表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
34/142

33 (移動中ですので悪しからず)

 読者の皆様どうもこんばんは。そしてご意見等有難うございます!!


 さて、申し訳ないのですが……タイトルが急に思いつかなくなってしまったため今回はまんま移動中のアレコレです。まあ最初の方は国の説明みたいな感じですけど…それでは本編をどぞ。

『ワルハラ王国』


 面積は大体日本の3倍位の島国であり、超巨大湖『天空湖』の中央に存在する。それを支配するのが『ヴラディスラウス・ドラクリヤ』……地球で“ドラキュラ”の原型とされた“串刺し公(ツェペシュ)”の異名を持つ1人の元人間、現不死王。


 そして“都市”と呼べる人の多く集まる場所は、この国では全部で5つ存在する。


 まずは王都である『ブクレシュテ』。ルーマニアの首都名を聞かれて正直に答えた所採用されたルーマニア語では“喜び”の意味を持つ都市名だ。ここは日本で言う所の“東京”と同じで、政治・行政・経済全てが揃っている。


 次はこの国に3人居る“公爵”が支配する地域の都市『ディヴァート』、『ドーバンド』、そして『フルムウーゼット』。それぞれ“娯楽”、“興味”、“美”の意味を持つルーマニア語を元にした都市名で有り、名の表す通り“観光都市”、“学園都市”、“衛生都市”となっている。


 最後に、今回被害に遭っている都市『ヴェネチモール』。


 ここは数年前に全員変死して途絶えたバルザール侯爵家がかつて支配していた旧バルザール侯爵領圏内に位置する都市。ここを一から民と共に開拓したバルザール侯爵は、貧困な地でも民が飢える事のない様にと“商業都市”をつくったそうだ。


 ちなみに私は、この人実は転生者なのではないだろうかと疑っている。都市名は『ヴェネチア』を元にしたのでは無いだろうかと思うのだ。あそこも“ヴェニスの商人”で知られる様に、商業都市の代表格だったと言えるからね。


 それからその都市は何故か通り等が“碁盤状”になっており、まるで京都を上空から見た場合とに似た様な構造になっている。だけど最大の特徴は………川が多く、船に寄る運搬が『ヴェネチア』同様多い事だろう。


 その美しさ故、観光でも人気のスポットで有る事は言うまでも無い。


 私も分身の情報を通じて知っていたが、実際に見たかったので今回の件は非常に残念だとしか言いようが無い………もう既に戦火に巻き込まれてガタガタなのだそうだ。


 これは、『ヴェネチモール』から今回の襲撃の件を伝える為に飛劣竜を飛ばしてここまで来た地元の兵士ケヴィンの言葉だった。


 酷く憔悴した顔には、恐怖と悲しみが漂っていた。そして彼は面白い話しを持って来てくれた。


「それでここに来る途中、その“目玉”と遭遇したと…」


「は、はい……黒くて禍々しいものを都市とその周辺に撒き散らしていました………」


 黒くて禍々しいものね………それって十中八九物体X(魔王物質)の事だよね?


 え?つまり、これって………魔王襲来の兆候?!


 イヤイヤイヤ……………


 じゃあつまり魔王の選んだ生贄の土地って今回ここなのか?!


 で、悪役令嬢でなければ生贄にされてアボンする残念かつ嫌過ぎる不幸な役目の『ルーナ』はここでそれに遭遇すると……そんで、次いで生贄にされると………


 冗談じゃない、死んでたまるか!


 ………首謀者見付けたら1発殴って沈めてから必ず締める。


 つか……ここで息の根を止めてから下手人見付けて拷問に掛けて洗いざらい吐かせるか?幸い精霊に関しては勝手に付いて来てくれたし彼らも戦う気満々な様子だし…何か今も


「殺るの?殺らないの?」


「殺☆ら☆な☆い☆か♪」


 と良い笑顔で言っている………目つきも可笑しい事から完全にこれから戦争する不良集団と化している。


 その先頭に居るのが(変出者)ゴン(ヤの組員?)……………何この混沌(カオス)


 アレか?既に現場が混沌としているから混沌とした集団で迎え撃とうって言う事か?


 ……………………あながち間違っている訳では無いけどさ…せめて今世では普通の傭兵をしたかった………


 よく前世の親父(ファーザー)暗殺者装備(アサシン)や軍服のコスプレをさせて我々を戦場へ送り出していたんですよ………無駄に再現率高いけど、無駄に性能が下手な服より良いので着替える事も敵わず………


 よく戦場ではネタ知っている別部隊の連中の笑い者になっていたよ……まあ笑った奴から大抵死んで逝ったけどね。主に油断とかで。


 そんで、何話していたんだっけ………ああ、そうだった。


 現在それで現地に向かっています…さっき話しに出て来た兵士のケヴィン・ロードウェルさんが案内してくれています。


 でも超音速(=大体戦闘機と同じ速度)で現在空路を進んでいるので、多分後30分で到着出来ると思う。


 そう………こんな事も有ろうかと、私は自重せずに地元のドワーフ巻き込んで戦闘機作っていましたw


 でも、一応そのドワーフ達と契約を結んで『機密事項』にしている事は言うまでも無い……過ぎたる技術流出は自分の首を締めるからね。


 今回は緊急事態だった事も有り、取り敢えずケヴィンさんには精霊による『契約』をして貰って載せ、その上で機体全体へこれまた精霊に頼んで『光学迷彩』と『遮断』、そして念のために『幻』を掛けてもらった。


 これで何処を通ってもこの機体は“存在しない”と騙せる。


「しかしこれはまた……速いですね。」


「まあ音速越えているしね。」


 感心した様子でケヴィンさんが話し掛けて来た。そして、早く着きそうなので若干嬉しそうな顔をしている……余程酷い状態だったのだろう。


 きっとそれらを全て見殺しにしてまで『ブクレシュテ』まで赴かなければならず、辛かっただろう………私も経験が有るから分かる。


 そして大概、助けを呼ぶ間に死んだ者達の死因は自分だと後で自分を責める事になる。


 全て終わった後、ノイローゼにならなければ良いが……


 優し気な中年吸血鬼の顔を一瞥した後、私は明け方で紅と橙に染まる空を眺めた………本日は晴天か。


 私が行く時、戦場はいつも晴天だな。その事は今世でも変わらないか………


……………………………………………


 かつて街だと思われる場所へ降り立ち、辺りを見回した。


 喰い散らかされた肉片と血が地面にこびりつき、赤黒い空へと煙が舞っていた。


 生存者…………この様子だと期待しない方が良いか?


 いや、私の分身が設計を手掛けた商会の建物が炎上したり大型魔獣の衝突に遭ったりした程度で無くなるはずが無い。


 あそこはそもそもヴラド君の依頼で住民にとっても“最後の砦”になる様にと願いを込めて作った場所だから……


−相当堅固に作った着火の心配が無い鉄筋コンクリート製の壁。


−ドワーフのハンマーでも打ち破れない程強力な超強化窓ガラス。


−熱や寒冷等の気候変化に対応出来る様に組んだ特殊な遮断結界。


 術式に術式を重ね、何が遭ってもそこだけは私が来るまで護る様に防御力を上げておいた。


 そして、極め付けは私と精霊の作った『亜空間倉庫』が存在し、そこを避難場所と出来る事だ。


 内部は、大体東京ドーム5個分の面積に居住区が、1個分の場所に食料庫、最後にもう1個分の所に護身用の防具と殺傷力の低い武器が置いてある。


 ちなみにこの空間の入口は更に特殊な術式を組んでおり、スパイや敵が紛れ込んだ場合は自動で弾かれる事になっている。その為セキュリティーは保証出来る。


 建物が万一崩壊しても、その空間にさえ入っていれば誰も襲撃出来ない。


 まあだから、街はこんな状態だが生存率が低い事は考えにくい……はずだ。少なくとも私の分身は全て消えた訳ではないので、誰も避難していない事は考えにくい。


「……そんな分けで、ルナライト商会の場所へ急ごう。」


「え………………………貴方が“幻の会長”だったのですか?!…いえ、それより急ぎましょう…こっちです!!」


 巨大な狐へ変化したゴンに跨がり、ケヴィンさんの案内のもと私達は火の粉振る街の中を駆けた。


…………………(ケヴィン)…………………


 ………今日は驚く事ばかり起こる。


 まず、今俺が乗っているのは…………………SS級の魔獣である『九尾』。


 1匹で国所か土地を滅ぼす事が出来る力を持つと言われている。実際異国の地では、『傾国』と呼ばれる魔王として君臨した事も有ると文献に有った。


 その時の魔王は『玉藻の前』と名乗る雌狐だったそうだ。


 その凶悪とも言える魔獣は……先程まで人の姿をして普通に喋り、更に今は主である少女の命に従って背に私と彼女を乗せている。


 未だに信じられない事だ……私がこの様な魔獣に乗る等………


 そしてその主………………………ルーナ・カーマイン・フォン・ラウツェンスタイン。


 彼女は何と言うか………色々可笑しい。


 魔獣達や精霊の契約者である事はもう割愛しよう……それ以上に驚くべき事が多い上、この国の兵は大体知っている…『黒竜の契約者』として。


 先程は驚いた……あれほど速い乗り物が有るとは。


 彼女が『飛行機』と呼んでいたソレは、鋼鉄の身体と翼を持つ。所々に魔石の設置場所が有り、更に複雑な術式が描かれている事が分かる。


 さらに………これは明らかにドワーフの作品だと分かる。


 彼らがこれ程の技術を持っていない事は知っていたので疑問に思っていると、彼女は苦笑ながら


「ああ、この技術の提供者は私ですよ?信じられないかも知れないですが…」


とあっさり答えた。そして……


「ちなみにこの事を知った事で、ケヴィンさんに残された道は3つ。1つ目は物理的に口封じされる事。2つ目は社会的に抹消される事。3つ目は私と契約する事。さあどれにしますか?」


 そんな風に10歳らしくない怖い笑みを浮かべて言われ、私はあっさり3を選んで直後に安堵した……こんな事を続いて言われた為。


「ちなみに1を選べば文字通り“口”を封じられましたね………飲食以外は基本的にチャックが掛かる事になっていました。2に関しては、そうですね………ケヴィンさんが自分で黒歴史を世界全体に散撒く事になっていましたよ。きっと恥ずかしくて表に出られなくなっていたでしょう。良かったですね。」


 ………………………………………やろうとしていた事の余りのエグさに絶句したのは言うまでも無い。


 つか、表情が黒くて目がマジだった……危ねぇ…


 そんな特殊技能を持ち、腹黒く、更に俺は詳しくないが魔術と武術に精通していて俺達よりも強いらしい。


 そして、先程彼女がルナライト社の会長だと言う事が判明した…………あの巨大で現在市場を支配している組織のトップ。


 それが、まだ年端も行かない少女だったとは……


 でも、そんな超人が今回この街へ救出に来てくれた事が非常に心強い。


 しかも、ルナライト商会の倉庫に避難場所が有るとの事なので、多くの住民が生き延びている可能性が高いと言われた。


 新たな希望を元に、私は少し心が軽くなった気がした。


 今は少しでも速く辿り着く様に、道案内を頑張ろう。


 次回、ルーナちゃん暴れますw宜しく御願い致します。


11/1:上空から見た場合とにた様な→似た様な 訂正致しました、ご指摘有難うございます。

11/1:良く前世は父は→良く前世の父は 訂正致しました、ご指摘有難うございます。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ