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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
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36 目玉と下っ端。

 読者の皆様どうもこんばんは。さて、ご意見・感想等有難うございます。色々意見を頂いて思う所が有って読み返し、私自身色々改訂して行きたいと思いました。コレからも頑張って参ります。


 さて今回はちょっと胸くそ悪いかも知れないです……特に後半部分はちょっと暗くてシリアスチックです。と言うか、ヒロインちゃんの視点なのですが………


 それでは本編をどぞ!


「私は傭兵『月虹夜』の長、ドーラである。此度、私はヴラド3世から雇われて君達を安全地帯まで一旦避難させに来た。故に、この空間ごと王都まで私が皆を運ぶ事になる。


 まずこの度災害に見舞われて亡くなられた方々、そして住居や生活を負われた皆には心から御悔やみ申し上げる。


 現在…顔見知り経営している医師団の派遣の手配と幾つか私自信が医療品を持参したので、怪我人に関しては心配御無用。命さえ有れば必ず復活させてみせる所存だ。


 また復興に関しても、こちらから少しばかり支援をさせて頂く事になっている。職に関しても、困っているようならばルナライト社で雇う事もやぶさかではないそうなので、そう言った方々は後で従業員へ相談するといい。


 私からは以上である。」


 軽く挨拶をして、私は壇上から降りて礼をした。そして心配になって彼らの反応をもう一度見た。


 住民は何故か涙を流していた。


 私は慌ててゴンとアイコンタクトを取った。


「(なあ、何か私不味い事言ったか?)」


「(いや、特には……いや、今この状況で復興やその後の事を話すのはどうかと………)」


「(必要な事かと思ったのだが……)」


「(頭ではそうなるだろうけどな〜……)」


「(う〜ん…いつも私はこういったスピーチで人を泣かせたりするからな〜…なんとからならないものだろうか……)」


「(……もう諦めた方が良くないか?別に視聴者はお前のきつい口調で泣いている訳でもないし。)」


「グハッ(………そんなにきつい口調だろうか……………)」


「(…まあソコソコ……とは言っても軍人みたいで別に良いと思うけどな…)」フキフキ


「(ん?最後の方何と……)」


「(別になんでも良いだろう?それより視点戻せ。)」


「(そうだな…済まんな、甘えてばかりで。)」


「(気にするな、その為の俺だろう?寧ろもっと頼っても良いんだからな?)」


「(そんな事をすれば、甘え倒して相手に見限られてしまうだろう?)」


「(……別にいいのに…)」


「(ん?何だ?)」


「(…ナンデモナイヨ。それよりそろそろ。)」


「ああ、そうだな。」


「おい、声に出ている。」


「おっと。」


 会場から人が三々五々離れて行くのを見届け、私は早速病棟へと向かった。


 今の状態なら大体診られるのは100人前後だ……とてもじゃないが、医療品が足らない。特に消毒薬と包帯が足りないため、それに関しては全て魔術でカバー…出来ないからきついんだよな……。


 まあでも、出来る限り科学無双でどうにかしよう…つか、するしか無いか……


−イッシー達よ、早く来てくれ。


……………………(???)……………………


『それではイッシー25、行って参ります!!!』


 ラウツェンスタイン領にある医療特区における会議室。そこで集会が開かれていた。


 この間は免許皆伝を貰ったベテラン医師と看護師が患者の所へ回っていたが、中継を通してその様子を見ていた。


 画面に映るのは、複雑な魔術式の描かれた巨大半紙を発動させて、空間に文字通り“穴”を開けた場面であった。


 これからそこを通る者達……


 若い見習いの医師達が全員敬礼をするのは彼らの教師であり、大先輩である医師集団『イッシー25』。


「儂らの力が必要だと言われたからのう。」


 笑顔でカエル顔の医師が黒い医師へ話し掛けた。


「ああそうだな……ピノ、道具。」


「あい、先生!予備、持って来たです!!」


 喋り方に若干幼さが目立つ者の見た目は立派なレディーな助手であるピノ。彼女は愛想の無い黒い医師より一回り小さな黒い鞄を大事そうに抱えていた。


「オレも薬品の調合がんばるぞ〜!!」


 人外の医師は少年の様に元気な様子で気合を入れていた。


 彼らはルーナのこっそり送って来た魔術式を発動させ、移転していった。


 本来なら彼女自身と一緒に通ったとしても危ない道であるが、今回は彼女の作った空間と魔術式で直接繋がっている紙が有ったために“ゲート”を開けて通るだけで済んだ。


 まあそれでも次元の狭間に落ちて明後日の方向へ行く場合も有るのだが……今回は大丈夫だった様だ。


 流石ルーナ様。


 我々は貴方と違って医療しか提供出来ませんが、自分に出来る事の最善を尽くします。


 とは言っても、残念ながらオレはまだ居残り組ですけどね。


……………………(end)……………………


 ……つ、疲れた〜………………


 大変だった………え?何がって?


 24時間+8時間程先程まで治療と料理と色々雑用等、後外へ狩りに出る等していましてね……


 ああ分身は使ったよ?でも前回頭プシュー事件以来懲りて1000体以上は今使わない様にしているのよ。


 そんで、領内には現在500体は出している訳で……ここでは半分しか出せなかった訳だ。


結果:本体の仕事が増えた……


 現在イッシー25が支援に来てくれたから良かったけど、死にそう…………


「ほら、無理し過ぎだ。すこしは休んでいろ。」


「すまん………ゴン、後は任せた。」


 と言う訳で、皆様おやすみなさい。


…………………(ゴン)…………………


 俺は彼女が寝付いた事を確認してから要塞の外へと出た。


「さて、俺も俺の仕事をするか…」


 銃を構えて乱発する。


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド


 途端に咲く、紅い華


−汚い花火だ。


 動体視力を活かしてピンポイントで脳髄を狙っているため更に無駄無く仕留められている。素材も丸々手に入るから万々歳だ。


 これで少しは彼女の力に……


オオオオオオオォォォォォォォォォォォ


 突如、頭上から妙な声が聞こえたので顔を上げる。すると、空が割れて巨大な目玉が俺の姿を写していた。


 血走ったギョロギョロと動くその目は、何処までも虚ろ。まるで死んだ魚の様な表情をしていた。


 そして呆気にとられていると、空から嫌な感じのする“ナニカ”が俺目掛けて降って来た。


−アレは駄目だ。


 俺は緊急回避して砦の中へと戻った。


 情けないが、俺ではアレを止める事は出来ない………逆に乗っ取られる気がしてならないのだ。


 でもアレは一体…………


 俺は考えを辞め、取り敢えず毛に着いた黒い埃を落とそうと奮闘した。


………………(???)………………


「あ〜あ、失敗しちゃった。」


 後もう少しでうまくいくはずだったのに〜…ムゥ〜


 私はムクれながらコントローラーを置いて、画面の様子を見ていた。


−でもちょっとやり過ぎちゃったかな☆


 ここは確かに現実ではない『夢』だけど、やっぱり人殺しっていうか街を潰した事にはほんのちょっと罪悪感が有る。


 でも皆も私の糧になるんだから仕様がないよね?


 それに私を支援してくれている契約者の『シャドウ』もいっていたし………きちんと狙いを絞って黒い石を当てる事が出来たら皆私のいう事を聞いてくれるって。


 私の夢なのだし、別に都合が良くてもいいよね?


 だって現実は辛いし………病気は苦しいし。周囲の人達何か、私の事を可哀想だとしか思っていない。


 そして、親は来ない。生まれてから一度も見ていない………


 誰も、そう、誰も現実の私の事なんて好きになってくれない。


 私に有るのは生まれてからずっと不自由で軟弱な身体とそれにつながれた沢山のパイプ、心拍数を数えると言われた無機質な音を出す機械くらい。


 外の世界に何度も憧れを抱いたけど、私は外には出られない。


 いつも私の目に写るのは、代わり映えしない暗い病室の天井。それから、シケタ顔をした看護師と医師、それから時々私よりも症状が軽い事で優越感に浸る別の患者達。


 聞こえる音は、心音を量るピッピッ…と鳴り続けている音と、点滴の滴る音。まあ時々別の患者の関係者が私を哀れむ様な事を言っている嫌な声も聞こえた……


 だから私は時々身体の調子が少しいい時だけ持って来てもらえたパソコンから入る、インターネットの世界を通じて”外”へ出た。


 哀れんで優位に浸っている周囲の人のその気持ちを使って、私は自分の我侭を叶えて行った。


 ゲームがしたい、漫画が読みたい、本が読みたい、等。


 勉強に関しては、つまらないと思った内容はしなかった。


 そして私は何度夢見た事か。ああ……私の小説とか漫画とかゲームの主役になりたい、等と。


 そう願う様になって、暫く。


 ようやく長い苦しみから解放されて、暗くて寒いトンネルを抜けたら夢の世界に永久に来られる様になったの……ここなら皆私の事を好いてくれる。


トントン「カサンドラ、来たよ。」


「フェルマー!!!」カチャリ


 私の騎士様(ナイト)が今日も来てくれた。それに今は口うるさいルイスも居ないしね。ちなみにフェルマーにも黒い石は埋め込まれていて、位置は右肩。


 そしてルイスは……別に黒い石無くても私の事を嫌いならないから付けていない。ちょっと五月蝿いけど私の夢では最初から近くに居てくれた幼馴染みの男の子なのだ。

 

「俺と一緒に居る時は俺の事を考えてくれよ、我が姫君。」


「あら、貴方との幸せな時間を噛み締めていたのよ?」


「ああ、カサンドラ……」


 抱付いて来る騎士に身を任せて、私は思考を巡らしていた。


 さて、次は何処を狙おうかな〜♡


 次回も宜しく御願い致します。

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