56 暫くは続きそうな平穏(切望)
読者の皆様どうもこんばんは。
さて、今回は時が少々キン○リした時点から始まっております。それと、後半部分気持ち悪いです………主に黒幕サン(=裏ボスその1)が。
それでは本編をどぞ!
あれから数ヶ月………
王子はリハビリ後順調に体力を戻していっている。
現在12歳となり、段々と幼い顔つきは大人っぽくなって来ている。色彩もアレ以来落ち着いた色合いのままだし、以外と大人になった頃には渋い容姿になるかも知れない……まあウォルターには敵わないだろうけどさ。
そも、ウォルターの持つ特有の研ぎ澄まされた『渋さ』と彼の放つ格好いい大人の『色気』?それらに勝る人物は………本気を出した父上くらいしか知らない。
まあ、子供の前では相変わらず親馬鹿でいらっしゃるので顔が弛んでおり威厳も欠片もないのだが………
それは兎も角。
王子、最近は訓練に打ち込む様になったな……こちらが引く程に。何か身体をいじめ抜いている様に見えるのだが、大丈夫だろうか?つか、逆に鍛え過ぎは悪いと言っているのだけどね……
本人曰く、“邪念退散”なのだそうだ……厨二病では無いと信じたい…割と切実に。
一応心配でウォルターに尋ねてみた所、笑顔で
「歳特有のものですからね……放置されるのが宜しいかと。」
と諭された……………解せないが、仕方有るまい。
ちなみにその時のウォルターは何故か生暖かい目で王子を見守っていた。
そして先日、私は無事実年齢は11歳を迎えた。貴族としての年齢は旧暦を元としているためまだ法律上は10歳だがそれも数ヶ月の誤差だ。
しかしここまで長かったな………
まだ全然安心は出来ないけど、あと1年だ!!
それだけ耐えれば、この国から自由に出られる様になる……冒険者として自立出来る歳になれる。
…つまり、やっと“設定”と言う名の柵から解放される。まあ、色々折り過ぎた結果今更フラグも何も無い気もするが。
それに……ヒロインちゃんは相変わらず残念過ぎて思わず語尾に(爆笑)や(冷笑)や(失笑)と付けたくなる程に痛い子だからね……
ちなみに彼女は最近ルナライト商会(=最早コンビニ)で売り出したお手軽スイーツに嵌り、ハーレムそっちのけで飯を優先する様になったようです。
分かる…すごくよく分かるよ……あれ癖になるからね。
だけどさ……………いくら何でも引きこもってばかり居たらその内ね…思春期間近なのだし、もう少し運動した方が良いと思うのだけど?
後、男爵家の令嬢らしからぬ食い意地……どうにかしないと攻略対象者だったっけ?
そんな連中と話す前から引かれるぞ〜………主に人として。
まあ頑張れ…主に私に迷惑の掛からない方向へ。
その点王子は既に12歳……今度ギルドに偽名で登録させて、ウォルター監修の元実践の場でビシバシ鍛えるつもりで居る。
武力は私と一緒に訓練をしているので有る程度付いて来ているが、その他の技能……剥ぎ取り、それから野宿等、それらがこれから『世界』を見て回る冒険者を目指すにしても、余りにお粗末なのだ。
まあ仕様がないけどね………流石に王宮では抜け出さない限りは冒険なんて許されなかっただろうからね……
ちなみにこの話しをした時王子は何故か懐かしそうな嬉しそうな顔をしていたのだが、理由を聞いても教えてくれなかった。
ただ、私と関係が有る事だと言われたのだが……解せない。
まあいいや。つか、それは兎も角だな…
最近実は困った事が有ります。
それは………
父上が『の○太、野球やろうZE☆』のノリで『魔力測ろうぜ』と言って来る事です。
事の発端は……まあ王子にあるけど、これは仕方が無い。
順を追って説明していきます。
王子の身体は現在上手く騙せており、一応容態は安定しています。そして、同時に何故か魔力が最近増えたんだって………まあ当然の結果だけどね?
だってさ、私とほぼ同等のメニューこなしているんだもん……今現在。
最初は大変そうだったし全然着いて来られなかったんだけど、彼元々物凄く負けず嫌いじゃない?だから、意地になって私と同じ時刻に起きては毎日朝からへばっていたんだよね……
それが、2ヶ月位が経った頃には私の1km後ろに追い着く様になり、3ヶ月で30m後ろを走れる様になった。
そして現在私が本気を出さなければ並んで走れる様になったのです。
流石にその時は突っ込んだよ……………これがこの世界の補正なのかってね!!
私は何年にも渡る努力の末これ程走れていると言うのに、王子は何で数ヶ月なのかって……
まあ、虚しくなってorzしていた所をウォルターがお手製の激ウマプリンをこっそり分けてくれたのは良い思い出だけどね。
そして当然ながら魔力の『操作』と『増量』は幼少から続けている訳で、今現在の訓練でも行っています。
それを王子が一緒にやりたい、是非教えてくれと頼んで来たので……将来の事も考えて共に訓練を受けたのだった。
結果:王子の保有魔力量と魔力変換量が増量した。
一応幻術が解けないか心配していたが、大丈夫だった様だ。
その心配は無かったから安心していたのだが、親父が王子に魔力測定を勧めたのだ……悪魔の囁きの様な手法で…
“自分の魔力量がどれ程成長したか、成果が知りたいでしょう?”
“現在どれ程の属性を扱えるか正確な事は知りたく有りませんか?”
……………まあ確かに現在王都にある“教会”が保有している魔力計測結晶よりも精巧に測定出来る装置を公爵領は持っているよ?
別に自重しなかった結果では無いんだよね〜…今回は。
民族間の抗争に破れて野垂れ死にそうになっていたホビット族の魔道具職人を引取って領内で好きにさせていたら、いつの間にか作っていてくれていたんだよ……拾ってくれた恩がどうとか言ってね。
それ以外にも色々発案したり制作したりしてくれています。実際、ルナライト社で売っているものも有るし。
ちなみに医療器具も彼らが手掛けています…ドワーフ族の人達と共同で。
さて、話しを戻そう。
勿論親父は王子をこんな風に誘った事には裏が有り、それは……
その事にかこつけて、私の魔力量と正確な属性を把握しようと言う魂胆なのだ。
ま、まあたしかに、私も自分の正確な属性は最近分からなくなっているし、それにそも、父上には正直に話していなかったけどさ……
けど、もう少しだけ考えてよね………
現在私は間違いない事に”明らかにばれたらあかんだろう”と言える程のレベルにいるんだし、外部に漏れない様にこっそりやるならわかるよ?
後、せめてまだ身内ではない王子には知られない様にしたかった……後でもし個人情報が流出した時とか、疑いたくなかったからね。
それを…有ろう事かこの駄目な親父、略してマダオは……
「そう言えば10歳の時に魔力測定をしていなかったね、行って見る?」
などと、王子の前で余計な一言。次いでに苛つく様なドヤ顔ならぬ、参ったか顔。
うっぜ〜!!!!!
でも王子が不安だから一緒に来てくれと間髪入れずに言って来たため思わずイエスと答えてしまった私………
何か、最近王子の頼み事…性的な事が関わらない内容については断れないんだよね………
………増々私の記憶に有る『誰か』に似ているのだが、誰か未だに検討が着かず、非常に気分が悪いです。
………その内案外あっさり思い出す気がするけどね。
まあそんな分けで、私は魔力測定結晶のある『学園都市』へと現在ドナドナなされている訳です……ああ憂鬱。
どんな騒ぎになるのか、今はただただ面倒な気分です。
………………(5ヶ月前 ???)……………
ふ〜ん……そっか。『あの人達』餓鬼は始末損ねたか……
“あ〜あ、皆本当に使えないね”
仕様がないよ、所詮は雑魚・モブでしかないのだし。それにルーナが彼らの浅知恵程度どうにでも出来ちゃうだろうしね。
結局少しだけ上辺にクリームを塗っても、残飯は残飯でしかなかったってことだね……分かっていた事だけどさ。
それに、今回は上手く行けば良いかな〜程度にしか思っていなかったから別に良いよ……目的の1つは上手く行ったしね。
“これで、あの糞ガキを揺さぶる事が出来る様になる”
“前世からルーナに群がる無能で無用な塵虫共を殲滅出来る”
仕込みは終わった。
だから後は、そうだね……彼らがあの糞狐みたいに余計な事を思い出さない内に消し去ってしまおう。
ルーナちゃん、もう少しだね。
もう少しでこの国では自立出来る年齢になるんだよね?その時ボクはお祝いを持って行ってあげるね。
一緒に祝いたいからとっておきの場所も用意しておくよ。
その時は…『2人』だけで、君の誕生日、そして君の大人への第一歩を祝おう?
それに君が望むなら……ボクが自らの手で君の関わる全てのフラグだっけ?そんな柵如き破壊して上げるよ。
何、簡単な事だよ……
“ボクが君を『大人』にすればいいだけだからね”
その瞬間君の『時』はボクの『時』と同じになる……君はルーナと言う“人間”ではなくなるんだ。
だから、当然『セカイ』は君へ干渉する事が不可能になる。
ああちなみにボクはどこぞの駄竜と違って○リコンではないから幼い身体にたいして盛ったり出来ない。
だから、当然身体はボク好みの年齢…そうだね、大体20代後半辺りの完成された肉体まで成長させるよ。
そして君はそのままで、永遠を生きるんだ…ボクと。
ボクはとっておきのプレゼントを用意しておくから、だから安心して待っていてね?
ボクの可愛い弟子であり、愛する女だからね……
何が良いかな?君が望むのなら永遠の命だろうと『セカイ』だろうと、何だってあげる事が可能だ。
ボクと一緒にいてくれるって約束してさえくれれば、ボクは君の幸せを保証するよ。
『それは本当に彼女の“シアワセ”になるのか?』
……………五月蝿いな。
最近ボクの中に住み着いて来た、寄生虫の様な存在がそんな事をまた言った。
だって、ボクも一緒に幸せになりたいの!!いいでしょ?
『彼女を不幸にしたいのか?自由な羽を奪うのか?』
“…五月蝿い、五月蝿い、うるさい、うるさい、うるさい、ウルサイ、ウルサイ、ウルサイ……”
“黙れ、黙れ、黙れ、黙れ、黙れ、だまれ、だまれ、だまれ、だまれ、だまれ、だまれ、ダマレ、ダマレ、ダマレ、ダマレ、ダマレ、ダマレ、ダマレ………”
お前に何かにボクの気持ちが分かってたまるか!!!
ボクを散々“捨てて”来た、あんたにボクの孤独が分かるか!!!
ボクは生まれたときから独りで、その後もずっと孤独だった……だってしょうがないじゃん、ボクは最初から『逸脱』した存在だったんだし。
だから、彼女に出会えた時は嬉しかったんだ。
一緒にいたっていいじゃん!!受け入れてくれるのは彼女しか居ないし、ボクも彼女しか受け入れたくない!!
他の連中なんて別にどうでも良い……
“邪魔するならコロス…”
それだけだよ。
彼女も最初は受け入れてくれなくても、一緒に居ればきっとその内分かってくれるよ……前もそうだったから。
彼女はボクを最終的に何だかんだ受け入れてくれるんだ。
『それは君の妄想に過ぎない…』
………五月蝿いな。
ボクの意識に巣食う“邪魔者”は排除出来ないから仕方が無いけど、無視して計画を色々と練るのだった。
次回もどうぞ宜しく御願い致します。




