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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
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60 (他人の)記憶からもこんにちは。

 読者の皆様昨日は更新出来ずも仕分け御座いませんでした。


 原稿が消えてしまって……バックアップとっておいたので直ぐに復元出来たのですが、危なかったです…気もが冷えたと言いますか、寿命が縮んだ気がします。


 今回は最初の視点が現場の鬼達、その後ルーナちゃんです。それでは本編をどぞ。


………………(?鬼A)………………



 もう少しマシな呼び方が有る様な気もするのだが……まあいい。


 俺も姐さん達と比べればそんなものだよな……



 ああ気にしないでくれ、一瞬なんとなくそんな気分になっただけだからな。



 それより今は現状だな。


 姐さんから貰ったプレハブ?と呼ばれる俺達の家より白くて奇麗で頑丈な建物を設置し、そこに今回の争いで家を失った鬼達の避難場所とした。


 皆、術式を解いた途端に“家”がそこに建った事に物凄く驚いていた……まあ俺も驚いたんだが。



 それからこれも姐さんの助言で救護班に戦場に出ていた者達を治療する現場を全て“隔離結界”で覆った。


 ………どうも今回相手が使っていた心身共に変質した後身体が爆発する効果の有る“ナニカ”は、“ビョウゲンキン”と呼ばれる小さな生き物が生き物に取り憑いて発生した可能性が有るらしい。



 ……実際、中にはここに来てから一瞬暴れて身体を爆ぜた奴は少なくない……先程俺の同僚もそれで亡くなった様だ。



 幸い傷口に爆ぜた人達の血が掛からなければ大丈夫で有る様なので、今の所広がっては居ないが……もしあのまま一般の病人達と一緒に寝かせておいたらと思うと……恐ろしい。


 きっと多くの同胞が亡くなっていただろう。



 姐さんの言う事は大概正しいから、従っておいてよかった。


 まあそう言うと大概、彼女はよく苦い顔をする。



 そんで



「でも私だって間違った事を言う事もあるのだし、自分の頭で考えられる様にちゃんと学んでね。」



と言っていた。


 だが、俺は元々考えるよりも動く方が得意だ。故に考える方向へは成長の限界が有ると思う……他の連中に比べて。


 だから基本的に俺は考えない。


 唯一俺が考えたのは、俺が手足として動く役で上司が指示を出す脳になれば効率がいいのではと言う事だ。


 その事を姐さんに話すと、意外な事に笑顔で



「ちゃんと自分の能力を把握して適材適所を考えられる事も大事だから良いと思うよ?」



とお褒めの言葉を貰った。


 只同時に言われた事が有る。



「ただ、上司の命令に忠実に従うだけではなく何故その命令を下したのか、その決断は正しいのか……そうね、疑う事も忘れない様にね?生命体である限り誰だって過ちは起こす。完璧は無いからね。」



 そして今回の事件でその事を深く実感した………どうやら無能な上司達に言われて危険な“クスリ”を使った結果魔獣族の連中はあんな事になった様だ。


 生き残った、クスリを使わずに最後まで素手で戦っていた奴が言っていた……



“彼らがもし少しでも武人としての誇りを忘れていなければ”


“例え命令であっても己の信念を曲げていなければ”


“そして、自分がそれを言葉にしていれば”



 結局隙を見て、自らの牙で自害していた………見事な切腹だった。



 そして俺は、そんな敵を尊敬すると共にこの件を教訓としてちゃんともう少し自分で考えられる様になろうと思っている。


 故に今………



「姐さん、今更ですが……“ミジンコでも分かる”シリーズ貸して頂けないでしょうか?」



 彼女はいつもの様にフワリと笑う……


 その魅力的な笑みに心奪われる同僚は少なくない…かく言う俺もその一人だ。そして彼女へは尊敬以外の念を抱いている。


 …勿論誰もそれが叶う事の無い不毛な思いだとは分かっているが。



「今更なんて事は無いから安心してくれて構わない。勿論貸そう。だが、希望者が多いので皆順番にな?」



 周囲を見ると確かに俺以外の連中も居た………まあ考える事は大体同じだよな。



 こうして現場で先程まで建設作業等をしていた我々『1ッ目』や『地鬼』は、彼女の膨大な移動書庫(亜空間)から次々と本を借りていくのであった。



 ちなみにこれが後の『百鬼図書』の原型となったのだが、それは今の俺達はまだ知らない。



…………………(end)…………………



 ………ギリギリセーフ…つか、危なかった。


 いや、割とマジで。



 …………後もう少しでバイ○ハザード…いや、20世紀○年のパンデミック状態になっていたな……



 あ〜、ヤダヤダ……



 魔獣族はよくも悪くも脳筋で考える事を放棄した連中だが、中には浅知恵の働く奴等も居た様だな……



 これがこんな結果になるとは知らずにね……



 今頃多分『百獣連合』の一部では阿鼻驚嘆状態となっているだろうな………だってさっき確認したけどアレはやばい…



 あれが薬品?強壮剤?


 随分面白くもない冗談だな………アレは“細菌”だよ。



 いや、『猛毒』だと言っても相違ないだろう。



 薬剤はポーションを入れる瓶に入った濃い青色の液体で、中身を調べた所……中には恐ろしい病原菌が含まれていた。


 感染したら彼ら独自の魔素使って直ぐに脳を破壊する。その上で前身のリミッターを外し、更に最終的には死亡や糖類、壊れた蛋白質等でニトログリセリンを合成してドカン!


 ……恐ろしい………つか、悍しい毒素を持つ菌だ……


 効果を考えた場合幸いと言ってもいいのか疑わしいが………菌自体は殺傷力が高い分そこまで拡散力も無いければ生命力も無かった。


 僅か2秒程で空中にて死す、そんな壊れ易い菌だ。


 だが、液体に入っている場合は違う……奴等は死ぬ事無く増殖し続ける…周囲の栄養素を勝手に使って。



 つまり、感染源は“血液”……………戦場で怪我をした状態で相手の返り血を浴びれば1発でアウト。



 ………まあ感染者の血液を分析して、何とか特効薬を作ったので間に合った感染者とその予備軍には現在進行形で打たせたけど。


 私が居なかったらもしかすると霊山が滅んでいたかも知れない……



「さてと、君達にはキリキリ吐いてもらいはしない……少しだけ『覗かせて』もらうよ?」


『?!!』



 『百鬼会』幹部の勢揃いする場で、私は今回の件を実行させた馬鹿共の脳内を暴いた……


 彼らの『記憶』とその時腹で考えていた事を“プロジェクター”と“マイク”で全員が分かる様に。




(見苦しい老害誰得?なので、暫くキング・クリ○ゾン☆ミ)




 そしてようやく問題となる映像が出て来た……



「始メマシテ。皆様ノ御要望ニ御応エスルベク、本日ハコノ様ナ商品ヲ御用意サセテ頂キマシタ。」



 慇懃無礼で胡散臭い笑みを浮かべるターバンの商人………見ない顔だ…


 だが、それより気になるのはあのターバンの上に付いている印………“目玉”を模した様な気持ちの悪いものだ。


 何故か前世の嫌な記憶を一瞬思い出させる……詳しく今は語らないが。



 そして、映像は続く…



「ふん、今回はどんなものがある……お、これは…何々?」


「おいこっちもみてみろ!儂はこれがええと思うがな。」


「いや、こっちを選ぶべきだろうが、どう考えても………奴の失脚を狙っているんだろう?」



 そして商人は、急に彼の纏う紺色の薄汚いローブからポーション瓶を1つ、取り出した。



 それは、敵が持っていた“薬剤”の入ったものと全く同じ…



「コチラハイニシエノセンシノチカラヲサズケルモノデス……センンソウヲスルナラアイテニカナラズイッシムクエルノデベンリデスヨ♪」



 楽し気な様子で、早口で語る商人………『嘘』は言っていないが、重要な事が一切口にしなかったのだな……


 でも……確かにこれは、『悪意』を感じる。だけどそんな事に気が付かない馬鹿共………既に魔獣族特有の”野生の勘”は耄碌し過ぎて利かなかったのだろう…或いはそんな事より相手を蹴落とす事に夢中だったか……


 そして案の定、商人の口車に乗った老害共は、それを大量に買った。



「毎度有リ〜♪」



 そして、その直後一旦“彼ら”の意識が途絶えた……そして老害共の声が一切聞こえないそこで…



 商人らしき男の顔がアップとなった。



 それは存在感を極限までに削った様な男だった………どこにでも居る様な特徴の無い、つかみ所の一切無い“男”。


 ……これは恐らく見付ける事は不可能か?



「やあ、後でこれを見ている諸君。これを見れたと言う事は多分ボクの企みは失敗しちゃったんだろうね〜…あ〜あ……マスターに怒られるかな?


 まあいいや。」



 ……………先程までの異国風の片言な喋り方は全て演技か。



「取り敢えずボクのマスターから伝言を預かっているのでそれ言うね!え〜と……何々…



『ボクのルーナちゃんへ…』



って、マスター!?何で名指し?!!気色悪ッ!!!



 ……まあいいや、とりあえず続けるね?



『今回霊山に居る邪魔者を全員根こそぎ掃除するつもりだったけど、君が止めちゃったか……まあいいや。


 だけど、もう既に君以外の排除は始まっているからね?


 もう少ししたら………具体的には君が“大人”になれる年齢になった日に、君を迎えにいくから。だからもう少しだけ待っていてね?


 それと、そんなゴミはさっさと捨てた方が良いよ?後悔するからさ。


 また君が色々失って傷つく所は見たくないんだよね〜…現に今現在も君が居なければ全滅していたでしょ?


 だから、そんな不安定で無用な存在は君には要らないよ?


 まあでも、最終的に君以外は全員消滅させるし仮に生きていても君にはもう二度と会えなくなるから大丈夫だよ?


 じゃあ今はこれでさようなら。』



 うっわ〜……相変わらずのストーカー具合………正直引くわ〜つか、皆さんも引いて良いともうよ?


 ボク的にはマスターも間違っていると思うんだけど、それを正すのはボクじゃないからね…御免ね?


 だけど君なら知っているよね…『弱肉強食』だって。


 だからボクは逆らえないけど君達の事をささやかながら応援はしておくよ。だから感染力の弱くてワクチンだっけ?作り易い細菌にしたのはボクなりの心遣いだから。


 そんな分けで、頑張って生き残ってね!じゃ!!」


















 …………………………そうかそうか…またお前の仕業か……



 ……この前も私の行った先で色々と起こしてくれたよな?


 そして、王子の件も直接関わりが無い事は分かっているが、間接的には関わった事は分かっている。



 私が望むのは“平穏”と自由気ままなぶらり旅……後美味しいもの。


 それを毎度、毎度阻害してくれる事をしやがって……………






 フフフフフフフ………


 クククククク、ハ〜ッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ











 『シャドウ』……貴様は私直々に殺してやろう。」



 前から気に喰わなかったが、これ程『一個人』を嫌いになれるとは思わなかった………つか、自分自身が驚いている。



 これ程の『嫌悪感』は、前世で攫われた時以来だ。



 弱い連中だから見捨ててしまえ?冗談じゃない!


 彼らだってそれなりの“強さ”を兼ね備え、逞しく生きているのだ!!



「あ、あの……」



 頑張っている芽を詰む様な行為も許せないが、もっと許せない事はこれだけ回りを巻き込んで色々やっている事。



 私が目的なのであればこんな回りくどい事せずに直接来て戦えばいい………



 それをしないとか………よっぽどのチキンか?それとも○○○(ピー)か?いや、もしかすると●●●●●(ピピー)かもしれないな。



 まあどちらにせよどんな手を使っても邪魔だから払い除けるけどね。


 言うなればそうだな……道端に落ちている犬の△△△とかだろうか?



「あの〜…?」



 ん?



「どうしたよ?」



「もうそろそろ、その………

















 殺気を引っ込めてもらえませんか?何か周囲が大変なので……」



 周りを見回すと………確かにちょっとこれは……



—凍り付きガタガタ震える『百鬼会』幹部+『百獣連合』長…


—火鉢を自分に手繰り寄せてお茶を啜るカミュ爺…


—そして、完全に氷付けになって伸びている護衛の鬼達…



 ふと、私の視線に気が付いた火鉢を弄るカミュ爺は呆れ半分苦笑半分の表情で



「あ〜…老体には些かきつい、もう少し自重してくれんかの?」



 と言われた。



 ……………面目有りません。


 次回も宜しく御願い致します。

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