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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
22/142

21 帰宅後の一時。ついでに王子(笑)の告白。

 読者の皆様どうもこんばんは。


 さて、今回から少しだけ王子と関わる回が増えますので悪しからず……彼結構嫌われているようですが、実際10代前半くらいの男子が頑張って奮闘していますw(生)温かな目で見守ってやって下さい(笑)それでは本編をどぞ!

「ただいま。」


『お帰りなさいませお嬢様!!』


 目をキラキラ輝かせて何かを期待している我が家の使用人団……別に良いけどさ?


「はい、お土産。」


『有難うございます、お嬢様!!!』


 嬉しそうに米で作った菓子の数々を受け取る使用人達………あんまり食べると太るから程々な?


 そして私はそのまま一風呂浴びようと、浴場へ向かおうとすると……


「随分遅いな、我が婚約者殿は。」


 …………………………………何か余計な声が聞こえた気がした。


 振り返って見ると、相変わらずキラキラした王子サマが立っていらした………面倒くさ…仕事のキャッチアップも兼ねて1日出回ってこっちは疲れているのに……


 まあでも仕方が無いか……コイツ子供だし。


「……ルーナです。婚約は仮ですからね?それと、私にも色々有るのですよ。詮索無用です。」


 私は首筋辺りに鳥肌が立つのを感じながら、階段の影で申し訳なさ気な顔で立っていたマダオへ笑みを浮かべた。マダオはマダオらしく、顔面蒼白で逃走した。


 マダオ…………………お土産無し。


 そして目の前で対応に困ってあたふたしている使用人、それと無駄にキラキラしている王子は無視して横を素通りしようとした。


 すると、何か手が出て来て私を掴もうとした……当然払ってやったが。


「………やはりまだ捕まらぬか…」


 キラリと効果音が付きそうな感じの笑みを浮かべて迫って来る王子………はっきり言って気持ち悪い。


 つか、無理です!生理的にそう言うのは嫌いなの!!


 キラキラ系王子は無理です………


 やっぱり迫られるなら……渋みやえぐみを兼ね備えた中年の色気を纏った筋肉質なオジサマ…特に目の奥が普段日本刀みたいに鋭いけど、一緒にのんびりしている時は優しく包み込む様な……


 私はヒロインちゃんじゃないんだから、放っておこうよ?只の悪役ですよ?


 まあ、放棄する、つか、既にしつつあるけどさ。


 私は冒険に出たいの!今度こそ自由に世界を見て歩きたいの!!


 前世では確かに色々な世界を見て歩いたけど……でもそれって命を狙い、狙われながらだったから全然楽しめなかったんだよね……


 だから今度こそ私は好き勝手したいんだよ!!


 クリスの件は……まあ仕方が無いけどさ、それでも奴に関して言うなら一緒に居られさえすればそこまで過剰に反応しない…はず。


 つか、一緒に居るメリットの方が高いからね…戦闘能力も高いし、ペア君で戦えば『阿吽の呼吸』と言われるくらいシンクロ率良いから色々やり易い……まあ多分今ならウォルターの方が一枚上手だけどさ。


 まあそれは良いとして。


 ……………マジでコイツどうしよう?一層の事、撒くか?


 う〜ん………本当に王族って面倒。


 だが、そこに救世主が現れた………ウォルターだ!!ついでに兄貴達。


「何か私達の事をついで見たいな扱いをしなかったか?」


「僕の事は少なくともしていないよね?」


 私はそんな事を言っている2人を無視し……ウォルターの所へ行った。


「ウォルターただいま!!」


「御帰りなさいませ、ルーナ様。」


 う〜ん………この落ち着いた渋みの有るトーンがタイプです♡


 癒される〜………特にキラ②の後は。


 …………やっぱり異世界で公爵令嬢何てものをやっていても、心は相変わらず侘び寂びを重んじる日本人何だよね……だってロココ調よりそっちの方がどうしても魅力的に感じてしまうのだし。


 ウォルターの渋さはたまりません♡


 ……もう少し私も早くに転生していれば、ドストライクだったんだけど………


 後、非常に残念な事だがファンタジー世界でメルヘンチックな要素が多い……冒険して世界中回れば日本みたいな国あるかな?


 …有ると言いな〜………割と切実に(遠い目)


 と、余計な事を考えていたら、ウォルターに心配されてしまった。


「それにしてもお嬢様、お疲れの御様子ですね。」


「ええ、ちょっと昨日の今日の割に無理し過ぎた感じは有るわ。だから御風呂行ってきますね。」


「左様ですか……ならば、ベッドも用意致しましょうか?」


「御願いしても良いかしら?もうちょっとね……結構今も辛いから有り難いわ。」


「いえいえ。ルーナ様の専属執事たる者、これくらいの事を察せられなくてどう致しょうか。」


 優雅な一礼をした後、王子が何かまた言う前に私を連れ出してくれた。本当に良く出来た執事である……私には勿体無い程。


 でも………実際、体調がまだ戻っていないと言うのはあながち嘘では無い。今も魔素が入り切れていないのだ…………その証拠に…


「髪、まだ戻られていないようですね……」


「これね……仕方が無いのでしょう。もう諦めました。」


 そう。実は私の奇麗な銀髪が、今では漆黒になってしまったのだ。


 詳しくは知らない。だけどナハトからこんな話しを聞いた事が有る。


“魔素の消費と吸収のバランスを崩して吸収過剰となった生物は総じて黒を纏っている”

 そして私の従魔にも、約3名、真っ黒な奴がいますよね?総じて皆魔術の火力は強いんだよね……


 だからもしかしたら、私の髪はこのままに成るかもね……別に良いけど。


 前の銀髪は気に入っては居たよ、そりゃあ。母親と同じ色だからさ。だけど、面倒くさい事にこの色って王族特有何だってさ。


 でも前に古文書見た時に知ったんだけど……王族の祖に当たる人物の髪は時折真っ黒になっていた様だ。


 そこで一応考察したんだけど……王族の銀髪って、魔力タンク何じゃなかろうか?過剰に存在する魔素を髪が取り込んで溜めておく様な感じで。


 そう考えると、恐らく時間はかかるが元に戻る事が予想出来る。


 まあ仮説でしかないから何とも言えないけどね。


 それにさ………


「ウォルターの若い頃は黒だったのでしょう?何だか本当に親子になれたみたいで私的には嬉しかったりするのだけど。」


「…………ルーナ様。」


 優しそうに目を細めるウォルター………まあ彼の事は、今世における『第二の父親』だと私は思っているからね、今の所。


 色気でノックダウンされそうになるけど、やっぱりウォルターとは私にとっては家族だ…それも多分、公爵家には悪いけど、皆さんよりも大事な。


「さて、風呂に入るので準備頼んでおいてくれる?いつもの様に後は自分でやるから。」


「Yes, your highness.」


 そして今の今まで無視されていた王子は……


「おい、私の事は無視か?」


 そこはさ、空気を読もうよ?私も疲れているんだから後にするとか……後さ、食事前に風呂入りたいって言っているのに何で引き止めるの?風呂は有る程度時間掛かるから急いでいるのに……


 本当、もうコイツの呼び名王子(嘲)で良くね?


 引き止められてうんざりしていると……ジェイル兄さんが口を開いた。


「ヴィンセント殿下、妹は今朝から今までずっと領内の視察に回っていて疲れているのです。だから、何かお話になるのでしたら責めて食後にしておいて頂けないでしょうか?」


 続いてアランも。


「そうですよ。1日外に居たら食事前に風呂で汚れ等を落としたいのは普通ですよ?王子だって訓練後に風呂無しで食事する事に成ったら困りますよね?それに……妹にこれ以上嫌われますよ?」


 王子は途中まで渋っていたが、アランの最後の言葉が止めになった様で大人しく引き下がった。


 そしてその隙に、兄達に軽く礼をしてからウォルターの後を追いかけた。


 兄達も成長したものだ………空気が読めるようになったのだから。後で煎餅あげよう、丁度マダオの分余りが出たしちょっと増量して。


 あ、そうだ……


「ウォルターにもお土産ね!」


「……有難うございますお嬢様。後で頂きます。」


 若干にやけた顔でウォルターは包みを受け取った……恐らく後で酒のつまみにでもするのだろう。


「あの、私の分は無いの?」


「先程の行動に関して胸に手を当てて考えてからもう一度お越し下さい(ニッコリ)」


 …………………………何か余計なのが横から聞こえたので、瞬殺しておいた。


 大丈夫。その分君の息子、つまり私の兄達の取り分が多くなるから。


 ああでも今日は疲れた……食事と食後の日課が終わったらさっさと寝よう。体調をさっさと直さないといけないし……


…………………………………………


「それで話しとは?」


 食後、案の定王子に捕まった。


 2人きりで話したい事が有るとかほざいたので、一応保険の為に父親の書斎の窓際の席で話している。


 ちなみに父親の書斎には現在巨大な鏡が飾ってある様に見える。だが、実はその鏡、只の鏡ではない。


 マジックミラーなのだ。


 以前冒険者ギルドでギルマスに貸しを作った一件にヒントを得て、父の護衛も兼ねて作ってみたのだ。


 公爵ともなれば、当然影から命を狙われても可笑しくない。そして書斎は別の貴族を招いた時に談話室として使われる事も多々有る。


 そんな時に護衛を露骨に付け無いためにもマジックミラーなのだ。


 刑事ドラマ等を参考に自作した監視カメラ&盗聴機能の有る魔道具も作って設置してあるので、何か有った時に証拠にもなる。


 父も重宝しているそうだ……実際何度かそれで悪徳貴族を逮捕まで追い込んだからな。


 ……時には王家の番犬の様な事をさせられる父。当然各所で恨みを買っている訳だから、命を良く狙われている。


 だからこそ、私がこの家を出て行くまでには警備体制の強化と脱出経路の確保、他にも色々やっておかなくては……暗殺なんてされて欲しくないからね。


 今世はそんな事で親を殺されたくないものだ。


 さてと。今はこの王子の用件を終わらせないと。


「あ、ああ。その……」


 早速黙り込む王子サマ………早くしろ〜


「用件が無いのでしたら、私は出て行きますが?」


「ま、待て!!」


「でしたらさっさと用件を言って下さい。」


「………分かっておる。」


 ………そう言いつつまた黙る王子(失笑)。


 ああ暇、超暇。暇が売れたらマジで一儲け出来そうだわ……これが前世なら、間違いなくスマホのアプリで遊んでいたかも…ツム○ムとかパズド○とかで主に。


 まあ、待っている間に記憶の統合とか色々やっている事は有るんだけどね……


 さて、やっと話す気になったかな?


「ルーナよ、私との時間をもう少し割いてはくれないだろうか?」


「事情と場合によります……………私に何をお求めなのですか?」


 一瞬黙る王子。そして目をつぶって深呼吸してから……こう言った。


「その……私は……………











 私の夢は、冒険してこの広い世界を見て回る事何だ。」


 驚いて固まっている私を見ながら、悪戯が成功したかの様な表情をして続けた。


「動機はそうだな……以前君の事を密偵に調べさせた所冒険に興味が有ると私は知ったのだ。そこで私も初めは君と話しをしたいが為に冒険者に関するあれこれを調べた。その中には異国等の事も含まれており、私は自分の世界がどれ程小さいか知った。


 それから異国文化に興味を持ち、様々な事を調べたのだが…やはり限界があった。その辺りから、この面倒な地位を蹴った上で冒険に出たいと思い始めた。


 広大な大地をこの目で見てみたい。空飛ぶ島が本当に存在するのか、そこに人は住んでいるのか。等々、疑問が尽きない。


 そしてルーナ殿、だからこそ問う。私を連れ出してはくれないだろうか?


 この窮屈な貴族や王族の狭い檻の様な世界から、危険は多いがそれに勝る解放感の有る『外』の世界へ。」


 軽い予告ですが、その内王子は大変な事になります……それはもう、色々なイミで。ただルーナが関わっている為、恐らくここまで付き合って下さっている皆様なら想像が付くかも知れないですw


 ヒントは、彼女の関わった人がどう変わっているかですかね………もしかしたら予想の斜め下以上に鉛直下向きを行くかも知れないですww


 それでは次回も宜しく御願い致します(_ _)




10/25: 数ヶ所同時訂正 次いでに → ついでに ご指摘有難うございます。

10/25: 食後の責めて後に → 責めて食後の後に 訂正致しました、ご指摘有難うございます。

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