16 家族団欒へお邪魔虫現る①
読者の皆様どうもこんばんわ。そして感想とご指摘有難うございます(_ _)頑張って続けて行きますのでどうか宜しく御願い致します。
さて、今回は今まで未登場だった家族編です。それでは本編をどぞ。
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私には弟と妹が居る。
弟は先日までこの世界で1番嫌いな存在だと思っていた……今では同士だが。
そして、我が妹は………それはもう美しい妖精の様に可憐な少女なのだ…その上頭も良く、現在我が領で豊な生活を営む事が出来ているのは彼女のお陰だと言っても過言ではない。
そして後者に関しては……恥ずかしながら私も弟も、最近知った事だった。
それと私と弟は、直接余り妹と話した事が無い……優秀すぎる事と時々醸し出すある種の雰囲気によって、距離を掴みきれないのだ。いや、言い訳だな。
………今まで弟との闘争に夢中で無視していたので正直今更どう接していいのか分からないのだ、情けない事に。
そして今回、妹とちゃんと話す切掛けが出来そうである。
妹は、書類上の婚約者である第3王子の誕生日に王宮に呼ばれ、帰って来てから高熱を出して倒れてしまった。
見舞いをする次いでに彼女の様子を見つつ一緒に話したいと思っている…
………確か王宮では舞踏会が行われていたはずだった…何か妹はされたのだろうか?やはり令嬢達からいじめられたのだろうか?
それとも王子が何か無理強いしたか……その場合は我らが兄弟も親父と一緒に制裁を加えよう…我々に出来る事は少ないが。
まあその辺りも一緒に話す事が出来れば嬉しいと私と弟は思っている訳だ。
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妹……ルーナが生まれた当初、私は何かと私と余り歳の離れていない弟へ突っかかっていた。弟も同様だったが、私の方が一応年上なのだが質が悪い事は言うまでも無いだろう。
そして何度と無く互いに命を狙い合った………今思えば余りに愚かな事だが。
何故我々がここまで争ったかだが、それは一重に“公爵家次期当主”の座が誰に渡るのか曖昧だったからである。
普通の貴族家庭ならば長男が継ぐのが当たり前なのだが、我がラウツェンスタイン領では違う。先祖の遺言で、次期当主は現当主が自分の子供の中で1番能力の有る男児を選出する事と決まっているのだ。
故に私は弟…アランが生まれてからと言うもの、一度も心が休まった事が無かった………
そして私とアランが日々死闘を繰り広げている間、ルーナは1人賢く美しくそして力強く育った。
書斎で見かけた時は、私やアランでは読む事も出来ない古代の文字や諸外国の本を片手に異言語で論文を書いていた…それも彼女は当時4歳だった。
その論文は後に我が領の疫病拡散を防ぎ、同時に今後も病気を予防する事と農作物の収穫率を上げる事にも一役買ったそうだ。
そして人口が増え、人々の収入も増えた事で我が家に入る税金の額が税率を緩和したのにも関わらず、急激に増えたそうだ。
先日まで彼女専属だったウォルターに『経済学』と呼ばれる学問を教わった際に我が領を成功例として出していたのだが、分かり易かった。
その事を言うと、ウォルターは嬉しそうに我が事の様に語っていた。
………妹が今まで税や金の流れ等を一人でまとめ、それを元に学問として体系立て多のが『経済学』なのだそうだ。
驚愕の事実だった。
だがもしそれが本当だとすると、妹は本物の“天才”だと言う事になる……当然王家が黙っていないだろう。
だから我が領での秘密なのだそうだ。
領民は彼女の事をこう呼んでいるらしい……『小柄な賢者』と。
新たな農法を教え、時には土を共に弄り、そして病気や怪我等の処置を教える。その他にも害獣やら盗賊等への対処法として、護身術を教えて回ったそうだ。
………今では我々は疎か、王宮に従事している騎士よりも領民の方が『無手』限定で模擬戦をした場合は強いらしい。
そして今我々も、ルーナの通った道を歩んでいる……ウォルター監修の元。
カールや父上も厳しかったが、ウォルターの厳しさはその直角を行く………何と言うか、限界を越える様な事を断れない笑顔で要求して来るのだ。
そして弱音を吐こうとすれば………
“当時5歳だったルーナ様も通った道です。お2人はその兄なのですから必ず出来ると私は信じております。”
……………こう言われると、兄の威厳を守る為にも断れない訳で……結局ノルマ以上をこなす事になっていた。
「ジェイル兄様、お疲れ様です。」
「アラン、お疲れさま。風呂、湧いているのでお先のどうぞ。」
「あ、有難うございます……ではお先に失礼します…。」
厳しい修業で切磋琢磨した結果修復した我が弟………今日は酷く疲れた様子だ。まあ、私も人の事は言えないが……
それもそのはず………屋敷の裏庭に有る山の周囲を3周した後腹筋背筋を50回ずつ行い、その上でウォルターの攻撃(魔術有り)を避ける訓練をひたすらしたのだから……それも途中で我が家の騎士団長が参戦して来て………
はっきり言おう。滅茶苦茶辛い……鬼畜である。
だがウォルターの話しに寄ると、妹は自主的に私達の5倍以上鍛錬しているそうだ。そしてそれ以外にも毎日魔術の打ち合いをしているとか………
優秀な妹だが、一体何を目指しているのか……謎だ。
只1つ言える事としては、彼女はこの公爵領を継ぐ事に関しては一切興味が無いそうだ…寧ろ貴族の付き合いは面倒で嫌いだと言っていたとウォルターは話していた。
妹は今の時点で十分自力で生きて行ける……大規模な商会を立ち上げ、今では何と言ったか…『会社』の『会長』をしているらしい。まあ簡単に説明するなら、大きな組織の長をしているのだそうだ。
調味料の輸出入から人材派遣等様々な分野で活躍しており、ラウツェンスタイン領でも必要不可欠な存在だ。
それ以外にも、恐らくウォルターの事だからギルドへ登録しているだろう……何せ、我々も彼に師事を受け始めて直ぐに登録したのだから。
ああでも活動はしていない………まだ我々では未熟で怪我以上に何かしかねないからだそうだ。
……………過去の自分を振り返ると納得するところが多くて、悶え死にそうだ……ウォルターは曰く、それを『黒歴史』と言うらしい。
ああ本当に過去の自分を殴り倒したい……何であの時ちゃんと学ばなかったのかと。
妹に追い着く日は恐らく遠いだろうが、これからも弟諸共努力する所存だ。
それに、最近では領主よりも魔術騎士になりたいと思い始めているので、別に領は弟に譲ってもいいと思っている自分も居るのだ。
まあでも、今は私に出来る事をコツコツ積み上げて行こうと思う。
妹の言葉だそうだが…
“万里の道も一歩から”
だそうだ。
遥か東方に有る陸土側の異国。そこにかつて居たとされる賢者が遺した、有り難い言葉なのだとか。
曰く、どんなに遠く困難な道のりでも一歩一歩進めばいつかは辿り着くと言う素晴らしい意味合いらしい。
今の我々にぴったりだと私は思ったのだ。
私もこの言葉に習い、自分の歩速で焦らず地道に歩んで行こう。そして同時にその道のりも楽しめたら最高だ。
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妹が帰って来てから2日が経ったが、まだ熱が下がらないらしい……それどころかうなされているそうだ。
そしてそれ以上に苛立つ事に、その原因となった奴が来ているのだ……
え?何処に?残念ながら、我が家に来ているのだよ!!
そしてこの王子、馬鹿なのか?死ぬのか?いや、もう既に脳味噌が腐って死んでいるだろうな!!
兎も角、自分が妹に好かれていない事、いや、家の家族や使用人にも嫌われている事に何故気付かない?
そしてその態度だが……はっきり言ってウザいので早急に還って欲しい…土…いや王宮に。
だが父上曰く、そうは行かないらしい……
そして私達もまだ行けていない妹の見舞いをしたいと先程から図々しく要求している……自分が原因となった事を自覚されていない様で、本当にご聡明(笑)でいらっしゃる。
さぞこの国は衰…反映するのだろうね……こんな奴しか碌な後継者が居ない事を。
「……そうか、なら我が婚約者の見舞いに…」
「「妹はうなされていのでそっとしておいて下さい。」」
「そうですよ、殿下。それに、今殿下が向かわれても何も出来る事は無いでしょう?」
「だ、だが………」
「それより我が家にこれから滞在する事になるのですから、色々と説明する必要が御座いますのでまずはそちらを優先して欲しいと思います……殿下に限らず我が家族も近寄ってはならない場所も有るのでその辺りの説明をこれから致しますので。良く聞いて下さいね?そうでなければ……」
一瞬の沈黙と、父上の恐ろしい笑顔。それで皆まで言わずとも何が起こるかは何となく予想がつくだろう。
もっとも、別に呪われたりすると言う訳ではなく……ルーナにえげつないお仕置きをされるだけだ…何せ、禁止領域を作ったのは紛れも無く彼女なのだ……商会等に関する機密事項に関係があるらしい。
詳しく知っているのは彼女以外に商会に一枚噛んでいるウォルター位か?
「う、うむ。」
……………少なくとも私達の様に自ら痛い目に合う前にちゃんと気付けて良かったですね、殿下。アレは間違いなく『自ら死にたくなる辱め』ですからね………
思えば、ウォルターの修業に耐えられるものあの経験のお陰かも知れない……
そして王子は父上と共に書斎へ行ったので、妹をあのいけ好かない勘違い王子から守るための会議を私とアラン、そしてウォルターで開く……
「おい、俺も当然入れるよな?」
開く前に、妹の契約竜が入って来た……いい笑顔をしながら。
見舞いを散々邪魔してくれて正直鬱陶しかったが、一旦休戦して同盟を組むか。
あの王子をどうやって排除するか。
今回の裏のタイトルは……『ウォルター奮闘の成果…シスコン爆誕』ですかねwwそして王子、憐れ……公爵家でも邪魔者扱いですwでも自分の立場や対応等を考えるとどうしてもそう成らざる終えないんですよね…まあ、歳の割に頑張っている方だとは思いますが。
頑張れ王子、負けるな王子。きっと君にも明日が………
それでは次回も宜しく御願い致します。
16/4/24 訂正 万里の城も一歩から → 万里の道も一歩から ご指摘有難うございます。




