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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
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57 修業 in 霊山、時々胸騒ぎと氷結。

 読者の皆様どうもこんばんは。そして昨日は申し訳有りませんでした……具合が悪くて少し寝込んでしまったので、投稿出来ませんでした。皆様も季節の変わり目ですので、くれぐれも体調には気をつけ下さいね?風邪とか辛いですから…


 さて、今回は黒いルーナちゃんが降臨します。それでは本編をどぞ!


 最近ユキ、いや、ルーナが王子にかかり切りだ……正直苛々している。


 だけどそれだけではないんだよな………


 何か思い出せない事が有る……それが何なのかは未だ不明だし、その上毎回朝目覚める時にもやっとした何かが意識に残っている状態だ。



 だけど………………何故かそのぼんやりがはっきりになった時、今の生活が終わりそうな気がしてならない。



 そんな、言いようの無い不安を抱えている日々を現在は送っている。



…………………(end)…………………



 さて。


 王子の修業をする為現在私とウォルターは、ジャンクリと王子を連れて『霊山』に来ています。



 私は主にジャンクリと、王子はウォルターと現在組手をしているのだが………



「ジャンクリさ、調子悪いの?何かさっきから集中出来ていないよね?」


「いや、そう言う訳では……」



 ……いや、そう言う訳もどう言う訳も無く…動きが鈍いと言うか……


 今現在相当私が手加減しているから打ち合いが続いているだけであって、本気を出せば一瞬で終わりそうな程何故か弱くなっていた。



「体調が悪いのなら休まないと駄目だよ?」


「だから違うって!!」



 何故かむきになるジャンクリ……でも正直、他に原因が思いつかないんだよね…


 そも、調子が悪い以外にその“目の隈”と“怠そうな表情”はどう説明するつもりだよ?



「……………悪いけどウォルター、暫く頼んでいい?それとからヴィンセント殿下、暫ウォルターから指導を受けて頂けませんか?少々私の従魔の状態が悪い様なので……」



 2人の訓練を一旦止め、ジャンクリを休ませたい旨を伝えた。するとウォルターは直ぐに了承してくれた。


 だが、ヴィンセント殿下は少々渋っていた……無理ないよね。



「この埋め合わせは必ず行いますのでどうか……」



 大分渋った王子だっただが、最終的に



「なら、1つだけ私の願いをルーナ聞き届けてくれるのなら別に良い。」



と言う要求で決着がついた。



 ………あまり変な事を要求されないといいんだけどな……………



………………………………………



「………すいませんね、皆さん。」


『良いっすよ、姐さん。』



 ジャンクリを眠らせて(物理)、現在『百鬼会』“小鬼組”の療養所の一室を借りている。木造の古い建築なので衛生環境が良いとは言い難いが、他の鬼達の“野外に放置”よりはまだマシだ。


 ちなみにここに居るのは、全て薬鬼(小鬼の進化系)……優秀な薬師達である。


 それは兎も角。


 時折うなされた様にうわ言を言うジャン………状態は良いとは言い難い。


 原因は正直分からないが、ここまで悪化する前に気付けなかった事へ強い罪悪感を憶えた。



「御免な……側に居ながら。」



 ベッドと呼ぶには余りに粗末なマットレスに横たわる20代後半くらいの美丈夫………顔色は死人の様に青白く前身汗びっしょりで、目の下は黒くなっていた。


 そして前身に浮かぶ謎の紋様。


 それが時折不気味な鼓動を打ち、その度に前身をビク着かせては苦しそうな声をあげた……



 額をくっつけると高熱が有る事分かる。故に解熱剤を強制的に飲ませたのだが、先程から一向に聞く気配が無い……



 ん?何処かでこの症状……


 ふと、デジャヴに陥った……



……………………(考え中)…………………



「お嬢様、余り根を詰め過ぎるのも良くないですよ?」



 上品な紅茶の良い香りが空気中を漂い、鼻腔をくすぐる。



「分かってはるのだけどね………何だか思い出せそうで思い出せないのよ……」



 ウォルターの淹れた紅茶を飲みながら、私は再び思考の海へダイブしようとした。


 ………ああ気持ち悪いからさっさと思い出してしまいたい。


 そんな私を心配してなのか、顔を覗き込んでウォルターがこう言った。



「お嬢様、何か御悩みのご様子ですね。私などで宜しければ聞きますが?」



 う〜ん……確かにウォルターに聞いてみた方が早いかな…



「そうだね……ならちょっとだけ私の話聞いてくれる?」


「ええ、喜んで。」



 ふわりとした紅茶の香りに心を落ち着かせると、ティーカップを置いた。



「そうね……ジャンクリの症状に関してなのだけど…


 まずアレは少しだけ風邪っぽい症状………高熱が解熱剤でも下がらず、逆に悪化して居る状態。


 だけどそれだけではないんだよね……


 前身に変な紋様が浮かび上がっていて、それが時折脈打つんだけど……その度に苦痛な表情をしているんだよね……」



 すると、ウォルターは眼帯を付けていない方の目を輝かせた。



「僭越ながら、お嬢様…………それは『魔力風邪』では?」



 魔力風邪……魔力過剰症……………
















「あ、あれか!!!つか、何で忘れていたんだろう………」



 そうだ。


 約1年前に王子の誕生日に参加して私がダウンした原因となった病気だった。


 ………やばいな、若年生の健忘か?



 それ以外にも何か具合が悪くなった理由があったはずなんだけど………何故か記憶に靄が掛かっている。次いでに思い出そうとしたら……謎の頭痛に襲われた。


 よっぽど身体が思い出したくない事なのかも知れない……



 まあいいか。



 兎も角原因ははっきりしたので後は解決すれば良いだけだが………何故、つか、何時ジャンクリはそんな膨大な魔素を取り込んだんだろうか……
















 大方拾い食いでもしたのかも知れないな……前もそんな事が有ったし。



 だけど、取り敢えずよかった………………大事では無さそうで。



 兎も角治療したら1週間は安静だな。その後は十分反省させた後で稽古付けてやるか。


 暫く本気を出せないのが辛いな……



…………………(駄竜)…………………



「………と言う訳だけど、何か言う事は?」



 ……………ニッコリと擬音が付きそうな顔で、小鬼族診療院のベッド上にいる俺を上から見下ろすルーナ。


 その顔は笑っているが目の奥は一切笑っておらず、どこまでも黒い。


 ………更に、背後に般若を背負っていた。



「……………領内パトロール中につまみ食いしました、ゴメンナサイ、許して下さい、おねがいします。」



 俺はその場で土下座をした………何となくしなければ駄目な気分になった。



「それで?」



 黒い笑みのまま、彼女は続けた。



「………自分の何が一体悪かったの?」


「………………。」



 答えられずに居ると、そのまま穏やかな声で続けた……



「ねえ、何が一体悪かったのかちゃんと私に言わないと分からないよ?」


「ねえ、一体君は何に対して悪いと思って私に謝ったの?そこの所はっきりと理解していないと反省にはならないよ?ドューユーアンダスタンド?」


「意味の無い謝罪は謝罪でも何でも無いから。」


「自分の行った事をちゃんと反省しているの?それ以前に自分が悪かった事自体をちゃんと認めているの?」



 ……………………………

 ………………………

 …………………

 ……………

 ………




 エンドレスに続く、彼女の静かな説教………



 相変わらずだな……本当に。



 これは肉体的な体罰は一切無いが、それ以外の意味合いで色々と相当きつい………主に周囲でも親しい間柄の人が何か重大な事をやらかした時に大体この方法でじわじわと責めるのだ。



 1つ1つの言葉自体はそこまで攻撃力は無い。よっぽど裏街の飲食店における喧嘩の方が酷い……


 だが………この方法は地味に来るものがあるのだ……主にメンタル面で…



 彼女の場合……この方法で一度親父(ファーザー)や『サイレンサー』を泣かせた実績が有る……


 一体何で泣かせたんだっけ………ああそうだった…


 滅茶大人気ない理由だったな……


 2人とも彼女を嫁に出したくないからと、周囲に牽制を掛けたり色々したりしていた事がばれて、説教を喰らっていたんだった…



 まあ結局、2人とも反省していなかったけどね…



 でも、それ以来絶対彼女には知られない様に頑張って隠蔽していた……



「………ねえ、分かっている?ちゃんと聞いている?」



 ………油断して聞き流していたら、彼女から氷点下の声がした。


 恐る恐る見上げると………そこには“氷結の女王様”が冷たい笑みを浮かべながら君臨していた。


 ……ユキの“ダークモード”の中でも過酷な『魔王モード』の1つ、と言っておこう。


 彼女がこのモードになると、色々不味い。


 どれ程不味いかと言うとだな………チョモランマを酸素ボンベと防寒服無しのまま一般人が上から放置されるのと同レベルと言っても相違ない…と思う。



 具体的にはそうだな……絶対零度な視線を浴びせながら、周囲にブリザードを撒き散らして冷たい言葉をエンドレスに浴びせられる……


 ただそれだけなのに、身体の震えが止まらなくなる。


 まあ無理も無いのかな……


 赤道真っ只中の灼熱地獄だろうと無関係に彼女の醸し出す雰囲気だけで極寒地帯となるからな………


 SAN値がガリガリ削られる事は言うまでも無い……説教された人の中には、その極寒に耐えられずに凍死寸前になる奴も居た。


 そして、当然『目覚めた』奴も居た………



 ちなみに俺は前者であり、極寒に晒されて説教が終わる頃には身体の震えが止まらなくなっていた…後で温かな風呂に入り、やっと一息つけた事は良く憶えている。


 ………主に身体が。


 だけど、あの時誓ったのにな〜……



“彼女をそこまで怒らせない”



 と…………結局果たせなかったけど。



「ジャン・クリストファー・ナイトロード?」



 凍てつく声で、フルネームを呼ばれ……俺は増々身が縮まる思いがしたのだった。



…………………(end)…………………



 ガタガタガタガタガタガタガタ………



「ゴメンナサイ。スイマエン。モウシワケアリマセンデシタ。ミナサマトオナジミチヲアルイテスイマセン。ゴメンナサイ。ソンザイスルコトジタイモウシワケゴザイマセンデシタ。オレハ○○(ピー)〇〇○(ピーー)以下ノカスデス………」



 っは?!


 ん?この状況はどうなっているの?!



「お嬢様、一体何と………あ、大体わかりました。」



 え?!ど、どう言う事?















 やっと落ち着いた。


 さて…………目前に広がっているカオスを説明しよう……



 ジャンクリが部屋の隅で真っ青な顔をしながら前身を抱える様に縮こまって震えていた……何故か、半分凍り付きながら。


 ちなみに彼は二等身のデフォルメした姿に何故か見える……ズーンと擬音を付けたくなる様な感じだ。


 半分エクトプラズム口から出しながらずっとうわ言をブツブツとエンドレスに……



 何が有った?


 ……………さっきまで私も意識が飛んでいたからな〜…そう思ってウォルターの方を向くと、いつもの渋い笑顔で



「お湯の準備をして参りますね。」



と言って立ち去った。



 ま、仕様がないか………心当たりは正直無いしね…ただ、そうだな。


 …時々前世もこんな事があったな〜とは思わなくもない……



……………………(最早ストーカーw)……………………



 ……ん?


 何だか馬鹿にされた気がしたけど、まあいいや…誰がしたかは見当がついているし。


 後でたっぷり拷…お話すればいいからね。



 それより………………アレは流石に同情する。



 前世でも彼女のダークサイドが降臨すると、辺り一帯が吹雪に見舞われるからね………主に精神的な意味合いで。


 ボク自身も結構説教された覚えが有るからな〜……



 うん。ルーナと一緒に居る事については正直腹が立つけど、今回ばかりは見逃してやろう………



 ああ思い出しただけで………



 カタカタカタカタカタカタカタカタ………ピシッ



「失礼します、シャドウさ………え?!な!!おい!!そこの、今直ぐお湯!熱湯もってこい!!!」


「え、は?!!あ、はい!!今直ぐに。」バタバタバタ



『シャドウ様が得体の知れない攻撃を凍り付いている!!皆、急げ!!!』



 ……………………ボクは凍り付きながら、大騒ぎをしている部下達を見ている事しか出来なかった………



 ルーナ………恐ろしい子。


 シャドウェ………


 つか、回想しただけで凍り付くとか……一体何をしてそんな怒られたんだよ………



「おや〜またボクを馬鹿にするの?それならそれ相応の覚悟はいいかい?」


 ご、ごめんなさい調子に乗りました……だから、その手に持っている物騒なブツは降ろし…グギャアアァァァァァ……



(それでは次回も宜しく御願い致します。)

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