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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
51/142

50 夢と現と。

 読者の皆様どうもこんばんは。そして、ご指摘有難うございます。


 さて、今回はルーナちゃん視点と???視点です。だけど、多分???は誰だか直ぐにばれます……それを狙って書いたので。


 それでは本編をどぞ!

 『新月』の分析がやっと終わると、私はベッドへ崩れ落ちた。



 ………………流石にもう限界。



 分身達に取らせた睡眠があったとしても、それは分身の感じる疲労を取る分に殆ど回される。つか、そうしなかった場合分身の経験した『疲労』が全て私へ帰って来る事になる。


 勿論記憶同様フィルタリングは出来るが、それにも限度が有るのだ。



 そんな分けで『本体』の疲労は休息以外取る方法が無い。



 それに………分析結果に関してこれから色々と考えなければならないから、しっかり休んで頭の回転を良くしなければ駄目だろう。



 そんな分けで、皆様おやすみなさい。



…………………(???)…………………



 私の名前は*********。


 私は裕福で幸せで、家族もちゃんと愛してくれるいい所へ生まれて育った。その上で優しい婚約者も居た。


 彼は、私の事を一生愛してくれるって誓ってくれた。相思相愛だった。


 私の家族も彼の家族も皆祝福してくれたし、もう既にその幸せな未来は目前まで迫っていた。



 だけど、全て変わってしまった………



 有る時彼が、私以外の女性と一緒に居る所を見た……それも、やけに親しげに。


 最初は親族かなにかだと思って放置していた。だけど、そうしているうちに、変な噂が立った。


 私が嫉妬のあまり他の人達と一緒に彼女をいじめていると言うちょっと考えられない様な事を言われていたのだった……



 その件の女性が私の婚約者の他にも、色々な人を侍らせていた事がそれは発端。



 その女性が選んだ男性は、皆婚約者の居る“見目麗しい”男性ばかりだった。だから、その男性達と婚約していた人達が起こるのも当然だと思う。


 だけど、少なくとも私は彼女の事はいじめていない……早々に彼を諦めたから。



 私は彼が彼女と一緒に居る所を目撃して………………悲しかったけれど、仕方が無いと思った。


 だって、勝負にすらならないのだから………



 ハニーブラウンのウェーブの掛かった髪に緑色の目。その穏やかな色彩が飾るのは、何処か人間味があって温かな表情の可愛らしい女性。


 対する私は無機質な銀髪に紫色の目。容姿は整っている様だけれど、どこか人形じみた所があって可愛くないし冷たい印象を受ける。


 その上で、私は彼女の様にその人の必要な言葉を必要な時に言える程の賢さは無い。



 だから、すっぱり諦めよう。



 胸が痛かったけど、私は両親と彼の親にその事を伝えた………婚約を破棄する事を。


 後、この事は彼に秘密にしておいて、誕生日の時にサプライズとして伝えようと……………まさかその結果“悲劇”が起こるとは思わずに。



 そして、婚約破棄の手続きが終わって自由の身となってみた時、強い喪失感が有る中で、何故か今までに無かった解放感を感じた。



 今までは彼に禁止されていた街への散策や、夜会への参加、他にも沢山の事を経験して、沢山の人と出会い、そして今までしなかった多くの事を知った。



“今まで私の『セカイ』はこんなに狭かったのね”


“知らなかった事をこれからはもっと沢山知りたい”


“果てしなく広がるこの美しい『セカイ』を巡ってみたい”



 そして、私は将来したい事を見付けた。それに邁進する様になって彼の事などすっかり忘れていた……訳でも無い。


 時折思い出しては涙した……それ程彼は私に取って大きな存在だったのだと。



 だけど、もう済んだ事は元には戻らない。邁進有るのみ。



 増々私は彼と疎遠になり、沢山の新たな人達と出会った。



—市街地にいる怖い格好と顔だけれど本当はとっても優しい男の人


—隣国の王子だと名乗る、派手だけどとても気遣な同い年の男の子


—父の孤児院から引取った、いつも一緒にいてくれる笑顔の素敵な私の義兄様。


—夜会で怖い人に連れて行かれそうになった時に助けてくれた不思議な格好の男の人


—茶会の時に一緒に楽しく離して以来時々花束と一緒に遭いに来てくれる母方の伯父様



 他にもそれまでの友人達の意外な一面を知ったりする等、楽しい日々を過ごしていた。



 だから……………そんな日々があんな形で唐突に終わるとは思わなかった。



 婚約破棄をした事を彼に伝える日、私は当然彼の誕生日に招かれた。そこで、両親に連れられて、私は彼とのけじめをつけるべく事の次第を伝えた。



“きっと喜んでくれるよね?”


“だって彼女の事が好きなのでしょう?”


“だから、幸せになって欲しい”



 涙を堪えて、私は頑張って笑顔を取り繕って言い切った………これで彼を解放してあげられると思って。



 これで、彼も私に縛られる事無く幸せになれる。



 そう信じていた……………………
















「………………誰だ?」



 最初は別人だと思った………低くて、とても威圧感が有って怖い声だったから。


 ………彼の穏やかで優しい声ではなかったから。



「………お前を誑かした男は一体何処の誰だ?」



 だけど、彼の顔や表情を見て、彼なのだと直ぐに判った。



「お前は俺の事が好きだったよな?」


「いつからだ……いつから心変わりした?」


「俺はお前だけだったのに……お前は違ったんだな。」


「……お前は俺だけを見ていれば良かったんだ。」


「俺以外視界に入れなくて良い………俺だけでいいんだ。」



 だけど、彼の言葉は意味が一切分からなかった………何を一体言っているか分からない。


 ………何が言いたいのか分からない。



「………お前の目に写っているのもお前の表情を変えるのも、何もかも俺だけでいいだよ!」



 ……………私の事、好きではないのでしょう……なのに何故それ程必死に言うの?


 普段表情を崩さない貴方が何故それ程までに暗い表情をするの?何故それ程苦しそうに顔を歪めるの?


 私は混乱し、行動が遅れた。



「もういい………俺はお前を道連れにする。」



 奇麗な短剣を彼は取り出し………その鞘を抜いた。そう思った直後、その短剣の美しい刃が私の方へと向けられた。



“……………怖い……何故?”



 彼は狂った様に大きな笑い声を上げた。そして次の瞬間聞こえたドスッと言う音と、お腹辺りに感じる激しい痛み。



 そして、久しぶりに間近に感じた彼の温もり………春の陽気の様にポカポカで、盛りの優しく包み込む様な香りがいつも大好きだった。


 そして私の心臓は跳ねた………嬉しくて。


 彼の側に居られる事が何より嬉しい…彼の手の感触が嬉しい。


 彼の香り、彼の体温、彼の息………全てが私を包み込んでいる………今まで当たり前の様に側に居たのに、失われてしまったその全てが今、帰って来た。



 そこで、私は彼の事を諦めきれなかった自分の本心を知った………同時にもう、自分が助からない事も。



 もう少しだけこうしていたい………彼と一緒に居たかったな。もう全て遅いけど、ちゃんと伝えておけば良かったな………彼の事が誰よりも愛おしかったって。


 だけど、最愛の人の腕の中で死ぬ事………………それも悪くない。



 私は顔を上げた………………すると、彼は泣いていた。



“彼を泣かせてしまったのは……私かな?”


“そう言えば、幼少期はいつも泣かせていたな”



 ぼんやりと、追憶が頭を駆け巡った………懐かしいな。



 最期の刻が近い………だから、もう力が入らない。


 だけど、伝えないと。



「泣かないで………」



 何とか手を伸ばし、彼の頭を撫でた……驚いた表情で私を見る彼。私は笑い掛けて、正真正銘最期の力を振り絞って…言った。



「私は貴方の幸せを願いって居た……愛していたから。だから………お願いだから幸せに『生きて』。」



 何かを叫ぶ彼の声がだんだんと小さくなっていく……そして、彼の温もりも何も感じなくなっていった。


 だけど、彼がそこに居る事が分かって私は幸せだった……



“さようなら”



 私は、私を待つ優しい暗がりに身を任せ、包み込む寒さを受け入れて……………この世を去った。







 享年18歳。


 短かったけど、充実した人生だった。


 囲には、家族や友達を始めとする、私を愛してくれている人達が沢山居た。


 そして何よりも……………最愛の人の顔を見ながら、名前を呼んで惜しまれながら、逝けた事が嬉しかった。


 確かに刺されていたかったけど……だけど、それで彼が幸せになれるのならば、別に良いの。


 でもちょっと心残りが有るとすれば、最期に彼の笑顔を見えなかった事、それと、彼に愛してもらえなかった事かな?


 仕方が無いか………



『それで本当にいいの?満足なの?』



 ええ、満ち足りた人生でした。



『ッ………君は理不尽に殺されたんだよ?それに、やりたい事だって死ぬ前に見付かっていたじゃないか!!』



 それでもね………彼の手で逝けた事が嬉しかったの。



『そっか……………でも、君は生きなければ駄目だと思う。まだここに来るのは早かったと思う。だから………
















 君をベースにした“別人”として、生きてもらうから。身勝手だと言われても、実行するよ?ボクは我侭だから、ボクが気に入らない事は勝手に改変する。偶々君がその対象だっただけだから、恨むのは別に自由だよ。』



 ……それは確かに身勝手ね。だけど、別に恨みはしない……だって、次に生まれて来るのは私では無い全く別人の『私』なのでしょう?


 なら、私は眠りに着いているのと特に変わらない…だから恨んだり憎んだりする理由は無いもの。


 それより『私』が自分の幸せを見付けられる事を私は祈っているわ。



『そう言う所は死んでも君らしいね、全く………だけどボクも君の幸せを願っているよ。


 今度は“別世界”で沢山の事を経験出来ると良いね。』



 再び意識は暗転した。そして、今度こそ私は死ぬのだと、亡くなるのだと分かった。



“じゃあ頑張ってね、『私』”



 私の意識は永遠に消失し、『私』が浮上して来た。そして……



「フギャアァァァァァ!!!」



 別の、『地球』と呼ばれる太陽系の世界、その中でも取分け平和で豊かな環境下に有る『日本』へ生まれたのだった。



…………………(end)……………………



 ………長い夢を見た。


 それは、遠い、遠い……それこそ、私が生まれるずっと前の事だった気がする。


 誰かを愛して誰かに殺されて、だけれど、その人を最期の瞬間まで愛した気がする。


 だけどそれは私では無い『私』だった……



 それに、良く覚えていない……所詮夢だったのだろうか?


 だけどその割に相当リアリティーの有る夢だった様な気がしてならない……内容は覚えていないのに、それを知っている事へ何だかおかしな気もしないではないけどね。



 さてと。



 久々良く眠れたし、頑張ろう。


 私を求めてくれる人は沢山居るからね……王子なんて、今まさに私が居なければ駄目な状況だし。


 それにこれは全て将来『セカイ』を見て周る為だ。今度こそ自由気ままに、面白可笑しく人生を謳歌したいのでね。



 ………………ん?何だか気のせいかな?



 『セカイ』を見て周りたいと思う気持ちは本当だけど、以前はこれ程“強力”ではなかった様な気が……


 気のせいよね?うん、そう言う事にしておこう。



 さて、今度こそ起きよう。



 そんな分けで、フラグと説明の回でした。


 さて、???を殺したのは一体誰だったのか、そして、彼女の建てたフラグはどうやって回収され、その結果どうなったのか………これからもう少ししたら詳しい話しが出てきます。


 それでは次回も宜しく御願い致します。

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