頃『百獣連合』領内では大規模な感染が起こっているでしょう。確か…感染した人の血液で感染を引き起こす効果が有り、魔獣族では死人の血液を飲む習慣が有ったでしょう?


 そうでしたよね?ルドヴィン君?」


「ああその通り………相手の血から運が良ければ相手の力を引き継げる事が分かっているので、そう言う風習が有る。」


「故に、もう恐らくそちら側の毒の摂取をした人達の血液を飲む儀式?よく分からないけどそう言う事が、行われた後でしょう。


 今治療すればギリギリ間に合うかも知れないですね……感染してから効果を発揮するまでは約半日だと言う事も判明したので。」



 ほっとするルドヴィン君と馬鹿達……


 一応あんなナリでも、(もう一度言うが)一応『百獣連合』の仲間や未来は大事らしい。


 なら仲間を殺す様な事をするなよ…と突っ込みたいところだが、今は時間もないし、そんな事をしていても仕方が無い。


 何事も、『覆水盆に返らず』だ。



「但し、私は治療するとは今の所一言も言っていません。」



 急に表情を引き締めるルドヴィン君。そして元々蒼かった顔が暗い表情になる老害共。


 そして何故か驚いた表情で私を見詰める『百鬼会』幹部達……唯一カミュ爺だけは私の意図を既に読んでいるみたいで静観していた。


 そんな彼らの視線をスルーして、私は亜空間を開いた。


 その瞬間何故かカミュ爺以外の皆に警戒された………信用されていない事に傷ついて何て居ないもん!グスンッ


 亜空間から私は特殊な魔術式を描いた一枚の羊皮紙を取り出す。そしてそこに幾つか書き足しをした。


 顔を上げ、怯えた表情をして『百獣連合』の面子を見る……緊迫した空気を醸し出しており、まるでこれから処刑される死刑囚の様な顔をしている。


 そんな彼らの揺れる瞳を真っ直ぐ見詰め、私はたった今作成した『契約書』を突き出した。



「ここで誓って頂けますか?


 もう二度と捨て身作戦など身内にさせない事。


 もう二度とこの土地を汚さない事。


 自領の民衆達の為にこれから行動する事。


 復興には尽力を尽す事。


 そして………私利私欲で後先考えずに突っ走らない事。


 それ以外にも幾つか項目を足しましたが、それは御自分で御確かめ願います。


 もし合意されればサインを。されなければ………




















 ここで貴方達全員を公開処刑した上で、『百獣連合』は塵一つ残らぬよう、『招かざる客(病魔)』と共に葬らせて頂きます。」



『?!!!?!?!!!?!!!』


『?!!!!!!!!?!!!!!』



 『百獣連合』と『百鬼会』の面子、両方から驚きの声が上がった。


 だけど、これくらいは“けじめ”だ。


 殺されるのは仕方が無い事……それ程の事を仕出かしたのだから。


 だけど更生のチャンスはちゃんとやる。



 最初に行う事は……“復興”の作業。



 今回の件について収拾が着いた後、争い事と人為的な疫病の被害者への賠償、それ以外にも諸々やる事は多く有るはずだ。


 同時に彼らには是非、自分達のやらかした事の結果を己の目でもって見詰めて欲しい……二度と同じ事をしないよう、心に刻む為にも。


 それから自分の尻は自分で拭え、と私は言いたかっただけだ。



 あ〜あ………何だか私も転生して精神年齢がやっぱり肉体年齢に引き摺られているのかもね。


 ……明らかに前世よりも甘くなった。


 前の私だったらこんな事をしてかした奴は絶対活かしていなかった……せいぜい紛争地帯でドンパチやっているド真ん中に“囮”として放逐してから皆で逃げだす。


 或いは逃げている最中に足手まといだし余計なトラブルを招いたり裏切られたりする前に殺すか……



 温厚な日本人らしくない、ああそうですか。


 まあそりゃそうなるよな……だってそんな“クソ”みたいな生活を送っていたんだから実際。


 戦場に“温さ”も“甘さ”も要らない……戦争を仕掛けて来た“敵”に対してなら、尚更だ。



“信用ならない奴はとことん信用ならん……裏切られて泣きを見る前に殺ってしまえ!!”


“ボクは少なくとも裏切り者に関しては誰も生かしていないよ?だって後が面倒になるだけだからね♢”



 そのはずなんだけどな……………


 こんな事では『師匠』と親父(ファーザー)に顔向け出来ない…


 私がまだ甘さや温さを戦場で持ち合わせていた“素人”同然の精神だった時代、そのせいで怪我を負わせてしまったのだから……



“だけど今の私は確かに『ユキ』では無く『ルーナ』だ”


“同一の魂と意識を持ちながら、別の人生を歩んでいる”



 ………変わって当然だとも思う、いや、当然か…


 それでも納得はできない……少なくともまだね…未だに“本郷由樹”で有った頃を引き摺ったままだ。


 だけど………このままだと“今世”叶えたい細やか夢が、確実に詰む様な気がしてならない……



 多分それも含めて、私は“旅”をしないと駄目なのだと思う。



 旅に出ると自分の知らない自分に遭えると言う。そして、様々な経験を通じて自分の知らなかった世界に出会い、他人や自分の新たな一面を見る事も出来ると言う。



 まあその為にも今は目の前の問題を一旦片付けないとね。



「………契約内容は読ませてもらった…確かに我々に取って理不尽な要求も無ければ、護られるべき規約も全て真っ当なものだった……先程は取り乱して済まない。」



 頭を下げるルドヴィン君………分かってくれた様で何よりです。まあでも……



「下手な要求されたら困るだろうからその反応は当然だと思うよ?だけど今回は要求されて当然な立場に居る訳だけどね?そんな分けで、他の人達は……分かっていない様だから説明宜しくね。」



 ………老害共は、自分の権利さえ守られれば良い様子で…


 自分達が約束事とか色々破いておいて何を今更とは正直思うけど………私が言った所で無駄だろうしね。


 反省しないようであれば“契約”に従って苦しみながら死ぬから別に何の問題も無いけどね?



 そして、ルドヴィン君の説得している様子を見ながら………私は『百鬼会』幹部達に契約内容を提示していた……とは言っても皆で決めた内容(今回の件に関する賠償と今後戦闘は控える事等…)や、さっき私の言った事だけだが……



「この罰則………ちょっとやり過ぎでは?」



 まだ甘さの抜け切らない『百鬼会』最年少幹部、『三つ目族』のルーン・シャラク・サードアイオーグが発言した。



「……ならば、今後彼らが規約を破った場合誰が一体責任を取るのだ?『百獣連合』全員か?」



 そして、言い返すのは面倒見が1番良いと言える『吸血鬼族』のクレア・ドラキュリウス。


 ただ、やはり根っからの武人だけあって言葉が足らない様だ……ルーン君はウンウン唸って考えていた。


 そんな様子をカミュ爺は愉快そうに眺めていた……って、眺めていないでフォローの1つくらいはしろよ…


 目線で要求すると、良い笑顔で



“何、若い頃は時間があるのだし、悩めるだけ悩んだ方が良いのだよ。”



等と目だけで言ってきやがった………しかも、続けて



“そんなに心配ならお前さんがフォローしてやればよいだろうに。”



と目を細めながら目線で言われた。


 時間もあんまりないし、仕方が無いか……報酬をもう少々上げてもらうかな?



「彼女や私の言いたい事は、つまりだ……国を統治する立場にいるのならば、国の起こした不祥事の責任を取るのは当然だってことだよ。


 だってそうだろう?


 今回だってもし彼らがここに来て交渉しなければ、最悪『百鬼会』と私だけで『百獣連合』を潰す事だって可能だった訳だからね?」


「そ、そんな事は!!」


『残念ながら有るんだよ。』



 幹部達が口を揃えていった。そして、『大鬼族』のレオルドが諭す様な口調でこう続けた。



「ルーンよ……例えば君達の縄張りが今回戦場にされていたらどうだ?被害が出て死ぬ奴も出て来て……その上で住居や生活を皆追われた訳だ。


 そんで、戦闘で勝利した後どうやって被害を受けた“彼ら”に対して示し合わせを行うよ?」


「ッ…………!」



 はっとした後とても悔しそうな顔をするルーン君。その様子に満足した顔で頷きながら、レオルドは続けた。



「平和的解決で敵が負けた事以外は何の被害も被らなければ、或いは此方側が戦闘で犠牲が出た以上に何か得る者が無ければ誰も納得はしないぞ……それこそ反発が起こるだろうな。


 そうなったら今度は俺達の首が飛ぶ訳だ。


 その後、誰がここを統治するよ?俺達以外今の所出来そうにないからここに居る面子が選ばれた訳だろう?」



 納得するルーン……だけど、もう少しだけ補足した方が良さそうだな。



「ちなみに民衆に対して行える手段は実はもう1つあるんだよね……それが、さっき言った可能性である『見せしめ』だね。


 相手を完全に抹殺すれば、一応復讐した事にはなるだろうから有る程度の満足感は得られるんじゃない?と言うか、納得はするだろうね。


 まあ、領土が増える程度の利益しか無い上新たな土地を管理しないといけなくなるから見解が違えば不利益しか生まないけどね?


 それは兎も角として……今回要求した事で君が不満に思っているのは“今後戦争しません”って所だろう?」



「はい………つまり相手は何の抵抗も出来なくなるってことですよね?それって長期的に見て不味いのでは?」



 若いのにしっかり学んでいて偉いね。


 だけど頭が固いのが将来少しだけ心配かな?…まあ組織には1人くらいはそんな人材が居ても良いかも知れないけどさ。



「う〜ん……その辺は心配要らないかな。だって“本格的な戦争行為は駄目”としか明記していないから試合とか個人的な争いごと程度だったら許されるし、無抵抗になる訳でもないからね。


 ただ、彼らは現在進行形で生活とか色々不味い事になっているんだよね………自らが招いた事だけどさ。


 だから、事が解決した後で物資が足らないからってここに自決覚悟で攻込んで来られたら困るでしょ?それだったら適当に支援して早々に自力で復興してもらった方が此方としても助かるはずだよ。


 後そうだな……全面戦争となったら1番被害に遭うのは間違いなく非戦闘員だろうからそれだけは避けたい…いや、国としては避けないと駄目だろうね。


 その為にも今回この条約を結んだんだよ。


 次いでに『百鬼会』は攻込みませんと言う内容も然り気無く組み込んだので、貴方達も彼らと本格点な戦闘は出来ないからこっちの連中が暴走して攻込むとかって言う心配は一切無いよ。」



 所々言葉足らない気がしたけど、ちゃんと伝わっているといいな〜………


 ちょっと緊張しながらルーン君を見ると……何故か固まっていた…何故に?!


 そう思っていたら………なんか再起動した上で、ナニカに目覚めた様に目を輝かせて此方を見て来た。



「僕では全然思いつきませんでした!とても勉強になりました有難うございます!!そこでその……師匠と呼ばせて頂いても?」



 ………今のどこにそんな要素が有ったよ?!


 助けを求めてカミュ爺を見ると……良い笑顔で号外に“諦めろ”と言われてしまった……そして他の連中も然り………



 どうやら彼、地雷キャラだったらしい……


 Oh man……つか、マジでどうしよう……………何だか正面ニなる前の王子(笑)を彷彿とさせる様な…



ゴツン「痛い!!」


「こら、ルーナ様を困らせるな!!失礼した……その、済まんな。」



 ………杞憂に終わった様で何より。


 と言うか、クレア姐さんナイスタイミング!


 結局涙目でクレアさんにルーン君はズルズルと引き摺られて連行され、会議室を後にした。



「ならば私も準備が御座いますので。」



 そして私も同時に下がらせてもらう………勿論『百獣連合』の連中が全員きっちりサインした契約書を回収した上で。



 さてと、皆にも報告に行くか……



 会議で決まった内容はまあ今後ボチボチ出て来ると思います。仮に出て来なくても、番外編作るつもりなのでそこに出て来ると思います。


 そして報告ですが、ちょっとこれからリアルの生活上結構忙しくなりそうなので、投稿が滞るかも知れないです……具体的には1・2日おきとかに。本当に申し訳御座いません。何とか細々と続けていきますので温かな目で見守って頂けたら幸いです。


 それでは次回、やっと王子・竜・暗黒執事が出てきます、と言うか出せます…ここまで長かった……宜しく御願い致します。


10/9: 突っ走る→突っ走らない 訂正致しました。ご指摘有難うございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ