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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
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37 物体X摘出手術。

 読者の皆様どうもこんばんは。


 さて、今回は………おっと、ゴン君に1000のダメージが!しかもこれは……毒状態?!1ターンごとに削られて行くヒットポイント……そんな彼にルーナちゃんは……?


(*某ポケットなモンスターを想像された方々、それは只の気のせいです……多分)


 それでは本編をどぞ。


 私復活!!!


 さて、皆も困っているだろうし起きるか。そう思って上体を起こした。


「おはよう御座います、ルーナ様。」


 礼儀正しく挨拶をする茶髪銀眼の美少女秘書。


 うむ、立ち振る舞いが私からしても凛としているのとそのホワッとした容姿とのギャップが可愛いと男性陣から評判になっていると聞いたけど、事実みたいだな。


 同性の私でも思わずグッドだと思ったからね……その垂れ目と涙ボクロに。


 と、見とれていたら挨拶が遅れていた……


「あ、ああ、おはようジャクリン。悪いわね、あの後大変だったでしょ?」


「いいえ、私達はルーナ様の決めて下さったローテーションでしっかり休みは頂いておりますので。」


 よかった………あのローテンション用紙作っておかなかったら今頃君達休んでいなかっただろうからね……仕事に真面目なのは大いに結構だけど、倒れるまでやったら駄目だよ?


 まあ、私が言っても説得力皆無なのは分かっているけどね!


「そっか……なら良いけど。そう言えば今どの位経った?」


「ルーナ様が御就寝されましてから……大体5時間です。もう少し御休みになられますか?」


「いんや、十分この緊急時にしては休ませてもらったからね。」


 紛争地帯だと少なくて20〜30分。ああ10分の時も有ったな……最長だと2・3時間だったかな?


 まあ兎も角“寝られる時に寝ろ”と言う先人の有り難い教えが有るのでそれに従って途切れ途切れでもちゃんと睡眠は取っていたよ。


 集中力が切れた敵兵に討取られてアポーンだったからね………


「それより……ゴンは戻って来た?それと私の寝ている間に有った事の報告を御願いして良い?」


「かしこまりました。」


 ………何だか嫌な予感がしてならいんだよな。主に、ここにゴンが居ない事とか…


 私は報告を聞きながら分身や精霊が流してくれた情報を頭の中でまとめていた。


……………………(???)……………………


 主は“ニンゲン”だけど、少し違う。


 我らが見えて、安住の地を与え、更に我らの存在意義を示してくれた………世界に否定され、排除されそうになっていた我らを。


 故に命に代えても我らは御嬢を護る所存だ。


“出来損ないの霊”


 我らの一族はそのように呼ばれて長らく迫害を受けていた。何処に行こうが我らの存在を否定し、食事さえも困る事が日常だった。


 だが、それも致し方のない事……………それほど我らは単一の“世界の理”を持つ精霊と比べ、非力だったのだ。


 何しろ、我らは“世界の理”から生まれた瞬間から外れていたのだから。


 我らの同類とも相まみえる事が無く、兎も角永きに渡り彷徨っていた……消えるまでそのままかと思われた。


 そして、有る時………


「凄いじゃん!それってつまり、〇〇も出来るって事だよね?」


「そ、それもそうだが…だが……と言うか、我らが見えるのか?」


「だって存在するのだし当たり前でしょ?ねえそれより精霊さん、私と一緒に世界を旅しない?いやきっと旅して来たと思うけど、もっと何と言うか……大勢で楽しく自由気ままにさ!!ねえ、きっと楽しいよ?」


「だが……いいのか、我らで?」


「ん?私の方が御願いする立場だよ?こちらこそ宜しく御願いしたい所だよ!」


「そうか……それなら我らは…」


 契約してからは毎日が楽しい。


 名も無き精霊群の長等をしていた私だったが、この普通ではない娘と共に居るのが楽しい。


 それこそずっとこのままで、我らや仲間達と楽しく充実した日々を送って居て欲しい程に……


−故に、我々は彼女を害する者は許さない。


 我らの様な“何処にでも漂っている存在”を舐めるな……何処にでも居るからこそ誰がそこで何をしていたかが嘘をついてようと隠蔽していようと分かる。


 今では、我らの一族同様彼女と命運を共にする事を誓った種族とは対等に接する事が出来る様になった。


 当然それは、我々精霊にも当てはまる。


 精霊は何処にでも居り、誰が何処で何をしているのか見ていれば聞いても居る。


 今回この地、『ブクレシュテ』を生贄にした者の特定も素手の終わった……その者の目的や黒幕までは流石に分からなかったが。


 故に我らは調査を続ける。


 全ては御嬢と安全かつ楽しき道を歩む為に。


…………………(end)…………………


「ゴン?どうしたの?!」


「ちか…寄るな……グゥ……」


 苦し気に病室のベッドの上でのたうち回るゴン……全身が拘束されており、何故か邪な気配がした。


 私は慌てて近寄り………原因を知った。


「物体X……………私が寝こけている間に何かが来たのだな?ちょっと待っていろ、今解放してやる。」


「グッ……下がって…いろ……」


「大丈夫だ、以前も似た様な事例に立ち会ったから……」


 私は慌てて分解魔術を行使した……殺傷力皆無状態で。


 すると、表面の物体Xは削れたのだが、内部のコア部分までは届かなかった………


 こうなったら……


「ジャクリン……悪いけど電メスと手術キット、それから消毒液大量に持って来て。」


「了解致しました。次いでに医師は誰か…」


「いや、コレは私が対処しなければ駄目だから。」


「…直ぐに御持ちします。」


 私は苦しむゴンに向けて、頭を下げた。


「済まん……私がもう少し速く目覚めていれば………」


 苦し気なゴンは冷や汗を流してのたうち回りながらも、私へ重要な事を言って来た。


「いや…俺が……無理し…た、グッ!……それだ、け……ガッ!それ…よ…り……目玉………我々…魔力…強……狙う…気をつけ…グワッ!!」


“目玉は我々の様な魔力の強い者を狙うから気をつけろ。”


 ………成る程。ゴンにしろ、この都市にしろ、それで狙われたと言うのか…つまり、魔力を“生贄”にしていると言う事?


 いや、それが事実ならばもっと別の場所……例えば『霊山』が真っ先に狙われたはず。


−私は何かを見落としている?


 だが一体何を?何が原因でこんな事に?


 …………でも、1つだけ確かな事は有る。













 

”絶対に許さない”


 私の大事にしている家族を傷付けた。それだけで万死に値する。


 十分苦しませてから殺す。楽に死ねると思うなよ、下手人。


 そして………


「恐らくコアから御覧になっているのでしょうね……黒幕殿。私と私の家族に手を挙げた事、必ず貴方が1番苦しむ形で御返ししますので………もう少しだけ御待ち下さいね。」


 ……先程からゴンを通じて見られ、聞かれている感覚が有ったので、その相手に対して私は宣戦布告した。


 正直これで狙いが私だけになってくれればいいが……恐らくそうはならないだろう。


 やはり1人ずつ精霊を付けるべきだろうか?


 ……魔力の消費が心もとないが、一応これでも日々成長しているからな………


 いや、その方が良い。


 ゴンみたいに苦しむ奴が出るのは気に喰わない……少なくとも魔力が高い私の従魔達には精霊を1人ずつ付けよう。


 そう言う訳で、ジャクリンが戻って来る間に私は精霊を呼び、固有属性“遮断”の精霊の長であるネロへ早速指示を出しておいた。


「了解致しました、我が主。(後、今回の下手人も勝手ながら調べさせて頂いた。それと今、我々は監視されている?)」


「(そうなのよね……それと、流石。仕事が相変わらず速くて助かる。それで一体誰なの?)」


「(“実行犯”はこの前主の言っていた男爵令嬢。残念ながらまだ黒幕は……)」


「(それは仕様がないよ…相手も相当なやり手だろうからね。中々尻尾を出さないのだし……本当に厄介ね。)」


「(ですが、御嬢には我らが着いていますから。)」


「(そうだね。心強いよ、本当に。これからも一緒に頑張って行こう。)」


「(はい!!)」


 ちなみに今は従魔とのパスを使って会話をしていた……これなら魔力の信号でやり取りしている様なものなので、外部に漏れる事はまずない。


 そして、会話しているうちにジャクリンが来た様だ。


 私は一旦廊下へ出た。それから周囲に魔術式で結界を張った……これで誰にも聞かれずに会話が出来る。


 理由?ジャクリンがどうやらトレインして来た様だからだ…イッシー達を。


「大変御待たせ致しました。それと……」


「そんな大事な手技で儂を呼ばないとは…勝手に来たのだから文句は言うでない。」


「……ああ、そうだな……」


「ピノちゃんもジョシュがんばるもん!」


 ………どうやら皆心配で来てくれた様だ。だけど……


「…………済まない。だが今回は……」


 すると、ジャクリンが急に私の前に立つと…鬼の様な形相で……


「今回多分1番危険なのは御嬢なのでは?それに、我々はそれ程までに信用なりませんか?」


 若干悲し気な顔を同時にしていた……だけど彼女の言いたい事は分かっては居る。そう、少しは彼らの実力等も認めないと行けない事はトップとして分かっているんだよ……


 でも同時に私が手塩を掛けて育てて来たり、また必死に交渉して引き抜いて来たりした人材……だからこそ、傷ついて欲しくない。


「信頼はしているけど、だけど今回は事情が事情……魔王物質が原因でゴンが苦しんでいるんだよ」


「?!!!」


 驚いて目を張る皆……無理も無い。


「それと…これは絶対他言しては駄目だ。危険だから……本当は世界の敵に回る可能性もある訳だから、巻き込みたくなかったんだよ………」


 後半は割とガチな本音。知れば知る程この世界がどれ程歪なものか分かってしまうからな………精霊達の様に。


 私が顔を上げると……彼らは何故か皆笑っていた。


「全く御嬢は……別に世界だろうが何だろうが敵に回っても良いんですよ。元々私達は世の中から捨てられた存在です。拾ってくれた御嬢の為になれるなら別になんでもしますよ?」


「そうだな……儂らが“異端”だと言われて断罪されそうになったときも他の貴族の目を搔潜って助けてくれたよね?その上で、また人を救うこの仕事を続けさせてくれた。元々貴族は好かないけど、儂はお前さんは大丈夫だよ。」


「………もう少し人に頼るべきだ……」


「ピノも力になるもん!!」


 そうか………


 そう言えばこういう時、傭兵時代に先輩達からこう言えって教わったな………


「皆……ありがとう。」


 すると、皆笑顔で“どう致しまして”と返って来た。


 ならさっさとゴンを救うか。


 待っていろ、その痛みは皆と直ぐ取り除いてやるから。



 固有属性の精霊達に向けられるセカイからの悪意は乙女ゲーム編(=序章)終了後彼らが冒険に出た所の話しにて出てきます……多分。


 後、中世ヨーロッパ世界にちゃんとした外科医が存在する事が意外な方もいらっしゃるかも知れないですが、これは彼らが”有る事情”から持っていた素質と言うか、本性と言いますか……ちなみにヒントは改訂したプロローグ2に御座います。


 ですが、多分割と直ぐに明らかになると思われます。


 次回も宜しく御願い致します。

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