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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
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54 魂欠損の症状 王子ver.

 読者の皆様どうもこんばんは。感想・ご指摘等、本当に有難うございます。返事必ず致しますのでもう暫く御待ち下さい。


 さて今回は王子の状態についてです。それでは本編をどぞ!

 分身達の記憶(報告書)を眺めて編集しながら、私は今後の事を考えていた。



…………………(数日前)…………………



 王子の容態は完全に安定した………肉体的にはだけど。



「ハア、ハア、ハア……」


「しっかりしろ!」



 しかし、精神面……特に感情抑制部分に異常が見られたのだった。言語中枢や認識、知能には何の問題も無いのだが、現在の王子は何と言うか…感情的になりすく、抑えがきかないのだった。


 現在も、私が少し離れようとしただけなのに……



「行かないでくれ…1人にしないでルーナ!」


「…………。」



 背後へおんぶオバケ化からの〜子泣き爺で、胴体からミシミシとかギシギシとか本来鳴っちゃ不味い音が聞こえる……と言うか、イタイ、マジで痛いから!!


 ………………王子〜…ただほんの少しだけトイレに行こうと思ったのですけど……


 だから取り敢えず解放!!それと、そんな顔するなよ…捨てられた子犬みたいに悲壮感溢れた表情しなくても今更捨てないって。



「ゴメン」ビシッ


「?!うっ……」



 ………仕方無く手刀で延髄を狙い、意識を刈り取った。コレ危険だから仲いい人達には余りやりたくないんだけどね……でも漏らす訳にもいかないからな…


 王子が目を覚ます前に、何とか握られていた手を解いてトイレへと向かった。



 幸い暴力的な部分は見られず、彼にとって大事にしているものが近くに有れば騒いだり泣き出したりはしない……それに当然私も含まれる訳で………



 これは暫く添い寝してやるしか無いのかな?


 いや………別に良いんだけどさ、約数名、主に駄竜とかが五月蝿そうだな〜…どうやって宥めよう。


 王子は王様同様ヘタ○だから大丈夫だっていっているんだけどね……油断し過ぎだと毎度起こられているからな〜…そんなつもり一切無いけどね。



 でも決めたからな……王子の面倒は見るって。



 ここまで悪化する前に私ならば何とか出来たはずだったんだ……


 だって王子は公爵家(ウチ)にほぼ毎日通っていたからな…王宮からは相当遠いはずなのに。


 だけど、私は彼を避けていた…割と意図的に。



「ルーナ!」



 泣きそうな不安そうな表情でドア付近を彷徨していた王子……トイレから帰って来るなり抱付かれた。



「御免…頭では分かっているのだが、心と身体がお前を求めて止まない…私ではもう、止められない。」



 不安そうな顔で、見捨てないでと言わないばかりに私を見詰める王子……キラキラした色彩から若干落ち着いた色彩となった奇麗な目が不安に揺れていた。



「お願いだ……私を離さないでくれ。」



 その、とても純粋な瞳に私の顔が写った…若干呆れた様な、困った様な笑みを浮かべている私の表情………



「頼まれても離しませんよ…大丈夫。」



 安心させる様に黒混じりで灰色系統の相変わらずサラサラした銀髪を撫でる。


 彼の伸びた髪は、するりと指からこぼれ落ちた。



 そのまま部屋のソファーへと2人で腰掛けると、私は彼の手を取った。

 彼の事を見詰めながら、私は言った。



「私はここに居ますよ?だから安心して下さいな。」



 その言葉を聞くと同時に安心した様に目を細め、とろんとした表情をする王子……そのまま私の肩に頭を乗せてよりかかった。


 ………少し重いが、温もりを感じて安心する。



“生きて、ここに居る”



 『魂の欠損』による症状が急激に悪化した症例は今の所聞いた事が無かったので、正直不安だったのだ。


 だけど、この程度で済んだ……


 確かに感情の抑制が利かない事は非常に不味い事は分かっている。だが私が一緒に居れば症状が治まって正常な状態でいられるという。


 それのならば、別に一緒にいればいい……嫌では無いし、今の状態で離れられるのは逆に心配だ。



 だけど、このままの状態では駄目だと言う事は分かっている。



 私にも生活は有る訳だし、日々やる事も有る。だから、付きっきりで居る事は事実上不可能だと言える。



 例えばだ……風呂やトイレは一緒に入れないだろう?


 私達はまだ子供であって、例え婚約者であってもそう言う事は早いと思うし…大体将来本当に結婚するかどうか決まっていないのに“そう言う事”をするのは駄目だと思う。



 だから、一時的に取れる対策、と言うか処置を色々これから考えたいと思う。



……………………………………



 王子に眠剤を盛って眠らせた後、私は彼の部屋を後にした。


 そして向かう先は……医療特区。



 王子の容態が大分落ち着いた時に一度だけ私同伴の下で検査を受けさせたのだが、その結果を知る為だ……既に出ている事は知っていたからね。



「お、来たね。」


「はい、出迎えのして下さった方々にお忙しい中ありがとうと後ほど御伝え下さい、グレイル。」


「分かったよ、任せて。」



 グレイルの研究室に着くと、いつもの様に席に促された。座ると何処からとも無く出て来るお茶と茶菓子…彼に頼まれて描いた術式なのだが………


 ……成る程。だから太…ゲフン、ぽっちゃりしているのか。



「さて、検査結果だね?」


「はい。既に出ているはずですよね?」


「ああ、うん……少しだけショッキングな内容だろうけど、いい?」


「大丈夫です…」



 頷くと、彼は魔術式のプロジェクターをセッティングした。そして、そこに映し出されたのは……



「……脳…王子のでしょうか?」


「ああそうだよ、大体現在どんな状態なのか再現してみたよ。」



 そして説明が始まった。



(キング・クリ○ゾン!!)



「………ま、そんな分けで今までの内容をまとめると、新皮質の機能に異常が生じたのだろうと考えられると言う事だよね…」


「だから……」



 ああ納得…だからあんな風に感情の制御が利かないのね……大脳新皮質に異常が有れば、確かにああなるのだろうな。



 救いとしては、脳に欠損は無い事か…



 ただ単に機能が正常に働いていないと言う事は、薬剤等によってコントロールする事は可能。まあお勧め出来る方法ではないけどね。だって……



「確か、長期的に精神安定剤を摂取し続けると…」


「ん?若年性の痴呆症になる可能性が高くなるよ?だって脳の機能を更に制限する薬だからね。」



 そう。この薬が危険で有る理由は患部(今回は感情を司る部分)以外にもその効果が及んでしまう事なのだ。



 分かりにくいか…そうだな………



 例えばだ。


 例えば君が足の骨を折って暫く歩けなくなり、車椅子を使うとしよう。そしてそれから3・4ヶ月が経って骨が治った時、いきなり君は普段通り歩けるかな?


 答えは……無理だろうと私なら答える。


 ずっと椅子に座っていれば足を“使わない”のだから、当然使う時に必要な筋肉を使わない事になる。そうすると、筋力は簡単に低下していき……結果、普段通りの動きもしにくくなる。


 そしてこれは、骨格筋に限った事ではなく人の身体のあらゆる部分がそうだと言える。


 使わなければその分機能が“劣化”していく。


 当然ながら“脳”もそれに相当する。故に、感情を無理矢理押さえるために薬を飲めば他の所へも影響が出て……最終的に全体の機能がガタッと低下するのだ。


 確かに短期間身体へ“休息”を取らせる意味合いで機能制限をするのは有効打と言える。だが今回はあくまで長期的な措置を取らないとならないのだ……一時的とは言え。



 魂の破片を回収するか他に方法を考えるか…どちらにせよ、十分な時間が要る。



 故に今回王子はこの方法は取らない。そしてそれを今回相談に来たのだった。



「……と言う訳で、何か良い案は御座いませんか?」


「そう言われてもね〜……次からはもう少しそう言う事は早めに言おうね?」


「…あ、すいません。」


「いや、今回は仕様がないから別にいいとして…一応考えてみるよ。」


「有難うございます。」



 そして、その日は結果だけ報告を受け、そのまま我が家へ帰った。



………………(冒頭の時間)………………



 あれから暫く色々考えてみた…そして、その間に精霊達が良い案を出してくれたのだった。



“機能不全ではないと、脳を騙せばいいのでは?”



 つまり、身体に正常だと思い込ませると言う事だ。



 う〜ん、分かりにくいか……



 そうだな……某赤子型幻術使いが使って敵対者へ傷を負わせたりする方法。後は、某マフィア所属の幻術使いが臓器欠損で死にそうな少女へ強力は幻術を掛けて身体を騙す事で生きながらえらせたりしている方法等。



 これで通じていれば良いが……まあ伝わらなかったら仕方が無い。



 そんな分けで、王子の身体へ『幻術』を掛ける事にしたのだった。



 そして、実行するのは明日………これで一時的にでも正常な状態に戻ってくれると有り難い。


 流石に毎度風呂を覗かれそうになったりトイレに突撃されそうになったりするのは………


 と、まあ冗談は置いておくとして。



 今の状態のまま、私が単独行動をしなければ行けなくなった場合、王子は非常に危険な目に遭う事になると言う事だ。



 ………何せ、私と私の分身体を見分けて『本体』の後を追おうとするのだから…


 当然分身体を置いていっても本体を追って来る事は目に見えている…それが例えどんなに危険な場所であったとしても。



 それだけは絶対に避けなければならない……



 医師達にも相談し、明日医療施設を貸してもらえる事になっている。その上でグレイル医師も立ち会ってくれるそうだ。


 少しだけ安心出来るな。



「ルーナ!」


「あ、はい、今行きます。」



 王子に呼ばれ、私は部屋へ入って行った。


 後もう少しの辛抱だから。明日、術式が上手く作動すれば私にこれ以上”依存”しなくても大丈夫になれるから。


 だから、もう少しだけ耐えてくれ。


 ルーナちゃんの方が攻略対象者チックに見えるのって私だけでしょうか?つか、王子……お前はどこぞのギャルゲーのヒロインかよ…


 そんな訳で副題は『王子の黒歴史量産中』でした。きっと後から振り返った時に自分の行動を顧みては悶えるのでしょうw



 さて、本日作者は燃え尽きました……休み返上で色々やる事が重なり、投稿分もやっと仕上がった状態でした。故に今回、ちょっとミスが発生している可能性が結構有ります。申し訳ないです。


 後、感想への返信は明日以降行っていきたいと思います。


 本当、皆様の感想に元気づけられて訂正や改善点を上げてもらい…何とか続けています。いつも皆様有難うございます。完結まで頑張ります。


 それでは次回も宜しく御願い致します。

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