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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
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4 科学無双の予兆……

 読者の皆様どうもこんばんわ。


 さて、今回はエセ科学の内容が出てきます…正直信用しない方事をお勧めします、結構いい加減に書いてしまったので…


 それでは本編をどぞ!

 あれから翌日。


 何れバレるとは思ったが、ウォルターと相談して父親には今の所3属性であると嘘の報告をした。内容は、風・土・水の割とオーソドックスなタイプ。


 ここで当然、何故基本属性4つにしなかったか疑問に思うだろう。実際ウォルターも困惑していた…理由聞いて納得していたが。


 一応これはこの世界におけるこの地域の常識らしいが、3属性持っているだけでも相当なチートらしい。更に調べて見ると、一般的に1・2属性が多いとの記述が魔術書から見付かっている。故に、あんまし多い属性を持っていたら厄介事が舞い込んで来る事が目に見えている……最悪テンプレ通りな実験動物√が待っているかも知れない。


 ま、本音は目立ちたく無いってだけなんだけどね。


 それと報告へ火を外した理由だけど、別にさっき挙げた3属性の性質使えば幾らでも作れるし別にいいやと思ったからである。作り方は水生成して(水属性)それを分解(土属性)、それから空気摩擦(風属性)起こしてドカン……まあ危ないから空気摩擦のみ或いは別の方法普段は使う予定。


 けど科学知っていれば幾らでも作れます。ありがとう高校化学、ありがとうメンデレーエフ大先生。ノーベル賞取れなかったが今こうして人を1人異国ならぬ異世界の地で救っている。得難い人を亡くしたものだ。


 それと、やっぱり私の魔術に関する仮説は正しかった。魔術はイメージと裏付ける知識が重要。


 ウォルターに帰りがてら魔術に関して私が読んだ記述とそこから導いた仮説を幾つか簡単に説明した所、何と今まで使えなかった火の魔術を1発で使えてしまったんですよ。流石名前もチートな執事である。


 爆ぜろチート野郎!!等と大声で叫ばなかった私を是非褒めてほしい。


 だが御陰様でこの時点でゲームとこの世界が似て非なる場所だと認められた。ほんの少しだけだが安心出来た……当然攻略対象が居る限りは油断しないけど。


 ゲーム時のRPG編で使えた魔術ははっきり言うと非常に不便で使い勝手も最悪だった。魔導書を購入して呪文の回路を得なければ行けない上、決まった威力で決まった効果しか得られない。なのに使用する対価(MP)は同じ。


 例えば『回復』。


 ヒールとハイヒール、それからエクストラヒールの3段階。効果にかんしてだが…只のヒールではかすり傷や打撲を直す程度。それなのに“ハイ”だと複雑骨折を直せる程度、“エクストラ”だと足や腕がちぎれても生やす事が出来る程度だ。


 これ以上、それも死ぬぎりぎりの肉塊状態から復活させる魔術は有ったが……それは殆ど別種の魔術になっていたのを良く覚えている。


 ざっくり言うなら融通が利かない代物だった。


 話しを戻すがこの世界の魔術は魔術書やウォルターの話しから、かなり応用が利く事が分かった。故に、私は以前から魔術で再現したい。時間を作って修行がてらこっそり実験しようと心中誓った。きっと私の生存を助けてくれる。


 でもま、今くらいは基礎を学ぶ事に集中しようと思っている。


 いきなり邪道な事をして術式の暴走起こして自爆なんて最期は御免である。だからまあ、初歩の初歩でまずは慣れようと思っているしウォルターもそのつもりで


「お嬢様、2週間で基礎を固めます。」


と、焦った様子で言ったんだろうな………あの時多分、私が暴走する時の表情をしていただろうから仕方が無いのだろう……焦らせてゴメンよウォルター。


 ああちなみに私の暴走話しは黒歴史そのものだから、ココでは黙っておきます。その内語る事になる様な気がするけど……まあその時は笑わないで聞いてやってくれ。


…………………(ウォルター)…………………


 私の現在仕えている主君はとても可愛らしい。そしてそのお姿に似合わずとても聡明で……非常に危なっかしい部分が有る。


 まだ5歳になって間もない子供。だが、その瞳には大人顔負けの知性が宿っており、年相応に幼い部分も有るが、それでも随分と早熟だと感じている。


 彼女を見ていると時折死んでしまった私自身の娘を思い出させる。


 リラ…私の妻の遺した唯一の子供で、私に何か有った時の為に自力で生きて生ける技能を持たせようと、厳しく訓練をした事を覚えている。


 ……だが、その為に娘は死んだ。自立させるのが早すぎた。


 師匠としても親としても、私は失格だったのだろう。


 それから私は一度も弟子を取った事がなかった。だがここに来て、ルーナ様に何度も拝み倒されて、断れずに今は師匠をやっている。


“何とも未練がましく情けない話しだ”


 始めた頃はよくそんな風に自分を嘲笑していたものだ。


 だが、今はそれでもいいと思った…あの当時は無理だったが、今ならいつも弟子は目の前にいる。ゆえに危なくなったら助けられる。


 それにしても、私は本当に恵まれている。何故なら私の仕えるルーナ様が間違いなく奇才であり、名君だからだ。


 魔力測定を昨日行った所………彼女は既に英雄級に達していた。勿論彼女には知らせていないが。


 ああちなみに魔力の量は低い順に『低級、中級、上級、王級、英雄級、精霊級、幻想級、神話級』となっている。分け方は主に光の強さだ。


 ちなみに幻想級は水晶に罅が入り、神話級だと粉々に砕けるらしい。


 さて、そんな凄い魔力を持つルーナ様は、更に属性を無視して恐らく魔術を行使出来るだろうと昨日の時点で分かった。水晶から漏れ出る光の色は様々な色の混じった白っぽい色合いだった。


 そして帰り道、彼女は私を信頼して自信の考えた仮説をお話し下さった。


 ……正直私自身も常識を覆される考え方だった。


 以前から書庫へ入り浸って書籍を大量に読まれていた事は知っていたが……まさか数々の魔導書からあれ程の重大な発見をされるとは………きっと世の魔導師が聞けば卒倒ものだと思った。


 何と、現在使われている属性の分け方が可笑しいのだと彼女は主張した。


−曰く、液体化した金属へ使う属性は何か?


−曰く、蒸発した液体へ使う属性は何か?


 ちなみに、蒸発とは液体から空気になれる現象の事らしい。正直半信半疑だったが、彼女の挙げた具体例で有る程度納得した。


 湯を沸かした時に出て来る白い煙、それからあまり長い時間湧かしていると湯の量が減ったりする等…今まで常識だと思って深く考えて来なかったが、彼女の話しを聞くと全て合点が行くのだ。


 そして彼女曰く、その事が現象を『分析』した結果得られた『理解』だそうだ。


“現象への理解が深まれば、魔術を発動出来るのでは無いか。”


 それが彼女の出した魔術の属性への仮説だった。


 その直ぐ後、彼女は私に提案した。


 曰く、私が『火』の現象を正しく理解して魔術が使える様になれば、仮説は定説になる。故に協力して欲しいと。


 今直ぐにでも証明したいと彼女は言い、私も興味が有ったので彼女の提案を受ける事にした。


 そこで馬車の中で口頭のみで『火』について習ったのだが…とても分かりにくい事を分かり易く説明していたと言っておこう。


 そしてその結果………私は炎を使える様になった。


 少し悔しそうな表情のルーナ様は年相応に可愛らしかったが、それ以上に彼女が何処でこれ程の知識を得たのか物凄く気になった。


 だが一執事として詮索はしない事にした。話せるときが来たら話してくれるのだろう…少々信頼してくれていないのかと寂しくも思うが、致し方ない。


 それにしても……仮説は正しいと証明されてしまった。そしてこの事は知られれば………彼女が危ない。


 ………魔力量の異常さも相まって、王宮に攻城兵器として連れて行かれてしまう可能性。他国に連れて行かれて優秀な子種袋にされる可能性もある。或いは暗殺者が送り込まれる等。


 だからなのか……この家から出て行くと以前から仰せられている理由は。


 勘当されれば家には迷惑が掛からない。その上で自分の食扶持位は稼げると自身有り気に語っていた3歳児を思い出した。


 だが……正直大人に頼って欲しいと思う。


 はっきり言って彼女はまだ子供だ。それ以上に世間知らずでそそっかしくも有る。


 妙な知識と礼節を持っているが世間知らずで、まだまだ甘いと言わざるを得ない。普通の貴族令嬢ならそこまで要求されないだろうが、彼女の持つ才能がそれを許さないのだ。


 だからこそ…私は彼女が家を出るとなったら付いて行く事にした。それは彼女からも許可を貰っているし、それに旦那様も了承積みだ。


 旦那様は既に彼女の素質を初めから見抜いておられたのかも知れない。


………………………………………


 午後になり、魔術を教える約束をしている時間となった。


「さて、それでは魔術の基本的な使い方を説明致します。ルーナ様、よく見ていて下さい。」


 まず彼女に教えるのは基礎の更に基礎中の基礎。私が若い頃師匠に魔術を習った時これが中々掴めなかった事を良く覚えている。


「まずは自分の魔力を感じ取り、それを体全体に拡散する…と言う所までは出来ているようですね。」


「ええ、魔術指南書に載っていた魔力総量増量方法だったので。」


 私の時も娘の時も1番苦労したのはそこだったのですがね……思わず苦笑が漏れていた。


「では次に、魔力を身体から出してみて下さい。」


「魔力を出す……こんな感じかな?」


 私は胸元に付いている片眼鏡を装着して彼女の手元を見た。この眼鏡を付けると空中に存在する魔力が見えるので重宝している。


 そこには糸上の細く長い“魔力糸”が出ていた……これは一応無属性魔法に属する『ストリング』だったはず。


 ………末恐ろしいものだ。


「出来て…いますね。」


「へ〜…ならこんな事も可能かな?」


 そう言うなり今度は魔力を球状にして空中に浮かせた…これは確か無属性の『ボール』の元となる魔術……


 これで分かっていてやっているのならいざ知らず、何も分かっていないで感覚で魔術を繰り出しているのだから『奇才』としか思えない。


 そのまま宙に合計10の球が浮かび上がり…そのままジャグリングをルーナ様はし出した。


「これって結構魔力操作の練習にならないかしら?」


「……実はこれから御教えしようと思っていた事でした。」


「あ…何か突っ走ってしまってすいません。続けて下さいまし。」


 優雅にお辞儀する彼女の姿は、正に貴族令嬢の手本の様だ。この様な美しく上品な仕草を見た奴等はきっと彼女が半端無く強い事は分からないだろうな………


「それでは魔力を素の状態で操作する事には長けていらっしゃるようですから、次は属性変換と無属性のコモンへ行きましょう。」


「御願い致しますわ、ウォルター。」


「Yes, your highness.」


 ちなみにルーナちゃんは前世発展途上国で孤児相手に教鞭を振るった事が有るため結構教えるのは上手です。まあ、ウォルターはチートではなくバグだからって所も有るのですがねw


 それでは次回も宜しく御願い致します。


 8/9: 幻級→幻想級、神級→神話級 それぞれ訂正致しました。ご指摘有難うございます。

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