表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
59/142

58 公爵ェ………

 読者の皆様どうもこんばんは。そしてご意見・感想等有難うございます。


 さて、今回はルーナパパ視点で出発前にあった事を語ります。それでは本編をどぞ!

…………………(公爵)…………………



 ……………またやってしまった。



「貴方も全く凝りませんはね、セヴェン。」


「………だが…」



 リリン(我が妻)は、私の頭を撫でるとふわりと笑みを浮かべながら



「幾ら娘が心配でも、あんまり干渉し過ぎると嫌われてしまいますよ?」



 と言った。



 ただ、それはこれから私の言う事を聞いてから言ってもらいたいものだ……ルーナの抱えていた秘密の1つ。



「だが今回、非常に重大な事が分かったのだよ……」



 ここは幸い私の執務室……ルーナと彼女の部下であるドワーフ達が魔改造した防音効果の高くて防御能力の異様に高い、密談には適した部屋。



「聞いて驚くなよ………

















 ルーナは魔力測定水晶を割ったのだ。」



 ……………思い出すのはほんの数日前の出来事……正直目の前の光景が一切信じられず、固まってしまった。



 だってそうだろう?



 ………誰が予想出来よう……


 自分の娘がいつの間にか『幻想級』の魔力を多種多様な属性と同時に持っている等。



 いつの間にか『伝説の存在』と昇格している等……



………………(数日前)………………



 渋る娘と意気込む息子2人、そして緊張している王子を連れて私は領内の『魔術研究所』へ向かった。


 ここはルーナが提案し、ギルドと提携する形で建てた研究施設であり、内部では冒険者から平民や貴族まで、様々な人々が肩を並べ日々切磋琢磨している。



 そして開発された商品は、ルナライト社が定期的に注文して各店舗で卸していると言う。



 ここで開発されるのは、表向きは平民の低所得な家庭であってもギリギリ手の届く様に設定された手軽な生活必需品の魔道具。裏ではこの領内を徘徊している『アルソッフ第10号』と『セコームNo.31』と言うゴーレムを始めとする兵器。


 そして………今回使用する予定である、精密かつ繊細な技術を要する魔導具や“常識”そのものを覆し兼ねない様々な器具。


 その中には当然医療器具も含まれていると言う。



 まあ要するに、技術者達の保護と研究が本当の目的、建前としては利益を出す事である。



「公爵様、御嬢様。御待ちしておりました。」



 技術者筆頭のホビット族、フィルディー・バギンスが我々に礼をした。



「こちらこそ忙しい中時間を取らせて済まない……早速連れて行って貰えないだろうか?」


「かしこまりました。」



 それにしても………相変わらず背が低いな。確かホビット族の身長は平均すれば132cmだったはずだ。


 そして最長で140cm………現在のジェイルの身長より少し小さいくらいか。



 そんな事を考えている間に、娘が彼に話し掛けていた……新作の魔道具についてか?



「それでね………とすれば良いかと思うんだけど?」


「?!それはいいですね!!早速………としてみます。」


「うんうん、宜しく。今後も期待しているよ。」



 そして横を向くと、息子2人が廊下他の研究員の運ぶ魔道具の奇怪な形へ目が釘付けになっていた。



「ジェイル、アラン……遅れない様に。」


「「?!」」



 ………案の定意識が未知の魔道具へとトリップしていた様だ。魔道具は基本的に普段から家で使っているのにこれ程夢中になるとは……


 これなら魔道具に慣れていない王子は………そう思ってそちらに目を向けると、全く問題な……



()のルーナの手に気安く触れるとは……」



 駄目だ、目が逝っちゃっている…コイツハヤクナントカシナイト………


 いや、もう手遅れか……




 つか、何故娘はこうも扱いの面倒そうな男ばかり寄せ付けるのだろうか………



 まずは従魔を見れば分かる……



 黒狼、黒豹、白兎、銀狐、月熊………縄張りや番を大事にする種族ばかりよくもまあこれ程集めたものだ。



 それ以外の連中も大概だしな……



『性別スライム(♂)』:拾った相手の種族へと化けて一生番となる。


『スケルトンロード』:原料の骨によって性格や性質は変わる。そして私の記憶が正しければ、娘の拾った奴は嫉妬心で妻を一生軟禁していた辺境伯の“呪われた墓地”だった……


『闇鴉種』:義理人情に篤いが、名前通り“病む”可能性を秘めている種族。


『蜘蛛』:卵から孵して居るため刷り込み済み。


『鬼族』:種族無関係に“異性”に対する執着が凄まじい。



 私の書斎に置いてある魔物関連の極秘本に詳しく出ていた……ルーナには今更なので、読ませていないが。


 そしてルーナは1番やっては行けない事をしてしまった………彼らを“人”と変わらない扱をして、共に育った。



 だけど彼らはまだ可愛いものだ。



 問題は彼女の連れて来た最恐生物……………『竜』だ。



 竜等は元々宝石(大事なモノ)を執拗に守護しようとする習性が有り、他の生命体が近付くだけで過剰防衛する事が一般的に知られている。


 名前はジャンだったか?彼もその性質を色濃く持ち合わせていると言えるだろう。



 家に居た時は常に彼女へ付き纏っていた………訓練している時も勉学に勤しんでいるときも…そして、寝ている時でさえも。



 流石に風呂とトイレには着いていかなかったが、それでも必ず近くに居た事のだ……いつも手の届く範囲に。



 まあこれで分かっただろうか?


 何と言うか、ストー、いや粘……独占欲の強そうな、“自分のモノ”認定を一度でもしたモノへ他人が触れれば即行で切れそうな男ばかり娘の回りに集まって来ていると事は、紛れも無い現実だ。


 もうこれが呪いだったとしても、不思議にも思わない……いや、どう考えても一種の呪いだろう。



 心配だ……主に娘の未来が。



 ちなみに王子は移動中ずっとルーナを見詰めていたが、娘自身は一切気付いていない様子だった。






 そしてそんな風に悩んでいると、いつの間にか『魔道具研究部門』の研究室棟へ入り、『魔力測定室』へ着いていた。



「それでは一応簡単に説明致しますね。


 そもそも魔力水晶とは“魔力”を通す穴が沢山空いている石の事なのです。見た目は水晶そのものですが、よくよく観察して見ると表面に数多の孔が空いています。


 大きさはそうですね……大体3.6pm(3.6×10-12)くらいだと思われます。我々御嬢様開発の『魔力式電子顕微鏡』が無ければ発見さえ出来なかったと思われます


 この“孔”は全て同じ型をしていますが、そこへ魔力を通すと内部で光が屈折して属性ごとに違う色彩の光を放ちます。更に魔力が多ければその分より多くの“孔”を光らせられるため、光の強さが変わる事が判明しています。


 そして光り易さは孔に入っている不純物の量に依存します。その性質を我々は研究しておりました。


 不純物が多ければ多い程光の屈折率が悪くなると言う結果が出たため不純物を孔から試行錯誤の上で取り除いた結果、理論上正確な魔力量と魔力属性を測定可能な水晶を精製出来ました。」



 そう誇り高気に語る魔道具部門の所長………相当な困難を乗り越えた結果これ程素晴らしい器具が出来た事がよく分かる。


 特に、本人達が語るととても奥深く感じられる……



「では早速…誰からに致しますか?」


「王子、ジェイル、アラン…それから父上の順で。それと、私の分は別の粗悪品で結構だから………(ボソ)多分壊れるから。」


「左様ですか……では今の内にご用意させて頂きます。さて、では殿下、こちらを…」



 ………私がぼんやりしている間にルーナが全て仕切っていた。



 そして、王子、息子達の測定が終わり(何れも皆、基本属性全てと固有属性複数…)、私が測った所魔力量は然程変わらなかったが属性が増えていた事に驚いた……



 そしてルーナ、娘の測定………信じられない事を目撃した。


















 何と、魔力測定結晶に罅を入れ、その上で砕いてしまったのだ。



 ちなみに色彩にも驚かされた……



 基本属性全ては言うまでも無かったが、それ以外の属性が多すぎた。


 そしてその結果………伝説に出て来る英雄達の如く“灰色”の光を発していた。



「……………やっぱり……」



 諦めた様に溜め息を吐くと、娘は我々に振り返った。



「ここに居る人達全員に言っておきますけど他言は無用です。


 どう考えても面倒ごとしか呼びませんからね……過ぎたる力等。」



 心底面倒くさそうに、そう発言するルーナ………成る程。



 これを私達に見せたくなかったのか………



 その後帰宅してから数日後、私から逃れる様に家を出たのだった………“修業”を名目として。



…………………………………………



「う〜ん……私はその場に居なかったので何とも言えませんが、娘は貴方にそんな力がばれた結果恐れられていると思ったのではないでしょうか?」



 ……………確かに強引に聞き出した事への罪悪感で、暫くルーナを放置してしまったからな………


 でもそんなつもりは……



「分かっています…貴方にそんなつもりも無い事はね。ですが、言葉で伝えなければ意味話しませんよ?


 まあだからこそ、“勘”に従って急遽外交を切り上げて帰宅したのですが……」



 凹む私を包み込む様にそっと抱き締め、妻は優しげにこう語った。



「大丈夫。貴方と娘との間には確かに信頼関係が有りますから。だから修復もそこまで難しくはないですよ、きっと?何なら私も力になりますから。」


「ありがとう……そして済まない、私が不甲斐ないばかりに…」



 帰って来た時ゆっくり時間を設けて話すか……それで修復出来れば良いな。


 本作品ではマダオが多く出現していますが、一言……彼らも不器用ながら子供の未来は案じているんです!!


 公爵が魔力測定をさせた理由は1年後の出奔する事を予め知っているからです。故にルーナちゃんがどれくらいのレベルか見極めたくて強硬手段に出た訳です。


 少なからず舞台となっている王国に根付く”魔力至上主義”の考え方に賛同している結果です………まあ魔術があるので肉弾戦だと圧倒的に不利ですからね…例外は沢山居ますけど(ウォルターとかルーナとか、主に素で人間辞めちゃった人達w)


 それでは次回も宜しく御願い致します。


9/30: 殻ならず→必ず 訂正致しました。ご指摘有難うございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ