表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
49/142

48 endless nightmare

 読者の皆様どうもこんばんは。


 さて、今回は………少し閑話の様な感じの話しです。誰の視点かは秘密…でも、人に寄ってはばれるかも知れないです。それでは本編をどぞ。


………………(???)………………



 夢を見た……遠い昔の夢を。



 それは、まだ“この国”の無かった、まだ我々が出会う前の時代。



—空には星が無く真っ暗。


—天も地も存在せず、全てが混沌とした中に有った。


—“神”等と言う概念も無い。


—そして生命も無機物も存在しなかった。



 それは………世界が出来て間もなかった“空白”の時代。




 目を覚ました当初、見知らぬ“現”に私は恐怖した。


 そして、何故か最初から知っていた“孤独感”と“虚無感”を嘆き、遠くを眺めた。



 遠方には美しい銀河が広がる………こことはまた違う世界が有る。



 そう思った私は自分の生まれた場所を後にし、自然とそこへと向かおうとした。


 だが、進もうとすればその明るい場所が遠ざかって行く……………まるで私を避けたいかの様に。



 それでも諦めきれず、私は何度もそこへ向かって走った。



 やがて暗がりの広がる空間の終わりへと辿り着いた。


 明るい場所はもう目前だ。後もう少しで再び“巡り会える”。



—巡り会える?誰と?


—“誰”とは何?



 次の瞬間、自分が何者なのかを思い出した。



 私は、いや、俺/ボクは—————————



 かつて共に有った“愛しい女”の記憶が怒濤の如く流れ、思い出せた事への安堵で身体の力が抜けると同時に彼女の居ない事への孤独が『我々』の心を蝕んだ……



”ああ、会いたいな”



 ただそれを『我々』は望んだ……………記憶の中の“自分”とは全くの別人になったと言うのに。



”私は『私』として生まれ変わったのか”



 “自分”を保てないまま“記憶”と言うデータだけか残り、(記憶の男)はさぞ無念だっただろう……もう、彼女とそのままの“自分自身”で相まみえる事は出来ないのだから。


 別に同情もしないし彼の変わりになりたいとも思わない。



 だが………………皮肉にも、私は記憶の中に映し出された“女”を深く愛している。



 人格も何もかも別人なのに……



 だから、私は自分の意志で自分なりに彼女の事を愛する事にした。



 そしてその為に……………………私はこのデータを切り離した、彼女への好意はそのままで。



 そうでなければおかしくなってしまいそうだった……



 彼女の居ない『孤独』に耐えられなかった。それは私自身の身を切り裂かれるよりも辛い事。



 同時に最初から孤独や虚無を憶えていた理由が分かり、納得はした………目が覚めたら彼女が隣に居なかった事へ、潜在的に絶望していたのだと。


 今も居ないので、私は気が狂う一歩手前……



“『刻』が来れば元に戻る、その時全ての真実を知る事になるだろう”



 切り離されたデータがどうなるかなど全く考えず、私は思った通りに行動した。それが後に波乱を呼ぶとも思わずに。



 そして、私は再び暗い空間へと戻った………ここでやらないといけない事が有るからな。



 彼女が私と共に歩む未来を邪魔された場合、或いは彼女が私をうけいれなかった場合………………



 そんな事を想定しなくもないが、念には念を入れよう。



 そして、私の『思い通り』に世界が完成した……



—それは『箱庭』であり


—それは『墓場』であり


—それは『楽園』であり


—それは『牢獄』であり


—それは『家』であり


—それは『檻』である














 誰にも邪魔される事無く彼女とだけ一緒に居られる場所。そして毎日毎晩、彼女に愛を語り、私の愛を最後の一滴まで受け入れてもらう。



 彼女が壊れる心配も無い………私はこの場所の『監守』であり『主』。



 彼女がどんなに嘆願しても、壊れかけたデータは瞬時に回復させる。そして、彼女を消滅させる事は絶対にあり得ない。


 私と共に居る事が『正しい』のだから当然だ。



 そして今日も彼女は絶望し、私は増々彼女を渇望する。














 これもあくまで可能性の有る『1つ』未来の形……だった。



 そう、これは何通りにでも分岐していた未来の、“ならなかった”方の話………『あの時』彼女に拒絶されていていたら、恐らく此方へと進んでいただろう。



 それにしても、別れた記憶は既に無事接触したみたいだね………私は未だに気付いていないけど。


 無理も無い……………私が『私』だと気付いていないのだし。



 それに、欠けたデータの件も愛しい彼女に気付いてもらった様だからね。



 もう少しだ…後もう少しで彼女と1つになれる。



 長かった………彼女と再び相まみえるまで、沢山絶望し、沢山努力した。



 そしてそれは、沢山の『犠牲』があって成り立っている。



 現に、『歪み』の存在が彼女と彼女の周囲を蝕み、苦しめている………私の生んだ『歪み』から生じた人外も、また私同様彼女を今日も求める。


 その上、私から欠けた『記憶』も彼女を求めていた。



—この事は、夢から覚めれば全て忘れる。


—夢から現へ戻れば、全てが“無”へと帰す。


—そして今日も彼女を愛するあまり、多くを傷付ける。



 それでも私は『私』を止める事は最早不可能………彼女は一切悪くない。


 『彼ら』も『私』も………全てはただ1人の女性を愛するがために生じただけだ。


 許されないのに私が多くを望んだからいけない………私は『孤独』でなければならなかった。



—それが、彼女を孤独にした『罪』。



 一切彼女の言い分を聞かず、勝手に犯人に仕立て上げて処刑した愚かで矮小な存在だった、私の元となった『男』。



 後に『真実』を知り、『男』や多くを誑かし堕落させた牝狐は殺した………最低最悪の処刑方法で。



 だが、彼女は帰っては来ない………その内気が狂った『男』は国を見捨て、自害した。



—彼女の居ない世界等、生きている価値もない。



 ただただ『男』は自分の事を『無かった』事にしたかった………だが、それが叶わず彼は何度も『生きた』。



 そして、生まれては絶望を繰り返す内に………魂のデータが壊れ、『奈落』へと堕ちていった。



 そこで『男』の残骸から生じたのが今の私。



 彼女を愛しながら疑い、殺した愚かな男の記憶(データ)から生まれ、彼女のデータを受け継ぐ者をどこの『世界』へ行っても苦しめ続けるだけの存在。


 許してくれとは言わない。だけど、だからと言って巡り会って思いを伝えた『今』、もう貴女を離す事は出来ない。



 だけど、今度は少しばかり“希望”が有る。



 今の『私』は本心から思っているのだ…



“彼女が幸せなら、私はどうなってもいい”



 例え滅びても、彼女に思ってもらえるだけで今の『私』は満足だと言っていた。それも爽やかな笑顔で。



 あの時の愚かな『男』では、考えられない事だ。



 最初は皮肉にも程が有ると思った…………………かつて牝狐に誑かされ、彼女の浮気を疑って処刑した『男』と同じ立場に居る『私』がそう言ったのだから。



 これは世界からの私に対する当て付けか、と。



 だけど、それは違った………今の『私』が前の男の時以上に彼女を愛して止まないのだ……彼女の事ならば『全て』を許してしまえる程に。



 無駄ではなかったのかも知れない……『男』と私の今までの生は。



 長い年月彼女と離れ、彼女との楽しい『刻』と彼女の最後に見せた儚気な笑顔を思って過ごした日々。


 再び相まみえる時に執着してしまう事を恐れ、その度にその感情を別の所へ押し付けて来た日々。



 その結果彼女を苦しめる『歪み』を作った。



 だが、私は恐らくもう二度と再び同じ過ちを侵さない、彼女を裏切る様な事は絶対にしない存在へとなり得た。



 私は必要になったら再び目覚めよう……………その時までは、『私』へと託す。


 それまでの間は『私』へと忠告をするだけだ……再び芽生え出した、愛するものへと執着する『独占欲』をどうにか押さえられる様に。


 かつての愚かな『男』と同じ結果にならぬ様……彼女にあんな顔をさせない様に。



………………………………………………



 目が覚めると、身体が元に戻りかけていた。



—毛だらけとなり太くなった人外の肢体


——暗褐色の鱗と毛に覆われ巨大化した体幹


———骨格ごと変化し、鋭い牙の有る獣の様な顔



 それらが徐々に元の“人”のものへ戻っていくのを感じた……変化時に感じた激痛や高熱と共に。



「大人しく寝ていて下さい。今は休息が大事です。」



 ルーナ殿が汗と抜けた毛だらけになったみっともない私の身体を奇麗にしていった。


 そんな彼女を愛おしく思っていた時だった………彼女の指の感触に、“どす黒い感情”が湧いたのは。



—その身体は俺のものだ。


—他の雄共を見るな。


—俺だけを見ろ、見なければ………



 彼女の治療が行われる際、私は一度深い眠りに着いた。その時私は多分、『夢』を見た。



 だけど、内容は憶えていない。



 だが1つ分かっている事が有る……………『新月』を盛られた後辺りから心に沸き立つ嵐の如く荒々しく、奈落の底よりどす黒い『欲望』。



 分からない。知りたくもない。



 眠る度に私はうなされた。そして目を覚ますときまって何処か不安げで不穏な感情が起こる。



“ルーナを離したくない”


“離れねばならぬならば、いっその事………”



 このまま一緒に居たら、私は彼女を“再び”傷付けるのだろうか?ならば、また遠く離れて見ているしか私には許されないのだろうか?



 混乱し、増々熱が上がった。



 彼女は付きっきりで私の看病をした………碌に睡眠を取っていないのか、目の下が黒くなっていた。


 そして夜になって夢見の悪さに怯えていると……



「ずっと側に居ますから。」



 彼女の白く小さな手を握る………すると、彼女と繋が出来た様な気がして少しだけ安心する。



—このままで居ていてくれ。


—もう私を離さないでいてくれ。



 どす黒い感情をひたすら隠し、私の意識は再び『奈落』へ今日も落ちてゆく。


 やっと出せました………本当の『黒幕』、と言うより『原因』。今話で混乱される方が多いと思われます…それを狙ったので悪しからず。乙女ゲーフラグ撲滅編のファイナルで皆様にニヤリと笑って頂けたら仕掛けは成功です。もう少々御待ち頂けたら幸いです。


 それから皆様にご報告です。


 次回の投稿が遅れるかも知れないです………現在ストックが切れてやばい状態です。次話の内容は既に脳内で出来上がっているのですが、肝心の原稿書く事が間に合わないと言う……


 努力は致します……ですが、先に謝っておきます。明日投稿出来なかったら申し訳ないです。


 それでは次回も宜しく御願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ