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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
20/142

19 復活後、早速行動起こす(前編)

 読者の皆様どうもこんばんは。そして毎回本当に感想有難うございます(_ _)


 さて、今回ルーナちゃん復活します。そして3000人分のデータから見付けた領内に現れた不穏な影……彼女はどうそれに対処するのか?


 それでは本編をどぞ!


 暫く寝て、やっと記憶全ての総整理が終わった………結構無茶をしたが、その甲斐有って早めに対処出来そうだ。


 実は、前々から気になっていた現象が悪化して来たのだ。


 今回も『魔素と植物』と言う論文から大体引用したので、その解説を御覧下さい。




『植物魔素過敏症』


 魔素濃度の変化は植物の育成に多大な影響を与える事が知られている。濃ければ妖精か魔植物等の異種族へと進化する。逆に薄ければ脱魔症を起こして枯れるか肉食植物へ進化する。


 しかし近年の研究で、特に遺跡の発掘によって見付かった歴史の遺物によって濃度以外にも植物を変化させる要素が有ると分かった。


 遺跡で発掘されたのは、“魔王歴”の植物の標本の化石であった。


 この植物は魔王が活発に活動していた時代に存在した物だと考えられる。そしてその化石は、肉食の魔植物へと変化している。


 未だに証明はされていないが、仮説として


“魔王の出していた物質—仮にXと置く—が、周囲へ拡散して植物に取り込まれた”


と言う内容が挙がっている。


 この植物の最大の特徴は、葉の目が通常の植物と比べて細かく、更に花が毒々しい色をしており内側に牙が生えている事である。また、特徴的な痣が見かけられたと言う。


 対処方法は、兎に角殺すしか無い。基本的に本能へ忠実であるため契約には向かない……例外として、圧倒的に実力の勝っている相手に関しては、気に入れば自分から配下となって一生忠義を捧げる。




 さて。何故この病気を出しただが………何と家の領に群生していたのだ……一歩手前達が。


 まだ魔物と化していなかったが、慌てて刈り取った事は言うまでも無い。


 幸いまだ木々には影響は無く、草にしか影響が出ていなかった為、原因と思しき物質(以後文献に倣い“X”とする)だけ魔力に者を言わせてフィルタリングしたのだと、記憶上で分かっている。


 ………………まあその結果任務に当たった200人中127人が魔力枯渇で分身として消えたんだけどな。


 その後も別の所に居た『私』が自己判断で修業組と商業組等から応援を呼んで次々フィルタリングして原因物質を最終的に固める作業をひたすらしていた。


 その結果………任務に当たっていた大半が1週間で消え、同時に修業組も任務組の分まで修業をするという荒技にたが故に目覚める2日前に全員消えた。


 その上元々商業組は、情報は鮮度が大事だと言う方針の元予め消える事が決定されていたのだった。


結果:記憶の奔流。


 ………死ななかった私をマジで誰かに褒めて貰いたい。


 そして、現在……仕方が無いので今度は一度に記憶の統合をして頭痛のしなかった人数、20人を守りつつ、私は各箇所に『私』を送った。


 ……人里に何も影響が無いかどうか確かめる為だ。


 あくまで私に言い渡していたのは市町村を囲む森の中、つまり元から魔獣の大量に居る場所だ。


 そこで魔物の大量発生や生態系のバランスを崩す様な強力な固体が生じてないかどうかを見回っていたのだ……その2つが魔獣の人里への出没、他にも『スタンピード』と呼ばれる魔物が大量に逃走する現象の原因になるからだ。


 異常固体等は見付け次第大体村人等をアシストして狩らせる様にしている。


 何故私が自分で狩らないか?だって私が居なくなってからも今の営みを維持するには個人が力を付ける必要が有るだろう?その訓練をさせているんだよ。


 その中でも優秀な者は、更に公爵家ウチに仕えられる様にそれ相応の教育を施した上、数年後兄貴達の通う学び舎へ共に通う事になっている。



 余談だけど、兄貴達の通う学校は親父が乙女ゲームの行われる場所へわざわざ送り込むはずも無く、ギルドが経営している冒険者見習いや商人も通っている学校に入れるそうだ。


 そして、様子を見て良ければ私も入れるとか言っていた……つか、ここって中世ヨーロッパ世界の癖に義務教育が有るらしい………


 興味が無さ過ぎて法律勉強しなかったからな……今度学ぶか。


 まだ詳しくは知らないが、ギルド立の学園は基本的に共通課程以外基本自分の将来に合わせて科目を選択し、卒業に必要な単位数を取れれば合格と言った感じらしい。


 まあ大雑把に言えば、日本に居た頃通った大学にちょっと似ているのだった。


 そしてこれが王立学園との大きな差だが………何と座学は午前中のみで、午後は全て課外活動もしくは演習授業らしい。


 それぞれ子供にも事情が有り、仕事をしながら勉強を出来る様にとの配慮なのだとか。


 その公認のギルドどれかに登録をしている人に関しては、報酬から数%取られる物の、三食食事付きの寄宿舎へ泊まる事が出来るらしい。


 至れり尽くせりで有る。


 さて。話しが大分予想外な方向にずれたが、いい加減戻ろうと思う。


 今回私が深刻に感じている事は、ラウツェンスタイン領に『魔王』が居ると言う事が示されてしまったからだ。つまり、私が避けなければ成らない地雷が近くを徘徊していると言う事。


 この領に突然現れた所を見ても、一族郎党1番悲惨な死に方をするとも言える『放浪魔王』フラグが歩いてやって来たと見て良いだろう。


 正直どうせ歩いてわざわざ来るのならば”幸せ”に来てもらいたいものだ……


 自分で掴む者だと分かっているが、前世で某歌手の歌っている歌に習ってちょっと思ってみただけだよ。文句有るか!つか、巫山戯ていないとやっていられない。


 ……………王子は来ているし、その上魔王も来るとか……死亡フラグは自分から悪役(私)の所へ今の所歩いて来ているのだ。


 ……正直、今更ながら戦々恐々としている。戦い抗うが、どうなる事やら………


 そして、1番悩んでいる事は実はそこでは無い………


「この石が“例”のXの塊か………何か見覚え有るんだよな…」


 そう。


 魔王の放つ?かどうかは知らないが、兎も角その独特な魔素Xをフィルタリング後固めた結果生じた産業廃棄物イシの表面に、何処かで見た様な気のする紋様が生じていたのだ。


 正直思い出せない………


 ああ気持ち悪い……思い出せる様で出せない記憶だ…何かに阻害されているとかでは無く、覚えているのにその記憶自体が曖昧なのだ……まるで私が半分寝ぼけていたかの様な感じで。


 こればかりは仕方が無い。今出来る事を私はするのみ。


 これから行うのは、Xと自然界に存在する魔素の違いを検証する事。


 そもそもこれが本当にXは魔素のみで構成されているのか怪しい……何かの呪いでも掛かっているのではないだろうか?


 そんな疑問も色々有るのだ。


 さて、やりますかね。


…………………………………………………


 結論から言うと、Xをバラバラな魔素に還元→拡散させる術式を発動させた所普通の魔素に戻ってしまった。だが、生物へ魔石状態でXを与えると、魔物化けする事が分かった。


 魔石のまま試験的にシロイヌナズナもどきに使った結果、小型トレントが出来た………何か生じて直ぐ襲って来る処か


「参りました〜」


と言わんばかりに土下座した上、涙腺崩壊させながら“殺さないで〜”と(割とガチで)怯えられたので、私の実験助手として従魔にしたが……


 名前は『キール・クリアウォーター』。ド○えもんに出て来るひみつ道具での○太の発生させたトレントを思い出し、“キー坊”と呼んでみたいが為に付けた名前だ。


 何と言うか………小鬼ヘルメスの時と同様驚いたよ……別の意味で。


 つか、予想の斜め下行き過ぎだからな?!!生まれた瞬間からビビリで弱腰な魔物って……何かどう足掻いてでも生きようとか逃げようとか言うのはないなよ?!!?!!!


 契約後に直ぐ人型(何故かゴツイ強面の筋肉達磨になった…性格と容姿が全然合わねぇ……)に成る程には力が有るはずなのに……


 ……何か年々魔物に対するイメージが可笑しくなって行っている気がする………


 え?どんなイメージ持っていたんだよって?


 基本は人を問答無用で襲う荒々しい生物、と言うのが一般的な魔物への認識。


 私や我が領、そして商人達やウチの使用人達の場合……自分から葱背負って現れる鴨宜しく、自分から来てくれる食材や素材ですが何か?


 まあ要するに、間違ってもサボり屋だったりビビリだったりする魔物が居る等誰も想像出来ないと言う事だ。


 ちなみに残念ながらキー坊の紋様は契約結んだ直後に消えてなくなったので残念ながら記録出来なかった………


 まあでも、魔素の性質の一面が分かった事と研究助手が見付かっただけでも収穫か……


…………………………………………


「…とまあ、そんな分けで新たな仲間に加わったキール・クリアウォーターです。キー坊って一応呼んでやれ。そんでまあ、各自何か自己紹介か何か勝手にやっといて、ヨロ。」


『ウッス、姐さん!つか、名前と渾名が有ってね〜!!!』


「細かい事は気にせずさっさと行動、ほら。」


『完全にスルーかよ?!!?!』


 ……随分とノリの良い連中になったものだ。


 従魔達は今ちょっと家に居ないので、これからキー坊に働いてもらう場所へと案内したのだ。そんで、そこで元から働く魔物や人間に紹介した所だ。


 私の開発した領内に有る農業試験場。


 ここで働いているのは、森から住居を追われた大人しい小鬼達と地元農民の中でも品種改良に興味を持った奴等、他にも王立研究所から商会経由で引き抜いたり捨てられた所を拾ったりして集めた研究者達。


 小鬼達はヘルメスの部下達と、それから霊山で知り合った小鬼族の長老の子供達が殆どで、その他にも野良で拾った小鬼も数人居る。


 理由だが、彼らの方が人間よりもずっと植物の育て方が上手いからだ。


 霊山で修業している時に知り合った小鬼族の長老の話しで、元々農耕文化で栄えていた事実を知った。やがて人間の開拓で居場所を追われて森での狩猟生活を余儀なくされたのだとか。


 今の阿呆な小鬼達はその成れの果てだと悲しげに語っていたのが印象的だった。


 だけどこの話し、納得の行く事が多い……ゴブリンが総じて戦闘に弱いのは、種族として駄目だから等では無い。只単に戦闘に向いていないだけなのだ。


 ああでもこの爺さんは例外な?歳喰っており穏やかな顔をしている割にえげつない程強い……主に不意打ちと罠と酔拳を駆使して来る、勝てば何でも有りだと主張するトンデモ爺さんなのだ。


 さて。話しを戻そう。


 ここで教えているのは、『表向き』は主に江戸時代日本人が行っていた朝顔の品種改良。物理学と同様遺伝学が此方の世界でも通用するかどうか不安だったので実行してもらったのだが、魔術が無ければその辺も地球と何ら変わらないことが判明した。


 『裏』で行ってもらっているのは薬草の研究と薬品開発、そして何より……………『米』の研究だ。


 一般的ではない上、家畜の飼料か貧民の食事としてしか認知されていない食材………だが、私にとっては故郷の味を再現出来るかも知れない食材。


 流石に私も貴族なので、貧困の象徴とされている米の研究は秘密裏に行っているのだ。


 ま、まあ、品種改良して上手く行ったものは全て領内で生産させているけどね?何か農家の人達は前々からこっそり使っていたみたいだし……日本で過去“雑穀”として使われていた粟や黍宜しく。


 さて、この世界に置ける米との出会いは6歳の時に遡る。


 この世界にもやはり米は存在したのだと市場で見付かった時は歓喜したものだ。そして買って行ったその日にこっそり米を炊いて、握り飯を作って早速食べたんだが…………………


 皆さん想像出来るか?ジャポニカ米の一切含まれていないインディカ米のみで作った塩むすび…………


 あのホワッとした柔らかさを求めた私は珍しくも声を荒げて感情の赴くままワンワン泣いた……期待していただけに、故郷の味と余りに違ったからだ。


 その後暫く私はずっと何かこんな事をずっとブツブツ呟いていたらしい……


『コンビニ…炊飯器…はえぬき…コシヒカリ…きらら397…北海道…』


 等と。その上で何か最後の方は黒っぽい影を纏いながら必ずフフフフフと不気味に笑っていたらしい………後で我ながら自分の行動に引いたよ。


 この黒歴史を父上に出される度に悶え苦しむ事は言うまでも無い。


 さて、そんな感じで始まった米に品種改良だが、皆さん、この世界には反則的な手段が有る事をお忘れではないでしょうか?


 そう、魔術を駆使したのですよ。


 まず作ったのは電子顕微鏡もどき…細かいモノを有る程度拡大して見える様にする魔術式だ。次に細かい作業に向いているメスやピンセットを作る魔術式を完成させた。


 ちなみにこれらは兵器に使った場合やばい事になるので、研究開発に携わった人達にはウォルターに頼んで私では仕えない“ギアス”の魔術式を掛けてもらった。


 内容は勿論、『口止め』だ。


 詳細は………私達の認めた相手以外に研究内容を口外しようとすると、代わりに自分の黒歴史を語る事になると言うエグイ内容だ。


 流石私の影響を1番身近で受けた外道執事……私でもそこまでやらないのに…やる事が半端無い。


 そこに痺れる、憧れる〜!!


 ちなみに研究内容は自動的に喋れない様になっているので、もし実行しようとする馬鹿が居た場合、そいつは自分の黒歴史を公に発表すると言う自分から“死にたくなる様な”辱めを行う事なるのだ。


 私達で報復する必要も無い。そんな無駄に無駄の無いギアスをこの件だけの為に開発する何て………ウォルターマジリスペクトです!!


 良い笑顔でフフフって笑っていたので、恐らく彼は別の所でも使うんでしょうね〜…使われた相手、南無チーン



 そんな分けで現在も品種改良の実験を繰り返しており、一応粘り気の有る米が幾つか出来た。だが、まだまだ甘みが足りない、タンパク成分が少ない等、日本米のクオリティーから程遠い。


 家族や研究員達はこれでも十分美味いと思っている様だが、甘いね。


 これは重要なので何度も言うが、私は元日本人である。諸外国でも食事のクオリティーに五月蝿い国として有名な『日本人』だ。


 故に、あの味を実現させるのは私にとっては何よりも優先するべき事である。


 冒険も大事だが、食に関してはどこに行っても妥協するつもりは一切無い。自重も常識も最早持ち合わせていない今世の私は、ただただ『食ノ道』を爆走するだけである。


 待っていろ、日本米よ!! 


 (*何故か夕日をバックに語るルーナ…ちなみに目には炎が灯っている)


 私毎回思うんです……日本人が異世界に行った場合1番困るのは食事と風呂ではないかと。勿論言語が話せて稼ぎが有る事が前提ですが、その辺は私の描いた世界だったら案外科学知識を持ってさえ居れば容易に行けると思いますw


 皆様はどう思いますか?と言うか、異世界に行ったら何を最優先で確保しますか?


 それでは次回も宜しく御願い致します。

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