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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
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45 寝落ちからの…

 読者の皆様どうもこんばんは。


 さて、今回は多分黒幕wの発言に関する謎が1つ解決されると思われます。それでは本編をどぞ!


 互いに少しぎこちなかったが、朝食を一緒に食べた。



 いや、原因が私に有る事は分かっているけどね………



 獣?みたいになった王子は以前と比べて体温が少しだけ高い。その上でとってもモフモ……ゲフンゲフン、とても魅惑的で、モフラーである私の事を誘っている……


 ちなみに毛の色は、全体的に茶色系統の落ち着いた色……黒の次に好みです。


 故に、王子が眠っているのを確認してからついモフモフしてしまいました………………その結果寝落ちしていたけどね、余りの心地良さに。


 だから王子にキス奪われたのは………自業自得。


 でもそんなに悪いキスでもなかったし……イヤでもなかった。何と言うか、同じ様なキスに心当たりが有ると言うか………


 つか、1人しか思いつかない……今までその人物と幼少期にファーザー、サイレンサー師匠、それから一緒に働いた人3人としかキスしなかったからね……あ、意外と多いのか?


 ………海外では挨拶だし、それに幼少期は基本ノーカンだから、そう感じたのは多分此方の風習に大分馴染めて来ているのだろう。


 今世では“由樹”の記憶を持った“ルーナ”と言う人として生きている訳だし、正直安心する。



 だけど……………何故王子のキスは『彼』と同じなのだろうか?



 まさかな…………………………いや、違うだろうし今は良い。



「さて、ヴィンセント王子。」


「?!」



 驚いた様な顔をする王子………何故だ?



「………どうしたのですか?」


「いや、その………名前で読んでくれたので…」



 頬を染めながら、少しだけ顔を背ける王子。


 そう言えばずっと王子サマと他人行儀な呼び方をしていたからな………だってその時の王子とは親しくしたくないと思っていたしね。


 今はそんな風に思っていないので、それが出ただけだろう。



「……………嫌でしたか?」


「そ、そんな事は無い!出来れば“王子”も無で、呼び捨てにして貰いたい。」


「それはちょっと………」



 うん……………君が王子で居る内は無理だ。



「そうか………」



 ちょっとだけ寂しそうな表情をされ、胸が痛んだ。


 肉親にとことん恵まれていない彼が今『家族』だと思って甘えられるのは、多分私を含めたラウツェンスタイン公爵家の人々だけなのだろう。



 それは分かっている………だけど、けじめは大事だ。



「さて、話しを戻しますが………結論から言いますと、王子の状態は多分完治させる事は可能です……原因は割と単純だったので。」



 王子の状態は分かっているので、取り敢えずいいニュースを先に言った。



「ほ、本当か?」


「ええ、ですから見た目も戻せますし、狂ったりもしません。ゆえにその辺りの心配は無用です。」


「そうか………」



 すこし明るい顔になった王子………良かった。


 だけど、これから言う事に関しては王子がショックを受ける可能性が高い………けど、伝えないと駄目な事なので、きちんと説明しよう……………



「ただ、今回王子が毒薬を飲んだ事で明らかになった事が1つ御座います……
















 王子は、魂が欠如しています………それも、生まれた時から。」


「?!………それは…どう言う事だ?」



 驚いて、固まる王子………ただ、どれ程深刻な事態なのかは分かっていない様子だ。



「少しショックを受けるかも知れないですが、聞いて下さい。」



 私は飲んでいたい湯のみを机に置くと、説明し出した。




『魂欠陥』


 魂が生まれた瞬間から欠けている疾患の事。大体90億人中1人の確立で発生しているそうだが、時代によって変わるらしい。


 病状は様々で、特に一般的なのは感情の欠如が見られたり、人に流され易くなったりする等。それ以外にも深刻な場合は魔術式が使えない場合、また、身体機能に欠陥が生じる事も有る。


 また、皆総じて幸薄で家族にも恵まれない事が多い。その為『一種の呪い』ではないかと言われている。


 疾患の特定方法は、魔力の澱み方を観察する事。原因は解明されていないが魂に欠損が有ると体内の魔力に澱みが出来易く、特に魔力の乱れを生じさせる攻撃や薬品摂取により顕著となる。


 治療方法は、欠けた自分の魂を集める事。


 集め方は、欠けた魂を拾うか持っている者の命を直接刈り取る事。また、刈り取られた相手に納得させなければ魂は返却されない。


 大体欠けた魂を持つ者は互いに惹かれ易く、近くに居る場合が多い。そして、魂を持つ者の趣味等は一致する場合が多い。


 またこれは異国に於ける調査の結果らしいが、この疾患を持って生まれる子供の内半分が前世の記憶を有していたそうだ。そして記憶の無い者と有る者が惹かれ合い、その内殺し合ったそうだ。


 片方が死んだ後、その記憶を全て受け継いだと言う記録も有った。その上人格まで混ざった状態になり、当事者は


“自分はアイツであり、アイツは自分だと分かった。故に俺の一部として奴は生きている”


と語ったと言われている。



 兎も角謎の多い治療するのも困難な病気なのだった。



「…………そうか。では、私が助かるには誰かが犠牲にならないといけないと言う事か……………」


「……………今現在は、確かにそうですね。」



 このまま行けば、王子は確実に死ぬ………恐らく18になる前に。


 元々少しだけ普通の人より澱みが多かったのに、今回『新月』を摂取した事で更にそれが悪化した……一応出来る限りの事はするが、どこまで持つか………


 そして、それを解消する為には“誰”であろうと王子は殺さなければならない………自分の手で。


 彼は私やウォルターと違ってまだ自分の手を直接血染めにした事は無い………と言うか、そうならないはずだった。


 王族は“命令”で人を殺事は有っても、直接手を下す事は殆どないはずだ………何しろ組織の末端である“実行者”ではなく、組織の中枢である“計画・執行者”で居なければならないのだから。



 肩代わりしてやりたいけどそれが出来ない。生存の為には犠牲が必要になる。


 そして1つだけ分かっている事は………恐らく私の身近に居る人の中に王子の魂の破片を持つ者が居ると言う事だ。


 故に………………恐らく私が愛した者が命を落とす事になるのだろう………誰かは特定出来ていないが。



“やっぱり私は呪われているのかも知れない………”



 ………思わず涙があふれて来た。


 不甲斐ないな……私には何も出来ない。


 魔術は万能ではない、出来る事と出来ない事が有る。現代科学に関してもまた然り。


 当然『魂』を弄くる事、つまり、神……いや、『世界』のシステムを弄くり回す様な、『管理システム』の様な事は出来ない。



 結局私は只の非力な1つの“生命体”でしか無い。



 王子は席を立つと、私の側に来た。そしてそのまま背中側から抱き締めた。



「ルーナ………誰かは分からないが、もし、私より大事な存在なのならば、その存在を優先しても構わない。」


「でも……………」


「ルーナ良く聞いてくれ。私はお前に悲しい顔をさせたくないのだ。お前には笑顔で健康で、幸せで居て欲しいのだ。」



 そのまま耳元で囁かれる。



「だから、その時が来たら私の事を忘れないでいて貰いたい。それに、相手の中で私は生きる事になるのならば、完全に死んだ訳ではないと言う事だろう?それに、ルーナと共に居れるのならば、私などんな形であっても良い。」



 そして、切ない様は悲しい笑顔で私の事を真正面から見ながら、彼はこう言った。



「だから、ほんの少しで良いから私の事を知り、心の隅に置いてくれ。」



 …………………馬鹿だな。



「そんな事…言わないで……まだ解決策が見付かるかも知れないんだから!」



 いや、私は見付けるつもりだ。諦めてなるものか。


 いつだってそうやって生きて来た………死にそうな場面にならば何度も遭ったし、その度に諦めずめげずに這いつくばって泥臭く生き残って来た。


 危機的状況に陥っても何とか全員生かした状態でクライアントの元に届けた事も有る。


 全身火傷で苦しむ孤児をその辺に生えているアロエを使って応急措置をして助けた事だってある。彼はその後逞しく生き残り、療養中に与えたパソコンを使いこなしてシステム関連の会社を企業していた。


 それ以外にも色々な経験が有る。知恵だって有る。


 環境も整っているし、私自身の力も有る。



“立ち止まる必要性が何処に有る?”


“自重や常識等その辺の犬にでも喰わせておけ”


“まだ出来る事が有るだろう?”



 私は深呼吸を1つして、ハンカチを出して涙を拭った。そして、真摯に私の話しを辛いだろうが聞いてくれた上で受け入れた王子に対して、こう宣言した。



「“今現在”確かに治療法は一切存在しないけど、もう少しだけ待っていて下さい。私がちゃんと見付けますから。」



 次いでに、失敗したら面倒は最期まで見る事を約束した。


 さて、彼には“初”の治療に寄る毒克服者、それから『魂』を修繕された者になってもらおう。


 そして………………私は全力でこの世界の不条理に抗おう。



 物体Xにしろ、魂の分離にしろ……私の周囲は呪われているとしか思えない。これが世界の補正だと言われても全く違和感が湧かない……寧ろしっくり来る。


 例え黒幕が世界そのものの法則を操れる奴だとしても、私は最期の瞬間まで抗う。これは決定事項だ。


 それで仮に死んだとしても、別に悔いは無い。その時はせいぜい笑いながら相手を道連れにしてやろう。



 私も何処まで出来るか分からないが、頑張って行こう。



 さて、分かりにくかったでしょうか?今話明かされた事は、王子が転生者だと言うです。


 だけど彼には記憶が無いではないか!と言う反論は有るでしょう……ですが、彼は魂に破損の有る存在です。これ以上はネタバレになりますので明言致しませんが、王子はギャグ要因ですが、只のギャグ要因ではないです。


 そして彼は大事な主要キャラです……それこそジャンクリを越える程に。彼無しにはこの話しは語れないと言っても過言ではないです。


 乙女ゲーム撲滅編wの最後の方、皆様が画面越しで驚いた表情をされていたら仕掛けは成功です。そうなる様、これからも頑張って参ります。最後まで御付き合い頂けたら幸いです。


 次回も宜しく御願い致します。

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